ポケモンロード バイオレット・レクイエム 作:とり。@pktorisky
「このアカデミーはみんなの思い出がいっぱい詰まった宝物なんだよ!?それを滅茶苦茶にするなんて…こんなの絶対間違ってる!!」
「そうか。どうやら君と俺は相知れないようだ。さてどうやって俺を止める?このまま無駄な説得を続けるつもりか?」
「ポケモン勝負であなたを倒してみせる!!」
そう告げるとネモはモンスターボールを取り出し、ヴレイに向けて構える!
「それでこそポケモントレーナーだ。良かろう。相手になってやる」
何処からともなくモンスターボールが現れ、ヴレイはそれを手に取りネモに向けて構える。
「わたしは許さない!みんなのアカデミーを…そしてハルトが帰ってくるこの場所を壊したあなたを!!絶対に!!!」
ネモVSヴレイの戦いが今、幕を開ける…!
ポケモンロード バイオレット・レクイエム
Chapter1 争乱の幕開け
ーユートピアの ヴレイが 勝負を しかけてきた!ー
「行け!ルガルガン!!」
「…テツノカシラ」
ネモとヴレイは同時にポケモンを繰り出す!
「初めて見る未来のポケモン…」
(見た目は伝説のポケモンのコバルオンに似てるけど…)
以前もパラドックスポケモンと何度か戦ったことがあるネモはその事を思い出す。
(今まで戦った未来のポケモンは似た姿のポケモンとタイプがちょっと違っていた。コバルオンはかくとう・はがねタイプだけどこのポケモンは…)
「ルガルガン!ステルスロック!!」
ルガルガンがおたけびをあげるとテツノカシラの周囲に透明な岩が現れ始める。
「長期戦を見据えてまずは下準備といったところか。悪くはない判断だ。ならばこちらは最初から攻めさせてもらおうか。タキオンカッター!」
テツノカシラの角から二本の粒子の刃が放たれる!
「かわして!」
素早い身のこなしで走り回り、攻撃を回避しようとするルガルガンであったが…
「無駄だ」
攻撃の軌道が変化、二本の刃に挟み撃ちにされてしまい、ルガルガンは気絶する!
「ルガルガン!」
「まずは一匹」
「ありがとう、ルガルガン。戻って休んでて」
ネモはルガルガンをボールに戻す。
(ルガルガンが一発で…でも今の攻撃、効果は抜群って感じだった。ルガルガンの弱点と今の技の雰囲気からタイプを考えるなら…相手ははがねタイプ!なら!)
「パーモット!」
ネモはてあてポケモンのパーモットを繰り出した!
「インファイト!!」
パーモットは高速でテツノカシラの懐に飛び込み、強烈なパンチのラッシュを繰り出すが…
(はがねに抜群なかくとうわざなのに手ごたえが薄い…!)
「サイコキネシス!」
「エスパーわざ!?」
テツノカシラはサイコパワーでパーモットを空中に浮かばせた後、地面に叩きつける!効果抜群の攻撃を受けパーモットも倒れてしまう。
「また一撃で…!?」
「これで二匹。どうした?パルデアチャンピオンはこの程度か?」
「…ありがとうパーモット。戻って休んでて」
ネモはパーモットをボールへと戻す。
(戦況はこっちがかなり不利だけど…ルガルガンとパーモットのおかげで相手のタイプが完全に分かった…まだ勝機はある!)
「次はこの子!ジュナイパー!」
ネモはやばねポケモンのジュナイパーを繰り出した!
「ゴーストタイプのポケモン…テツノカシラがエスパータイプであることを見抜いたか」
「ジュナイパー!飛びながらかげぬい!」
自らの羽を弓矢にして戦うジュナイパー。飛行しながら影を帯びた弓を放つ!
「タキオンカッター。一発目はかげぬいを迎撃、二発目で本体を撃ち落とせ!」
テツノカシラの放った刃はそれぞれ別方向に飛んでいき、一発目の刃は弓にぶつかり、軌道がずれたかげぬいはテツノカシラから外れてしまう。
そして二本目の刃は翼に命中し、ジュナイパーは墜落してしまう!
「ジュナイパー!大丈夫!?」
ジュナイパーは何とか攻撃に耐えたようだが、地面に這いつくばってしまう。
(強い…!ただテツノカシラが伝説級に強いだけじゃない…トレーナーも冷静で指示にも全く無駄がない…それに…)
「………」
(威圧感に殺意…この人から感じるものは…今まで戦ったトレーナーとは…全然違う…!)
