ポケモンロード バイオレット・レクイエム 作:とり。@pktorisky
「なんだこの穴…底が全然見えねーぞ…」
「トロピウスの『そらをとぶ』で降りましょうかあ。二人とも乗ってくださあい」
「じゃあ行こっか。アカデミーの秘密の地下へ!」
ポケモンロード バイオレット・レクイエム
Chapter2 友のために
「ってことでアカデミーの地下を降り続けてるわけだが…」
「…長くない?もう大分深くまできたよね!?」
「うーん…本当にどこまで続くんでしょうねえ?」
「そういえば前もこういう事あったよね」
「パルデアの大穴に行った時の事だね。あの時はハルトのミライドンに乗って大穴に飛び込んだんだよな。あの時もかなり長い間飛んだけど、今回はそれ以上なような…おわ!?」
ドシンと音を立ててトロピウスが着陸する!
「どうやらようやく底まで来たみたいですねえ」
「洞窟みたいだけど…」
「暗くて全然見えねーな」
「お任せくださあい。トロピウス!フラッシュです!」
トロピウスの身体の葉っぱが光り輝き周囲を照らす!
「うお!まぶし!!」
「そらをとぶだけじゃなくてこんな技も…」
「ちなみにいあいぎりで木を切ったりかいりきで岩を動かしたりもできますよお」
「へー!戦うだけじゃなくてそんなポケモンの育て方もあるんだな!」
「あー。だから戦うのは苦手って…ん?」
「………」
「………」
ボタンが振り向いた先にいたのは二体のパラドックスポケモンのテツノワダチ。無表情でこちらを見ている。
「うわああああああああ!?」
「「ウィ・ルドン・ファー!?」」
「またオマエかよー!?」
ーテツノワダチたちが とびだしてきた!ー
「うわあ!?この子は戦うの苦手なので戦闘はお任せしますう!」
「リククラゲ!」
「シャワーズ!」
ペパーはきくらげポケモンのリククラゲ、ボタンはあわはきポケモンのシャワーズを繰り出した!
対するテツノワダチは高速回転を始める!
「こうそくスピンが来ますう!」
「だいちのちから!」
「ハイドロポンプ!」
高速回転しながら迫るテツノワダチであったが、地面からエネルギーを放つだいちのちから、そして口から激しい水流を放つハイドロポンプに阻まれ吹き飛ばされる!
「ファー!?」
驚いた表情を浮かべるテツノワダチ。すると再び回転を始めて…そのまま逃げ出してしまった!
「行っちまった…」
「ふう…びっくりした…」
「てかこの前戦ったテツノワダチと違ってあっけなかったような…?」
「パラドックスポケモンだからてっきりユートピアの刺客かと思ったけど…」
「明らかに人が鍛えたポケモンという感じではありませんでしたねえ。もしかしたら野生のパラドックスポケモンでここがすみかだったのかもしれませんねえ」
「なんか…悪いことしちまったな」
「えと…ごめんね」
「てか野生のパラドックスポケモンがいるってことは…」
「ここ、もしかしてエリアゼロなん?」
「パルデアの大穴はテーブルシティのすぐそばにありますからねえ。エリアゼロとアカデミーが繋がっていてもおかしくはありませんが…」
「まさかアカデミーにエリアゼロへの秘密の入口があるなんて驚きちゃんだぜ…」
「そっか、エリアゼロの地下洞窟まで繋がってたからやたら深かったんだ」
「でもエリアゼロの地下洞窟ってこんなんだったか?」
「確かに…なんか違うような…」
ペパーとボタンが周囲を見渡すが、洞窟内はトロピウスが照らしている範囲以外は真っ暗だ。
「あ!」
「「テラスタル結晶がない!!」」
「前に来た時は洞窟のあっちこっちに光る結晶が生えてて周りを照らしていたから洞窟の中でも明るかったんだ!」
「だけど今はテラスタル結晶がないから真っ暗…」
「テラスタル結晶が消えたのも今回の事件と関係があるかもしれませんねえ…洞窟の先に進んでみましょうかあ」
トロピウスに周囲を照らしてもらいながら洞窟の奥へ向かう三人。野生ポケモンを刺激しないように慎重に進んでいくと…
「ん?あのピンクの光はなんだ?」
「行ってみましょう!」
(なんだろこの感じ…嫌な予感がする…)
「嘘…なんで…これがあるの…!?」
洞窟の奥へと進んだ三人の目の前に現れたのは、ピンクの霧をまとった白い球状の物体。ボタンはこの物体に見覚えがあった…
「ラクリウムコア…!!」
「世界中に大混乱を巻き起こしたストロングスフィアの元となっている物質がラクリウム、そしてその根源がラクリウムコア…」
「確かそのラクリウムコア?を冒険者集団のライトニングなんたら?と協力してネモとボタンがぶっ壊したって話だったよな?」
「ライジングボルテッカーズですねえ」
「ラクアで見たコアと比べれば小さいけど…それでも復活してるなんてありえない。しかもなんでパルデアにあるん!?」
