星々は交差する   作:sora1729

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第一話 苦しみの先に

 

 

某クリスマス当日

 

 

新生B小町は有馬の卒業ライブを行なっている最中だ。その裏で俺は双子の父親との決着をつけ終えた。とはいったものの、内容は完全犯罪とかおさめることはできなく、父子2つの地獄への片道切符を自らの手で切ったようなものだ。とてもバカバカしい。

 

「あ……ああ ああ… 苦しい  痛い 寒い寒い 暗い…   息をしたい

心が 体が 生きたいと 叫んでるにがい 早く 苦しい 暗い 死 苦しい 後悔が 寒い  寒い

苦しい」  

海の凍えるような冷たさは ひと気がない静寂さは 俺の精神と体を最期の最後まで蝕む。

「うたがきこえる そんな 気 が し た………」

俺は目を閉じる。

さっきまで荒れていた冬の海は2つの命を天へと還す。地上に置き去りとなった奴のスマホはではライブ終わりの挨拶のところを映していた。

 

 

 

「B小町の有馬かなです。本日は私の最後のライブに来てくださり、どうもありがとうございました。約2年半という短い間でしたがB小町にいれて、

とても楽しかったです。」

 

彼女は10分間という長くも短くもある間、自身の思い出やメンバー、ファンに対する思いを語った。

 

「今後は女優という夢に突っ走っていくため、精一杯頑張りますので、アイドルじゃない有馬かなの応援もよろしくお願いします。」

 

 

~楽屋~

「いや〜みんなお疲れ様、特に先輩」

「いやもうこの1ヶ月間本当に地獄みたいだったわ」

「とか、いって本当はかなちゃん楽しそうにしていたくせに〜」

「あーもう!そんなんじゃないし」

「あ、先輩が拗ねてる。」

「てか、あいつは今日は来てないの?」

「あくたんのこと?」「うん」

「お兄ちゃん、こういう時に限っていなくなるんだよな〜まあ、どっかからか隠れてでもして見てるんでしょ」

「あいつなら……しかねないか?」

 

このモヤモヤはあとから確信へと変わる事となる。

 

 

 

 

 

「ようやく目を覚ましたんだ」

「…ここは どこだ」

 

周りにない白の1色の世界にたっている。そうすると、疫病神が現れ。目の前の白髪の女児は俺に話しかけてくる。 

 

「ここは死後の世界、まあ全ての人が来れるってわけではないけど。…実はここ死ぬ前の世界にとても強い未練などがあった、さらに現在もあるような人だけなんだよね…… 君はやり残したことはないの?あの終わりで君の気持ちは報われたの?」

 

「………」 

 

何も言い出せない。実際、ほぼほぼその場の思い付きで動いたようなものなので、そのことについては何も自分にはわからない…もちろん相手にもわかるはずはない、雨宮五郎としての僕と星野アクアとしての俺が交差して、どうにかなってしまっている。

 

「正直言って、だれの感情で動いたてきたのかなって思う。昔の僕(雨宮五郎)としてはさりなちゃんを救うために最後まで頑張ってこれたと思うが今の俺(星野アクア)としてはどういう思いで生きてって思ってしまう…  この俺は何をしたかったんだろう」

 

どうにか今の自分の感じていることを表現する。俺は上を見上げる。そこから込み上げてきた自分のいい表せないような思いはなんだろう、40分や50分は喋っていただろうか。それの多くが死んだことへの後悔、きっとそれは昔と今の自分の差によるものなのだろう。

 

「俺はこんな人生のために生まれたのかよ。どうしてこんなことになるんだよ。

 

俺にだっていくつか夢はあっというのに。捨ててしまった。投げ出してしまった。地面がないのに踏みとどまらず、走ってしまった。

 

俺は道を間違えた……

 

もっとあいつらと人生を過ごしたかった、過ごせれたらよかった、もっとこの世界を星野アクアとして生きれたら」

 

もう悔やんだってもう遅い。こっちの世界に来てしまった以上もうなにもできない

 

「せっかく転生させてくれたのになにしてくれてんのって感じだよな」

「そんなことないよ……君は」

 