「とどめだ。タキオンカッター!本体へと集中攻撃!」
ジュナイパーが地面に這っていたのもあり、タキオンカッターは地面にも激突し、周囲に砂埃を巻き起こす!
「………やられたか」
砂埃が少しずつ消え始めたタイミングでヴレイとテツノカシラは異変に気づく。ジュナイパーの姿がなかったのだ。
「ゴーストダイブ!!」
テツノカシラの足元の影からジュナイパーは勢いよく飛び出す!効果は抜群だ!
「タキオン…」
「ふいうち!!」
すぐさま反撃しようとするテツノカシラであったが、その前にジュナイパーは強烈なキックをお見舞いし…ついにテツノカシラが倒れる!
「これで一体!まだ勝負は分からないよ!」
「あえて這いつくばることで攻撃を地面へと誘導し、砂埃を誘発して目くらまし。タキオンカッターでも追撃できない影の中をゴーストダイブで移動して仕留めたか…流石はパルデアチャンピオンといったところか」
ヴレイはテツノカシラをボールへと戻す。
(この人…切り札級のポケモンを倒されたというのに焦りが全く感じられない…まさかまだ奥の手があるというの…?)
「ならばこちらも本気を出すとしよう。行け」
2体目のポケモンを繰り出すヴレイ。現れたのは…
「コフュオオオオオオオオオオン!!!!」
地響きを起こすほどの雄たけびがフィールドに鳴り響く!
「そんな…2体目のテツノカシラ!?しかも…」
未来のパラドックスポケモンは似た姿のポケモンよりも身体が小さいのが特徴。先ほど繰り出されたテツノカシラもその例外ではなかったが…
「いくらなんでも…大きすぎるでしょ…」
その体長は3m以上。通常のテツノカシラの2倍近い超巨体であった。
「この時代ではヌシ、またはオヤブンと呼ばれるポケモンを再現した特殊個体。こいつこそが俺の切り札だ。さて、これでも続けるつもりか?」
「当たり前でしょ!ジュナイパー!ふいうち!」
「無駄だ」
ジュナイパーは急接近して蹴りを喰らわせるが、テツノカシラは大きなダメージは受けていない!
「タキオンカッター!」
テツノカシラの周囲に無数の刃が発生し、ジュナイパーに襲い掛かる!その威力は一体目のテツノカシラのタキオンカッターとは比べ物にならないほどであった。
「ジュナ…」
ジュナイパーを呼びかけようとしたその時であった。タキオンカッターの余波がネモにも襲い掛かってきたのだ。
「…っっっ……!!」
ネモの身体に襲い掛かる激痛。耐えきれずにうつ伏せになり倒れこんでしまう。
(何…これ…痛い…苦しい…)
ネモは自らの目の前が赤く染まっていくことに気づく。
(これって…血…?それに…)
必死に起き上がろうとするネモであったが震えが止まらない。それは身体に受けたダメージだけが原因ではなかった。
(今までわたしは自分よりも強いトレーナーと出会ったらワクワクを感じていた…だけど今のわたしが感じているのは…死への…恐怖…)
「ジュ…ナイ…パー…戻って…休んで…」
震えながらも手を動かし、倒れてしまったジュナイパーを何とかボールに戻すネモ。
「チャンピオンネモ。確かに君は強い。だがこの時代のポケモン勝負はスポーツのようなもの、道楽に過ぎない。あの地獄で生き残るために戦った我々に君は勝てない」
「生き残る…ために…壊して…傷つける…?そんなの…」
ネモが脳裏に蘇るのはたくさんのトレーナーと戦った日々。そして最後に思い浮かべたのは最大のライバルの笑顔であった。
「ポケモン勝負…じゃない…!!」
残り僅かな力を振り絞り…ネモは震えながらもよろよろと立ち上がる!
「ほう…」
「…ウェーニバル!!」
ネモはダンサーポケモンのウェーニバルを繰り出した!
「アクアジェット…!」
水流を身にまとったウェーニバルは猛スピードでテツノカシラに突撃!
「アクアステップ…!」
さらに踊るように華麗な足技による連続攻撃が炸裂する!
「ワイドフォース!」
しかしテツノカシラも反撃。周囲に発生したサイコパワーによってウェーニバルは吹っ飛ばされてしまうが…ウェーニバルはネモを悲しませまいと持ちこたえる!
「ウェーニバル…!」
(ここでこれを使えば…わたしの身体が耐えられないかも…でも…やるしかない…!)
