ポケモンロード バイオレット・レクイエム 作:とり。@pktorisky
「サイコブレイド!トレーナーごと薙ぎ払いなさい!!」
テツノイサハの放つ念力の剣がウインディとタイカイデンを吹き飛ばし、そしてハルトにも襲い掛かる!
「がはッ…!」
「「ハルト!!!」」
斬撃により腹部を切り付けられ出血するハルトを見て叫ぶペパーとボタン。
「ふふふ…あたくしはトレーナーは狙わないように攻撃してあげるほど甘くは…!?」
(手に持っていたモンスターボールが無い!?まさか!?)
斬撃を受けたのと同時にハルトはボールを高く放り投げていた。そして既にボールからはポケモンが繰り出され、まさに攻撃を放とうとしている!
「ぽに!」
おめんポケモンのオーガポン。付けている面によってタイプが変わるのが特徴だが…今身に着けているのは『かまどのめん』。怒りを象徴するほのおタイプの姿であった。
「ツタこんぼう!!」
ーポケモン勝負における人間への直接攻撃は、公式戦では反則とされる行為だが、致命的な弱点も抱えているー
ーそれは人間を攻撃している間ポケモンは無防備になることであるー
「そんな…馬鹿な!?」
炎をまとったこん棒を振り下ろすオーガポン。落下の勢いによってパワーアップした渾身の一撃がテツノイサハに炸裂したのであった!
ポケモンロード バイオレット・レクイエム
Chapter4 第二の刺客
巨大テツノイサハは倒れ、レフティはその下敷きになる!!
「よっしゃあ!ハルトの勝ちだ!じゃなくて!!」
「ハルト!?大丈夫!?めっちゃ血出てるけど!?」
すぐに駆け寄ってきたペパーとボタンがハルトを心配する。
「大丈夫…致命傷にはならないように…避けたから…」
「致命傷じゃないって…それでも無茶し過ぎだろ!?」
「この程度の痛みなら…死にはしない…死ななければいいんだ…生きて勝つことさえできれば問題ない…この世界でならね…」
「でも!」
「二人とも。ハルトを心配する気持ちは分かるが、まだ戦いは終わっていない!」
するとテツノイサハがモンスターボールへと戻っていく。そして…レフティはよろよろと立ち上がる!
「…!」
「その姿は!?」
レフティを見て驚くペパーとボタンとアメジオ。テツノイサハの下敷きになったことにより着ていたローブは破け、顔の左側に付けていた仮面も割れてしまっていたが…あらわになったのは人肌ではなく、機械でできた腕と足と顔だったのだ。
「機械の身体…」
「まるで未来のパラドックスポケモンみてーな…」
「………」
「まさか…人間じゃなくてロボット…!?」
「いや~ん。恥ずかしい姿を見られちゃったわね。本当は全身人工皮膚にしてあたくしの美貌を完全再現したかったんだけど…そんなことより」
レフティはボタンたちがいた方へと目を向ける。そこには戦闘不能になったテツノツツミ軍団たちが横たわっていた。
「流石にこれ以上戦っても勝ち目はなさそうね。いいわ。今回は素直にあたくしの負けを認めてあげる」
レフティが指を鳴らすとテツノツツミたちが一斉にモンスターボールへと戻っていき、そのボールが何処かへ転送される!
「テツノツツミ!ゆきげしき!」
レフティはもう一体のテツノツツミをボールから出して技を指示。するとレフティの周囲が真っ白な雪に包まれる。
「でもあたくし達の計画は順調に進んでいる。果たして止められるかしら?じゃあね。パルデアの救世主と愉快なお仲間さん?」
そして雪が消えるとレフティの姿も無くなっていた。
「何とか追い払えたみたいだけど…」
「悪いアメジオ!その部屋を調べるのはオマエに任せていいか!?」
「うちらはハルトを病院に連れて行くから!」
「これくらい大丈夫…」
「だいじょばねえ!!」
「無茶すんなし!!」
「…分かった。ここから先はオレたちエクシード社の方で調査を進めよう」
「よろしくね」
「それじゃ行くぞハルト」
「…うん」
こうして地上へ戻り救急車を呼びハルトに付きそうことにしたペパーとボタン。
(それにしても…)
ボタンは1年前のハルトのことと先ほどのハルトの戦いを思い浮かべる。
(ハルトは困ってる人やポケモンを放っておけないお人好しで、人やポケモンのために身体を張って怪我することだってあった。でも自分を犠牲にしてまで敵を倒そうとするなんて…いくらなんでもおかしい!)
さらにボタンはレフティの発言を思い出しつつ、ボロボロになったハルトに目を向ける。
(それに光り輝く地獄にテラスタルの恐怖?本当に…ハルトの身に何があったん…!?)
