ウィストリアの混じりモノ   作:ロクた

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謎の学院教師

 

あれから入学式は終わり、授業やオリエンテーションは後日からというのもあって俺たちは別れると今日から住むことになる寮にそれぞれ向かっていた。

 

なぜならエルフィは女子寮で、同じ男のウィルとも寮の中では丁度真反対の位置にある部屋となったことで必然的に俺たちはバラバラになってそれぞれの部屋に向かっていた。

 

『エルフィはいいとして、ウィルとまさかの真反対の部屋になるなんてなぁ。』

 

しかも俺とウィルはそれぞれ一人部屋らしいが、殆どの貴族の出身の人達は基本的に豪華な部屋っぽいらしいし・・・これが貴族と平民の差ってやつか。

 

エルフィも一人部屋なのかと思った際にどうなのか聞いたりもしたが、なんと俺達とは違ってしっかり普通の部屋のようで、俺とウィルだけ扱いが違ってることにエルフィは怒ったりもしたが、一番は・・・

 

「なんでウィルと一緒の部屋じゃないのぉ〜!」

 

「でも、先生達は男子と女子はそれぞれ別の寮だって説明してたし・・・」

 

「やだ、やだ、やだぁ!ウィルと一緒の部屋がいいの!」

 

エルフィがウィルと部屋が一緒ではないことに駄々をこねてしまい、ウィルに飛びついたまま動かなくなってしまったのだ。

 

『お前ら、こんな道のど真ん中でそんな騒がないでくれ。変なものを見る視線を浴びせられてこっちが恥ずかしい。』

 

しかも他の生徒がまだいるのに廊下のど真ん中で騒いだために視線がキツイのだ。

 

それからはエルフィが渋々ウィルから離れて自分の荷物を持つとギリギリまでウィルと一緒にいると言ってウィルを連れて女子寮に向かっていってしまった。

 

そんなことがあり俺は現在一人でいるのだが、正直まだ空が明るい時間なので今部屋に行ってみてもすぐに暇になってしまうだろう。どうしようかと考えるが、しばらくこの学院の中を回ってみようと思い、すぐそれを実行に移す。

 

『とりあえずは暗くなるくらいまではこの学院内を回ってみるか。ただ結構広いし寮に向かう道の周辺だけかな。』

 

そうして寮に向かう道すがらにいろいろ学院内を見て回るが、正門の近くにある先ほど入学式を行った講堂があった本館のような建物とは違い、寮の近くは少し小さめの体育館のような大きさの建物がポツポツと何個も見られる。

 

『魔法学院の中にはいろいろ科目があって、別々に授業を行ったりするって言ってたしここらへんはそのための施設ってとこか?』

 

俺の知ってる中でもかなりの種類の授業があるって記憶してるしそのうちここらへんにも来ることになるか。

 

その他にも様々な施設があり、その中には小さな公園のような物があったりもした。

 

そうして当たりをキョロキョロ見ながら歩いていると目の前に一人の人が立っているのに気づく。少し白髪の混じった金色の髪に糸目のおそらく30台後半といった容姿であり、多分この学校の関係者か何かかな?と思いその前を通り過ぎようとするが・・・

 

「やぁ、ライト・カーサー君。初めましてかな?」

 

『ッ!?』

 

ちょうど目の前を通り過ぎようというタイミングでそいつは俺に挨拶をしてきた。しかし、その言葉に俺は驚き思わず足を止めて声をかけてきた人物に顔を向ける。

 

なんでこいつ俺の名前を・・・

 

「おやおや、なんで自分の名前を知ってるのか?って言いたそうだね。」

 

急に声をかけてきたその男は、初対面のはずの俺の名前を間違いなく言ってきた。少なくとも俺はこの男を知らないのだが、その様子から何か用があって声をかけてきたことはなんとなく分かった。しかし一応警戒をしながらこちらも問い返す。

 

『誰ですか?あなた。』

 

「そうだね、自己紹介がまだだったね。私は「ギデン・ブルース」、この学院で教師をしている者だ。」

 

ギデン・ブルース・・・聞いたことのない名前だ。少なくとも俺の知ってるウィストリアには出てきていないはず。もしかして俺が知らないだけか?いや、そんなことはないはずだが・・・

