ポケモンロード バイオレット・レクイエム   作:とり。@pktorisky

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 行方不明だったハルトが帰ってくる一か月前…
 大企業エクシード社によって発売された道具『ストロングスフィア』の使用を認めるか否かでブルーベリー学園は真っ二つに分かれていた。
 そんな中、推進派と禁止派による学内討論会が開かれ…
「…議長、証人を呼んでいい?」
「もちろんです」
「………」
「お前は…!」
 禁止派のリーダーであるスグリが証人として呼んだとある男子生徒の姿を見て、推進派の生徒たちはざわつき始めるのであった!

ポケモンロード バイオレット・レクイエム

外伝 ブルべリーグ・コンフリクト



中編 ストロングスフィア・タクティクス

「アイツ…前まで推進派のメンバーだったザーキーだよな!?」

「裏切ったのか!?」

 おどおどする様子のザーキーに対し、推進派のメンバーは驚き、そして怒りをぶつける。

「ううっ!ごめん!でも…」

「…何があったのか話して」

「はい…ぼくは全然ポケモン勝負で勝てなくてランキングも最下位で落第寸前。だから勝ちたくてストロングスフィアを使ったんだ。そのおかげで連勝して落第は回避できたんだけど…ある日ドードーがいなくなっちゃったんだ…」

「今思えばストロングスフィアを使ってる時、ドードーは苦しそうだった。もしかしたらそのせいでドードーはいなくなっちゃったんじゃないかって思ったんだ…あんな道具を使わなければドードーは…!」

「彼のように既にストロングスフィアによる実害が出てる。これ以上使い続けるのは危険すぎる」

「それはストロングスフィアが原因なのではなく、弱いトレーナーである貴方がポケモンに見限られたとも考えられるのでは?」

「そんな言い方ないだろ!!」

 これまで怒りを我慢して様子見していたアカマツであったがついに立ち上がる!

「おや。これはブルべリーグ四天王のアカマツくん。キミは禁止派という訳ですか」

「ポケモンとトレーナーの絆に強さなんて関係ない!ザーキー!お前はストロングスフィアを使ってドードーを傷付けちゃったのかもしれない!でも反省してるならきっと想いはドードーにも届くはずだよ!」

「アカマツ先輩…!」

「…そんなポケモンに何故こだわるのです?いなくなってしまったのなら代わりのポケモンを捕まえればいいだけでしょう?」

「そういうの良くないと思います!」

 続いてタロも立ち上がって大きな声で告げる!

「ポケモンは友達であり家族であり仲間です!たとえ同じ種類のポケモンだったとしても代わりなんていません!」

「タロ先輩…!」

「やれやれ。ブルべリーグ四天王とあろう者にしては感情的じゃありませんか?実に非論理的な反論ですねえ」

「じゃあ俺からは論理的に反論してやるよ」

「ほう?」

「ストロングスフィアで絆が失われたポケモンはトレーナーの元を去ってしまう。お前はそのたびにポケモンを育て直すのか?」

「………」

「頑張って育てたポケモンもストロングスフィアを使って逃げられたらまた育て直さなきゃいけない。だったらそんな道具に頼らず愛情を込めて育てたポケモンとずっと戦い続けた方が、お前の言うタイパもよっぽどいいと思うけど?」

「ほう…」

「禁止派の俺の意見は以上」

「では推進派のボーマ。貴方の意見を」

「まず第一にストロングスフィアを推進する理由!それは平等だからです!」

「平等?」

「ブルーベリー学園でテラスタルを使えるのは適性検査で合格した生徒のみ!適性検査不合格でテラスタルが使えなかった我々では貴方たち合格者と互角に戦うのはあまりにも難しい…」

「「そうだそうだー!」」

「その点ストロングスフィアには適性検査は不要!お値段もお安く貧乏学生にもありがたい!まさに平等ではありませんか!?」

「…話を続けなよ」

「おやおや反論無しですか!では遠慮なく!先ほど貴方はストロングスフィアの欠点として『戦略的な戦いができない』『ポケモンとトレーナーの絆が失われる』と申し上げましたね?」