それから三日後…再び舞台はハッコウシティへ。
「ハルト…本当に大丈夫なのかオマエ?入院とかしなくて」
「致命傷は避けたから平気だって言ったでしょ?」
「いや、でもな…」
「ペパー。諦めなよ。無茶はしてるんだろうけど止めようとしたところでハルトは行くって言うだろうから」
「はあ…それもそうか…ハルト!痛かったらちゃんと言えよ」
「それと遠慮せずにうちらを頼ってね」
「…うん。じゃあ行こうか。エクシード社へ」
「アメジオから色々分かったことがあるってメールが来たんよね」
「きっとまたビルの前でアイツが待ってて」
「よ!久しぶりだな!ボタン!」
「って誰ー!?」
エクシード社のビルの前で待っていたのは白い髪が特徴的な白衣を着た若い男性。年齢は三十歳前後に見える。
「あ、お久しぶりですフリード博士…ってまともに話すのは初めてなような…?」
「ん?そうだったか?ま、お前はオレの大事な仲間のドットの友達!つまりオレにとってはお前も大事な仲間ってことだ!気軽に接してくれ!ははは!」
「うう…こういう陽キャなノリ苦手…」
「おっと。お前たちとは初めましてだな。改めて自己紹介させてもらうぜ。オレはポケモン博士のフリードだ!」
「ポケモン博士!?あ!オレはペパー!」
「はじめまして、フリード博士。ハルトです」
「よろしくな!ペパー!ハルト!」
「フリード博士はライジングボルテッカーズの元リーダー。今はエクシード社に博士として力を貸してるんだって。ちなみにポケモン勝負も超強い」
「属性モリモリ過ぎんだろ…」
「ペパーがそれ言うん?」
(ボタンも大概だと思う)
「そういえばアメジオが研究室に凄腕のトレーナーがいるって言ってたけど…アンタのことだったのか!」
「まあな。せっかくパルデアチャンピオンに会えたんだ。本音を言うとトレーナーとして今すぐにでもバトルを挑みたいところだが…それはまた今度だな」
「フリード博士。分かった事を色々教えてくれませんか?」
「もちろんだぜ!そのためにお前たちを呼んだんだからな」
三人はポケモン博士のフリードに案内されエクシード社の会議室へ。そこにはアメジオとジニアの姿があった。
「よ!アメジオ!」
アメジオはペパーとボタンに気づくとほんのり微笑んで軽く手を振る。
「ジニア先生も来てたんですね」
「どおもどおも。ぼくも色々調べましたからねえ」
「役者は揃ったな。それじゃあミーティングを始めるぜ!」
大型モニターに映像を映し出しフリードが話し始める。
「まずはボタンたちが見つけたラクリウム・コアについてだな」
「ユートピアのヴレイ…あいつがアカデミーを襲ったのには何か理由があると推理したうちとペパーはアカデミーを調べることにした」
「そこでぼく、ジニアと合流して…」
「エリアゼロの地下洞窟に繋がる秘密の入口を見つけた。そして…」
「その先のエリアゼロにあったのがラクリウム・コアだったん…」
「ラクリウムはポケモンを凶暴化させる物質で、その根源がラクリウム・コア。そしてコアはボタンやアメジオさん、フリード博士が仲間と一緒に破壊したんですよね?ぼくがいない間にそんなことになっていたなんて…」
「そんなラクリウム・コアが何故復活したのか。ラクリウム・コアに直接触れるのは危険ですので、ぼくたちは周囲の土や鉱石を分析して調べることにしましたあ」
「そして…あそこには元々超巨大なテラスタル結晶があったことが分かった!」
「超巨大な…」
「テラスタル結晶!?」
「超高濃度のテラスタルエネルギーがあった痕跡が土や鉱石から検出されてな。エリアゼロで検出されるテラスタル結晶と比べても非常に高濃度なものだった」
「あそこにはテラスタルの根源…テラスタル・コアのようなものがあったのかもしれませんねえ…もしかしたらアカデミーの創設者もテラスタル・コアの存在を知った上であの地にアカデミーを建てたのかも…あくまでぼくの推測ですけどねえ」
「だがそのテラスタルのエネルギーがラクリウムに上書きされるように打ち消されたような痕跡があった。つまりラクリウムにはテラスタルのエネルギーを打ち消す力がある!」
「テラスタルを打ち消す!?」
「ヴレイやレフティが使ってたゼロスタルと同じってことか!」
「でもラクアでの戦いではテラパゴスがテラスタルの力でラクリウムを浄化させてましたよね?つまりテラスタルがラクリウムを消すってことで逆なんじゃ?」
「ラクリウムで打ち消せるテラスタルエネルギーには限界があります。つまりラクアの時は限界よりも大きなテラスタルエネルギーをぶつけてラクリウムの力を使い果たせることで浄化した訳ですねえ」
「ちなみにペパーが見つけた黒い結晶はエネルギーを完全に失ったテラスタル結晶の成れの果てだった。あれのおかげでラクリウムの性質が分析できた。お手柄だぞ」
