ポケモンロード バイオレット・レクイエム   作:とり。@pktorisky

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 ポケモン勝負の進学校、ブルーベリー学園ではポケモンを強化するアイテム『ストロングスフィア』を推進するか禁止するかで意見が真っ二つに別れていた。
 禁止派のリーダーであるスグリは推進派のリーダーであるボーマとのダブルバトルで決着を付けることになったが、ボーマのストロング爆弾戦法に苦戦を強いられる。しかし…

「オーロンゲ!ねこだまし!!」
「ゴロ!?」
「今だ!カミツオロチ!ゴローンにだいちのちから!!」
 隙を突いた一撃によりだいばくはつを未然に防ぐことに成功する!
「さあ!反撃開始だべ!」
「クッ…!」

ポケモンロード バイオレットレクイエム

外伝 ブルベリーグ・コンフリクト


後編 本当の愛情

-ブルべリーグチャンピオンの スグリ-

手持ちポケモン:残り4体

バトルポケモン:カミツオロチ、オーロンゲ

-ブルーベリー学園の ボーマ-

手持ちポケモン:残り4体

バトルポケモン:サーナイト

 

「チッ…ですが私にはまだ爆弾が三発残っている!」

 ボーマは戦闘不能になったゴローンをボールに戻し、三体目のゴローンを繰り出す!

「そしてねこだましは戦闘に出た直後にしか使用できない技!つまり次のだいばくはつを防ぐことはできませんよねえ!?」

「………」

 三体目のゴローンに対してもボーマはストロングスフィアを使用。苦しみながらゴローンの力が溢れだす!

「てだすけ!アタック!!」

 サーナイトのてだすけを受けたゴローンがだいばくはつ!フィールドは爆発によって発生した煙に包まれる!

「これでスグリ君のポケモンは四体戦闘不能。対する私の爆弾は残り二発。こいつらで残り二体のポケモンを仕留めれば私の勝…な!?」

 勝利を確信していたボーマであったが、煙が晴れて現れた光景に驚愕する。そこにはオーロンゲに加えてヒールポケモンのガオガエンが立っていたのだ。そして倒れているゴローンを確認し、シアノが判定を下す!

「ゴローン戦闘不能!」

「ストロングだいばくはつを耐えただと!?あり得ない!!」

「フッ…俺のポケモンをよく見てみなよ」

「ガオーン!!」

 嘲笑するスグリに合わせるように雄たけびをあげるガオガエン。そしてボーマはガオガエンとオーロンゲの周囲にバリアが発生している事に気づく。

「…はっ!まさか!?」

 

 そして試合の様子をブルべリーグ四天王であるアカマツ、ネリネ、タロ、カキツバタの四人も見守っていた。

「スグリはゴローンの爆発前にカミツオロチをガオガエンに交代した!そしてガオガエンの特性はいかく!」

「戦闘に出た時に威嚇して相手の攻撃力を下げちまう強力な特性。ゴローンもビビっちまったようだねぃ」

「さらにスグリはオーロンゲにリフレクターを指示しました。リフレクターが発動するとしばらくの間、物理攻撃によるダメージは軽減されます」

「そしてオーロンゲの特性は変化技を先制して出すことができるいたずらごころ!ですのでだいばくはつより先にリフレクターを使うことができました!」

「まとめると特性いかくによってゴローンの攻撃力は減少。さらに技リフレクターによってだいばくはつのダメージは軽減」

「いくら強力なストロングだいばくはつといっても、ここまでされたら火力不足って事だね!」

「どうやらチャンピオン様が流れを掴んできたようだねぃ」

 

「これでお前の手持ちはサーナイトを含めて残り三体。爆発だけで数的優位を取るのも難しくなってきたけどまだ続けるか?」

「ちっ…やれ!」

 ボーマは戦闘不能になった三体目のゴローンをボールに戻し、四体目のゴローンを繰り出す!そしてまたしてもストロングスフィアをゴローンに向けて使う!

「てだすけ!アタック!」

「ガオガエン!ゴローンにねこだまし!」

 今度はガオガエンがゴローンの目の前で両手を叩く!爆発しようとしていたゴローンであったが、怯んで動きが止まる!

「く…またねこだましか…!」

「オーロンゲ!サーナイトにソウルクラッシュ!」

 オーロンゲは体毛を変化させて筋肉のように増強した腕でサーナイトを攻撃!強烈な一撃にサーナイトが体勢を崩した…その時であった!

