ポケモンロード バイオレット・レクイエム 作:とり。@pktorisky
テーブルシティに戻ってきたハルトとボタンはカラフシティでユートピアと遭遇したことをクラベルに話す。
「ユートピアのヴレイは仲間のライドウに『準備が終わった』って言ってました」
「だから大きな動きがあるかも…」
「…ラクリウムコアは刺激さえしなければ危害を及ぼしません。ですので破壊はハルトさんの精神が回復してから、万全を期してと考えていましたが…どうやら時間はあまり無いようですね」
ハルトはクラベルに対して頷いた。
「ですがこのような事態も想定して準備は進めています」
「そうなんですか!?」
「ええ。では緊急会議としましょうか!」
ポケモンロード バイオレット・レクイエム
第22話 決戦開幕
ハルトとボタンとクラベル、車椅子に乗ったネモ、そしてその車椅子を押すペパー。五人はパルデアポケモンリーグ本部へやってきた。
ちなみにネモは入院着ではなく、いつもの制服に着換え済みだ。
「お久しぶりです皆さん。特にチャンピオン・ハルトは一年ぶりですね」
「お久しぶりですオモダカさん」
「修行から戻ってきたんですね」
「ええ。皆様にはご迷惑をおかけしましたが、おかげで素晴らしい経験ができました。この経験は今回の戦いで必ず役立つでしょう」
オモダカはパルデアリーグの代表を務める女性。オモダカの右腕である四天王のチリも一緒だ。
「さて!時間も無いし早速本題に入るで!」
リーグ本部内の会議室に入り、一行は作戦会議を始める。
「まずは状況を整理しましょう。チリ」
「はい。一週間前にユートピアのヴレイによるアカデミー襲撃事件が起きました」
眼鏡をかけたお仕事モードのチリが丁寧な口調で説明する。
「その本当の目的はアカデミーを破壊することじゃなくて…」
「アカデミーに隠された地下道からエリアゼロの最深部に行って…そこにあるテラスタルエネルギーの源のテラスタルコアを破壊することだった」
「アイツらによってテラスタルコアが壊されて代わりにラクリウムコアが現れたんだよな」
「その結果パルデアのテラスタルエネルギーが減少し始めました。さらに分析を進めた結果ラクリウムにはテラスタルを消滅させる力があることが分かりました」
「それでテラスタルを消滅させる事がユートピアの目的だと分かった」
「何よりハルトはユートピアがテラスタルを滅ぼそうとしている動機を…タイムスリップして味わったんよね…」
「…未来の世界はテラスタルによって滅んでしまっている」
「ユートピアが歴史を改ざんしようとするのも無理はないと思う。でも!」
「そのせいで多くの人やポケモンが苦しみを味わった…あんなやり方をぼくたちは許す訳にはいかない!」
「ハルトさんのおっしゃる通りです」
「あとテラスタルコアは攻撃してきた相手を追尾し反撃してくる性質があるんよね」
「裏を返せば刺激しない限り攻撃はしてこない」
「ですので我々はユートピアの動向を警戒しつつ、ラクリウムコア破壊のための準備に徹することにした訳です」
「そのタイムリミットがついに来たけど…」
「うちらはラクリウムコアを破壊する方法も知ってる!」
「18タイプのテラスタイプを持つ強いポケモンたちを集めること」
「その力をテラパゴスの力で一つにして、伝説級の一撃をコアにぶつける!」
「ハルトはテラパゴスも仲間にしてるし、何より超強いミライドンがいる!ミライドンをテラスタルさせればラクリウムコアを破壊できるかもしれないってことだな!」
「でも18タイプか…ぼくは色んなポケモンを育ててきたけど、手持ちに入れられるポケモンは6体だけなんだよね…」
「その点はご心配なく。強力な助っ人をお呼びしました」
「助っ人?」
「アオキ!」
会議室にやってきたのはくたびれた印象のスーツの男性。パルデアリーグの四天王の一人でジムリーダーも兼任しているアオキだ。
「…営業は好きでは無いのですけどね。仕事ですのでパルデア各地をめぐって話をつけてきました」
『おはこんハロチャオー!何者なんじゃ?ナンジャモです!』
「ナンジャモさん!?」
突然会議室のモニターがビデオ通話に切り替わる。通話相手はハッコウシティのジムリーダーで大人気ストリーマーでもある女性、ナンジャモだ。
『今日は決戦に参加する頼もしい助っ人たちを紹介しちゃうぞー!刮目せよー!このトレーナーたちだー!』
-ジムリーダー カエデ パートナー:リングマ テラスタイプ:むし-
-ジムリーダーコルサ パートナー:ウソッキー テラスタイプ:いわ-
-ジムリーダー ナンジャモ パートナー:ムウマージ テラスタイプ:でんき-
-ジムリーダー ハイダイ パートナー:ケケンカニ テラスタイプ:みず-
-ジムリーダー アオキ パートナー:ネッコアラ テラスタイプ:ノーマル-
-ジムリーダー ライム パートナー:ストリンダー テラスタイプ:ゴースト-
-ジムリーダー リップ パートナー:フラージェス テラスタイプ:エスパー-
-ジムリーダー グルーシャ パートナー:チルタリス テラスタイプ:こおり-