そう考えながらネモが取り出したのはモンスターボールに似た形で不思議な輝きを秘めた不思議な黒い球体。
「テラスタルオーブ…ッ!」
「光れ…かがやけ…!わたしの…最高の…宝物…!」
テラスタルはパルデア地方に伝わるポケモンの可能性を引き出す力。最後の力を振り絞ってネモはテラスタルを発動しようとするが…
「テラスタル…破滅の輝きにすがる愚かな者め…!」
ヴレイが静かに怒ると彼の左手にピンクの霧をまとった白い球体が現れる。その球体にネモは見覚えがあった。
「ストロング…スフィア…!?なんで…!?」
「あのような欠陥品と一緒にされるのは心外だな。ラクリウムの本当の力を見るがいい!」
ヴレイが球体を強く握ると怪しげな霧が周囲に広がっていく!
「滅びの輝きを喰らい!真なる未来へ導け!!」
すると霧はテラスタルを使おうとするネモの方へ向かっていく!
「…え!?」
そして霧は光を吸収し…ネモのテラスタルオーブは輝きを失ってしまい…
「ゼロスタル!!」
「コフュオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!」
輝きを吸収し増大化した霧を身にまとい、テツノカシラに力がみなぎる!!
「わたしたちの…輝きが…奪われた…!?」
「ワイドフォース!!」
強大化したサイコパワーが容赦なくウェーニバルに襲いかかる。
「ウェーニバ…え…!?」
ネモが相棒の名を叫ぼうとしたその時であった。ネモが右手に握りしめたテラスタルオーブからピキピキと音が聞こえてきて…テラスタルオーブはひび割れて砕ける!
「そん…な…」
そして攻撃の余波に襲われるネモ。受け身を取る余力もなく、吹き飛ばされ再びうつ伏せに倒れてしまう…
「これで四体が戦闘不能。それ以前に…む?」
「ウェー…ニバル…あり…がとう…」
ウェーニバルをボールに戻すネモ。そして…
「まだ…終わって…いない…!」
もはやネモには立ち上がる力すら残されていなかった。それでも最後の力を振り絞り、必死に起き上がろうとする。
「何故立ち上がろうとする?最早君に勝ち目はない。それどころか身体の弱い君自身がもう限界だ。おとなしく降参したらどうだ?」
「ハルトなら…ハルトなら…諦めないから…!」
「そうか…では君の健闘に敬意を表し、一つ教えてあげよう」
「…?」
「パルデアの救世主…ハルトは俺が殺した」
「………………………え………?」
「君の愛する好敵手はもうこの世にはいないのだよ」
「…嘘だ…嘘だ…!あなたたちは…確かに強い…でも…ハルトが…負けるはずが…」
「では一つ問おう。ハルトは何故ラクアに現れなかった?」
「………!!」
ネモの友達にはとある宿命を背負った少年少女たちがいた。そして数か月前、ネモは秘境ラクアで起きた彼らの因縁の敵との戦いに同行した。
もちろん友達の力になりたかったというのが同行した最大の理由だが、ネモが参戦した理由はもう一つあった。
ーこの戦いには世界の命運が掛かっているー
ーこんな絶体絶命の状況なら…ハルトなら助けにきてくれるよねー
だがネモたちが追い詰められようとも…
世界がどんなに危機的状況になろうとも…
ハルトは最後まで決戦の舞台には姿を現わさなかった…
「もし救世主ハルトが生きているなら決戦の地に必ず現れる。その事は君が一番理解しているだろう?」
「ハルトが…死んだ…」
最後の希望すら失い、起き上がることもできなくなったネモ。その瞳からも輝きは失われていた。
「もはや戦う気力…いや、生きる希望すら失ったか。俺からのせめてもの手向けだ。今あの世へ送ってやる」
…ダメだ…戦うどころか…もう…指一本動かない…
…頭も…ぼーっとして…まぶたも…重くなってきた…
…わたし…このまま死んじゃうのかな…?
…でも…そしたら…またハルトに…会えるかも…
…天国でも…ポケモンを捕まえて…育てて…ハルトといっぱい勝負して…
…そう考えたら…もう…死んじゃっても…いいかな…
…ハルト…
「イナズマドライブ!!!」
突如天から降り注ぐ紫に輝く雷。テツノカシラに強烈な強烈な電撃が襲い掛かる。
「何…だと…!?」
意識を失いかけていたネモであったが、その雷で再び目を覚ます。そして…
「………………!」
ネモの目に映ったのは…ボロボロになった制服を着た小柄な少年の後ろ姿。そしてネモにとっては見慣れた後ろ姿であった。
「…ハルト………!」
To be contined…
ー次回「救世主の凱旋」ー