「わ…私のサーナイトに何しやがる!!!」

「!?」

 突然態度が豹変するボーマにアカマツやタロはもちろん、ストロングスフィア推進派をはじめとする観客たちも驚く。一方でスグリ、ネリネ、カキツバタの三人は冷静であった。

(ソウルクラッシュを耐えた…それに今の態度…もしかして…)

「お前、ゴローンたちと違ってそのサーナイトはちゃんと育てているな?」

「…ええ。サーナイトは私が幼い頃から共に過ごしたポケモン。愛情を込めて育てた最高のパートナーです」

「ストロングスフィアを使うとポケモンとトレーナーの絆が失われる。だからお前はサーナイトにはストロングスフィアを使わなかった…」

「かつての私は弱かった…そのせいで何度も負け、大好きなサーナイトが幾度となくひんしにさせてしまった事が悔しかった…だからこそサーナイトに勝利を捧げるためにストロング爆弾戦術を編み出した!」

「待ってください!あなたはポケモンへの愛情を知っている!だったら何故ゴローンたちにあんな事ができるのですか!?」

「どんなトレーナーにだって一番のポケモンはいるでしょう?私にとっての一番は…美しく賢くかわいらしくもあり気高く慈愛に満ちたポケモンであるサーナイト!その他の有象無象のポケモンなぞ興味すら湧かないのですよ!!」

(…ブルーベリー学園のテラスタルの適性検査ではエスパーポケモンによるトレーナーの精神面の検査も行われます)

(荒れてた頃のスグリですら元々の人間性、そしてポケモンへの愛情は捨てきれていなかったから適性検査も合格だった。こりゃこいつが適性検査を落とされたのは根本的な思想が排他的過ぎるのが原因かもねぃ…)

 熱弁するボーマに対し思わずアカマツとタロが絶句する傍ら冷静に分析するネリネとカキツバタ。そんな中でスグリが口を開く。

「お前…仲間を何体も犠牲にした勝利で本当にサーナイトが喜ぶと思っているのか?」

「はあ!?勝てば嬉しいに決まっているでしょう!!」

「………」

 サーナイトは勝負が始まってから今に至るまで一度も表情を変えていなかった…

「いや。少なくとも俺にはサーナイトがポケモン勝負を楽しんでいるようには見えない。お前は…自分の歪んだ愛情をただ押し付けているだけ!!」

「そんなはずはない!!お前に!!私とサーナイトの何が分かるッ!!」

(こいつ…昔の俺に少し似てるべ。俺も自分の気持ちをポケモンに押し付けていた。だから鬼さまもテラパゴスも俺じゃなくてハルトを選んだんだ。こいつを変えるには…理解らせるしかない!)

「アタック!マジカルシャイン!!」

「ガオガエン交代!オーロンゲ!ひかりのかべ!」

 スグリはガオガエンをボールに戻し、ドラゴンポケモンのカイリューを繰り出す!さらにオーロンゲがひかりのかべを放つとリフレクターと重なり透明な壁は二重に変化する!

 続いてゴローンが爆発し、さらに立て続けにサーナイトが強力な光をまとったエネルギーを放ち…オーロンゲが吹き飛ばされる!

「オーロンゲ!ゴローン!戦闘不能!」

 フィールドに倒れたゴローンとオーロンゲを確認してシアノが判定を下す!

 

「てだすけでだいばくはつを強化するんじゃなくて同時攻撃してきた!?」

「だがチャンピオン様は敵がそろそろ攻め手を変えてくることも想定していたようだねぃ」

「ひかりのかべは特殊攻撃を軽減します。物理攻撃であるだいばくはつへの耐性はありませんが、特殊攻撃であるマジカルシャインのダメージは軽減する。的確な判断です」

「さらにスグリくんはガオガエンをカイリューに交代しました!」

「カイリューの特性はマルチスケイル。体力満タンの時に受けるダメージを半減できる。こいつとオーロンゲのリフレクター、そしてひかりのかべのおかげで連続攻撃を耐えられた訳だねぃ」

「オーロンゲは戦闘不能になってしまいましたが、スグリくんのポケモンが戦いやすい状況へと導いてくれました!ナイスファイトです!!」

 

 スグリはオーロンゲ、ボーマはゴローンをボールに戻す。

「ありがとうオーロンゲ。おかげで勝利が見えてきたべ」

「チッ…」

「さて…出せよ。お前の最後のポケモンを」

「…やれ!」

「けっぱれ!ガオガエン!!」

 ボーマの最後の一体はゴローン。一方でスグリはガオガエンを再び繰り出した。

 

「やはりスグリはここでガオガエンを繰り出しましたか」

「え?ネリネ先輩ここでガオガエンを出すって分かってたの?」

「アカマツくん。ガオガエンがさっき使った技を思い出してください」

「ガオガエンの技?あ!」

「こりゃ『詰み』かもねぃ」

 

「ゴローンにねこだまし!」

 ガオガエンのねこだましを喰らい怯んでしまうゴローン。もはやボーマはストロングスフィアを使おうともしていなかった…

「クッ…やはりねこだましで動きを止めてくるか…!」

(流石にこの展開は読んでストロングスフィアの無駄打ちはしなかったか…)

「カイリュー!ゴローンにハイドロポンプ!」

「マジカルシャイン!」

 カイリューの放つ水流がゴローンを吹っ飛ばす!続いてサーナイトの放つマジカルシャインがカイリューとガオガエンに命中。カイリューが墜落する!

