ポケモンロード バイオレット・レクイエム   作:とり。@pktorisky

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 パルデア地方の小さな町、コサジタウン。この町にはポケモントレーナー・ハルトの自宅がある。
「ハルトー!そろそろお昼にしましょう」
 そんなハルトの部屋へハルトの母が入るが…中には誰もいない。
「あれ…?ハルト…?」
『繰り返します。現在ハッコウシティにあるエクシード社本社ビルを機械のようなポケモンの軍勢が襲撃しているとの情報が入っています。危険ですので決して近づかないように…』
 付けっぱなしになっているテレビから伝えられる緊急ニュース速報が部屋の中に響き渡るのであった…

ポケモンロード バイオレット・レクイエム



Chapter4 第二の刺客
第10話 脅威再び


 大企業『エクシード社』の地下室の入口で倒れている社員のジルとコニア。その側には二人のパートナーポケモンのサイドンとゴルダックも戦闘不能にされていた。

「申し訳ございません…アメジオ様…」

 

 そしてその奥にある地下室へ進んでいたペパーとボタン、そしてアメジオの三人の前に不敵な笑みを浮かべる女性が現れる。

「ふふふっ…」

 緑色のロングヘアで身長は170cmほどの色気のある女性。女性はローブを着ており、そして顔の左半分を仮面で隠していた。

「お前は…」

「はじめまして。あたくしはチーム・ユートピアのレフティ」

「ユートピア…アカデミーを襲ったヴレイの仲間…!」

「あなたたちはあたしたちのことを嗅ぎまわっていたみたいだけど…これ以上知られるのはちょーっとこっちが不利益を被るのよねえ。ということで始末しに参りましたー!」

「くっ!よりによってこのタイミングで来るのかよ!?」

「いや。逆にオレたちが弱るのを見計らってきたのだろう」

「くそー!汚えぞ!!」

「汚くて結構。こっちにはタイムリミットがあるのよ。無駄は徹底的に減らさないと」

「タイムリミット…?」

「てかヴレイと同じならコイツもパラドックスポケモン軍団を連れている…研究室の方もヤバいんじゃねーか!?」

「いや、うちの研究室には凄腕のトレーナーがいる。そっちはあいつが何とかしてくれるはずだ」

「今はこの状況をどうするか考えることに集中せんと!」

(相手は恐らくチャンピオン・ネモを打ち破るほどのトレーナーと同格。しかもこっちは三人とも一戦戦った後でポケモンもオレたち自身も消耗しててかなり不利な状況。だが…)

「数ではこっちが有利だから何とかなるかも…って考えてるわね?」

「…!」

「テツノツツミたち!」

「何!?」

 するとパラドックスポケモンのテツノツツミの大群が次々と地下へと侵入してくる!

「こっちにもパラドックス軍団がいるのかよ!?」

「この奥にスピネルが隠した情報があるらしいのよね…だったらこの子たちにはそれを破壊してもらおうかしら?」

「ここまできてやっと掴んだ手掛かり…やらせないし!」

「ふふふ。できるかしらねー?あなたたち三人であたくしのかわいこちゃんたちを止めつつ、このあたくしも止めるなんて!」

「くっ…!」

 万事休すかと思われた…その時であった!

「ほうでん!」

 強烈な電撃が放たれ入口にいた複数体のテツノツツミたちが吹き飛ばされる!そしてやってきたのは…紫雷の竜を連れた少年!

「「ハルト!?」」

「オマエなんでここに!?」

「エクシード社が未来のポケモンに襲われてるってニュースを見てね。全速力で飛んできたよ」

「ハルト!あなたの心の傷はまだ癒えていない!それなのに無理しちゃ!」

「ペパーやボタンが頑張ってるのにぼくだけ寝て待ってるなんて…やっぱりそんなことできない!無理してでも戦うよ」

「ハルト…!」

「またしてもあとちょっとってタイミングでやってくるとはね…これもあなたが救世主たる所以かしら?」

「三人はパラドックス軍団の相手をお願い。こいつはぼくが倒す!」

「分かった!キョジオーンは戻って休んでくれ!ヨクバリス!」

「お前も交代だソウブレイズ。アーマーガア!」

「エーフィ!お願い!」

 ペパーとアメジオはポケモンを交代。そして三人はそれぞれのポケモンを繰り出す!

 一瞬目をつぶった後、目つきを変えてレフティを睨むハルト。そんなハルトの瞳は真っ黒で光がなく、憎しみに満ち溢れていた…

(目つきが変わった…平和な時代のパルデアの人間とは思えないこの強い殺意は…)

「ふふ。いいでしょう!まずあなたから始末して差し上げますわ!!」

 ハルトVSレフティのバトルが幕を開ける!!

