走る少女と、うるさい日常   作:eternalsnow

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ココナッツクラッシュ

 インターハイ出場、藍原ユカリ。

 そんな柄も知れない、垂れ幕が学校から降ろされた。

 正直、気恥ずかしさを感じた。

 

 両親は喜び、先生は諸手を上げた。

 同時に、私のモノはどこかしこに消える事件が頻発した。

 

 靴には画鋲が当然のように入り、

 ロッカーには粘り気のある変なくっつく液体が付着する。

 多分、接着剤だ。バカなことをする。

 

 部活が辛くなってこないか?

 そう言われれば、多分辛いと思う。

 正直、先輩たちの行動は意味が分からない。

 

 だけど、同時に教室での時間が余計に愛しくなる。

 早く行こう。

 こんな場所にいつまでも居たくはなかった。

 

 

 

 

 

 

「あーユカリーン。現地で見たよーおめでとー!」

「うん、ありがとう春香」

 教室のドアが開くと飛び込んでくる春香を受け止める。

 同時に、夏休みの春香との予定がすべてインターハイというモノに塗りつぶされたことを申し訳なく思ってしまう。

 

「インターハイ。がんばってね!」

「うん、頑張るよ」

 嘘を吐いた。

 正直、頑張りたくなんてなかった。

 同時に、春香と一緒に遊びたいという欲が噴き出すのを、必死に蓋をする。

 体のいい、優等生の自分を演じる。

 

「やっぱ、ここが重要じゃね?」

「そう? プログラミングは僕がやるし、なんとでもならないかな?」

「だから、なんでそうなる!?」

 不穏な言葉が聞こえてくる。

 その言葉を聞いて、春香の眉がへの字に曲がる。

 

「また、あいつら何かしてる」

「あはは、まあ、あの人たちも悪い人なわけじゃないし」

 ぐっと腕をつかんで引っ張ると春香は渋々と腕を降ろす。

 同時に、彼らの声がより鮮明に聞こえる。

 

「そもそも作るなと言ってる」

「はぁ? 面白そうだろ?? 機械部分は金川に頼みたいんだ」

「作るわけないだろ!」

「あーできないの? なら僕が作るからいいよー」

「できないとは言ってないだろ!」

 

 売り言葉に買い文句。

 その言葉が正しく、二人で自然と三人組の方へ向かっていく。

 

「ねえ?? 何を相談しているのかしら?

 わたくしも、混ぜてはくださらない?」

「「「うわ、きっしょ!」」」

 

 春香のネコ被りの言葉を即答した三人は、

 まずはと言わんばかりに、春香は、金川くんの頭を掴んで、膝に打ち付けた。

 なんだっけ? プロレスだっけ?

 

「こ、ココナッツクラッシュだとぉ!!?」

「あ、それだ、博識だね座間くん」

「おう、プロレス大好きでな。

 って、まてまだ、ぐぼぉは!?」

 私の言葉に反応して、言葉を返す間に、春香に掴まれココナッツクラッシュの餌食となった座間くん。

 震える小鹿のように、プルプルしながら後ずさる新田くん。

 

「えっと、僕は、悪くない。

 そうだ、座間がいいだしたんだ。なんとか言ってくれ!?」

「連帯責任」

 

 一言の断罪と共に、もう一つの悲鳴が上がった。

 しかも、三人とも明確に言っちゃってるし、同罪だよ。まったく。

 

 ホント、飽きないなー。

 インターハイ。行きたくないなー。

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