魔法科高校の退学希望者   作:無淵玄白

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やっぱり新規は書きやすいわー。いや、だからといって他のも筆を進めたいんですけどね


第二話「米国娘はぶっちぎり。」

 

隣に座ってきた厄ネタの限りに対して……。

 

「あの、どうぞと言った手前、あれだけど一科生の人は前の方の席がいいと思いますよ」

 

「ナンカ口調が変わっていない?」

 

「いや、こんな可愛い子だなんて思わなかった上に、一科の人だとは思わなかったからですよ」

 

「ソ、ソー? そんな風に思ってくれてるとウレしいわ」

 

照れてないで、いいからさっさと前の席の方でかたまっている優秀生の席に移動しろよ!

 

内心でそう叫びながらも当たり前のごとく心の声など聞こえるわけもない少女。

 

「ワタシはアンジェリーナ・クドウ・シールズ。気軽にリーナとか呼んでほしいワ。アナタの名前は教えてくれる?」

 

「石田アキラと言います。そして俺はそこまで初対面の相手に馴れ馴れしく出来ない分別と節操ある日本人(ジャパニーズ)なのでシールズさんと呼ばせてもらいます」

 

自己紹介とかいいから、さっさと優秀生の方に移動しろよ。保険のために塩対応を含めておいた言葉の応酬だったが。

 

「で、アキラ。続きを読みましょうヨ!」

 

ずいっ、とこちらに身体を寄せながらタブレットを覗き込んでくるアンジェリーナに。

 

このアマ!俺が読んでいるスイフリー先生(著者)とうるし原先生(挿絵)のクリスタニアは、お前のための絵本じゃねーんだぞ!!顔はクール、心はファイアーなアキラの内心だったが。

 

「シールズさん。どうやらそろそろセレモニースタートみたいですよ」

 

ついに入学式が始まるのか、登壇した教職員が学生たちに静かになるように声を掛けていく。

 

「OH、ツイに始まるのネ」

 

開始時刻から考えるに時間的に結構、俺の会場入りは遅かったようだ。ともあれ始めたくもなかった。

 

見たくもなかった式が始まる。

 

所属クラスのIDをもらうまで着いてきた原作キャラの一人を撒いて帰宅の途に着けた。

なんでここにいるんだとか疑問は多いが、きっと俺の知らないところで何かがあったのだろう。

 

そして木枯し紋次郎ならば「あっしにはおよそ関わりのないことでござんす」

 

というところだ。それをあえて探ろうとは思わない。

俺はNARUTOで言えば本来シカマルが望んでいた平凡ライフを求める人間だ。

 

砂の国(他国)の親子風影(忍頭)の外戚となるような運命も。行方不明になった頭目の後継になりかねない運命とはオサラバで御座います。

 

(さて、明日だ)

 

覚えている限りの原作ではE組のヴォルデモート一派はなんやかんやと外回りをする様子だが、あまり俺は見回ったりしなければいいだけだ。

 

そして食堂での昼食も回避。母に弁当を頼むか、もしくはその辺のコンビニエンスストアで買うかだ。

 

その際に場所選びも重要だ。

 

あのベラトリックス・レストレンジ枠のアメリカン娘には、俺がF組であることが知られている。

 

だとしても、きっと司波深雪と仲良くなりたい連中と同じく拘束されて大名行列よろしくなるだろう。

 

しかし、もしかしたらばクラスにまでやってくる可能性を考えて……ということで外のベンチなどでボッチ飯。藤子不二雄の安孫子(あびこ)先生の作品に倣い坊一郎をしていればいいはずだ。

 

そして最大の関門がある。

 

それは放課後の『魔法科高校校門前森崎刃傷事件』とでも言うべきものだ。

 

ながっ!

 

名称としては正しくないかもしれないが、それでも概略としてはそんな感じ。普通の二次創作のオリ主やオリキャラだったらこれに関わるのが普通だが……。

 

(俺は関わらない!)