 スグリはボーマの問いかけに頷く。

「ですがもしストロングスフィアの欠点を完璧に克服できるとしたら?」

「…どうやってそれを証明する?」

「もちろんポケモン勝負で!議長!」

「…両者が同意するのであればポケモン勝負での決着を認めましょう」

「その勝負受けてやるよ」

 

 そして生徒たちはブルーベリー学園のエントランスにあるバトルコートへ。するとそこへ一人の男が歩いてきた。

「審判はこの僕がやらせてもらうねー」

「シアノ校長!?」

(生徒たちの問題は生徒たちで解決させるのが僕の方針だけど…校長として、この勝負の行方は見届けさせてもらうよ)

「ルールはブルべリーグレギュレーションでいいかな?」

「使用ポケモン六体のダブルバトルですか…」

「もちろんです」

 

 一方で生徒たちは推進派と禁止派に分かれて観客席に座って様子を見守る。その中にはもちろんタロとアカマツ、そしてネリネの姿も。

「やっぱりポケモンのことはポケモン勝負で決着付けなきゃだよな!」

「なんだか物凄く回りくどいことをしたような…とにかくスグリくんには勝ってもらわないとですね!」

(スグリ…頑張って)

 

「それでは両者同時にポケモンを!」

-ブルーベリー学園の ボーマが 勝負を しかけてきた!-

「行け!ニョロトノ!ポリゴンZ!」

「行きなさい!サーナイト!ゴローン!」

 スグリはかえるポケモンのニョロトノとバーチャルポケモンのポリゴンZを繰り出した。ニョロトノの登場と共にフィールドに雨が降り始める。

 一方ボーマはゴージャスボールからほうようポケモンのサーナイト、クイックボールからがんせきポケモンのゴローンを繰り出す。ゴローンは電気を帯びているのが特徴な『アローラのすがた』だ。

(ゴローニャじゃなくて進化前のゴローン…?)

「それでは試合開始!」

「ふっ!」

 するとボーマは早速バッグの中から白い球体を取り出す。問題となっている道具『ストロングスフィア』だ。

 

「いきなりストロングスフィアかよー!?」

「推進派のリーダーというだけありますね…」

「ですが取り出したのは一個だけ」

「あ、確かに。ストロングスフィアは一個につきポケモン一匹にしか使えないから、ダブルバトルなら二個同時に使いそうだけど…」

 

(何か狙いがあるべか…?)

 ボーマがストロングスフィアをゴローンに向けて投げる!ゴローンはピンクの煙に包まれていき…

「ぐぐぐ…ぐゴロオオオオオオオオオオオン!!!」

 しばらく苦しんだ後、大きな雄たけびをあげる!

「気を付けて!ニョロトノ!ハイドロポンプ!」

「サーナイトはてだすけ!そしてゴローン…アタック!!」

 サーナイトが祈るような仕草をした後、ゴローンの身体がエネルギーを帯び始める!

 

「ゴローンの方が先に動いた!?

「ゴローンって速いポケモンではありませんよね!?」

「どうやらストロングスフィアの力で素早さが大きく上がっている模様」

 

(あの技は…まさか!?)

「まずい!ポリゴンZ!まもる!」

「無駄だ!!」

 ゴローンは超巨大な『だいばくはつ』を引き起こす!その爆風は凄まじく、ニョロトノは吹き飛ばされ、さらにポリゴンZが周囲に展開したバリアを打ち破って急所に命中!攻撃の余波でスグリまで吹っ飛ばされる!