「すごい!パルデアジムリーダーが勢ぞろいだ!」
「あれ?でもアオキさんのパートナーってムクホークじゃないんですか?」
「そうですね…大人の事情、とでも言っておきます」
「大人の事情?」
「何はともあれ8タイプ!」
「ジムリーダーだけではありません!」
「四天王とチャンピオンも参戦しますの!」
-四天王 チリ パートナー:ドオー テラスタイプ:じめん-
-四天王 ポピー パートナー:デカヌチャン テラスタイプ:はがね-
-四天王 ハッサク パートナー:ガブリアス テラスタイプ:ドラゴン-
-トップチャンピオン オモダカ パートナー:ドドゲザン テラスタイプ:ひこう-
会議室に四天王のポピーとハッサクもやってきた。
「ポピーちゃん!大きくなったねー!」
「この1年間で背が20cmも伸びましたの!この調子でいつかおねーちゃんたちも追い越しちゃいますのー!」
ネモに褒められてポピーはご満悦だ。一方でハルトが気になったのはハッサクと彼のパートナーポケモンであった。
「ハッサク先生!そのガブリアスってもしかして!」
「ええ!フカマル先輩改めガブリアス先輩です!授業では様々なテラスタイプを披露しましたが、今回はドラゴンテラスですよ!」
「キラガブ!」
「そして今回の戦いには我らアカデミーも参戦させて頂きます!」
-アカデミー教員 キハダ パートナー:ハリテヤマ テラスタイプ:かくとう-
-アカデミー教員 ミモザ パートナー:ドヒドイデ テラスタイプ:どく-
-アカデミー教員 タイム パートナー:キョジオーン テラスタイプ:いわ-
-アカデミー校長 クラベル パートナー:ラウドボーン テラスタイプ:ほのお-
「先生全員では無いんですね?」
「万が一に備え何人かはテーブルシティ周辺に待機していただきます」
-ポケモントレーナー ペパー パートナー:マフィティフ テラスタイプ:あく-
-ポケモントレーナー ボタン パートナー:ニンフィア テラスタイプ:フェアリー-
「そして最後はオレとボタンだ!」
「これで18タイプ揃った!」
「すごい…こんなにたくさんのポケモンとトレーナーが力を貸してくれるなんて…!」
「…ラクアでの戦いの時は大きな社会的権力を持つエクシード社が相手。我々リーグ協会のような権力者が敵対声明を出すと大きな混乱をもたらしてしまいます。ゆえにライジングボルテッカーズと共に戦う事はできませんでした」
「アカデミーやブルーベリー学園といった学校内ですら騒動が起きるほどでしたからね。これがパルデア全土に広がると…最悪の場合はストロングスフィア過激派によるテロや内戦に発展し一般の人やポケモンが巻き込まれる危険性すら考えられます」
「せやけど今回はそんな厄介な足かせは無しや!」
「リーグもアカデミーも全面協力ですよ!」
「本当はわたしも参戦したかったけど…」
ネモは包帯が巻かれている自分の足に目を向ける。
「これじゃ文字通り足手まといになっちゃうよね…」
「今回の戦いは激しい乱戦になる事が予想されますからね…」
「チャンピオン・ネモ。このパルデアリーグ本部はもぬけの殻となってしまいます。ここを守っていただけませんか?」
「…分かりました!ハルト!みんな!わたし、応援してるからね!」
「うん!みんなが力を貸してくれるんだ…絶対に成功させる!」
「ところで今ラクリウムコアはどうなってるんだ?」
「それはうちが説明するね。実はスター団のみんなが警備を買って出てくれたん。何かあったら連絡してくれるって…」
ボタンのスマホロトムの着信音が鳴り響く!画面に表示されている通話相手の名前はスター団ボスの一人、ピーニャ。
「言ったそばから…」
「嫌な予感がするぜ」
「もしもしピーちゃん?」
『大変だよボタン!パラドックスポケモン軍団が攻めてきた!』
「戦況は?」
『スター団総出で戦ってるけどかなり押されてるね…特に聖剣士三体に似たポケモンが強すぎる…!』
「聖剣士三体って事は…!」
「ヴレイ、レフティ、ライドウの三人が同時に来たって事か…!」
「…ピーちゃん。作戦Oを実施して」
「え?でもあれは…」
「ピーちゃん。『ムリはきんもつ』」
『…分かったよ、マジボス』
ボタンとの通話を切るピーニャ。エリアゼロの最深部ではスター団とユートピアによる乱闘が繰り広げられていた。
「オマエたちは乱闘に慣れてるんだなー!」
「だがその程度では我々の足元には及ばん」
「くっ…!」
ユートピアのヴレイ、レフティ、ライドウと対峙するのはスター団リーダーのメロコ、シュウメイ、オルティガ、ビワの四人。
そしてユートピアの連れてきたパラドックスポケモン軍団をスター団のしたっぱたちが相手しているが…いずれも追い詰められていた。
「みんな!マジボスからの指示を伝えるよ!!作戦O!!今すぐに!!」
「え!?マジかよ!?」
「まだ戦えるけど…ボタンちゃんを心配させちゃいけないよね」
「心得たでござる!ベトベトン!くろいきり!!」
シュウメイの繰り出していたヘドロポケモンのベトベトンが技を放つと真っ黒な霧に包まれ周囲が見えなくなる!
