ガラガラ・・・ガラガラ・・・
馬が引く馬車の車輪から音が鳴り続ける。舗装がされていない平地の道だからか、稀にガタンと揺れたりもするが、その荷台で外をボーっと眺めながらも今俺は移動をしていた。隣には俺と同様に荷台で揺られながらも、二人でスヤスヤと眠っているウィルとエルフィがいる。
「「・・・zzz」」
『随分と気持ちよさそうに寝るもんだな。はぁ、俺は出発してからずっと緊張しっぱなしでなかなか眠れてねぇのに・・・』
俺達3人はある場所へ向けて現在進行系で移動中だ。それはこの世界でまさに首都とも言えるような規模の街、”
しかし、二人とも数時間前までは俺と同じく起きて喋っていたが長時間の移動も相まって疲労が溜まっており、空はまだ明るい時間帯だってのに寝続けている。
『にしても、結構遠いんだな・・・リガーデンってのは』
かれこれ、孤児院を出発してから既に数日ほど経過しているが、流石にこの馬車から見る景色というのにも飽きてくる。
『ついにこの二人も学院に入学か・・・だけどなぁ〜。』
思わず「はぁ〜」とため息を出しながら何回見たかもうわからないほど目を通した紙を改めて見る。
『魔法学院への推薦がまさか俺にも来るとは・・・』
そう、本来はここにいるウィルとエルフィの二人にしか来ないはずのリガーデンへの推薦状がなんと俺にも来ていたのだ。
たしかに俺もリガーデンに通えることになったのはとても嬉しく思ってる。それこそ、学院に通うとはいかずとも央都にどうにかして行くことができないか考えたりもしていたため尚更だ。
なんで俺にも推薦状が来たのかってのが完全に分からないのが問題なんだよなぁ。リガーデンへの推薦についても、届いた時に調べたのだがそれこそ貴族の子供だったり、新たな魔法の創出で貰えることは分かったけど俺にはどちらも当てはまらないはずだし・・・
例えばウィルは、作中でエルフィを連れてくるために入学できたのでは?という描写があることから何かしらの理由があって入学できたであろうことが分かるから納得はできる。だがそうなると、俺に推薦が来た理由が本当にわからないのだ・・・
しかし、分からないことをいくら考えても考えがまとまるはずもなく俺も隣の二人と同様に眠くなってくる。疲れが溜まっていたのは俺も同様だったようだ。
『俺も到着まで寝ますか・・・』
そうして、まぶたを閉じると近くに置いておいた上着を体にかけて意識を徐々に手放していった。
・・・
・・・・・
・・・・・・・
「・・・・ト・・」
「・・ラ・ト・・」
『んぁ?』
「おはよう、ライト。結構寝てたね。」
『あれ?お前等もう起きてたのか。』
「あぁ〜ライトやっと起きた。もうすぐリガーデンにつくんだよ。なんで寝ちゃってるの!」
エルフィさんや。さっきまでウィルにい抱きついて寝ていたあなたにだけは言われたくないですよ。
『そりゃあ、こんな長旅だったら眠たくもなる。それにお前等だってくっついて寝てただろ。』
「私とウィルは良いの、ねぇ?ウィル?」
「あはは、それはちょっと強引じゃないかなエルフィ?」
起きてそうそうに、そんなことで楽しく俺たちが話していると馬車の中に光りが差し込んでくる。どうやら、森を抜けたことで光が入ってきたようだ。
「あっ!・・・・・ねぇ!二人とも、あれ!!!」
エルフィが馬車の荷台から身を出して指を指す先にはこの世界の空に一番近いであろうとても大きな白い塔があった。
「あれが・・・」
『あぁ。この世界の
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それからは馬車から降りて街の中に入ると、俺達はついにリガーデンに足をつける。これまでも孤児院の近くの街には行ったことがあったが、そことは比べ物にならないほどの建物、人、活気があり3人揃って圧倒される。
街に入って俺達は目的地に向かって歩いてくが俺を除いた2人は初めて見るリガーデンに興奮が冷めやらぬと言った様子ではしゃいでいる。
「ここが・・・
「ねぇウィル!あそこに見たことないお菓子が売ってるよ!見に行ってみよう!」
でも、ウィルの言う通りリガーデンは他の見てきた街と比べて規模が圧倒的だな。人の数もだがなにより魔法に関する物が山のように売ってる。この世界で一番栄えてる街ってのもあながち嘘じゃなさそうだ。
そんなことをボーッと考えていると、
ガシッ!
