ウィストリアの混じりモノ   作:ロクた

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第4話

『ぐへぇ!?』

 

いっった!?あぁ〜っもう!!!今日もかよ!?誰だいつもいつも俺の腹を起きると同時に蹴る奴は?なんでここの奴等はこんな朝っぱらから元気なんだよ!!!

 

なんやかんやこの世界に来てからもう1ヶ月が経とうとしているが、ここに来てから俺はいつも誰かに蹴っ飛ばされる痛みで起床する毎日を送っていた。この孤児院は複数人が布団を詰めて並べているため、寝相が悪いやつがよく他の人間が寝ている布団をふっとばすのが毎朝の恒例となっている。

 

蹴られて痛みを感じる背中を擦りながらムクリと体を起こす。寝起きから最悪の気分とは裏腹に今日も外の景色は雲一つない快晴だった。

 

しかし、いつ見てもこの空は見慣れない。だが一番見慣れないのは、空の一番上に今もなお輝きを放ちながら存在する魔法陣の集合体だ。しかし、この景色がこの世界にとっての当たり前なのだ。

 

今俺の見えているこの空の全部が人の創り出した物だってんだから本当に驚きだよな〜

 

そんなことを思いながらもう何人かが座っているテーブルに目を向けると、そこには出来立ての温かい朝ごはんがすでに人数分並んでおりとても美味しそうだ。俺も自身の椅子に座る。両手を頭の上へと突き上げると凝り固まった関節が小さく鳴り、指先からつま先までが一本の糸のようにピンと張り詰める。

 

そして数分後、まだ寝ていた他の子達も起きると同様に席に座り院長の掛け声とともに食べ始める。

 

「では皆さん、今日も感謝を込めていただきます」

 

「「「「『いただきます』」」」」

 

今日のメニューは甘めのジャムをたっぷり塗ったパン、黄身の部分がまだ半熟状態の目玉焼きの上に細かく散りばめられたベーコンが乗ったベーコンエッグ、様々な種類の野菜にさっぱりとしたドレッシングをかけたサラダとThe 朝食といったものだった。

 

今日の朝メシも相変わらず美味いなぁ。あとで作り方教えてもらおうかな。

 

なんて、くだらないことを考えながら食べ進めていると、今日もいつも通りエルフィと一緒に仲良く話しながらご飯を食べていたウィルが食べる手を止めて向かいの席にいる俺に話しかけてくる。

 

「そういえば気になってたんだけどライトって魔法はつかえるの?。」

 

『え?』

 

「だって、今まで使ってるところ見たことないからさ。だよね?エルフィ。」

 

「たしかに、わたしもライトが魔法をつかってるところ見たことないかも。」

 

魔法か・・・言われてみれば確かにまだ使ったことないんだよな。

 

『う〜ん、実は俺魔法使ったことないんだよね。だから魔法の使い方ってよく分かんないし。』

 

「そうだったんだ・・・あっ!!!いいこと思いついた!!!」

 

話を聞いていたエルフィが突如ガタッと立ち上がって、俺の方を向くと嬉々としてある提案をしてくる。

 

「じゃあわたしが魔法の使い方、教えてあげる!!!」

 

『エルフィが魔法を俺に教えてくれるの?』

 

「うん!!!あとでこのエルフィ先生がライトくんに魔法を教えてしんぜようではありませんか!」

 

そんなことを、ご飯の最中でありながら話していた俺達に見かねたのか院長が「ン、ンッ!」とわざとらしく咳払いをして

 

「え〜、ふたりとも話をするのもいいですけど今がご飯を食べている最中ということを忘れないでくださいね。」

 

「『すみませんでした。。』」

 

たしかに食事中に席を立って話すというのは些か行儀が悪かったかもしれないな。反省しよう。あ、でもエルフィは話を途中で強制的に区切らされてちょっと不服そうに頬を膨らませてるな。あとでウィルにかまったりでもしてれば勝手に治るだろ。

 

 

ーーーーー

 

 

そして、朝食を食べ終わった俺達はいつもと違って孤児院の外に出ていた。外と言っても実際には100mほど離れた場所なのであまり離れてはいないがそこは特に重要ではないだろう。なぜなら・・・

 

「よぉーし、今からライトに魔法を教えていくよー!」

 

『お手柔らかにお願いします。』

 

そう、今から俺はあのエルフィに魔法を教えてもらうのだ。エルフィと言えば、あくまで未来での話だがこの世界の魔導士の頂点に至った存在だ。ここで俺がそんなエルフィに魔法を教えてもらえるのはとても幸運なんだろう。

 

ウィルは俺達の横で座って見ているだけでいいと言われたが、その際に「ぼくは魔法が使えないから・・・」と悲しそうな顔で言われてしまったため、俺は今ちょっと罪悪感を感じている。

