魔法科高校の退学希望者   作:無淵玄白

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皆さん、色々と憤っておりますが後々にちょっと痛烈な皮肉をするためのジャブなのでお待ちを


第二二話「マギア・スクールパニック4」

飛び来る魔法の数々。それぞれが本来ならばアキラを倒すに足るものだろうーーーか?

 

疑問を覚えながらも魔法を「見てから」避けるということを実行するアキラに、五十嵐With3menは焦る。

 

(ーーーこれが司波達也(タツヤデモート)が見ている光景か)

 

後に、十師族相手にも似たようなことをする彼の所業を真似たわけだが、そろそろ終わらせるかということで、アリ・シャッフルからのムーンウォークを見せたところで……。

 

「なめやがってぇええ!! ウィードが!!!」

「秋津!?」

 

自制心を失った一人が、相克など構わずに強力な術を発動させるようだ。それに気付いた他の3人が防御を範囲を決めて広げた瞬間。

 

足元が光り輝く。魔法師にしか見えぬ魔法式の展開。それがいくつも咲き誇る華のようにA組陣営の床に広がっていく。

 

「ーーーなっ」

「天魔よ」

 

驚く人間たちを尻目に決めておいたワードで発動される魔法の全て。

 

その殆どが空気弾だが、己の足元から攻撃が来るだなんて予想していなかった面子は、完全に面食らって術が不安定になり。

 

「あぶぅっ!!!」

「村上ぃ!」

 

思いっきり股間に食らった一人が情けない声をあげて内股になったが、容赦なく攻撃は続き足元から上がる空気弾の数は多すぎて早すぎたわけで、股間を守るも、その他に食らうだけの空気弾の圧倒的物量をくらい、そのまま倒れ伏す。

 

「専用スーツ着た割にはキンタマガード(ファウルカップ)付けてなかったのかよ。こっちは制服のまんまなんだが」

 

情けないと言わんばかりの言葉だが、足の踏み場もないほどに足元から打ち出される弾の数々に、それに怒る暇もなくて千鳥足を演じていく一科生組。

 

意図していない接触事故が起こり、そこに閃雷が走った。

 

それは九島家連理の人間ならば知っている。覚えているフォーマルな魔法の1つ。

 

スパーク。

 

雷……放電現象を目標に向かって真っ直ぐに打ち出すという物理法則を無視した術。

更に言えば放電現象とは、簡単に説明すればプラスとマイナスの電子による通電現象であり、雷光を起こすためには空気に拡散する莫大なエネルギー消費量をまず計算に入れなければならない。

 

兵器として運用するには現実的な殺傷手段ではないのだ。

 

大はレールガン、小はスタンガンやテーザーガンが存在しているのはそういうことである。 

 

ここまでのことを諳んじて知っているような理系知識を持つものならば戦慄する事実。

 

この術の存在は、『魔法』というものが、そういう非常識の塊であるという一番の証明でもあった。

 

接触を起こした秋津と名前を知らぬもう一人を二人まとめて電気ショックで戦闘不能にしたアキラ。

 

必死になって足元の術に対抗術を掛けていたのか安全圏を確保して、すでに息も絶え絶えの五十嵐鷹輔と石田アキラが対峙する。

 

「さて……頼りになるはずのおナカマは、全員やられて救護されている状態だ。この場で白旗上げても誰も非難しないと思うが?」

 

降伏勧告を出す。東郷、秋津、村上、名無しがやられたことで、進退窮まるーーーということだが。

 

「ふざけるな!お前なんかになんでそんな!!」

 

「俺はアンジェリーナから君をコテンパンに伸してしまえと言われたからな。まぁ嫌われるような口説き方だったそうでーーー『勝手にワタシを惨めな寡婦(灰かぶり姫)扱いするな!』と言付かっている」

 

「ーーーーーー」

 

米国に追放された祖父を持つからこそ、そこでの彼女が苦労してきたと勝手な想像をして更に言えば、その家族も惨めな扱いを受けてきたとする五十嵐の言い方は彼女の癇に触ったようだ。

 

「まぁ聞く限りでは、キミらみたいな魔法の名家とは違って社会的な高い地位や高給取りというわけではないようだがーーーだからといって、それを憐れむように言われる筋合いはないんじゃないの?」

 

例え、アンジェリーナの母が、ヒラリー・クリントンが悪しざまに言うような

「家でクッキー焼いている母親」であろうと、それを誰かに見下されるような筋合いはないはずだ。

 

(ーーーまぁヒラリーのアレは悪質なネガキャン故の切り取りだったが、別に自分とは違う女性を引き合いに出して当て擦るような発言をしなくてもよかったろうに)

 

有権者の受けはよくなかっただろう。キャリアウーマンだけが、彼女の支持者ではなかったのだから。

 

そんな風に、ざっと100年前ぐらいのアメリカ政治史とアンジェリーナの家庭環境をリンクさせてアキラは考えたが……。

 

「だとしてもお前みたいなシロウトにーーー!」

 

そこまでの考えの深さは五十嵐鷹輔にはなく、打鍵したCADに従い、強烈な魔法がアキラの身体を打ち上げようとする。足元に出来た魔法陣であり魔法式に対してーーー。

 

不動のままに魔法式は砕け散る。自分達には出来なくてアキラには出来る事実に絶望の表情が浮かぶ。

 

「そんーーー」

 

やはりアキラの防御力は優っていた。

 

何かの突風であり乱流を起こそうとした魔法は発動と同時にアキラの身体に触れると崩れ去った。

 

(もしかして、これが俺の特性か?)