「うわっ!」

「「スグリ!」」「スグリくん!!」

 爆発が収まるとそこには三匹のポケモンが横たわっていた。シアノがそれを確認し判定を下す。

「ゴローン、ニョロトノ、ポリゴンZ!戦闘不能!」

「いたた…見せ場を作ってやれなくてごめん…戻って休んでて」

 スグリは起き上がった後にニョロトノたちをボールに戻す。

 

「いきなりだいばくはつなんてありかよ!?」

「だいばくはつ…使ったポケモンは戦闘不能になってしまう代わりに周囲に大ダメージを与える…まさに捨て身の大技です…!」

「しかも大半の攻撃を防げるまもるを打ち破るとは。想定以上の破壊力です」

 観客席で驚くアカマツ。一方でタロとネリネは冷静に戦況を判断する。

「でもだいばくはつって味方も巻き込むはずだよね?それじゃあサーナイトは…」

 アカマツがフィールドに目を向けると…サーナイトは平然としている!

「ダメージを受けていない!?」

「あのサーナイトの特性はテレパシーのようです。味方が使う広範囲の攻撃に巻き込まれません」

「って事は相手は一体戦闘不能になったのに対してスグリは二体やられちゃったってこと!?超不利じゃん!?」

「ですがスグリならこの状況からでも巻き返せる。ネリネはそう信じています」

「そうですね…今はスグリくんを応援するしかありません!」

「頑張れー!スグリー!」

 

「両者次のポケモンを!」

「カミツオロチ!オーロンゲ!」

「やれ!」

 スグリが次に繰り出したポケモンはりんごオロチポケモンのカミツオロチとビルドアップポケモンのオーロンゲ。対するボーマがクイックボールから繰り出したポケモンは…

「ゴロオオオオオ!!!」

「またゴローン!?」

 観客席から驚くアカマツの声が聞こえてくる一方で、スグリは冷静だった。

「…やっと分かったよ。ストロングスフィアで強化しただいばくはつでせん滅する。それがお前の戦法か!」

「ふっふっふ…」

 

「ストロングスフィアでだいばくはつ…あ…!ストロングスフィアは使うとポケモンに強い負荷がかかるけど…」

「だいばくはつは元々使うと戦闘不能になってしまう技…」

「実質デメリットを帳消しにできるわけだねぃ」

「カキツバタ!」「カキツバタ先輩!」

「よーっす未来のチャンピオンたち」

 同じくブルベリーグ四天王のカキツバタは三人の隣の席に座る。

「ポケモン勝負はどんなに味方が倒されようと手持ちポケモンが残れば勝ち。三体のポケモンのだいばくはつで二体ずつ倒して六体戦闘不能にすれば三体は残るって訳か…確かに理には適ってるねぃ」

「ちょっとカキツバタ!あんな奴の肩を持つんですか!?」

「別に肩を持つ気なんてねーよ。ただあいつはルール違反は犯していない」

「カキツバタの言う通りです。彼がルールに則って戦っている以上、お灸を据えるには勝つしかありません」

「でもストロングスフィアを使ったポケモンってアタック!って指示しかできないんだよね?だいばくはつ以外の技を使ったら成り立たなくない?」

「いや、一つだけ確実に爆発させる方法があるぜぃ?」

「…あ!ポケモンに覚えさせる技をだいばくはつだけにすれば…」

「絶対に爆発させられるってこと!?そんなのあり!?」

 

「それとお前のゴローンたちは捕まえたばかりでほとんど育てていないな?」

「ほう…そこまで見抜きましたか…」

「え!?」

「なんだってー!?」

 観客席ではアカマツだけでなくタロも驚く一方でボーマは語り始める。

「ストロングスフィアを使うとポケモンに負荷が掛かること。そして絆が失われてトレーナーの元を去るポケモンもいること。それくらいは私も知っています。そこで私は捕まえたばかりのポケモンを爆弾にする戦法を考案しました!」

「………」

「お察しの通りこのゴローンたちはさっきテラリウムドームで捕まえたばかり。愛着なんてものは全くありませんから、どんなに傷つこうが、絆が失われて私の元を離れようが、極端な話こいつらが死のうともどうでもいいんですよ!!」

