『ん〜今日は新刊の発売日♪発売日♪』
ある日の昼下がりの町中、俺は今日発売の漫画を買いに行きつけの本屋へ一人繰り出していた。
『いやぁ〜楽しみだな杖と剣のウィストリアの新刊。』
説明しよう!「杖と剣のウィストリア」とは、魔法絶対至上主義の世界で魔法を使えず無能者の烙印を押された主人公ウイル・セルフォルトが魔法使いである魔道士《メイジ》の頂点に位置する幼馴染の少女エルファリアとの約束を守るため、剣を手に
そういやここ最近はアニメもやってたりで盛り上がってるからなぁ〜早く続きを見るために急がないと♪
俺はルンルンという効果音がつくような足取りで思わずスキップをしながら本屋へ向かっていく。そしてよくある曲がり角をそのまま曲がる。すると・・・
キィィィーーーーーッ!!
『・・・へ?』
気がづけば「キィィィーーー!」という効果音とともにブレーキをかけてもなをスピードを落ちる気配を見せないトラックが正面から俺に向かって一直線に突っ込んで来ていた。
あれ・・・これやばくね!?
ドォーーンッ!!!
『グボァ!?』
トラックとぶつかった俺の体はその衝撃をまともに受けてそのまま道路をボールが跳ねてるかのように吹っ飛んでいく。そのまま吹っ飛んで行くと近くにあった電柱に俺の体が衝突したことで止まりはした。
しかしその強すぎる衝撃をまともに受けた俺の体はなんとか意識だけはギリギリ途絶えなかったのが奇跡とでも言わんばかりなほどボロボロになっていた。時間差で体中をねじ切らんかのような強すぎる痛みが全身を一瞬で駆け巡り、かろうじて保っていた意識も段々とおぼろげになっていく。
まさかトラックに引かれるなんて思いもしなかったな。体中がクッソ痛てぇ、見る限り体の至る所がひしゃげてる。
俺はトラックに引かれ、今も体中に痛みを感じるのになぜか驚くほど冷静だった。その理由はなんとなく分かってる。
『あぁ、ゴフッ!・・・俺、ここで死ぬんだな。』
俺は今から死ぬと、もうこの死から逃れる手段はないのだと本能的に理解したからこそ俺は冷静なのだろう。だってそれは覆し用のない事実なのだから。しかしそんな中でも心残りがあった。
どうせなら死ぬにしてもウィストリアの新刊見てからが良かったなぁ。
そんな思いとは裏腹に意識はここで途切れ、俺の人生はあっけなく終わった。
・・・
・・・・・
・・・・・・・
『・・・ん?』
淡い光が差し込み木々や植物が生い茂る森の中、寝ていたであろう俺は瞼の裏から光を感じると意識が段々と戻ってくる。そしてそのまま目を開けるとそこは見たこともない森の中だった。
『どうなってんだ?俺は死んだはずじゃ・・・』
なんで俺は生きてるんだ?たしか、あのときトラックに引かれてそれで・・・
頭からどんどんと疑問が浮かび上がってくるが、俺はすぐに自身の身体に起こっている異変に気がづく。目線が低くなってるのだ。しかもおそらく小学生くらいまでの目線まで。
『何だこれ、俺の背が小さくなってる?それに声も?本当にさっきからどうなってんだ?』
俺はまるで某少年探偵かのように背が小さくなっていた。しかもそれだけでなく声や視力など、体の至る所が様変わりしていた。
体が小さくなっただけでなく他の至る所が変わってる。いや、これは体自体が別物に変わってるのか?もしかして・・・
『もしかしてこれって・・・転生したのか?』
そう「転生」、今の起きている事象を目の当たりにして俺が真っ先に思いついた可能性はそれだ。
『トラックに引かれて次に気がついたら転生していた。ってこんなお約束みたいな展開が本当に起きるなんて。』
しばらく俺はなぜこんなことが起こったのか考えるが、特に何か思いつくこともなかったため行動をおこす。
とりあえずこれ以上考えても特に分かることは無さそうだし何か行動を起こさないといけないな・・・
しかしだ、よくよく考えてみれば今の俺は見知らぬ森の中でおそらく遭難のような状態になっている。このまま何もせずに森の中でとどまり続けることが非常にまずいことは火を見るよりも明らかだった。
『とりあえず今の状況を何とかしないと転生とか関係無しにまずそうだな、だったらまずは周辺を探索してみるか。』
幸いこの近くには野生動物もいないようなので森の中を探索する決意を固める。
『まず誰でもいいから他の人間を探さないと』
・・・
しかしそんな都合よく人が見つかるわけもなくただ時間のみが過ぎていく。そして森を彷徨ってから1時間ほど経過すると前方の方から微かにだが、なにかの音が聞こえてくる。
『何か聞こえる・・・こっちか。』
先の方からわずかに聞こえる音を頼り草や木の枝をかき分けながら進んでいく。その音の出処に徐々に近づいていとその音の正体がはっきり分かってくる。
水の流れる音・・・ってことはこの先にあるのは
『おぉ』
思わず声が漏れたがここにあったのはどうやら川だったようだ。そこまで大きいわけではないが魚も1,2匹程度がいる。俺は川の前まで進むと手に水をくみ、そのまま乾いた喉を潤すために流し込む。
水分補給を済ませ探索を再開しようかと思ったその矢先、後ろからなにかの気配を感じる。俺は咄嗟に振り向くとそこには体長1メートルほどの熊がこちらを睨みつけていた。
グルルル・・・
まじかよ!?よりにもよって熊!?
突然すぎることに驚いた俺は近くにあった石に足を引っ掛けてしまい、バランスを崩して尻もちをついてしまった。それに反応したのか熊がこちらに飛びかかってくる。
マズッ!?
俺は内心で終わったと思いながら目を閉じ熊に襲われる覚悟をした。しかしその瞬間、ぐらりと俺の体は誰かに掴まれその場から動かされると熊に襲われることはなかった。
「大丈夫!?」
急な出来事に混乱していると俺はその助けてくれた人物をみて驚愕する。しかし驚愕したのも束の間、かわされたことに怒った熊がこちらに再び突進してくる。だが今度もその突進が当たることはなかった。何故ならその熊が突如現れた氷に氷漬けにされたからだ。
「ウィル!?大丈夫!?」
「うん。僕は大丈夫だよ、エルフィ。」
「もうっ!いきなり川の方に向かっていったと思ったらこんな危ないことして!」
「ごめん。エルフィ、この子が襲われそうになってるのを見たらいてもたってもいられなくなっちゃって。」
俺はその会話を呆然としながら聞いていた。もし今自分の顔を見たらさぞすごい顔をしているだろう。なぜかって?だって目の前にいる二人を俺は知っているのだ。
ウィルとエルフィ!?もしかしてここって杖と剣のウィストリアの世界だったのか!?