後半、ワンプレーはこちらのボール。
当然のようにボールは回ってこない。
レギュラーチームがボールを奪うと同時に、僕は仕掛けた。
ドリブル突破するレギュラーの先輩からボールを奪った。
フェイントには焦ったが、遅くて助かった。
「新田! こい!!」
パスの要求を無視する。
左右と正面から先輩が来るのを躱し、キーパーの逆を突きゴールする。
これで、2対3。まだ追いつける。
相手のキックオフから、後ろに下げる瞬間のボールを狙った。
圧力にキープをミスった先輩からボールを奪い、速攻をかける。
「あ、ちぃ!!」
焦ったスライディングを上に躱してドリブルを再開する。
ゴールを決めた。
3対3。これで追いついた。
結果は、6対3で僕たちが勝ったが、まったく喜びがこみ上げてこなかった。
だが、胸の奥がひたすら冷たかった。
「マジ、かよ。化けもんかよ……」
聞きたくなかった。
それを聞く自分の耳も心も、拒絶したかった。
僕の中の熱が急速に失われていく。
紅白戦後の片づけ中、足が重かった。
サッカーを、嫌いになりそうだった。
「試合、疲れたろ、休んでろよ新田」
「いえ、全然。片づけは1年の仕事ですから」
気を使い始めた。
僕は、そんなことがしたかったわけじゃない。
小学生の時がよぎる。
あまりにも、状況が酷似しすぎていた。
もう、いいか。
正直、僕が真剣になったらいけないんだ……。
「おー新田。部活終わったかー。
スマブラしよーぜーー」
そう、バカの声が。え?
「どした? 片付けおわったら、あそぼーぜ。今度は負けねーからさ!」
座間。
僕の唯一のノイズ。
金川と一緒で、僕の友達で幼馴染。
こいつがいつもバカなことをして、僕が煽って金川を動かして……
はは、なんで。ホントこんな時にコイツはくるんだ。ホント。
「あ、ああ、わかった」
「んだ? んじゃ早く来いよ!
金川も呼んでっからさ、今度はお前らに勝つから!」
胸のつかえが、取れた気がした。
無邪気に笑って……いつもそうだ。
アイツは、悔しがってくれたし、わざと負けたら指摘せずただ苦しい顔をしやがった。
あのバカの顔を見てると、
この状況が少しばかばかしく思えた。
どうでもよく思えた。
僕より下手な先輩たちが悪い――。
なんとなく、そう責任転換できた。
よくないとは、分かってるけど。
開き直れた気がした。
「ガードと回避を覚えてから言え!」
「はぁ? ガードなんていらねえー回避なんて男らしくねーっての!」
理解できないのは、相変わらずだ。
ほんと、座間は、僕のノイズだよ。ほんと。
1000文字制限よ・・・・・。
ちょっと追記。