「ほらっ!ライトも探検に行くよ。」
すると、俺は二人にそれぞれの腕を掴まれると半ば強引に引きずられるように連れて行かれる。
『分かった!分かったから、2人して俺の腕を引っ張るなぁ!!!』
・・・
・・・
そうして、俺は無理やり連れて行かれリガーデン内を連れ回される。
俺を連れ回すのはまだいいが、だからと言って明らかに怪しい路地裏なんかにも行こうとしたのは流石にキモが冷えた。まぁそれを実行しようとしたのはエルフィで、流石に俺もウィルも別のところの方が良いと止めた。
好奇心旺盛なのもいいが、危ないことに自分から首を突っ込もうとするのはマジで勘弁してくれ・・・
そのまま街を回っていると昼前になるが、俺たちは店で買ったホットドッグのような何かを食べていた。最初は俺の知っているホットドッグと同様に赤いケチャップのようなものがかけてあったこともあり俺の想像している味を期待していたが、予想とは裏腹に甘じょっぱい味だったのには驚いた。
「エルフィ。リガーデンって僕たちが思ってたよりもすごかったね!いろんなものがあって。」
「うん!楽しかった!」
『俺はずっと引っ張られっぱなしだったから疲れたけどな。』
「あはは、ゴメンねライト。」
はぁ〜とため息をつきそうになるが目的を忘れてそうな二人に尋ねる
『ところで、忘れてるかも知れんが俺たちは学院の入学式に来たんだぞ。早くしないと入学式に遅れちまうんじゃないか?』
「「・・・あ」」
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そうして、俺たちは急いで学院に向かうがまだついていないにもかかわらず入学式が始まる僅か5分前になっており、3人とも息が上がっていた。
『ヤバい!ヤバい!ヤバい!入学式から遅刻は流石にシャレにならねぇ!』
「エルフィ!早くしないと!」
「ふたりとも待って〜!」
俺とウィルが先頭を、その後ろからエルフィが追ってくるように走っていて今は入学式の会場の講堂を目指している。そして俺達は校舎内を全力疾走した末に講堂前の扉につく。そこには銀髪のメガネをかけた若い大人が立っており走ってきた俺達を見て・・・
「お前たちは!こんな時間ギリギリとは・・・とにかく自分の席に向いなさい!」
『ッ!?』
「はい!ライトっ!ほら早く!」
『あっ、あぁ分かった今行く・・・』
今の人は・・・たしかウィストリア内でも出てた学院の教師の一人、ワークナー・ノーグラム先生だったな。ってことはおそらくこの講堂の中にも作中で出たキャラ達がいるってことか。
知っている人物を見たことで俺はつい時間ギリギリだということを忘れてその期待に胸を膨らませるが、ウィルに声をかけられるとハッとして自分の席に向かって行く。
どうやら俺達は最後の到着かつ時間ギリギリだったということもあり悪目立ちしているようで視線がグサグサと突き刺さり正直言って肩身が狭かった。
ーーー
「この世界は遥か昔、闇に閉ざされていました。」
『・・・』
「空より舞い降りた【
入学式で恒例の校長先生によるありがた〜い話というのはこの世界でもあるようで、俺も含めて全ての生徒はその話を聞いていた。
話を聞きながらこの講堂にいる人を眺めたりもするが、そのなかでもひときわ目を引く人物はやはり今話をしている校長だ。
あれが、この学院の校長のコルドロンか。パット見でも分かるけどやっぱりこんな学校の校長なだけあってかなりの実力者だな。これまで見てきた魔導士の中でありゃトップクラスに強い。魔力の流れに淀みがない。
「そして世界の終焉を間近にした時、偉大な始祖、魔女王メルセデスのもとで立ち上がったのがーーー【
他の教師も見たことある顔がいくつかあるな。さっきもいたワークナー先生にその隣にいるのはエドワルド先生か。
「今も最強の称号として称えられる五人の魔導士によって、空には大結界が張られ、世界には平和がもたらされた・・・・・。しかし、それも束の間の安寧」
こうして見てると俺って本当に杖と剣のウィストリアに転生したんだなぁ。ウィル達に会ってからもう何年も経ってるから実感が湧かなくなってきてたけど今になってから改めて実感させられるな。
「今もあの偽りの空の向こうで、【
なんやかんやこの学院に来たからには、いろいろ学びたいこともあるしやりたいことまみれって感じだな。
「故に、魔法世界には大結界を支える義務があり、この魔法学院には将来の【
でもまぁ、何はともあれまずはウィル達の物語を混じりモンとして見てるか、手助けしていきますか。できるかは分からんけど・・・
「貴方達がいつか、空を支え、邪を退ける礎とならんことを。・・・・・この度は入学おめでとうございます、新たな魔の子らよ。リガーデン魔法学院は貴方達を歓迎します!」
魔導歴五〇〇年。
二の月、十五の日。第三週『光の曜』。
ライト・カーサーもといウィストリアの混じりモノは、リガーデン魔法学院に入学を果たした。