 

事件が起こったのが放課後の下校時刻からどれぐらい過ぎたのかは分からないし、地の文だけでは、はっきりしない。

 

アニメ版ではとりあえず外が夕焼けに染まっていることは確かだった。春の夕焼け……とはいえ完全に日が落ちるまで学校にいるというのは危険だ。

 

(図書室からならば事件が起きて駆けつけるバツイチを中の人に持つキャラと年齢不詳のヨマコ先生ボイスのキャラが外から見えるかもしれない)

 

それまでは気に入りのライトノベルを読んでいればいい。

 

怪訝に思われる可能性はあるが、何か端末とか置いておけばそう思われる可能性はない。

 

そこまでの予定を立てておけば、俺に不都合が生じる可能性はゼロだ!!!

 

完璧である!カンペッキーだ!!

 

そう完璧にしておけばいいのだ。

 

そうしておけば、余計な死■など出ない。友達の■を引きずって持ち帰るなんてこともないのだから。

 

 

翌日、母に頼んでおいた弁当を入れて第一高校という魔境への二日目の登校となる。

 

適当に挨拶をしてF組へと入り込む。隣の人間とよもやま話をしながら、魔法科高校の現状を知らない哀れな羊たちと思っておく。

 

そうして、とりあえず適当な距離感を保ちつつ恙無く昼間までをやり過ごした。

 

昼食後、専門課程の見学に入る前に。

 

「石田君がいるかどうか、何か一科生の子…金髪の女の子が来たよ〜」

「そうか。知らない子だね」

 

カルそうな女子の一人がからかうように言うが、やはり今日も明日も明後日も日曜状態は正しかった。

 

セーフ。本当にセーフである。

 

専門課程もなるたけ人が多くなさそうな所に行けばいい。

 

人が多い所にああいう一団は来るのだから。

 

そこも回避出来た。

 

ここまで来れば最早、大丈夫のはずだが。

 

(あのアメリカンの行動だけは読めない!!)

 

故にそれとなく出ていき「帰るよ。今日はつかれた」F組で出来たグループにも関わらず、図書室へと直行するのだった。

 

帰ると言いながら図書室へと向かったのは、メリケン女を撹乱するためだ。もしもF組に来ればその情報で彼女は校門へと向かうだろう。

 

(まさかクラスにまで来るとは!A組の連中め!不甲斐ない!!絶対に自分たちのグループに拘束しておけよ!!その女はいずれお前達を含んだ日本の魔法師のすべてを栄光に導く闇の帝王様、尊師様の愛人になる女なんだぞ!! 傷一つつけることなく献上するためにも俺みたいな野良犬に近寄らせるな!!)

 

などと流石に考えがものスゴくあさましくなった時点で、そもそも……俺のような存在こそが異物なのだと思い直しておくことにした。

 

(ロードスなどのソード・ワールド……フォーセリアに転生していれば良かった)

 

それならば夢は広がった。

 

魔神戦争の頃ならばナシェルを失脚させようとするカーラを止めてロードス及びマーモを統一。

千年王国を建てるお手伝いも出来たかもしれない。

 

その場合、無敗の剣闘士ルーファスこと傭兵王カシュー陛下が誕生せず、どうなったか。

 

占いババ辺りが「封印大陸」に行くよう促すかもしれない。どっちにせよ吉なる方角は南ということになるからな!

 

というわけでロードス島戦記を読みながら時々夕焼けに染まる放課後の学内。その校門までは見えないがーーー外の様子を見ていたのだが。

 

(よし!!)

 

2人の上級生が押っ取り刀で校門まで走っていくのが見えた。

 

だからといってすぐさま動かない。事態がすべて解決して、その後始末を含めてたっぷり三十分は経ってから動き出せばいいだろう。

 

原作を知っているというチートがどこまで有効なのかは分からない。

 

だが、ここをある種のシミュレーテッド・リアリティ(仮想現実)な世界と仮定すれば、俺はループ世界にいる高山竜司ないし二見磬ということ。

 

あるいはエターナルスフィアにいる4次元人(FD人)みたいなものだ。

 

まだ青春を楽しめた時に読んだ本やゲームの様々なことを思い出しながらも残り二十分というところで……。

 

向かい側の席が引かれる音が聞こえた。

 

他にも席はあるだろうに、何故にここに。ひょっとしたらばここは上級生の指定席なのかもしれない。

 

だとしたらば、悪いことをしたなと思いながらタブレットではアシュラム様とパーンとの最後の決別の戦いの場面になっていたところでーーータブレットから顔を上げると。

 