 

「私についていろいろ聞きたいって顔だが、どうだろうか?君も今日は暇なはずだ。これからちょっと二人で話でもしないかい?」

 

なんなんだこいつは?いきなり話しかけて来たと思ったら、俺の名前を知っていて二人で話がしたいって・・・怪しすぎじゃねぇか?とりあえずこの場を離れて・・・

 

「ふむ、そんなに警戒されるとは少々予想外だね。ならこう言えば着いてきてくれるかな?・・・君をこの学院に推薦した張本人は私だよ。」

 

『ッ゙!?』

 

こいつが!?しかしなんだって俺を・・・

 

だが、こいつが俺をここに推薦したと言うならようやく合点がいった。だからこいつは俺の名前を最初に言ったのか。

 

「それじゃあ改めて、私に付き合ってくれないかい?ライト・カーサー君。」

 

正直ついていくべきか悩んだが、それよりもこの男のことを調べたほうが良いと判断し同行することを決める。

 

『・・・分かった。』

 

そう俺が言葉を返すとギデン・ブルースは笑みを浮かべながら「いい場所があるんだ、そこで話をしよう」と言って先導し始める。

 

俺はすぐにその後をついていくが、頭の中ではなぜ自分を推薦したのかの考察とこの男にたいする警戒心でいっぱいだった。

 

こいつはそもそもなんで俺を推薦したんだ?俺にはエルフィのような魔法技術もセンスもないはずなんだが

 

・・・いやもしかしてアレか?心当たりがないと言えば嘘になるが、いやでも・・・

 

そんなことを考えながら着いていくとどうやら目的地に到着したようで、学院の校舎内の人気のない部屋の前で足を止めた。

 

『ここは?』

 

「私の所有する学院に割り当てられた部屋だよ。端的に言えば私の研究部屋といったところだね。」

 

そしてギデンのあとについて俺も部屋に入ると「すきにくつろいでくれても構わないよ」と言って目の前にある三人程がならんで座れそうなソファに座るように促してくる。そして促されるままそのソファに腰を掛ける。

 

ギデンは慣れた手つきでお茶の用意をすると2つのカップを取り出し、注いでいく。その片方を俺に差し出してくる。そのまま一口飲んでみるが

 

これ、美味いな。

 

俺がお茶を飲んで一息ついたところを見てギデンは向かいのソファに腰をかけて話し始める。

 

「それで、入学式が終わったばかりだが、君から見てこの学院はどうだったかな?」

 

『・・・正直言ってなんで俺なんかが入学できたのか目を疑うほどにすごい学院ですね。生徒一人ひとりのレベルが俺が見てきたどんな人間より高くて正直驚いています。』

 

「なるほどね。たしかにここはこの世界で屈指の才能の原石を集めた場所だ。当然だよ。」

 

『ここが才能ある者を育てる場所なのだとしたらなんで俺のような凡人を推薦したんですか?』

 

「そんなの決まってるさ。君はその才能を持っている人間だと私が判断したからだよ。以前に君たちのいた孤児院の近くに行ったことがあるのだが、その時に見たんだよ。君を」

 

『・・・そりゃあ俺はその孤児院に住んでましたからね。見て当然なのでは?』

 

「見たのは君が夜遅くに一人で魔法の鍛錬をしているところさ。その時はかなり驚いたよ、だって”見えない斬撃”なんて見たこともない魔法を使っていたからね。」

 

まさか俺が夜に修行をしていたのを見られてたとは、となると俺のことを推薦した理由は・・・

 

『・・・そうですか。』

 

「この学院は優秀な魔導士を育てるのはもちろんだが、魔法を新たに創出したという誇るべき才能を持った魔導士ともなれば推薦を出すのは自然なことだ。」

 

だろうな

 

その理由は特に違和感を感じないものだった。しかし俺にはその話を聞いていて納得がいかない部分がある。なのでギデンに、なぜ?と、質問をする。

 

『俺が新たに魔法の創出を行ったから推薦したというなら、自分で言うのもなんですが俺はもっと注目されるているのでは?』

 

そう、この世界において魔法の創出というのは大きな意味をもつのだ。それこそ学院の卒業過程をすっ飛ばして塔に行けるほど

 

