勝つ義務   作:eternalsnow

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第4話 勝ってはいけなかった?

 後半、ワンプレーはこちらのボール。

 当然のようにボールは回ってこない。

 レギュラーチームがボールを奪うと同時に、僕は仕掛けた。

 

 ドリブル突破するレギュラーの先輩からボールを奪った。

 フェイントには焦ったが、遅くて助かった。

 

「新田! こい!!」

 パスの要求を無視する。

 左右と正面から先輩が来るのを躱し、キーパーの逆を突きゴールする。

 これで、2対3。まだ追いつける。

 

 相手のキックオフから、後ろに下げる瞬間のボールを狙った。

 圧力にキープをミスった先輩からボールを奪い、速攻をかける。

 

「あ、ちぃ!!」

 焦ったスライディングを上に躱してドリブルを再開する。

 

 ゴールを決めた。

 3対3。これで追いついた。

 

 

 

 

 

 

 結果は、6対3で僕たちが勝ったが、まったく喜びがこみ上げてこなかった。

 だが、胸の奥がひたすら冷たかった。

「マジ、かよ。化けもんかよ……」

 聞きたくなかった。

 それを聞く自分の耳も心も、拒絶したかった。

 

 僕の中の熱が急速に失われていく。

 紅白戦後の片づけ中、足が重かった。

 サッカーを、嫌いになりそうだった。

 

「試合、疲れたろ、休んでろよ新田」

「いえ、全然。片づけは1年の仕事ですから」

 気を使い始めた。

 僕は、そんなことがしたかったわけじゃない。

 

 小学生の時がよぎる。

 あまりにも、状況が酷似しすぎていた。

 もう、いいか。

 正直、僕が真剣になったらいけないんだ……。

 

「おー新田。部活終わったかー。

 スマブラしよーぜーー」

 そう、バカの声が。え?

 

「どした? 片付けおわったら、あそぼーぜ。今度は負けねーからさ!」

 座間。

 僕の唯一のノイズ。

 金川と一緒で、僕の友達で幼馴染。

 こいつがいつもバカなことをして、僕が煽って金川を動かして……

 はは、なんで。ホントこんな時にコイツはくるんだ。ホント。

 

「あ、ああ、わかった」

「んだ? んじゃ早く来いよ!

 金川も呼んでっからさ、今度はお前らに勝つから!」

 

 胸のつかえが、取れた気がした。

 無邪気に笑って……いつもそうだ。

 アイツは、悔しがってくれたし、わざと負けたら指摘せずただ苦しい顔をしやがった。

 

 

 あのバカの顔を見てると、

 この状況が少しばかばかしく思えた。

 どうでもよく思えた。

 僕より下手な先輩たちが悪い――。

 なんとなく、そう責任転換できた。

 よくないとは、分かってるけど。

 

 開き直れた気がした。

 

「ガードと回避を覚えてから言え!」

「はぁ? ガードなんていらねえー回避なんて男らしくねーっての!」

 理解できないのは、相変わらずだ。

 ほんと、座間は、僕のノイズだよ。ほんと。

 




1000文字制限よ・・・・・。

ちょっと追記。
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