「あーーーてめぇ! そこでメテオはヤバいって!!」
「のこのこ復帰して回避しないのが悪い」
病室で、switch片手にスマブラ三昧のバカへのお見舞い。
動くこともできず、まだ病室に他に誰もいないから、呆れ顔と眩しそうな笑顔で看護師さんは黙認してくれている。
「勝ったんだって? 相沢さんから聞いたぜ。
おめでとー」
「サンキュー、まあなんとかな」
「獅子奮迅?の活躍だったらしいじゃん。
無理は――してねえな」
ふふっと珍しい笑みを浮かべた座間。
全くもって、理解外の存在だよお前は。
「獅子奮迅、意味知ってて言ってる?」
「ああ、お前が……『僕を止められるわけない!』なんて叫んだって聞いて、少し安心したぜ?
楽しいそうで、ホント、何よりだぜ」
……いつものような煽り言葉のはずなのに、僕はその言葉で動きが止まってしまった。
『お前さー今、サッカーやってて、楽しいのか?』
前の座間が言った言葉が、頭に響いた。
僕は、楽しかったのか?
「よっし! ざまぁ! 一機撃墜!」
「あ、座間お前!」
僕の操作キャラは落とされて一機落とされてしまった。
全く、不意打ちとは!
「ぷぷぷ、油断大敵――ってお前、無限コンボやめろ!
お手玉すんな。あ、ああああー!!」
「はい、撃墜ー」
腹が立ち、空中から一気にメテオを叩き込んで、座間の操作キャラを叩き落した。
「ググッ……もっかい、もっかい!」
「はーい座間さーん。お時間ですからswitchしまってねー」
看護師さんに止められ、switchの電源を二人で大人しく切る。
お医者さんが呆れ顔でこっちを見ているのは、強く印象的だった。
「新田くん? だっけ、大丈夫よ。
彼の足、リハビリは必要だけど、もう少しで走れるようになるから」
「ありがとうございます。
ほんと、騒がしくてごめんなさい」
いつもの微笑むような笑顔で返してくれる看護師さんにお礼を言って僕は病院を出た。
『は? 前、藍原にさー。
友達だから、当然だって言ったの、お前じゃん』
友達を助けるのは、当然……かぁ。確かに僕が藍原に言った言葉だったけどさ。
もし、座間が死んでしまっていたら……。
もし、座間が歩けないほどの重症だったら……。
そう思うと、背筋が凍ってしまう。
思わず目を伏せたくなるほど、その光景が浮かんだ。
あまりに、現実味が強く、既視感のように蘇る。
……デジャブってやつか。
「……言えなかったなー、ありがとう、って。
まだ、言えないのは僕が弱いからだろうか?」
なんとなし、帰りながら僕は呟いていた。