ポケモンロード バイオレット・レクイエム 作:とり。@pktorisky
映像にはオレンジアカデミーの入口で激戦を繰り広げるトレーナーたちが映し出されている。
「ふふ。ついに戦いが始まったようね」
「…妙だな」
「どうしたんだヴレイ?」
「テツノカシラたちと戦っているトレーナーをよく見てみろ」
「えーっと、おでのテツノイワオと戦ってる二人は…確か四天王だったか?」
「あたくしのテツノイサハと戦っているのはペパーとアメジオ…」
「そして俺のテツノカシラと戦っているのはボタンとクラベルだ」
「…あ!救世主がいない!?」
「奴は一体どこへ…?」
「ドラゴンアロー!!」
「チッ!テツノカシラ!!」
突如現れ奇襲を仕掛けるドラパルト!しかしヴレイは咄嗟に察知、テツノカシラが指示を受けて攻撃を受け止める!
そしてエリアゼロの最深部に現れたトレーナーは…
「救世主ハルト…それにトップチャンピオンだと…?」
ポケモンロード バイオレット・レクイエム
Chapter8 新たな境地
話は遡ること数時間前、ハルトたちが作戦会議をしていた時のこと。
『ハルト!聞こえるか!オレだ!』
「!?」
(今の声は…テレパシー?それにこの声は…!?)
「フリード博士!?」
(おっと!お口はチャックで頼むぜ!ユートピアの連中に聞かれちまうかもしれないからな。仕草は奴らに察されないように自然体で、伝えたいことは頭の中で考えて伝えてくれ!)
(分かりましたけど…どういう状況なんですこれ?)
(順を追って説明するぜ。オレは今エクシード社にいてスターミー教官や社内のエスパーポケモンたちの力を借りてお前にテレパシーを送っている)
(教官…?ってそれはまあいいか。何でわざわざテレパシーで?)
(ボタンたちはエクシード社を訪れた時、ユートピアのレフティはこちらの動きを分かっていたかのように襲撃を仕掛けてきた。恐らく奴らは何らかの方法でオレたちを監視している)
(監視…そういえばライドウがそんな事を言ってたかも。つまり普通に話したらユートピアに盗聴されるかもしれないって事ですか?)
(そう。だがテレパシーなら盗聴される心配も無いという訳だ。そしてお前にはこれから秘密の作戦を伝える!)
(秘密の作戦…?)
(実はジニア先生がアメジオたちとエリアゼロの調査をした時、ラクリウムコアのある最深部へと繋がる抜け道が見つかった)
(抜け道…ユートピアはこの事を知っているんですか?)
(いや。この二年間でエリアゼロでは大きな戦いが幾度となく起きた。この抜け道は激しい戦いによって起きた地形の変化で偶然出来たものだ。奴らも気づいていないだろう)
大きな戦いと聞いたハルトが思い浮かべたのは楽園防衛プログラムとの戦い、そして暴走したテラパゴスとの戦い。一方でフリードは黒いレックウザとの戦いを思い出したのであった。
(つまりその抜け道を使えばユートピアに気付かれないでラクリウムコアのある最深部までたどり着けるって事ですね?)
(そういうことだ。そしてこの抜け道はかなり狭いから少数精鋭で向かう)
(少数精鋭か…じゃあぼくとボタンとペパーで…)
(いや、ボタンたちには正面から攻めてもらって奴らの気を逸らしてもらう。その隙にお前はオモダカさんたちと一緒に抜け道で最深部に向かってくれないか?)
(オモダカさんと?オモダカさんにはこの作戦を?)
(もちろんテレパシーで連絡済みだ!道順は引き続きオレがテレパシーでナビゲートする!それじゃ作戦開始だ!)