 

ーユートピアの レフティが 勝負を しかけてきた!ー

「行きなさい!テツノイサハ!!」

 ユートピアのレフティはテツノイサハを繰り出した!

「ビリジオンに似たパラドックスポケモン…ミライドンはここに来るまでに消耗したから少し休ませた方が良さそうかな。だったら…行くよ。マスカーニャ!」

 ハルトはミライドンをボールに戻し、マジシャンポケモンのマスカーニャを繰り出した!

「マスカーニャ…あなたの手持ちの中でも特に付き合いの長いポケモンね…」

(テツノカシラがはがね・エスパータイプだったことを踏まえるとこいつはくさ・エスパータイプ。マスカーニャなら相性は有利なはず)

「アクロバット!」

「かわしなさい!」

 素早い身のこなしで攻撃するマスカーニャであったが、テツノイサハは高速で駆けて攻撃を回避するが…

「速いな…だけど」

 駆けるテツノイサハに追いつき、マスカーニャは顔面に蹴りを喰らわせる!

「スピードなら負けないよ」

「ふふ…せいなるつるぎ!」

 テツノイサハの頭部の角が伸び、剣のような形状になる!

「かくとう技か…避けて!」

 テツノイサハの斬撃を真横へジャンプして回避するマスカーニャだったが…

「今よ!」

 テツノイサハの首元からも二本の剣が出現!そのうち片方がマスカーニャに命中!効果は抜群だ!

「何!?」

「追撃を!リーフブレード!!」

 残り二本の角を草の剣へと変化させ、テツノイサハはダメージを受けたマスカーニャに追撃しようとする!

「剣をめがけてトリックフラワー!」

 爆発する種子を放つマスカーニャの技、トリックフラワー。三本の剣に触れて発生した爆発により、テツノイサハはマスカーニャを見失う!

「つじぎり!」

 そしてマスカーニャはテツノイサハの背後に回り、鋭い爪による斬撃を放つ!急所を捉えた一撃が炸裂し、テツノイサハは倒れる!

「まずは一体」

「戻りなさい」

 レフティはテツノイサハをボールに戻す。

「相性有利だったとはいえ伝説のポケモンを使わずにこの子を倒してしまうとは。流石は救世主と褒めてあげたいところね。だったら…こちらもそろそろ本気で行かせてもらおうかしら?」

「………」

「さあ行きなさい!!」

 地響きと共に通常の2倍以上のサイズの超巨大なテツノイサハがモンスターボールから繰り出される!

「キキュアアアアアアアアア!!!」

「巨大テツノイサハか…」

「せいなるつるぎ!!」

 巨大テツノイサハは頭部から一本、首元から二本、合計三本の角を出現させ攻撃を仕掛ける!!

「アクロバットでかわして」

 対するマスカーニャは華麗なステップでテツノイサハの斬撃を避ける!

(身体が大きくなった分動きは大振りになる。ここは手数で攻めれば…)

「変・形!」

 するとテツノイサハの角が直角に曲がりマスカーニャを追尾する!

「何!?」

 強烈な斬撃が炸裂し、マスカーニャは倒れてしまう!

「マスカーニャ!」

「これでお互いに一体ずつ戦闘不能。ふふ。この子をそう簡単に倒せるとは思わないことね?」

「ありがとうマスカーニャ。戻って休んでくれ」

 ハルトはマスカーニャをボールに戻す。

(三本の角に変形して追尾。死角がなくて厄介だな。だったら…)

「ウインディ!タイカイデン!」

 二体のポケモンを繰り出すハルト。このうちウインディは『ヒスイのすがた』と呼ばれる珍しいポケモンだ。

「あら意外ね。てっきり正々堂々一対一で戦うタイプだと思っていたわ」

「大群をけしかけてくるような相手に正々堂々戦う必要があると思う?」

「ごもっともな意見ね。でもポケモンを二体に増やしたところであたくしのテツノイサハを倒すことはできないわ!」

「飛べタイカイデン!駆けろウインディ!」

 タイカイデンは空中を飛び回り、ウインディはフィールドを駆け巡る!その速度はどちらも目にも止まらないほどであった。

「スピードでかく乱ね…でもテツノイサハは例え目視できないほど早い相手であっても感知することができる。死角などないわ!せいなるつるぎ!」

 テツノイサハの三本の角はそれぞれタイカイデンとウインディをめがけて伸びていき、そして剣の形に変形する!

「死角はない。でも…ウインディはフレアドライブ!タイカイデンはぼうふう!」

 炎を身にまとい剣に向かって飛び込むウインディ。そしてタイカイデンは剣をめがけて強烈な暴風を放つ!

「二方向から放たれる大技。それも効果抜群の一撃はそう簡単には防げない」

 二体の攻撃がテツノイサハに命中!技のぶつかり合いで威力は大きく軽減されてしまったものの、それでも効果は抜群だ!