「そんなのひどい!ひどすぎます!!」

「それじゃまるで捨て駒じゃんか!!」

「捨て駒にする事の何がいけない?例えばステルスロックからのだいばくはつ。ポケモン交代の際に体力の少ないポケモンを敵の攻撃を受ける壁にして、エースポケモンを無傷で場に出す…ポケモンの犠牲を前提とした戦術は上級トレーナーでもよく使うじゃないですか?」

「トレーナーとポケモンが信頼し合い、勝負の後にちゃんとトレーナーがポケモンをいたわっているならそういう戦術もなくはないです」

「だけどお前ゴローンたちにありがとうの一言も無いじゃん!」

「なるほど!お礼を言えばいいのですね!ありがとうゴローン!私の勝利のための生贄になってくれて!この戦いが終わったら野生に還るといいでしょう!まあ金と時間の無駄なので手当はしてあげませんがね!ははははは!!」

 観客席からブーイングするタロとアカマツに対しボーマは高笑いする。

 

「くっ…なんて奴だ!」

「でもこの戦法…だいばくはつを使えなくさせられる特性『しめりけ』のポケモンが一匹いるだけで壊滅しませんか?」

「逆に聞くけどよタロ。相手がどんなポケモンを使うか分からない状況で…だいばくはつ対策のためだけにわざわざ手持ちの一匹をしめりけのポケモンに変えるか?お気に入りのポケモンを差し置いて」

「いえ…たぶん変えませんね…」

「そう。対策すれば簡単に攻略できるけど、普通のトレーナーならこんな戦術は使わないから対策するはずがない。しかし無対策では倒しにくい…それが厄介なんだよねぃ」

「ただし爆弾戦術が強いと証明された場合、勝つために模倣するトレーナーも増えると予想されます」

「そして流行りの戦術の対策に特化したチームを組むのも戦術の一つだ。みんなが爆弾戦術を使い始めたらその対策も流行り出すかもしれないけどねぃ」

「えー!?みんながポケモンを爆弾にするの!?そんなブルーベリー学園嫌だよ!」

「でもスグリくんがここで負けたそうなってしまうかもしれません…」

「この勝負はボーマの連続爆発を処理できるかで決まる。たぶん相手の爆弾は残り四発…さてさて。我らがチャンピオン様はどうしますかねぃ?」

 

「…試合を再開しようか」

「いいでしょう!ふん!」

 ボーマはバッグから再びストロングスフィアを取り出し、ゴローンに向けて投げる!

「グルルル…ゴロオオオオオオオオオオオン!!!」

 ストロングスフィアを浴びて苦しみながら雄たけびをあげる!

(またストロングスフィア…ということは…)

「サーナイトはてだすけ!ゴローン!アタック!!」

 ゴローンの身体が再びエネルギーを貯め始める!

「ヤバイよスグリ!またストロングだいばくはつが来る!」

 客席で見守るアカマツが思わず大きな声で叫ぶ!

「させない!オーロンゲ!ねこだまし!!」

「ゴロ!?」

 オーロンゲがゴローンに急接近し、目の前で両手を叩くと…ゴローンの動きが止まる!

「今だ!カミツオロチ!ゴローンにだいちのちから!!」

 カミツオロチが雄たけびをあげるとゴローンの足元から大地のエネルギーが吹きあふれ出す!

「何!?」

 強力な攻撃を受けて吹っ飛ばされるゴローン!シアノが判定を下す。

「ゴローン、戦闘不能!」

 

「やった!爆発する前にゴローンを倒した!」

「上手いねぃ…ねこだましは先制攻撃技。いくらストロングスフィアで強化されたポケモンでも先制技より先に動く事はできない」

「ねこだましは威力こそ高い技ではありませんが、攻撃を受けたポケモンを必ずひるませる効果があります!」

「そしてひるんだ隙を突いてアローラゴローンに非常に有効なじめん技で一撃で倒した。無駄の無い戦術です」

「すごいよスグリ!!たった一回ストロングだいばくはつを喰らっただけでもう対抗策を思いつくなんて!」

 

「さあ!反撃開始だべ!」

「クッ…!」

 

To be continued…

 

次回 後編「本当の愛情」

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