「だって君が魔法を創出した事実を私は誰にも言っていないからね。もちろん校長にも」

 

『は?・・・お前は俺が魔法を創出したからここに呼んだんだろ、だったら矛盾してないか?』

 

なんだこいつは・・・わけが分からん。ならなんで俺を・・・

 

さっきは俺に目をつけたから推薦したと言ったのに今度はそれを誰にも言ってないときたもんだ。こいつの思惑がまったく予想できず俺は困惑する。

 

「フフッ、敬語が崩れてるよ。私は別にそれでも構わないが」

 

思わず口を押さえるがそれは遅く、ため息をつくと

 

『・・・分かった。じゃあそうさせてもらう。』

 

「これでも私は君に配慮をして推薦をしたつもりなんだがね。」

 

『俺の何を配慮したんだよ。』

 

「だって君はどういうわけかその魔法を自分から表に出そうとしない。つまりは知られたくはないんだろう?」

 

図星だ。なので特にごまかしはせずに俺は首を縦に振る。

 

『まぁ・・・そうだが』

 

「一応訳を聞いてもいいかな?」

 

『ただ単純に目立ちたくないってだけだ。だってこれは正直俺でも魔法と言って良いのか分からないし。』

 

そう、俺のあの力は魔法と定義してもいいのか分からないものだの自覚している。だからそれを堂々とひけらかすつもりはない。

 

「ほ〜う。中々に変わってるね、君は。」

 

『あんたもだいぶ変わってるけどな』

 

その言葉にギデンは少し笑うと

 

「それじゃあ、ここからが本題だ・・・ライト君、私と取引をしないかい?」

 

『取引?』

 

「そう、簡単に言えばライト君には君の生み出した魔法の情報の提供やその検証をしてもらう。そして私からはライト君がこの学院で過ごしていく上でいろいろ融通をきかせる、というのはどうかな?」

 

融通すると言うのはおそらく単位のことやこの学院での行動範囲のことをさしているのだろう。しかしこの内容は・・・

 

顎に手を乗せて少し考える素振りを見せるが話を聞いた時点での答えとは変わらないのでその答えを伝える。

 

『・・・分かった。その提案に乗ろう。』

 

「早い回答だね。何か理由でも?」

 

『ハッ!当たり前だろ、だってこの提案に乗らなかったらお前、俺の秘密をバラしてたろ?』

 

そう、こいつは俺が目立ちたくないという情報と、それをぶち壊しうる情報を持っているのだ。つまりこれは形だけの提案・・・ほぼほぼ脅しだ。

 

「・・・うん、ちゃんと考えて応じてくれたようで安心したよ。」

 

『よく言うぜ。』

 

それからは世間話を少しした後に俺は帰りの支度を始める。

 

『そろそろ俺は帰らせていただくよ。まだ寮の方にも行ってないし』

 

「そうなのかい?じゃあ気をつけて帰るんだよ。それか、ライト君はまだ入学したてで道もわからないだろうし案内でもしようか?」

 

『丁重に断らせていただくよ。』

 

「そうかい、残念だ。」

 

『・・・最後に1つ質問いいか?』

 

ギデンにとってどうやらこれは予想外だったようで少し驚くが

 

「何かな?」

 

『なんであんたは俺のことを上に報告しなかったんだ?もし報告すれば一応、新たな魔法を持った俺を見つけたとかの功績でも貰えるんじゃないのか?』

 

「簡単な話だよ。私がその魔法を研究してみたいと思ったのと・・・塔の上級魔導士(ゴミクズ)どもに渡すのは癪だと思ってね。」

 

『そうか。』

 

そうして俺は寮への帰路につくが学院に入学して早々にこんなことが起きたことで俺のストレス値はマッハで上昇していた。

 

『まさか初日からこんなことになるとはなぁ。はぁ〜、これから先が心配だ。』

 

『あのギデンっていう教師ともこれからは嫌がおうでも付き合わされることになるだろうしなぁ。』

 

そうしてため息をつくが、それはただただ暗闇に消えていくだけだった。

 




オリキャラティチャーの登場です。正直学院の細かいところはあんまり把握してないので、設定のいくつかは自分が考えた物を使うので本家と違っていたらすみません。
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