見たことがない真面目な顔で自分に語りかけてくる。でも声は少し震えている。今までのこともあってか言いづらさを感じているのだろう

 

「『君』は大人としての記憶を抱きながらも星野アイの子供の星野アクアとして過ごし、さりなちゃんとアイを救えなかった苦しみを重荷を背負い込んだ、そんな中でも苦しむ人に耐えられずに得にならなくともつい手助けをしてしまう様な救いようもないお人好しだったじゃないか。」

 

彼女の声は今までの憎き声と違い、優しさを帯びた声に変わった。少し変な感じだ。そしてちょっと面白い

 

「世の中の理不尽と不条理に怒り、人並みに恋愛に興味があって挫折に苦しみながら、ただひたすらに努力する若者で親譲りの嘘吐きだけど、自分の妹や周囲の人間を愛していた。そんな18歳の子供だったよ…」

 

彼女の目からは涙が溢れ出していた。

 

「わかった。ありがとう」

彼女のこの言葉は嘘じゃないと信じて、俺は誰にも負けない一番の笑顔を作った。

 

「そういえば、ここでならちょっとだけ、世界を見ることができるけど、見てみる?」

「うん、見てみる」

 

流石にこう言われてNoとだなんて言えないだろう。

 

「ルビーは俺がいなくても頑張っているのか…」

 

最後に見た彼女の顔はきらきら光る一番星のアイの片鱗みたいなものを感じた。それが一番星を宿すような本物の姿なのか嘘で固められた姿なのか、今の俺にはとてもわかる気がする。俺が死んだことにより、彼女の人生の歯車は大きく欠如した。僕は瞼を下げる。僕は世界という舞台に上がることはない。いや、できないのだ。彼女の欠けた歯車を埋めてあげることは自分にはできない。だとしても、彼女には心から頑張ってほしいと思う。僕と俺の最後の願いだ…

 

 

 

「どうしたものか、まあ、私もこの結末には納得できないし、今思うと邪魔しすぎちゃったな、あの恩はこっからでも返さないとな…今度は君が報われる世界を創る。約束するよ」

 

誰にも聞こえない声で彼女は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから何故かわからないが目が覚めた。

 

 

どうしてだ。死んだはずなのに何で生きているんだ?実際、雨宮五郎が死んでから生まれ変わったが、またそんなことってあるのだろうかあいつがまた何かしたのだろうか、それとも夢か?死んだ俺が望んだ幻かもしれない。だが、ほっぺたをつねると少し痛い。どうやら現実らしい、柵のあるベッドにいて周りが少し見づらい。見たことがない場所のようだ…てか今は赤ちゃんなのかよ

 

 

「ほら〜たいきどうしたのー」

 

女性の声がして持ち上げられたかと思うと雨宮五郎のときに朝ドラで見ていた人がそこにいた。俺の前世の兄 姫川大輝 の母親 女優の姫川愛梨だ。

 

「大丈夫でちゅかー」

 

え、ていうことは俺は姫川さんになっているのか。でも何かおかしい、星野アクアのときは雨宮五郎からの延長線上の世界で同じ世界というはずだった。

 

しかし、今の世界は延長線上ではなく…まるで過去に戻ったかのようだ。これは転生ではなく俗に言う [周回] というやつだろう

 

いや、本当にそうか?これが現実だとしても目の前の人物が姫川愛梨と似ている人かもしれないし、自分の名前もたまたま たいき とはなっているが漢字が違ったり、苗字が違ったりなど、何か姫川大輝との違うところは何かあるかもしれない、今の俺には情報が少なすぎる。

 

 

とりあえず、今の西暦がわからない限りは何も分からないだろう。久しぶりに人に抱っこされながらベッドの外を見回す。

 

あっ、あれはiPodだ雨宮五郎時代が発売されたときから、頑張って貯めていたお金で買ったんだなー。懐かしい。たしか、2001年から発売された携帯型音楽プレイヤーだったはず、大革命だったよなー。それはそうと、俺達、双子が生まれたのは2008年のはずだから、姫川さんが生まれたのは2004年あたりのはず。まあ、ここは大女優さんの家なのでこれくらいは普通に買えるのだろう。

何個もあるし…

 

ガチャ  戸を空けた音がした

 

