勝つ義務   作:eternalsnow

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第7話 勝つ義務

「……座間が怪我したって?」

「ああ、僕を助けて、車に引かれました」

 話が届いたのか、僕は相沢さんに連れられ、正座させられている。

 病室の場所は携帯で伝えたし、まさか教室にまで来て空き教室まで連れられて正座させられると、去年のバカした後を思い出した。

 ただ、僕の気持ちは今回はどうしようもなく、仕方がないとしか思えなかった。

 

「……春香」

「わかってるよ……ごめん新田。少し暴走した」

 藍原の言葉に、眉を下げて頭を下げてくれる相沢さん。

 その気持ちが痛いほど伝わってくる。

 ――でも、胸の奥にはぽっかり穴が開いたままだ。

 

 理解、できてしまうから。

 

「いいよ。気持ちはわかるから。

 僕も、座間がこうなったと聞いたら、聞きたくなる気持ち、わかるから」

 本心からの言葉だ。

 事実、僕だって同じようなことをするかもしれない。

 誰だって、友達が怪我して学校にこなかったら、事情を直接聴きたいだろう。

 

「私からもごめん新田。国立にむけての忙しい時に」

「学校の休み時間まで練習してないから大丈夫。

 気にしないで」

 藍原も頭を下げて、僕には次があることを十分に理解でき、気が重くなった。

 

 

「おい! 座間が怪我したって聞いたぞ!!」

 金川がどすどすと乗り込んで、僕の胸倉をつかむ。予想通りだった。

 でも、避ける気なんて一切湧かなかった。

 

「落ち着け、殴りたいなら殴ってくれてもいいが、一旦落ち着け」

「落ち着けるわけないだろう!」

 叫びながらも、殴らない金川。

 ……いつもより落ち着いてるな。

 

 だが力は依然として強く、

 掴まれたまま、状況を説明するしかなかった。

 

 話すうち、顔はドンドン落ち込んでいく。

 そんなつもりは、なかったのに。

 

「……すまん、軽率だった」

「いいよ。予想できたし。

 なにより、多分金川なら、僕がなっても座間に詰めるのが見えるからね」

 眉を下げ頭を下げた。ほんとみんな似たモノ同士だ。

 まあ、僕も多分詰めるから人のことは言えないが。

 

 

 

 

「新田が座間を怪我させたって」

「えー、暴力事件!?」

「ちげえって、座間が新田を助けた結果だ」

「それで、あいつ部活してんのかよ…心配じゃねえの?」

「全国大会を控えてるんだ。

 そんな時間あるわけないだろ、バカ!」

 

 もう、なんと言われてもいいさ。

 ――結果で示すしかない。

 

 僕には、勝って結果を出す。

 その、義務があるから。

 座間のためにも、みんなのためにも――そして、自分のためにも、だ。

 

 じゃなかったら、僕は……もう二度と、僕自身を許せそうにないから。




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