そして現在に至る…
「まさか我々に気付かれずにここまでたどり着くとはな」
「でも意外だな!仲間と一緒に来るならてっきりオマエと仲良しなボタンやネモやペパーを連れてくると思ってたぞ!」
「まさかトップチャンピオンと一緒に来るとはね」
「小生たちもいますですよ!」
「まさかこのような業務をやらされるはめになるとは…」
そこへ現れたのは二人の男性。
「四天王のハッサク、それにアオキだったか」
「ユートピア!我々三人が貴方たちのお相手をしましょう!」
「オモダカさん…やっぱりぼくも…」
「いえ、貴方はこの戦いのおける最後の切り札です。次の戦いに備えていてください」
「いざという時はよろしくお願いしますですよ。もっとも!小生たちはこの戦い、勝つ気でいますが!」
「トップチャンピオンに四天王が露払いとは…救世主様はいい御身分ね」
「だが俺がネモを負かしたことは貴様も知っているのだろう?ネモより実力の劣る貴様らごときが我々の相手になるとでも?」
「それは実際に戦ってみなければ分からないでしょう?」
「随分と余裕だな…何か策でもあるのか…?」
「こまけーことは気にしねーで早くやろうぜー!テツノイワオ!」
「行きなさい!テツノイサハ!」
フォーゼが繰り出していたテツノカシラに続き超巨大サイズのテツノイワオとテツノイサハも繰り出される!
「では参りましょう!」
-オモダカ&ハッサク&アオキVSヴレイ&レフティ&ライドウ-
一方その頃アカデミーの入口では…
「ブラッキー!あくのはどう!!」
ユートピアのパラドックスポケモンたちとの戦いが繰り広げられていた!
「くっ…手ごわいですね…!」
「デデデリバー」
通常のテツノカシラたちと戦いを繰り広げるボタンたちの周囲に更なるパラドックスポケモンたちが近寄ってくる!
「おいおい!?他のパラドックスポケモンは倒したんじゃねーのか!?」
「まだ軍団兵が残っていましたか…!」
「このままじゃ…!」
「ハラバリー!ほうでん!!」
その時!強烈な電撃がパラドックスポケモンたちに炸裂!そして現れたのは…
「おはこんハロチャオー!パルデアジムリーダー到着だぞー!」
「ナンジャモさん!それにジムリーダーの皆さんも!」
「ポケモンを軍のように扱うなんてサムい連中だね…こいつらはぼくたちが片づけるからあんたたちはさっさとそっちを終わらせて」
ジムリーダーの一人、グルーシャがボタンたちに告げる。
「ありがとうございます!」
「よっしゃあ!オレたちも頑張るぜ!」
そしてエリアゼロ最深部で続く戦いは…
「タキオンカッター!」
「サイコブレイド!」
「パワフルエッジ!」
テツノカシラたちの攻撃が炸裂し、ブリガロン、カイリュー、カラミンゴの三体が戦闘不能にされてしまう!
「ふん。所詮はネモより格下のトレーナーか。話にならんな」
「お疲れ様ですブリガロン。戻って休んでください」
ブリガロンをボールに戻すオモダカ。ハッサクたちもポケモンをボールに戻す。
「…どうやらチャンピオン・ネモを倒したというその実力は本物のようですね。悪事に手を染めていなければリーグにお誘いしたいほどです」
「所詮この時代のポケモン勝負はスポーツに過ぎん。生き抜くために戦い抜いた我々と貴様たちでは覚悟が違う」
「覚悟ですか。ですが我々にはトレーナーたちを導く光としての覚悟と信念があります。舐めないで頂きたいものですね」
「この結果が既に覚悟の差を示しているだろう。それとも貴様らにはこの絶対的な力の差を覆す手でもあるのか?」
「ええ。キラフロル!!」
「行きますよ!セグレイブ!」
「…ムクホーク」
それぞれのエースポケモンを繰り出すオモダカたち。そしてパルデアの四天王とチャンピオンの証であるグローブを構えたところである事にハルトが気付く。
「オモダカさんたちのグローブに宝石みたいなものが付いてる…?前はあんなの付いてなかったよね…?」
「その石…まさかキーストーンか…!?」
「テラスタルの力を奪うゼロスタルの話を聞き、私は早急にテラスタル以外の切り札を用意する必要があると判断しました。そして我々三人はカロス地方へ赴き『継承者』と呼ばれるとあるトレーナーの元で修行いたしました」
「緊急出張はこりごりですよ。まあ、カロスの飯は美味かったですが」
「アオキ。こんな時に飯の話はないでしょう?」
「お見せしましょう!我々の切り札!そして覚悟を!!」
三人がグローブに付いたキーストーンに指を当てると共鳴!光り輝きだし、光がポケモンたちを包み込んでいく!
