B級ヒーロー くたびれハットマン   作:テムテムLvMAX

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二話 かわいそう……

あれから数日、やはりと言うか怪人は多い、そもそもZ市は怪人を引き寄せる言う話が原作にあったが、まぁサイタマさんに掛れば原因丸ごと粉砕だ。

 

と言うことで俺は原作知識を参考にしないことにした、流石にメインキャラクターや特徴的なヴィランを警戒しないことはないが、そもそもサイタマさんやその他S級ヒーロー他の実力者たちがいれば問題はない、問題はないと言う風に考える。

今後薄れゆく知識よりも今を生きる強者の方が頼りになる。

 

 

「お~いくたびれさん、靴下どこだっけ?」

 

「そのタンスに入ってます」

 

「おー、あったあった、サンキュー」

 

 

それよりも何よりも俺は自立するための力をつけなくてはならない、具体的にはサイタマさんの所へ弟子として入ってくるジェノスにこの立場を譲ったあと、その後の生活の保険だ。

 

なんだかんだ言ってもジェノスは凄い、なんと言っても容赦がない、若さの分だけ油断も多い描写もあったが、そこを差し引きしてもいきなりS級ヒーローになれる実力者である男だ、そんな高性能ボーイが来たら俺はすぐにお役御免、いやそうでなくてはサイタマさんが弱いと感じる人類にとっての脅威と戦う理由が減ってしまい、結果怪人の被害が広がってしまうだろう。

 

強くなり過ぎたサイタマさんに真面目な弟子たるジェノスは必要だと思う、いわば外付け回路のようなもの、俺ではなくジェノスが適任であり最適だ。

 

そんなジェノスの差し置いて俺はここにずっと居られない、いつか出て行かなくてはならない、そのいつかが遅かれ早かれ来るのはわかっている、だから力を付けねば、なんでもいいが何かに秀でる必要がある。

 

 

「となると俺は……」

 

「どうしたくたびれさん、悩み事か?」

 

「今はこれでも良いですが、いずれは自立をしていかなくては……と、考えていました」

 

「え、もう行っちゃうのか」

 

「いつまでもご厚意に甘えている訳には、それに自らの食い扶持を確保せねばなりません」

 

「そりゃ確かに……最近食費が嵩むからな……でもそこは怪人売ってるし」

 

「ネットで見つけたアングラなルートですが、割と誠実な対応をしてくれていますからね」

 

 

この世界では、特にZ市の廃墟の街では仕事なんてものはない、人がいない、ものがない、金が動かない、それに怪人はうようよといる、こんな所に住みたい奴は自殺希望者かサイタマさんのような虫を虫とも感じない感情の希薄な強者くらいだ。

 

その中で俺が出来る仕事と言えば怪人の死体を処理することだ、サイタマさんが片付けた怪人の死体、それを俺は少しずつ処理している、ヒーロー協会やその他の組織は怪人の生体情報を定期的に欲している、比較的強く良質な怪人が集まるこの街ならではの仕事だろう、ヒーロー協会が行っている危険地域への配送システムを利用して、コツコツと売り払っている、もちろん匿名が保証されている場所に限る、サイタマさんのおこぼれを俺がもらってしまっては後にS級ヒーローのキングが生まれないことがあるかもしれないからな。

 

金は少しづつ貯まるが力は全く貯まらない、金銭的余裕が力に変わると楽なんだが……こればかりは日々の筋トレをこなすしかないだろう。

 

 

「んじゃ俺行ってくっから適当に家よろしく〜」

 

「行ってらっしゃいませーっ!」

 

 

それからと言うもの、悶々と考えを巡らせているとその日の夜を迎えていた。

なぜか料理のレシピはすんなり思い付く、レシピ本をよく読むようにしたからかな。

 

 

「今日は例の取引が高くついたので、少しリッチにハンバーグです」

 

「おお!うまそ〜……え、これ飾り包丁ってやつじゃね、すげー凝った事できるんだな」

 

「記憶喪失とは言え、お世話になっているのでこれぐらいは」

 

「そっちはまぁ……ぼちぼち思い出せるといいな、まだなんも思い出せねぇのか?」

 

「ええ、まだ何も」

 

「仕方ねぇよ、あ、朝の話なんだけどな、こんなん見つけてきた」

 

 

いつもより少し豪華な食卓に、全く似合わない刃物がドサリと置かれた。

サイタマさんこれ……どこで拾ってきたんですか、まるでこれは……これは……。

 

 

「長いだろこれ、恐ろしく切れ味もいいんだぜ、怪人からパクってきた」

 

「刀……ですよね、しかも“物干し竿”なぜ俺に?」

 

「ん?だって包丁の扱いうまいじゃん、だから刀もいけるかなってさ、朝言ってたろ、力が欲しいって、だからこれやるよ」

 

 

え、あ、力……欲しいけど、武器そのまま渡してくるのはなんか色々方法を無視してるような気が………よし、超法規的措置だ、なんでもいいや。

 

有り難く刀を頂戴しようと握ると刀がカタカタと小刻みに揺れだし俺の手から飛び跳ねる、生きているような感覚で部屋の上をゆらゆら彷徨い飛び回る。

 

 

「うわっあぶねっ!」

 

「壁紙が……ああ〜持って帰って来ちゃダメなやっだったか……」

 

 

俺は手が出せずにまごついているとサイタマさんがスッと手を出してキャッチして床へ押し込める。

 

 

「サイタマさん、鞘、無かったんですか?」

 

「え!?あ〜……グッとしたら砕けてさ……」

 

「その怪人さぞかし強かったんですね、もちろん皮肉ですですけど」

 

「色々技のあるやつだったけど鞘蹴っ飛ばしたら静かになっちゃってさ、そのまま片付けて来た……はぁ……期待したんだけどな」

 

 

サイタマさん、ショック受けてる……でも少なくともちょっと期待した程度に強かったんだな。

 

 

「とりあえずその刀、どうされます?」

 

「金属ごみで出すか」

 

『まーった!待った!待ってくれぇ〜〜!』

 

「えっ?」

 

「ん?どうした?くたびれさん」

 

 

……聞こえた、よな……絶対聞こえたよな、刀が喋ったよな?いやいや刀が喋るわけないじゃないか漫画の読みすぎだ、うん。

 

 

『聞こえておるのだろ!なんとかしてくれ〜っ!』

 

「このまま捨てられねぇし、粉砕するか……」

 

『いだだだだだだだ!ぎゃあぁぁ…ぁぁぁ……あーっ!そこ折れたら死ぬ!死ぬ!みぃやぁ〜〜〜!?』

 

「サイタマさん、引き取っていいですか?」

 

「え?いいけど危ないぞ?」

 

 

元々アンタが持ってきたんじゃい!

 

と言うことで、俺はインテリジェンスウェポンのような正体不明の刀をゲットすることになった、こんなの原作に居ただろうか、まぁサイタマさんが気になったりならないような程度の怪人の持ち物だ、それほど恐れることは無いだろう。

 

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