などなど言いつつ、ある曲をリスペクトした新話お送りします。
事件は終わった。一高の校庭に落ちてきた「廃工場そのもの」など混乱は大きかったが、それでも終わったことは終わって後始末が始まる……。
最初に一高にやって来たのは、警察であった。これほどの異常事態を前にして千葉エリカの兄貴という御仁を筆頭に警察の人間たちが捜査権を行使してきた。
中にいるのはテロリストなんだか主義者なんだか分からないが、一応は日本の公立の学び舎に砲撃を食らわせたり、恐喝と脅迫をやってきた連中だから警察に引き渡すのは当然なのだが。
そこに飛行戦艦だか飛行魔法だか、名称は何でもいいがそういうのに興味津々の国防軍の人々がやって来たりして、ショバ争いみたいなのをやっていた。
ちなみに、千葉エリカの兄貴である劣化版スパイ◯・シュピーゲルのような人間が、やってきた国防軍の女性士官、
「「アレ、すっごい垂れてるワ(ますね)」」
バストサイズやカタチに一家言あるリーナと美月の証言で、あの女性士官のBIGロケットのカタチが「Y」ではなく「I」であるということが分かった。
「あとトンデモナイ「Vixen」ネ」
「それは見たままだな」
今のUSNAでは、昔とは違い『ファム・ファタール』ではなく『ヴィクセン』で男を惑わす女、女に嫌われるタイプの女を表するのが一般的だ。まぁどちらでも意味は通じるのだが……。
その言葉が聞こえたのかどうかは分からないが、その女性士官が震えているように見えた。
まぁそれは置いておくとしても、現場検証や工場の撤去など諸々のために一週間ほどは休校という体になってしまった。
その間、魔法の訓練こそ出来ないが……。
「サァ!アノ時出来た魔法のスベテを
自宅に押しかけてきたアンジェリーナによって、あの戦いの場で行った魔法の全てを
「
「フフフ、いいじゃない。もしかしたらばドコカの魔法技師や技術者は飛行術式を安定的に使えるようにしているかも知れないけど、アキラの術も噛み砕いて、みんなに分け合うべきじゃないカシラ?その辛さもネ♪」
なんだか
(まぁやってみるか)
そういう気持ちになるのであった。何でも自分で出来るなんて強がれないならば。
(君がいなきゃなんも出来ない)
なんて弱音を吐くことも時には必要なのかもしれない……とは言うものの。
(助けてくれよタツえもん〜〜〜)
無敵の魔法構築能力で俺を助けてくれ〜〜とシロウトであるアキラとしては言いたくもなるのだった。
そんな闇の帝王は自分が作るはずだった飛行術式をアキラが天然でやってのけたことに苛ついてやってくれないだろうと思うのもあったりした。
・
・
・
二回ほどのくしゃみをして妹に心配を掛けさせつつも、定例通りの本家との通信を行うべくキャビネットの前に立っていたのだが。
『あれ?タツヤ兄さんじゃん。何か用事ー?』
すっごくゆるカルイ感じで応対してくれたのは半裸の美少女であった。
シャワーでも浴びていたと思しきタオルで身体を拭いている少女の姿に。
「ままままま!真宵ちゃん!!な、ななななんて格好で家にいるんですか!?」
『試合の帰りで汚れたからシャワー浴びたて、家のキャビネットで何かの番組を見ようとしたらば、司波家の方からの通達だから出ただけだよ』
「だからといって!!もう少し淑女としての慎みを持つべきだと思いますよ!!」
深雪と真宵。四葉の女系の双子が産んだ娘2人は対照的すぎた。
容姿こそ幼い頃は瓜二つ。もちろん真宵の方は一つ下なのだが、深雪が年子として生まれただけに年齢的な違いは殆ど無いに等しい。
しかし、いつの頃からか自分の容姿を嫌ったのかヘアカラーを入れて、現在の真宵は茶髪の女の子だ。
本人に言わせれば茶髪じゃなくて「アプリコット・ブラウン」で、ポニーテールにしているのだ。
そんな真宵に対していつも深雪はどうしても言いたいことが多いようだ。今回はそれ以上に怒っているようだが
「第一、我々……特にアナタのいる四葉家及びアナタのお母さんはーーーー」
『ーーー日本が誇る優秀な魔法師のタイトルホルダー『十師族』、それに比べてアナタは……。までがセットでしょ?執事の青木さんを筆頭に家中の人から小言として言われているから耳にタコ』
深雪の言葉を先読みして心底げんなりして、イヤそうな顔をする真宵。