「光を超えよ!キラフロル!」
「新たなる竜の覚醒で戦いを彩りましょう!セグレイブ!!」
「普通じゃない事は好きではありませんが…仕方ありません。ムクホーク!」
「「「メガシンカ!!」」」
そしてキラフロルたちは力がみなぎり、それぞれ新たな姿へとメガシンカを遂げる!
「メガキラフロル!!」
「メガセグレイブ!!」
「メガムクホーク!」
メガシンカしたポケモンたちが雄たけびをあげる!
「これがメガシンカ…!話には聞いたことがあったけど…」
「ハルトさんは直接メガシンカを見るのは初めてでしたね」
「ふふ。ハルトさんも知的好奇心を抑えられないようですね。目が輝いています」
「メガシンカとかけたジョークですか!流石は代表!お上手ですね!」
「あ!本当ですね。気付きませんでした」
「…狙っていなかったんですか…」
「せっかくですから特別授業です!メガシンカの力を見せてあげましょう!」
「メガシンカは想定外だった。だが我々は負けん!」
「返り討ちにしてさしあげますわ!」
「うおー!相手にとって不足なし!面白くなってきたぞ!!」
「行きますよ!キラフロル!テツノイサハにヘドロばくだん!」
「ちっ!テツノカシラ!テツノイサハをかばえ!」
「させませんよ。ムクホーク、テツノカシラへインファイトです」
テツノイサハへ向けてヘドロを放つキラフロル。テツノカシラはテツノイサハへの攻撃をかばおうとするが、ムクホークがテツノカシラへ向けて強烈なキックで吹っ飛ばす!
「オヤブンの巨体を吹っ飛ばしただと…凄まじい脚力だな…」
「テツノイワオ!!」
とっさに前に出るテツノイワオ。攻撃が足元で爆発し、テツノイワオはよろめく!
「テツノイワオ!大丈夫か!?」
「タフなテツノイワオをよろめかせるなんていくら何でも威力が高すぎる…まさかメガキラフロルの特性はてきおうりょく!?」
「ご名答。自身と同じタイプの技の威力がより大きくなります!」
「今度は小生たちの番です!きょけんとつげき!!」
「テツノイサハ!サイコブレイドで迎え撃ちなさい!」
背中を向けて突撃するセグレイブに対しテツノイサハは斬撃を放つが、その勢いは留まらず攻撃が炸裂する!
「サイコブレイドが力負けした…!?なんたるパワー…!」
「テツノカシラ!ムクホークにタキオンカッター!!」
「ブレイズキックです」
テツノカシラの放つ刃がムクホークに襲い掛かるが…ムクホークは攻撃を受け止めた上で炎をまとった蹴りを放つ!