「ゴローン!カイリュー戦闘不能!」

 

「よっしゃあ!これで5体のゴローンを全部倒した!」

「これでアイツの残りポケモンはサーナイトだけ」

「そしてサーナイトは先ほどオーロンゲが使ったソウルクラッシュのダメージを受けています」

「勝利は目前です!決めちゃってくださいスグリくん!」

 

「頑張ったなカイリュー。戻って休んで。次で決める!カミツオロチ!」

 スグリはカイリューをボールに戻し、再びカミツオロチを繰り出す!

「この私が…負ける…?ストロング爆弾戦法を編み出してここまで勝ち抜いてきたというのに…!?」

「ナ…!」

 するとサーナイトの目が赤く光る。超能力を使い、ボーマのバッグからストロングスフィアを取り出したのだ。

「!?」

「おいサーナイト!?何をやってる!?」

 

「まさかサーナイト、自分でストロングスフィアを使おうとしてる!?使ったらすごく苦しいはずなのに!」

「この展開はネリネの予想外」

「サーナイトはトレーナーの気持ちを敏感にキャッチするポケモンです…」

「どんな手を使ってでも勝ちたいというアイツの気持ちを感じ取り過ぎちまったのかもしれないねぃ」

 

 そしてストロングスフィアが開き、サーナイトはその煙を自ら浴びる!

「ウ…ウウウウウ…!!!」

 苦しみながら雄たけびをあげるサーナイト!

「やめろ…私はお前が苦しむ姿なんて見たくない…!!」

 さらにサーナイトの周囲に霧が発生し、ピンクに輝くブラックホールのような物質が発生し始める!

 

「まさか…ミストバーストを使おうとしているのですか!?」

「ミストバーストって確か…」

「自らを犠牲にして大ダメージを与えるフェアリー最大級の攻撃技です…!」

「このまま負けるくらいなら相打ちにしてやろうって事!?」

 

「馬鹿な!?そんな技、私は覚えさせていません!!」

「ポケモンはトレーナーや他のポケモンから経験を得ます」

「そしてサーナイトはトレーナーを守るためなら命を懸けてサイコパワーを最大まで使いブラックホールを生み出すこともあると言われています…」

「お前が爆弾戦法ばかり使っていたせいで、サーナイトは自らの身を犠牲にすることを学んじまったのかもしれないねぃ…」

「ってブラックホールなんて起こしたらこのブルーベリー学園もヤバイんじゃ!?」

「やめろおおおおおおおおおお!!!!!」

「…ガオガエンはてだすけ!カミツオロチ!最大パワーでリーフストーム!!」

 カミツオロチはガオガエンのてだすけを得て大量の葉と共に大竜巻を巻き起こす!

 サーナイトがミストバーストで発生させたブラックホールをリーフストームをみるみる吸収していくが、その勢いは段々と弱まっていき…リーフストーム、ミストバーストが共に消滅する!

 そして力尽きフィールドに倒れたサーナイトを目にしたシアノが判定を下す!

「サーナイト戦闘不能!ボーマさんのポケモンが全て戦闘不能になったため、この勝負スグリさんの勝利!!」

「ふう…みんなよく頑張ったべ」

「サーナイト!!」

 ボーマはすぐにサーナイトの側に駆け寄り抱きしめる!

「本当に…本当にすまなかった…!!」

(人とポケモンが強くなるのに必要なのは信頼関係。道具に頼ることじゃない。僕の考えは間違っていなかった事をスグリさんはバッチリ証明してくれたねー)

 

(オーロンゲがサーナイトに放ったソウルクラッシュには相手の特攻を下げる効果がある。これが最後の最後で効いたみたいだねぃ)

「やったー!スグリの勝ちだ!!」

「本当にひやひやする勝負でしたよ…」

「ま、相手はストロングスフィアを五個も使ったのに対してチャンピオン様はテラスタルを使っていない。実力の差は歴然だったねぃ」

「ネリネはスグリが勝つと最初から確信していました」

「さてと…」

 カキツバタはストロングスフィア推進派が座っていた反対側のベンチに目を向ける。

「あのボーマ先輩が負けた…?」

「やっぱりストロングスフィアに頼ってちゃダメなのかな…?」

「それにボーマ先輩があんな奴だったなんて…」

 推進派のメンバーたちはかなりざわついている様子であった。

「ありゃ推進派が解散するのも時間の問題だねぃ」

「今回の件で懲りてくれるといいのですが…」

「スグリー!」

 アカマツが観客席から飛び降りてスグリの元へ向かう!