 

ありったけ動き、かする程度には食らっていた魔法で、崩れかけていた情報強化の魔法式が『復活』をしていた。

 

無論、それだけではないのだが。

 

「アキラ!! GO FINISH!!!」

 

今は自分のデバイスを一緒に整えてくれた姫のためにも決着することが先決のようだ。

 

「それではお別れといくか」

 

指でスライドさせたデバイスを「長杖」(スタッフ)のように五十嵐に向ける。サイオン光が輝き、取り込まれた起動式から魔法式が展開を果たす中でーーー「変化」をさせ……。

 

ーーー黒い円錐、紫色に発光もしているように見えるものが生み出された。

中世時代に使われた突撃槍(ランス)の刺突部分のみのようなものがアキラの背後に作り出されて向けたCADの方向に従い、それが猛烈な勢いで飛んでいく。

 

回転しながら迫る黒紫の錐は相対したものに本能的な恐怖を覚えさせる。

 

(対物障壁!いや領域干渉ーーー情報強化ーーーなんなんだこれは!?どんな魔法なのか分からない!!)

 

後ろに飛び退きながら、防御手段を講じようとするも、どういった分類の魔法なのかが、見当つかないのだ。考えている内にも自分に迫る黒い錐。

 

もはや恐怖しかなく緊張しいの鷹輔は、下がる一方だ。

 

ようやく、対物障壁で防御をすることを選び覚悟を決めた時に。

 

黒い錐はーーー消えた。そのことに喜び、やはり二科生の限界かと、即座に反撃をしようとしたが。

 

鳴り響くブザー音。どういうことだ!? 混乱が頭を占める中……。

 

「五十嵐、お前の今の立ち位置をよく見てみろ」

 

遠くの方から色々な音が響くこの会場で聞こえるように言ってくる審判役の十文字克人。

 

ーーー遠くの方からーーーー

 

そう考えたことで自分のいる場所を確認すると……。

 

「あーーああ……ああっ!!!」

 

三度の嘆き。

 

一度目は床を見て、二度目は十文字のいる場所と自分の場所を測りーーー三度目は、後ろを振り向くと……講堂の壁までもう三歩ほどの距離なのだと気付いた。

 

つまり土俵から落ちていたのだ。決まり手は押し出し。

 

しかも相手の圧に『逃げていた』……その事実に膝から崩れ落ちて項垂れるしかなかった…。

 

(勇気が大きく後退していったな)

 

その様子を見届けた十文字克人は、そう五十嵐を評した。

 

このことを狙っていたのか?と問いかけたくなる後輩は前回とは違い客席から降りてきたカノジョ(?)に抱きつかれていた。

 

流石にキスまではしていないというか、そこまではさせていないようだが、なんにせよ積極的なアピールをする女の子を今回は受け入れるようだ。

 

(さて、聞きたいことは多いがそれに答えてくれるかどうか、だな)

 

流石に自分の秘術をさらすことはないーーーとは思うが、それでも聞きたいことはあるので前回と同じく話し合いに移行するのだが……。

 

(何故、先生方はこんな戦いに了承を入れたのだろうか?)

 

石田がやる気であったのを差し引いても、腑に落ちない点は多い。

 

人数が多いからと有利が出来るほど単純な話ではないのが魔法師の戦い。

 

ただ数的有利はあったはずだ。一人に攻撃させて、あとは残りが防御術でフォーメーションを組むなど……石田が、それをあっさり崩したことが最大の落ち度か。

 

しかし、生徒会以上の権限を持つ教職員側がこんなリンチ前提の試合を了承するなど、おかしな話だ。 

 

(石田ほど悪意的に見たくはないが、出る杭を打って沈めたかったのですか?)

 

教職員ーーー先生方が、そのような意識でいるとは克人も信じたくないが、それでも邪推せざるを得ないものが、そこにあったのだ。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

「あのアリ・シャッフルは遅延術式を設置するための動きだったの!?」

 

「まぁ、そういうことですね」

 

「確かに魔法を放つのは、最後は己の身体だ。自己加速魔法や、己を変革させるならばともかくな。だが、こういう「他への改変」は、ある程度の座標指定と指向性を持たせるなら、手を向けることが普通だというのに……」

 

こやつ(アキラ)は、脚……しかも足裏のスタンプで魔法式を放っていたのだ。

 

(よくバレなかったもんだ)

 

だからこその足裏のステップによる術式設置だったのだろう。魔法師としては非凡な眼を持つ達也でもアキラがやっていたことは見抜けなかった。

 

(それにしてもあれだけの術式をよく設置出来たもんだ……つくづく「ぼますか」な俺としては、複雑な気持ちだ)

 

その気持ちを表に出さずに、そう評しておくのだが……。

 

「当たり前のごとくアンジェリーナのレクチャーはありましたよ」

「アキラのハウスでね♪」

 

俺一人でやれたことじゃないと言うアキラに付け加えたリーナの言葉が魔法科高校の男子(ほぼ一年生)を落ち込ませる。

 

感謝しているよ。と言いながら苦笑しつつ頭を撫でるアキラに頭を預ける満面の笑みのリーナの姿もまた男子に敗北感を与えるものだ。

 

そんな中、アキラの左右のどちらかには本来ならば美月がいるはずなのだが……。

 

「すごいことやってたんだねー。石田君、本当に魔法使えるようになって半年も経っていないの?」

 

何故か、そこには先程までアキラが戦っていた男達。その一人の姉に当たる女子がおり、首をかしげるようにしてアキラに聞いていた。

 

アキラは、それを受けて苦笑している。

 

渡辺委員長とはまたスタイルが違うショートカットをした女子。なんだか印象としては『リス』を思わせる人だと達也は思った。

 

女子SSボード・バイアスロン部の部長。

 

三年生 五十嵐 亜実(つぐみ)が、美月の定位置にいたのであった。

 

 

 

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