「おお愛梨、朝早いな、どうした、たいきを抱えて」

 

もう一人知っているようでそこまで知らない人物と出会う。姫川大輝の母親の夫 売れない役者の上原清十郎だ。ある意味、アイとカミキヒカルを立ち会わせた男…いやー本当に俺は2周目で

姫川大輝になっているのかもしれない…2周目するんだったら自分(星野アクア)が良かったけど、女じゃないだけマシと思おう。

 

「いや〜大輝が起きる前にいろいろやっておこうと思ったけど、何故か大輝が起きてて周り見てたから」

「なん〜だ それならよかった。なんかやらなきゃいけないことはないか。たまには俺がかわりにやっておくよ。」

 

姫川さんから上原清十郎の話を聞いて初めは嫌な男だと思っていたが、今、自分をみる顔や行動からはそんなことは少しも感じさせなかった。姫川さんの思い過ごしか?

 

「んーー あなた家事とかやっても失敗してしまうし、わたしがやっておくから大輝をお願い」

「はいはい、わかりましたよーと」

 

俺は腕から腕へと受け渡される。

 

「ほーら大輝 いないないばあ

(子どもについてそこまで知らないけど自分が思っていた以上に可愛いもんだな、あとでいろいろ調べてみるか)」

 

そういえばそうだ… 姫川さんは俺が兄弟と明かしたときは上原夫妻の心中事件の原因は上原清十郎の浮気と思っていた。だが、現実は違った。

 

本当の原因は姫川大輝 自分の愛していた息子が自分の子でなかったこと・愛していた妻とほかの男との子ということを知ってしまったことによる激昂だ。どんなに優しく接されたとしても子どもの頃なんて沢山覚えているわけではない。その部分が抜かれてしまい、負の感情だけ残ってしまったのかもしれない。結局、本人に聞かない限り、分かんないわけだが。聞きたいが、この世界では絶対に無理だろう。

 

「どうしたー大輝おねむになったか、よっこいしょ 本当に可愛いな」

 

そうやって俺は初め目覚めたベッドに寝かせられた。しかし、急展開で疲れたな。赤ちゃんにでもなったことだし、少し寝ておこう。俺がしっかり寝たことを確認した後、清十郎は毛布をかけてくれた。

 

まあ自分の知らないな細かなことについて分かったしよかったか。頭の中で俺は思う。

 

しかし、急に俺がいなくなってしまった元の世界は大丈夫なのだろうか… 俺と関わってきた人は何十人といるし、俺が大好きなファンだって沢山いるだろう。無責任に思いを踏みにじる事となってとても申し訳ない。ルビー(さりなちゃん)は今上手くやれているのだろうか、 ドーム公演という夢を叶えただろうか、変なことについて遭っていないだろうか、姫川と兄妹同士うまくいけていたらよいと願おう。この体の主、姫川大輝は、まあ あいつなら大丈夫だろう母親こと、みやこ社長は大丈夫だろうか、壱護元社長がいることだし、うまくやっているだろう有馬とあかねは俺なしでうまくこの世界を生きることはできているのだろうか仲良くなっているだろうか。自称jkアイドルやってるMEMはどうだろうか、B小町をまとめることは、ほぼほぼあいつがやっているようなもんだからな…

 

元の世界の疑問で頭の中がいっぱいになる。それと同時に沢山の後悔が再度降り注ぐ。

 

 

いや、そんなことを考えても仕方がないか。どうにか自分を説得し、割り切る。だとしてもこの世界でこれからどうするか… 今のアイなら12歳でアイドル活動をしているだろうそこから数年経って、カミキヒカルと出会う… 彼らを会わせないようにすることは今の俺に可能なのだろうか?どうすれば良いのだろうか?う~~~ん

 

てゆうか今の俺がそんな大きく展開を変化させていいのだろうか?あの2人が会って、起こったことは悪いことだけではない

元の世界の俺 星野アクアとその妹 星野ルビーが生まれる。しかも、その2人は前世でほぼ恋人みたいなものだった。そんな奇跡を壊して良いのだろうか。

 