「やったね!すごい熱い勝負だった!」

 そして他の四天王たちもスグリの元へ向かう。

「ネリネは…スグリなら必ず勝つと信じていました」

「にへへ…アカマツ…ネリネ…みんなありがとう!」

「な?オイラが言った通りだっただろ?アイツらは理解らせてやるのが一番手っ取り早いって」

「頑張ったのはスグリくんです。カキツバタは何もしてないじゃないですか」

「相変わらずタロは手厳しいねぃ」

「あ!そういえばスグリくんの喋り方が元に戻りましたね!」

「本当だ!オレ心配したんだよ!またつまんなそうにしてた頃のスグリに戻っちゃったんいじゃないかって!」

「心配かけてごめんな!実は…」

「ぼくたちのせいなんです!」

 そこへやってきたのはストロングスフィア禁止派の生徒たちだ。

「ぼくたちはストロングスフィアを禁止したいと思っていたけど、推進派のメンバーに実力じゃ全然敵わなくて…それでスグリ先輩にリーダーをしてもらっていたんです!」

「俺も今年の新入生はストロングスフィアに頼る奴ばっかりでうんざりしてたから引き受けたんだべ。それで俺がリーダーをやると決めた時…ねーちゃんがよく『喧嘩は舐められたら負けよ!!』って言ってたのを思い出したんだ。だから…」

「オラついて舐められないようにしてたんだねぃ」

「スグリくんが変わってなくて安心しました!」

「そういえばゼイユ先輩は?」

「ゼイユならブライア先生の助手として今はカントーに行ってるはずです」

「まあ助手と言ってもたぶんまたサボって観光してると思うべ…」

 

「ぶえっくしょん!!…誰か美人なあたしの噂をしていたわね!」

 スグリの姉のゼイユがいるのはブルーベリー学園から遠く離れたカントー地方の都市、ヤマブキシティだ。

「さてと…ブライア先生はシルフカンパニー?のお偉いさんとテラスタルエネルギーについて研究してるらしいけど…まだまだ時間かかりそうだし、終わるまでたっぷり観光するわよ!」

「そうだ。スグやリーグ部のみんなにお土産を買ってあげないと。もちろんハルトの分もね!」

 

 そして再びブルーベリー学園にて。

「スグリ先輩!」

 禁止派の生徒たちがさらにやってきた。そこにはドードーを連れたザーキーの姿も。

「ザーキー!ドードー見つかったべか!」

「はい!みんなが一緒に捜してくれたんです!もうあんな事はしないから!これからもよろしくな…ドードー!」

「ピー!」

 

-一週間後、ボーマは自主退学しました-

-彼がその後どうなったのかを知る由はありませんが、考えを改めてトレーナーとしてまたゼロから歩み始めてくれたらいいなとわたしは思っています-

 

-それとボーマが爆弾として捕まえていたゴローンたちはストロングスフィア禁止派のみんなで保護することになりました-

-大半のゴローンたちは手当てした後、だいばくはつ以外の技も覚えさせた上で元々棲んでいたキャニオンエリアに返してあげましたが…-

-何匹かのゴローンはお世話していたトレーナーに懐き、彼らの仲間になりました!-

-新たなトレーナーの元で他のポケモンたちと一緒に楽しく暮らしています!-

 

-その翌週にはエクシード社が行っていた悪事が明らかとなり、ストロングスフィアは販売中止、回収されることになりました-

-当然ストロングスフィア推進派も消滅。こうしてブルーベリー学園のストロングスフィア騒動は幕を下ろしたのです-

 

「カミツオロチ!きまぐレーザー!」

 そしてスグリは今日もブルーベリー学園でポケモン勝負を繰り広げる!

(ハルト…お前が帰ってくる日まで俺はブルべリーグチャンピオンの座を守り続ける!)

(だから絶対帰ってきて!そして…また勝負さしよ!)

 

外伝 ブルべリーグ・コンフリクト ~fin~

 

ーNext Chapter「ハルトの追憶」ー

 

ー次回「ぶつかり合う想い」ー

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