そして
真宵の反応や言葉から察するに、恐らく執事たちだけでなく、黒羽や津久葉の人間からもそういった事を言われているのだろう。事実、彼女は小学校高学年ころから迎春会には出なくなっていた。
そう、ここで重要なのは「出なくなる」。というだけで出させないというわけではないのだ。寧ろ、当主である真宵の母で達也深雪の叔母は『出したい』という気持ちが強いのだ。
だが、そうなるためには……。
『別にいいわよ。私は魔法を好きになれないし、魔法とは縁が無いほどに才能もないしね。
頭をタオルで拭いて水を払う真宵は……達也の心中を読んでいたかのような連ね言葉を吐いた。
達也が友人が評するような「魔法を好きでいても魔法からは嫌われている」ーーー僕は魔法に好かれていない。俗に「ぼますか」であるならば。
真宵の方は、「大魔法使いの娘は魔法がキライ」ーーー長ったらしいが、「だまむすきら」というところか。カタカナ表記だと何だかメガテンにでも出てきそうな魔法の名前だが……。
(そういや真宵は女子サッカーの選手なんだよな)
四葉であることを隠して……よく隠せているもんだと感心しながらも地元のクラブチームで走り回っているのだと聞いたことがある。
今まであまり気にしていなかったが、アキラのことでも聞こうかと思ったが。
『あっ、真夜さんだ。それじゃあね』
なぜか最近の真宵はお母様ともお母さんとも言わず「他人行儀」に名前で呼ぶ。そんな真宵の態度に叔母は随分と傷ついているのだが。
真夜がやって来たらしく下着(白)のヒップを見せながら真宵が画面から遠ざかる。ちなみに途中で達也の視界は妹によって遮られた。
『真宵ちゃん!!そんな格好で人前に出て!!』
『司波兄妹さんからの電話だからダイジョウブでしょ。達也兄さんは妹にしか欲情出来ないインモラル
『そ、そういう問題じゃなくてーーー』
『勉強するので失礼しまーす』
『魔法の勉強もやってチョーダイ!!』
母娘の会話が聞こえてから。
『連絡ありがとうございますね。深雪さん、達也さん』
娘の扱いに困った母親の顔を捨ててから兄妹の前に現れた極東の魔女という異名に相応しい真夜にーーー
((とりあえず言うべきことだけ言えば、いいか))
そんな心地で報告事項だけを上げていく。
『ふむ。ブランシュは壊滅したのね。よくやりました』
「ですが出所不明の兵器や多種多様な現象が多くて、なんとも……」
『その辺りは特に言わなくてもいいかとーーーところでブランシュリーダーである容疑者 司一さんの弟さんは『退学』していたのね?』
特に真夜に上げた報告事項にそれはなかったが、達也は一応調べておいたことを言う。
「第一高校剣道部主将である司
結果として彼の風紀委員主導での捕縛は出来なかった。更に言えば、警察もそこに関してはノータッチ。
そして更に突っ込めば、後日会長や会頭が司主将の家を訪れるもーーー既に蛻の殻だったそうだ。
『例の「カレ」の一連のことで暴露された二科創設の裏話に絶望しての退学だったのよね?』
「退学届けを受け取った先生は、そう話していました」
紀藤という教師に聞いた深雪の言葉。その後にはーーー。
『お二人とも、この件はあまり突っ込まないようにしとくように』
そんな真夜の言葉で「打ち切り」にしとけと言われるのだった。
何故だ?魔法師を無力化する兵器が出来上がった。そして平凡な魔法師を改造して
超然の存在にする技術が見せられた。
どれもこれも、真夜が詳細を知りたがりそうなものばかりだが、彼女は一切気にしなかった。
何故か?
『石田アキラという少年に関してもあまり手出しをしないように、私からはそれだけなので、深雪さん、達也さん。亡くなられた姉さんに恥ずかしくないよう勉学に励んでくださいね』
そんな会話で終わった。
叔母にしてはらしくない態度……察するに、噂にだけ聞く「四葉」の「上」とやらがSTOPを掛けたというところだろう。
そうして低調なままに報告は終わりーーー。
「何もかもがうまくいかない、なんだか空回りばかりだな」
「冷蔵庫開けたんですけど、なにもないので、お兄様買い物に行きましょう♪」
愚痴たことで妹に気を使わせた自分を戒めながら達也は、気持ちを切り替えるのだった。