「ーーー」

「ーーー」

 

明らかに怒りを隠しているとしか言えない笑顔で、こちらを見ているメリケン女の顔がそこにあったのだ。

 

色々と言いたいことはあるが……。

 

「ナンデ!ココにいるのヨ!!」

 

流石に図書室では大声を出さないのは、万国共通なのか小声で大きいことをいうメリケン女。

 

さて、ここで対応するべきなのは……。

 

「いや、別に君に俺の行動をあーだこーだと言われる筋合いは無いでしょ……」

 

「ソ、ソウだけど……ケド、ワタシは昼休みにアナタに会いに行ったのにーーー」

 

自分は男に追われる女だと思っているのか?普通に考えれば、そう取れる言葉だが違うのだろう。

 

何故に、俺に構うのか? 意味が分からない。

 

だから、ここでアシュラム様が自由騎士に決別を告げた時のように俺に関わることの不利益を伝えるべきだろう。

 

「ーーーとりあえず学外に出よう。流石にここで私語を多くするのはマナー違反だ」

 

上級生ですら耳目を集める美少女が、俺のようなつまんない存在に話しかけている事実は変な憶測を生む。

 

「ウン!!エスコートお願い!!」

 

やだよ!と心でのみ言いながら図書室を出て学外へと出ることになる。

 

下駄箱が別々の昇降口でしれっと帰ろうとするのは流石に不味いので合流してから歩きながら帰ることに。

 

「そもそもシールズさんはA組の人に一緒に帰ろうとか誘われなかったの?」

 

本当に不甲斐ない連中だ。バカめ。バカめと言ってやる(by沖田艦長)。お前たちにとってこの女子はとんでもない奇貨なのだ。

 

タツヤデモートに献上するためにも努力せんかい!と思う。

 

思っていたのだが……。

 

「ジツはワタシはUSNAからの越境入学生徒(ボーダーレス)のポジションなので、色々と職員室に呼ばれたりグランパのことで校長先生にお呼ばれしていたのです……」

 

それならばA組の努力が無いことも理解できたので内心でみ謝っておくことにした。

 

「別に恥ずかしがることでもないような気がする」

 

要は様々な確認事項があったということだ。詳しいところは突っ込んで聞くことはしない。

 

人それぞれ様々に事情はあるのだから……。

 

「ソレに……アキラともう一度会イタカッタもの。なんで食堂でランチを取らなかったノ?」

 

君などの厄ネタを徹底的に避けるためです。などと本当の所は言えずにそれとなく文章を組み立てて伝える。

 

「ああいう所で食事を取るって色々としがらみがあるんだよ。俺みたいな新入生で、しかも2科生がああいうところで食事なんかしたらば上級生や一科生に目を着けられるかもしれない」

「ソウナンダ……けどそんな上下関係でのジャパンのスクールマナーって変ヨ」

「君の国でもスクールカーストが低い人間が、食堂を利用していればそういうこと起こらない?」

 

その言葉に少しだけ悩んでからーーー。

 

「アッタと思うワ……」

 

魔法能力というものを除けばアメリカの学校ではチアリーダーでアメフト部のクォーターバックと付き合っていてもおかしくない子だ。

 

理解してくれたようで何よりだ。

 

ただ暗い顔をしすぎているとは思うが、特に俺が気にかけるべきことではない。

 

「アッ!あのカフェに入りましょうアキラ!!」

 

アンジェリーナがこちらの腕を取りながら示したのは厄ネタの集会所にして死喰い人の本拠地であるマルフォイ家のようなカフェに入ろうとしてきた。

 

絶対にいる!間違いなくいる!!

 

喫茶店の名前は「アイネブリーゼ」であるのだった。原作では喫茶店にたむろするは後日であろうが、なんとなくいることを確信するのだった。

 

「アキラ、ダメ?」

「分かったよ」

 

これこそが決別の時だ。ここで縁をすべて断ち切るべきだ。俺など君みたいな魔法師として優秀な人間が関わるべき人間ではない。

 

そうキッパリと告げてやるのだ。そして俺は望んだ退学をやってやるのだ!!

 

上目遣いでこちらを見ながら言う美少女に何も感じずに決意を新たにするのだった。

 

後ろ向きな前進をするために!!

 

 

 

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