「何!?攻撃に耐えただと!?インファイトを放って奴は無防備になっているはずなのに…メガムクホークの特性はあまのじゃくか…!」
「………」
「ユートピアの切り札を相手に押してる!これがメガシンカの力…!」
「それだけではありませんよ!」
「ヴレイ。確かに貴方はチャンピオン・ネモに勝利しましたが、あの時我々は貴方たちの事を一切知りませんでした」
「ですがあなたたちとの数々の戦いを通し、今の我々にはそのノウハウがあります」
「作戦次第では格下が格上に勝つ事もある!これもポケモン勝負の面白さという訳ですよ!」
「ちっ…」
「三人とも凄い…!この調子なら…!」
「…レフティ。おで、あれをやるぞ」
「奇遇ね。あたくしも同じことを考えていたところ」
「おい待てお前たち…まさか!?」
するとレフティとライドウがあるものを懐から取り出す。それは…
「ゼロスタルオーブ!?」
「ですが貴方たちがテラスタルを吸収することを想定して我々は今はテラスタルオーブを持ってきていません!」
「それにぼくのテラスタルオーブは未来の世界でパワーアップしている…」
「フリード博士が詳しく調べたところハルトさんのテラスタルオーブのパワーはゼロスタルにも奪われないことが分かりました」
「そうね、確かに救世主のテラスタルオーブの力はゼロスタルオーブでも奪えないわ。でもあたくしたちにはこれがある」
「…ラクリウムコアですか!アオキ!ハッサクさん!ゼロスタルを止めますよ!!」
「そうはさせねえぞ!いわなだれ!!」
レフティを止めようとする三人のポケモンたちであったが、巨大な岩が降り注ぎ、行く手を阻む!ポケモンたちは攻撃で岩を振り払うが…
「くっ!」
その隙にレフティとライドウがゼロスタルオーブを天に向けてかざすと…突如ラクリウムコアが強い光を放ち始める!
「ラクリウムコアが…ゼロスタルオーブと共鳴している…!?」
そしてラクリウムコアの中央から巨大なビームが空へと向けて放たれる!ビームは洞窟の天井を容易く貫き、そして上空まで到達し爆発する!
「これは…一体…!?」
上空で起きた爆発はやがて怪しげな桃色の霧へと変貌。そして霧はパルデア全土の空を包み込んでいく…
「やっとパラドックスポケモン軍団を倒したと思ったら…どうなってんだこりゃ…!?」
空を見上げて困惑するペパー。一方でアメジオとボタンの二人はその光景に驚愕し、そして焦りを感じていた。
「この空は…まるでラクアの最深部と同じじゃないか…!」
「みんなポケモンたちを今すぐボールにしまって!!早く!!」
普段は声の小さいボタンだが、恥じらっている場合ではない。ボタンは全力の大きな声で仲間たちに危機を告げるのであった。
一方ハッコウシティにある大企業エクシード社。その研究室では…
「フリード博士!パルデア各地のラクリウム濃度が急上昇しています!」
研究員が慌てながらフリードに告げる。
「まずいな…このままじゃパルデア地方そのものがラクアと同じ末路をたどることになるぞ…!」
そしてパルデアリーグ本部では室内の窓から車椅子に座ったネモが空を見上げる。
「ハルト…みんな…お願い…無事でいて…」
ネモは両手を握って静かに願う…
「グオオオオオオ!!」
そしてエリアゼロの最深部では三体のメガシンカポケモンたちが苦しんでいた!
「ラクリウムはポケモンの力を過剰に活性化させるとフリード博士はおっしゃっていました…」
「そしてメガシンカは強大なパワーを絆の力でコントロールしますが…ラクリウムがメガシンカを過剰にパワーアップさせてしまっているというのですか!?」
「…ここまでのようですね。戻ってくださいムクホーク」
「キラフロル!貴方もです!」
「セグレイブ!休んでください!」
三人はメガシンカポケモンたちをそれぞれのボールに戻す。
「では、我々はこれにて退勤させて頂きます」
「申し訳ありませんチャンピオン・ハルト…結局貴方に全てを背負わせてしまうことになってしまって…」
「ここからはあなたに任せますですよ…!」
「…はい。任せてください」
オモダカたちはエリアゼロ最深部から撤退。そしてハルトが一人でユートピアの三人と対峙する。
「これで邪魔者はいなくなった。さて、どうする救世主よ?」
「くっ…!」
To be continued…
-次回「三位一体」-