「へへっ」
「アカデミー地下のエリアゼロにユートピアのメンバーも行ってる可能性が高いんだよね。じゃあそのラクリウム・コアもアイツらが設置したってことだね」
ハルトの考察に対してフリードはうなずき、そして話を続ける。
「それと…今パルデア地方各地でテラスタルエネルギーが弱まっている」
「そうなん!?ニュースにもなってないけど…」
「まだ調査中で正式発表はしていないからな」
「ポケモン勝負の時にテラスタルが不発する事態も起きてるようですねえ」
「この前の戦いでオレたちのテラスタルが不発したのもそのせいか!」
「そしてテラスタルエネルギーの減少はアカデミー襲撃事件後から発生している…テラスタル・コアが奴らによって破壊され、ラクリウム・コアが設置された事が原因と考えて間違いないだろう」
「エリアゼロのテラスタル・コアの破壊とラクリウム・コアの設置によるテラスタルエネルギーの減少…」
「そしてテラスタルの力を奪うゼロスタル…ユートピアの目的ってまさか…」
「「テラスタルの消滅!?」」
「その可能性は高いな」
「でもそんな事して何の意味があるん?」
「そこまでは分かりません…ついでにアカデミーの関係者ですら知らなかったアカデミー地下への扉を彼らが知ってた理由もまた謎ですねえ…」
「奴らの真意は分からないが…その野望を止める方法をオレたちは既に知っている。ボタン、アメジオ。お前たちなら勿論分かるだろ?」
「復活したラクリウム・コアを消滅させる。その方法はテラパゴスと18種類のテラスタイプを持つ強力なポケモンを集めた上で…」
「伝説級の超大技でラクリウム・コアを一撃で破壊すること」
「そう。そしてエリアゼロでテラパゴスのゲットに成功。さらに他の地方の伝説ポケモンに匹敵するポケモンも仲間にしている。そんなトレーナーが今のパルデア地方には一人だけいる」
フリードはハルトに目線を向ける。
「…ぼくのことだね」
「確かにハルトのミライドンはめちゃくちゃ強いもんな!あのヤバそうなコアもぶっ壊せるかもしれねえな!」
「だがラクアのラクリウム・コアはレックウザとジガルデがメガシンカした上で同時攻撃してようやく破壊することができた。パルデアに出現したコアがラクアのコアよりは小規模なこと、そしてミライドンが伝説級のポケモンという事を踏まえてもそう簡単には壊せないだろう」
「…メガシンカってこの前戦ったカラマネロがやってたアレだよな?伝説のポケモンがさらに強くなるのかよ!?しかもそれが二体って…スケールデカすぎちゃんだぜ…」
アメジオの指摘に対してペパーは驚きの表情を見せた。
「だがメガシンカに匹敵する力を使えばミライドンでもコアを破壊できるとオレは考えている」
「メガシンカに匹敵する力…テラスタルか…」
「でも…レフティは『ハルトはテラスタルを恐れている』って言っていた。ごめん、答えづらい事を聞いちゃうけど…もしかしてハルト、テラスタルがトラウマなん?」
ボタンの問いかけに対してハルトは申し訳なさそうにうなずく。
「…すまない。ぼくじゃ力になれない」
「あ!別に責めてる訳じゃないんよ!むしろうちは…これ以上ハルトが傷つくような事はさせたくないし!」
「それにネモを助けたのもレフティを倒したのもハルト!オマエだ!力になれないどころかめちゃくちゃ頑張って一番貢献してるじゃねーか!!もっと誇ってくれ!」
「だからフリード博士…!」
「分かってる。これから別の方法を考えないとな」
「大事な教え子に無理強いさせるなんて、ぼくにとっても不本意ですからねえ」
「テラスタルといえば…パルデア以外にもテラスタル結晶ってあったよな?」
「キタカミの里やイッシュ地方にあるブルーベリー学園ですねえ。特にキタカミのてらす池はテラスタルと深い関係があるのではないかと研究者の間でも言われていますし…」
「ブルーベリー学園ではテラスタルの研究も積極的に行われている。奴らの目的がテラスタルの消滅ならターゲットになる可能性はあるな。念のためにブルーベリー学園に警戒するように連絡を入れておこう」
「スグリやゼイユにも教えた方がいいんじゃねーか?」
ハルトはペパーの問いかけに対してうなずいた。
「オレからの報告は以上だ。ここからはアメジオ。お前に任せるぜ」
アイコンタクトを送るフリード。アメジオはうなずき話し始める。
「エクシード社の秘密の地下室を調べたら…こいつが見つかった。お前たちも読んで欲しい」
そう告げてアメジオがハルトたちに手渡したものは…
「これって…日記…?」
「ああ。そしてその持ち主は…スピネルだ」
To be contined…
ー次回「スピネルの日記」ー