 

「まずは何からやっていく?ライト。」

 

『最初は魔力自体の使い方から教えてほしいです。エルフィ先生。』

 

「それじゃあ、張り切っていこー!」

 

『おー!』

 

・・・

 

・・・・・

 

・・・・・・・

 

そこから、エルフィによる指導が始まったが、魔力の使い方から始まり、魔法の発動方法

や実際に使って見せてくれたりなど、多種多様に行った。だが、正直言って結果は残念なものだったと言わざるおえない。

 

さっきはエルフィに教えてもらえて幸福とか言ってたのになぜかって?それは単純でかつ深刻な問題があったからだ。それは・・・

 

「まず、魔力を使うときはね!こうやって、グゥゥっとちからをこめると背中がゾワゾワーってなって・・・」

 

「魔法のはつどうは、さっきの魔力をバァーって出してドォーンってして・・・・」

 

そう、エルフィは超感覚派のためなのか説明がめちゃくちゃ分かりにくくて下手くそだったのだ。天才の感覚は凡人には分からないとそう身にしみてわからされたと言わざる終えない。

 

指導自体は昼くらいまで続いたが、そのタイミングで今日はここまで、とエルフィが切り上げたため終了した。エルフィはすぐにウィルに飛びつきに行って頭を撫でてもらっている。

 

そんな様子を遠目で見ながら俺は魔力の扱い方についてどうやって今後身につけるかのプランを練り直し始める。エルフィに教えてもらえばてっきり大丈夫かと思っていたが、そう簡単にいくものでもなかったらしい。

 

よくよく考えてみれば、魔導士の天才児とはいえエルフィはまだ4,5歳の子供なのだから上手く教えられなくて当然だったのかもな。だとしてもあんな擬音語ばっかりの説明とはさすがに面食らったなぁ。

 

エルフィから教えて貰ってもぶっちゃけあまり効果はなさそうだし・・・やっぱり魔法の習得は一人でコツコツやってくしかないか。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

孤児院の全員が寝静まる夜、周りはすでに暗くなっており人や動物の気配すらなくなっている。そんな中俺は現在、こっそり布団から抜け出しバレないように忍び足で外に出てきている。

 

なぜこんな真夜中に外出なんてしてるかって?それはより早く魔法を習得するために少しでも多く特訓をしたかったからだ。

 

『つい勢いで出てきちゃったけど、これバレたら絶対まずいよなぁ〜。』

 

ちなみに、今俺がいるのは日中にエルフィ達と魔法の特訓をした場所だ。ここは孤児院と距離が離れているし、道も記憶しているから来たのだが・・・

 

『さてと、とりあえずここまで来たはいいけどまずは何からやっていくか・・・』

 

この世界に来てからしばらくたっていろいろな魔法に触れてはきたけど、正直言って俺はまだ魔法について十分な知識を持っているとは言えないし、最初にやるんだったらまずはいろいろ手探りで挑戦していくのが無難だな。

 

となると、まずは基本的な魔力の操作を自分で意識してできるようにするところからやってみるか。エルフィも魔力の運用がとてつもなく巧みだからこそあんな魔法を使えるのだろう。

 

だからこそ基礎の魔力の操作はしっかりやるべきだろうと俺は考えて、そこに焦点を当てた修行を始める。

 

『体から見えない力を引き出すってなると・・・まずは瞑想とかしてみるか。』

 

とりあえず腰を下ろすと、俺は目を閉じて魔力という見えない力を引き出すために意識を集中させる。

 

・・・

 

瞑想を始めてしばらくすると、胸の辺りから少し温かい何かが自身の体の中から湧き出てくるのを感じる。最初は感じたことのない感覚に困惑したが、それと同時に俺はこれが魔力なのだと確信する。

 

『ッ!?』

 

しかし魔力を感じたのもつかの間、俺の集中力が途切れてしまったからなのか、感じていた魔力が体の外へ霧散していってしまった。初めてだったというのもあり仕方ないかもしれないが思ったよりも魔力の操作というのは難しいのかもしれない。

 

『魔力の操作って結構難しいな・・・でも1日目である程度コツは掴めたから結果は上々ってとこか。』

 

なんやかんや結構時間かかったし、今日はここまでにしとくか。今後は自分の好きなタイミングで魔力を使えるようにすることが目標かな。

 

自分自身の魔力を自分でほんの少しとはいえ認識することができたことに、俺は内心で浮かれていた。かつての世界ではそんな力は存在しないあり得ない物だったからというのもあるからなのだろう。

 

そうして、俺はほんの少しの自身の成長を喜びながら孤児院に戻っていって布団にこっそり戻るとそのまま目を閉じて夢の世界へ入っていった。

 

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