「あら?何か仕掛けてくるつもりかしら?」
「どんな手で来ようともおでのパワーで返り討ちにしてやるぞ!」
「作戦O…それは…」
「「「おつかれさまでスター!!」」」
「全員撤収!!全力で逃げろー!!!」
霧にまぎれてスター団たちはアカデミーの方へ向けて全速力で走っていく!
「え…えぇ?マジかよ!?」
「…追いかける?」
「俺たちの目的はこのラクリウムコア。目的は既に達成した。奴らに戦意が無いのなら深追いする必要は全くない」
「ほ…良かった」
「自分の身の程を弁え、時には逃げる。格上相手にも突っ込む馬鹿よりもああいう奴らの方が好印象だ」
「好印象なのね…」
「とはいえ増援が来る前に守りは固めておくか…アイツらを出すぞ」
そしてポケモンリーグ協会では…
「これでよしと」
「ユートピアは目的のためなら人の命を奪うこともいとわない連中。無理せず撤退はナイス指示だぜマジボス」
「いや校長なんで急にネルケのキャラになってるん!?」
「いえ、なんとなく」
「それよりも…ついに行動を起こしてきましたね」
「ラクリウムコアを奪われちまったか!」
「でもずっと放置してたのに何で今さら取り返しにきたんだろう?」
「分からないけど…このままユートピアを放っておいたら最悪の事態になる…そんな嫌な予感がする」
「何としてでも取り返さねーと!」
「すぐに出発しましょう!チリ!ジムリーダーの皆さんに連絡を!アカデミーで合流してそのまま奪還しに行きますよ!」
「了解!」
「よし!ぼくたちも…」
『ハルト!聞こえるか!オレだ!』
「!?」
(今の声は…テレパシー?それにこの声は…!?)
こうしてアカデミーへと急いで向かった一行。そしてペパー、ボタン、クラベル、チリ、ポピーの五人がアカデミーに到着すると…
「ボタン!!」
「みんな!!」
スター団のリーダーたちが校舎から走ってきた。ポケモンたちに乗せられているしたっぱたちも一緒だ。
「ごめん!あまり役に立てなくて!」
「ううん!みんな頑張ったし…何より無事なのが一番だから…!」
「敵はどれくらい倒せたんだ!?」
「パラドックスポケモン軍団は結構倒したんだけど…」
「コフュオオオオオオオオオン!!」
「キキュアアアアアアアアアン!!」
「グルュルルウウウウウウウン!!」
三体のパラドックスポケモンが校内からやってくる!
「うわ!追ってきた!アイツらに敵わなかったんだ…!」
「…分かった。ここからはうちらに任せてみんなは早く逃げて!」
ボタンの指示に頷くピーニャ。そしてスター団たちはアカデミーから離れるように避難していく。
「聖剣士と呼ばれる伝説のポケモン、コバルオン・ビリジオン・テラキオンによく似たパラドックスポケモン…名前はテツノカシラにテツノイサハ…」
「テラキオンに似てるのはテツノイワオってライドウが呼んでた気がする」
「ユートピアはパラドックス聖剣士を二体ずつ持ってたよな?」
「普通のサイズと超巨大なオヤブンサイズで…」
「コイツらは見た感じ通常サイズやし、本命の方では無いようやな」
「ですが手ごわい相手なのには変わりありません」
「ジムリーダーさんたちはまだ来てないみたいですの…」
「今はオレたちだけで何とかするしかねえな!」
「手分けして相手しましょう」
「じゃあうちはテツノイワオを相手する!スター団の仇はマジボスのうちが取る!」
「スター団の皆さんは私の大切な生徒でもあります。ボタンさん!私も加勢させていただきますよ!」
「グルュルルウウウウウウウン!!」
-ボタン&クラベルVSテツノイワオ-
「じゃあオレの相手はアイツか…」
「キキュアアアアアアアアアン!!」
「ソウブレイズ!」
ペパーの隣に繰り出されるひのけんしポケモンのソウブレイズ!そして走ってペパーの元へやってきたのは…
「アメジオ!」
「フリードから連絡を受けて急いで来たが…間に合ったようだな」
「力を貸してくれねーか!?正直オレ一人じゃアイツに勝てる自信がねえ!」
「当然だ。それが『ダチ』というものだろう?」
「サンキューな!オレたちの友情パワーを見せてやろうぜ!!」
-ペパー&アメジオVSテツノイサハ-
「ほなチリちゃんたちは余りもんの相手やな」
「四天王パワーをお見舞いしてやりますの!」
「コフュオオオオオオオオオン!!」
-チリ&ポピーVSテツノカシラ-
「みんな!行くぜ!!」
To be continued…
-次回「オモダカの切り札」-