僕は、天才ではないと痛感した。
足が重い。
息が、きれる。
――心臓が掴まれてるみたいに、痛てぇ。
こんな相手を引きはがせなくなってきている。
ぶつかられ、体格もあってか少し弾き飛ばされそうになる。
――ちぃ!!
「よーし! そのままだ!
10番は明らかに消耗してる!!」
相手の監督の言葉が耳が大きく残る。
ああ、実際、消耗はしてる。
僕が一番それをよくわかってる。
けどさ。
僕が、このまま終わると……思っているのはあまりにも浅はかだ!!
「新田!!」
先輩からのボール。
周りも考えず、その足元を狙うかのように渡される――パス。
カットしようとする相手の位置を、すっと入れ替えて、かかとでボールの機動を変えて、フォワードの先輩に送り出す。
「く、スルー!」
焦りながら、ボールに意識が向いたときに、相手が前へと駆けだした。
そう――。
今、この瞬間だけ、僕のマークは外れた!
「待て! 10番から目を逸らすな!!」
「おそい!」
声より先に走り出す。
ユニフォームを掴まれたが、引きはがす。
放たれた先輩のシュートは、キーパーに弾かれたが……横に弾き切れてない。
先輩のシュートを弾いたこぼれ球を、ダイレクトでボレーシュート!!
「させん!!」
だが、キーパーの逆には、さっきの松田がスライディングしている。
「見えている!」
キーパーの頭上へと叩き込んだ。
反応してはいたが、ギリギリのボールはポストに当たり真下に弾かれながら、フォークのようにゴールへと吸い込まれた。
「ぐっ!?」
「3点! やった新田! ハットトリック!!」
歓声の中で、相沢と座間の声が聞こえた気がした。
――入院中の、座間がいるわけ、ないのに。
――汗が滝のように出た。
結果としては、5対3。
試合終了の長いホイッスルを聞いて、崩れ落ちるように倒れ込んだ。
自然と空に手を伸ばした。
「……負けたよ」
相手チームで最もヤバいマークをしてた松田が、僕の手を掴んだ。
立つように引っ張り上げられると、ふっと笑った。
「まさか、俺の技術を使われるとは思わなかった。
次は負けん」
なんというか、負けず嫌いなところは、金川に似てるな。
眉をひそめ、ひょいと持ち上げられる。
ふっと笑みを浮かべている姿を見て――。
松田、松田ね。よく覚えておこう。
……次はもっと強くなってくるだろう。
絞り込まれた筋肉。
彼もまた、楽しかったのだろう。
「はは、今度も勝ちますよ」
ちゃんと笑えたかな?
目を瞑り、腰に手を当てた松田は、首を横に振った。
「……敬語はいい。一応言っておくが、俺も1年だからな」
え、同い年!?
「え!?」
1000文字制限で描写を追加調整