B級ヒーロー くたびれハットマン   作:テムテムLvMAX

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六話 良い先生、悪い先生

「ぎゃぁーっ!?」

 

「あ、起きた」

 

 

 あ……はぁ……凄い悪い夢を見た気がする、ぷ、ぷりぷりプリズナーに襲われる♂夢だった……クソ……アイツが受けかよ、夢の中で俺は何やってんだよ……。

 

 どうやら俺は戦ってすぐに気絶して、サイタマさんの世話になってしまったようだ……仙刀斎は……声が聞こえないな、やっぱ折れたらダメなんだな……繋げたらまた復活するかな。

 

 それよりも今は何時何分だ、外が明るいぞ。

 

 

「よく寝てたな」

 

「ええ、もう丸3日が経過しています、あ、お初にお目にかかります、私はジェノスと申します、くたびれ先生」

 

「あ、どうも……ど、あん? はぁっ!? ジェノスぅ!?」

 

 

 ……は? ジェノス? なんでここに? と言うか顔近っ、ベッドに寝てんだからそんなに覗き込まなくてもいいだろうに……距離感バグ男か? 

 

 これがサイボーグで男でも認める美形青年ジェノスか……これでまだ18くらいなんでしょ、末恐ろしい。

 

 

「面識がありましたか?」

 

「……ない、全然」

 

「失礼しました」

 

 

 ベッドから上体を起こしてきっぱり否定する、ジェノスは俺の顔見て申し訳なさそうに頭を下げた。その後ろでサイタマさんもなぜか少し申し訳なさそうにしていた、なんだ君たちは。

 

 と言うかなんでもういるのだ! 丸3日寝てたとかアホなの俺は……、てことはもう蚊女怪人は倒したの? 

 

 つかちょい待ち、なんかおかしかったな、先生だと? ジェノスが俺を先生と呼ぶのか? なんで? どうして? 

 

 

「サイタマさん?」

 

「お、お茶淹れて「結構です」あ、そう……あはは……はは……」

 

 

 なぜか妙に顔が引き攣る、いつものシケた顔はどこに行ったんですかサイタマさん? 貴方まさか自分が先生するの面倒だから俺まで巻き込んだとか……言わないですよね? 

 

 

「このジェノス君がなぜ俺を先生と呼んでいるのですかね?」

 

「それは私が説明します! 実はサイタマ先生との戦いを偶然目にしてしまい、その迫力と力に圧倒され心掴まれました……そのあと蚊の怪人が現れてオレが対処しようとしたのですが、油断しあえなく返り討ちに……ですがそこをサイタマ先生に助けられこうして無事でいるのです」

 

 

 見られてたのか……というかそのタイミングだったか……しまった、しっかりニュース見てればこんなことには……いやいや3日も寝てたしな、遅かれ早かれか。

 

 

「で、ジェノス君、なぜ俺が先生?」

 

「もちろんくたびれ先生からも学ぶべきだとサイタマ先生が仰ったのです、私、いや俺は強くなりたいのです!」

 

「だそうですね、サイタマ“先生”……ちょっと無責任な感じがしますね? えぇ、責めてはないですよ、問い詰めてはいますが」

 

「い、いや〜、ね、ほら……やっぱりさ、ジェノスは若いから色々な先生から学ぶことがあると思うんだ、若さゆえの伸び代があるからね(キリッ)」

 

「(キリッ)じゃあないんですよ(キリッ)じゃあ」

 

 

 なんでそんな事がキメ顔で言えるんだ、やってくれたな……まさかこうなるとは、ジェノスはまだ話が通じるタイプだが、やっぱりS級ヒーローの器だからな……我を通すところは通してくるし断りづらいな……。

 

 というかジェノス来たし、さっさと出ていくとするか……

 

 

「……サイタマさん、俺がここを出ていくって話はしたんですか?」

 

「そうなんですか!?」

 

「あ、そう言えばしてなかった……隣、住めば?」

 

 

 度々襲撃やら災害が来る街に拠点構えられるわけないでしょ、Z市でももっとマシな所へ行きたい、それにヒーローやろうとも考えてるからな、ここじゃあ何をするにも立地が悪い。

 

 

「ありがたい申し出ですが、実はヒーローをやろうと思いまして」

 

「ヒーロー? もうやってるんじゃないのか? ほら、時々怪人狩り回ってるし」

 

「なるのは、プロのヒーロー……職業ヒーローです」

 

「なんだそりゃ?」

 

「……サイタマ先生、まさかと思いますがヒーロー協会、ひいては“ヒーロー名簿”はご存知ないのですか?」

 

「知らん、全く知らん、興味もない」

 

 

 そんなに興味ないのか……サイタマさんが興味持つようになる理由は知名度ゼロが理由だったな、金銭的余裕は俺が作ったし、ここは生活インフラがタダみたいなもんだし、まだ先の話だな。

 

 

「でしたら……」

 

「ヒーローやりたくてヒーローしてるだけだし、別に……」

 

 

 趣味でヒーローやってるサイタマさんは特に何も思わないだろうな。

 そう言えば、丸3日寝てんだから今日って土曜日だよな、チラシ……あった、土曜日が特売日であってるな、余裕があるとは言っても男二人で生活してるんだから色々とコストが掛かる、出来れば食費は安い方が良いに決まってる、その為の努力は惜しまないのが主夫のコツ。

 

 

「それよりも今日は土曜日? 特売日のはずですよね」

 

「あっ!? そうだったーっ!?」

 

「土曜日はサイタマさんが買い物担当でしたね、忘れては困りますよ……さて、今日は肉が安いみたいなんで……ジェノス君の弟子入りを記念してすき焼きやりましょう、材料費は俺が持ちます」

 

「いや俺にお構いな「ストップ、ジェノス……この人の飯はうまい、しかもタダで食える……いいな?」は、はぁ……?」

 

「まぁ遠慮せずに食べていってほしい、サイボーグの様だが摂食機能はあるようだし」

 

「ええ一応、どうして分かったのですか?」

 

「人ってのは飯食えてないとやつれるんだ、君の顔は生き生きしてる」

 

 

 少し前、俺が1日外出していて飯を作らなかった日だ、サイタマさんは俺の料理を期待して帰宅していたので、ひどく落胆し翌朝まで顔が萎れていた事があった。

 

 サイタマさんはそもそも一人暮らしで自炊もしてた筈なのに、人って便利になれると堕落するのね……。

 

 

「それじゃあ決まりとい__」

 

 

 

 

 

 

 __ドォカァァァァン! 

 

 

 

 

 

 突然、ベランダが爆発した。

 

 

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