さらに、今の俺の身体では、行うには両親などの大人を上手く使わないと何もできないという普通に無理ゲーだ。さらに急に喋って、正体がバレるのもあれだろう。第一、手を加えるのはそこでなくてよいだろう。アイが殺されないように上手く仕向けられればよい。まだ、大丈夫だろう

 

あと、俺にはそれと同じぐらいの大事なことがある。さっきもいった 上原夫妻心中事件 だ。そこのところは実際、どうすれば良いのだろうか。

 

俺は一つのアイディアを思い付いた。

 

役者の道を希望することだ。

 

そうして、役者という共通の話題で夫婦の仲をできるだけよくすれば、あの事件は起きないかもしれない。それに加え、この世界で、兄弟のアクアとルビーに会うことができるかもしれない。我ながら素晴らしいアイディアだ。しかし、そもそも子供っていつ頃から話すんだっけか?そういえば、1回目の人生は医者だったな。過去の知識を遡る。

 

雨宮五郎が昔覚えた知識によると、1歳前後から、「パパ」や「まま」などの意味のある単語を喋べれるようになって、2歳頃から「わんわん いた」や「これ、ちょうだい」といった二語文という喋り方が出来るようになる。3歳前後からは3語の単語を使え、4歳あたりでは「から」などといった接続詞なども使えるようになるらしい

 

あの時の知識がここで役に立った。だとしても、流石にしっかり話せるのは遅いな、待てない。アクアのときニュースで知ったギフテッドという設定も良いと思ったが、ギフテッドという言葉自体あまり、この時の日本ではあまり浸透していないだろう。これの設定は却下しよう。

 

しかし、事件発生のタイムリミット 5年 という時間は流石に短い。2歳後半〜3歳前半あたりでこのことを話せれたらよいだろう。その後はまあ、どうにかなる。そう心に決めた。

  

 

 

 

 

第3の赤ちゃん生活はあんまり、楽しいものではなかった。前のときはいろいろあって、正体を現さず、普通に喋れるようになったが、この世界では喋ったら、正体がほぼバレるので普通に話せず、「あー」とか「うーー」とかしか言えないときがこの世界で喋る言葉の半分を占めるぐらいだった。そのせいで今まで生きてきた俺の気が狂いそうだった。雨宮五郎と星野アクアの記憶がなくなるかもまで思ったが、そんなことはまず起こらなかった。まだ起こらないだけかもしれないが。まあ日に日に喋べる単語を増やしていったし、親の二人と長い時間離れるようなことはあまりなかったからメンタルのほどは安心なはずだ。 

 

そんなこんなしてる間にそのときは近づいてきた。今日が自分の3歳の誕生日だ。

 

「もうこんな日か大輝も成長したなー」

 

父親が頭を撫でてくる。こんなに嬉しいことはない。これまでの2つの俺の人生では父親なんて、ほぼいないようなものだったから、優しくしてくる父親なんて幻影みたいなものだった。この人は俺のなかで初めて、喜んで父親と呼べるような人に変わっていったのだろう。そんな気がしてくる。

 

「うん。大きくなった。でさ、お願い事していい…?」

「なんだ大輝?」

「どうしたの大輝?」

両親から聞かれる。

 

「ママとパパのように役者さんになりたい舞台のうえで演じてみたい。」

「おっ!そうか、大輝も俺達のようになりたいか、偉いぞ流石俺達の子どもだ。」

「お母さんもとっても嬉しいわ」

 

今度は2人から撫でられる。とても心地よい。

 

「役者をやるといってもどこで学んだほうがよいんだろうか?僕が入っているララライだったり、君が入っているとこは子役には無縁のようなところだし」

「劇団あじさいってとこはどう?私が共演したことある子が通っているとかいたとか言っていた気がするし、調べてみる?」

「そうだな、一回調べてみるか」

 

 

いろいろあったが、ともかくここから俺の第3の人生が始まる…

 

 

 

 

 

ツクヨミ「私こんなことしてない!どうしてこうなった?」

 


 

次回 残された者たち ルビー視点でお送りしていこうと思います。次の話は現代のことについてから始まるので20年ほど前の話をするよりも時系列を考えなくて良いので少し楽できる気がします。結構そこら辺面倒だったんですよね。時間があったら、執筆していきます。ありがとうございました。

 

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