「これなら少しずつはダメージを与えられる」

「なるほど…確かにこれは少し厄介ね。ならばこちらも奥の手を使わせてもらおうかしら?」

 すると白い球体を取り出すレフティ。隣で戦っていたボタンがそれに気づく。

「ゼロスタルオーブ…!ハルト!そいつはテラスタルを吸収してくる!だからテラスタルを使っちゃダメ!」

「………」

「滅びの輝きを喰らい!美しき未来へと導きなさい!」

 レフティが球体を強く握ると怪しげな霧が周囲に広がっていく!

「え!?なんで!?ハルトはテラスタルをまだ使っていないのに!」

 すると霧はペパー、ボタン、アメジオの方へと向かっていく!そして二人もこの異変に気がつく!

「馬鹿な!?」

「オレたちのテラスタルオーブの力が!」

「吸収されていく…!?」

「ゼロスタル!!」

「キキュアアアアアアアアアンッ!!!!!!」

 ゼロスタルによって強大な力を得たテツノイサハの雄たけびがフィールドに響き渡る!

「ふふ…ゼロスタルは相手がテラスタルを発動していなくても関係ない。周囲にテラスタルエネルギーがあればそれを吸収し我がものにするのよ」

「くそー!人のテラスタルを盗むなんて泥棒!!」

「…フレアドライブ!ぼうふう!」

 ゼロスタルに対してもハルトは怯まずにすぐに攻撃の指示を出す!

「テツノイサハ最大の攻撃を見せてあげるわ!サイコブレイド!!」

 テツノイサハは三本の角にサイコパワーを宿らせて剣へと変形!そして回転して斬撃を放つ!その威力は凄まじく、タイカイデンとウインディの大技をあっさり振り払い、二体を吹っ飛ばす!

「………」

 大きなダメージは受けたものの、タイカイデンとウインディは何とか立ち上がる。

「耐えた…惜しかったわね…もう少しテラスタルエネルギーを吸収できていれば一撃で倒せたんだけどね…救世主さん。貴方、テラスタルオーブを持ってきていないわね?」

「………」

「え?」

「どういうことだ?」

 レフティの話に驚いたのはハルトではなくペパーとボタンであった。

「ゼロスタルは周囲のテラスタルのエネルギーを奪い取る。もしテラスタルオーブをバッグやポケットにしまっていようともね」

「…あ!さっきゼロスタルの霧はうちやペパー、アメジオの方には向かっていったけどハルトの方には向かっていない!」

「だが何故だ?強敵と戦うつもりで来たのならテラスタルオーブは持ってくる方が自然なはず…相手がゼロスタルを使ってこないケースも考えられるからな」

「うっかり忘れた…って訳じゃねーよな…?」

「あなたとヴレイの戦いはあたくしも拝見させてもらったわ。でもずーっと気になってたのよね…ゼロスタルの性質を知らなかったにも関わらず、何故あなたはテラスタルを使わなかったのか。あなたからにじみ出る殺意、そしてあなたがテラスタルオーブを持ってこなかったことでやっと確信したわ」

「………」

「あなたはあの光り輝く地獄から帰ってきた。そして…テラスタルの恐怖を知っているのね?」

「………」

「光り輝く地獄…?」

「それにテラスタルの恐怖って…?」

「どういう意味なん…?」

「………戦いを続けようか」

「あら?少しは動揺するかと思ったけど…まあいいわ。テツノイサハ!」

「ウインディ。タイカイデン」

 ハルトは二体にアイコンタクトを送ると…右側から駆けるウインディ、空中から迫るタイカイデンと一緒にテツノイサハへ向けて走り始めた!

「ハルト!?」

「アイツ何考えてんだ!?」

(何故トレーナーが接近を!?…は!)

 レフティはハルトが手にモンスターボールを持っていることに気づく!

(テツノイサハの懐に飛び込んでポケモンを繰り出すのが狙いね!確かに至近距離でポケモンを繰り出して攻撃すればテツノイサハの斬撃を避けられる!でも!)

「ぼうふう!かえんほうしゃ!」

「サイコブレイド!トレーナーごと薙ぎ払いなさい!!」

 テツノイサハの放つ念力の剣はウインディの炎やタイカイデンの暴風を容易く吹き飛ばし、二体を返り討ちにする!そして…

「がはッ…!」

 襲い掛かる斬撃により腹部を切り付けられ、さらに吐血するハルト。そして切り傷から吹き出る血が周囲を赤く染めていく。

「「ハルト!!!」」

 そんな姿を見たペパーとボタンは友の名を叫ぶのであった…

 

To be contined…

 

ー次回「ユートピアの野望」ー

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