「とにかくこいつがやばい物質なら今すぐぶっ壊さねーと!!」
「ペパー!攻撃しちゃダメ!!」
「え!?」
「ラクリウムコアは攻撃してきた相手を延々と襲ってくる!しかも一度受けた攻撃は二度と通用しなくなる!」
「何ぃ!?そんなの無敵ちゃんじゃねーか!?」
「発想を転換してみましょう。ラクリウムコアは攻撃しようとすると反撃してくる。逆に攻撃しなければ無害…ということですよねえ?」
「確かに…」
「なので今は無理せずに帰ることにして…壊すのはまた今度にしませんかあ?」
「今はそれが一番良さそうですね…」
「その前に…ラクリウムを刺激しないようにしつつ、この周辺を調査するとしましょう。土や鉱石を採集して含まれる物質を詳しく調べれば何か分かるかもしれませんからねえ」
「オレにも手伝わせてください!」
「うちも!」
こうしてラクリウムコアの周囲の調査を始めたジニアたち。写真を撮ったり鉱石を採集したりする中、ペパーはあるものに気づく。
「なあ…この黒い石、テラスタル結晶に形が似てねーか?」
「本当だ…でもこんなに黒ずんだテラスタル結晶見たことないけど…あくタイプのテラピースは黒いけどそれでもキラキラ光るし」
「これも詳しく調べた方が良さそうですねえ」
ジニアは採取した結晶や鉱石や土を試験管の中に入れてバッグにしまう。
「こんなところですかねえ。では地上に戻るとしましょうかあ」
地上に戻りアカデミーを出た三人。テーブルシティの街並みは夕日に照らされて橙色に輝いていた。
「もう夕方か…いつもより夕日がまぶしく見えるぜ」
「ずっと洞窟の中にいたからね」
「さてさて…ぼくは校長に今日のことを報告しに行きますねえ。これはボタンさんたちにお渡ししておきますねえ」
ジニアは手に持っていた二つのバッグのうちの一つをボタンに渡す。
「え?これってさっき採取した鉱石とか入ってるバッグですよね?」
「先生が調べるんじゃないのか?」
「もちろんぼくの方でも調べてはみますけど…こういうのは専門家に調べてもらうのが一番ですので多めに採取しておきましたあ。ボタンさんなら心当たりがあると思いますので、渡しておいてもらえませんかあ?」
「確かに心当たりはありますけど…」
「よろしくお願いしますねえ。あ、でも今日はもう遅いですからどこかに泊まって休んでくださいねえ。それではさようならです」
「さようならー!」
「おつかれさまでスター…」
手を振りながら去っていくジニアを見届けるペパーとボタン。
「…はあ」
「どうしたボタン?乗り気じゃなさそうだな」
「今回の事件にはラクリウムが関わっている。ラクリウムの専門家に心当たりはあるんだけど…はあ…あそこはちょっと行きづらいんよね…」
「行きづらい?」
「ペパー」
ボタンはペパーの腕をがっしりと掴む。
「旅はみちづれ。こうなったら最後まで付き合ってもらうし」
「分かってるよ!世は情けだぜ!」
一方その頃、パルデア地方某所のチーム・ユートピアのアジトでは…
「どうやら我々の正体を探り始めたようですね」
アジト内の天井にはパルデア地方各地の様子が投影されている。
その中のモニターの一つに映る、アカデミーを探索するボタンたちの様子を見ながら、巨大カプセルに身を包む人物は話した。
「どうする?奴らも始末するか?」
ユートピアのメンバーの一人であるヴレイが尋ねた。
「始末するって…オマエちょっと物騒じゃねーか?この前だって…あのネモって子、流石にかわいそうだったぞ」
今度はメンバーの一人である大柄な男がヴレイに尋ねる。
「もしあの少女がすぐに降伏したのなら俺は見逃してやるつもりだった。だが戦う意思を示した以上最期まで戦うのが戦士としての礼儀だろう?」
「うーん…そうかもしれねえけど…」
「そんな事より…あの子たちはもう少し泳がせてもいいんじゃないかしら?」
そう話すのはメンバーの一人である女性。
「泳がす?何を考えているレフティ?」
「効率よく確実に仕留めるなら弱ってる時が一番。タイミングをしっかり見極めて狩らないとね?ふふふふ…」
そう語るレフティは妖艶で不敵な笑みを浮かべていたのであった…
翌日、ボタンとペパーはパルデア地方のビジネス都市、ハッコウシティへやってきた。その目的地はとある大企業のビル。
「おいおい…『エクシード社』って…」
「ラクリウムの事件を巻き起こした大企業。悪い奴はもういなくなったとはいえ、やっぱりちょっと入りずらいんよね…」
「待っていたぞ」
二人がビルの中に入るのをためらっていると、入口から出てきた男性が声をかけてきた。ひのけんしポケモンの『ソウブレイズ』を連れた、黒と銀の二色の髪が特徴的なその青年は…
「久しぶり…いや、ほぼはじめましてかな。アメジオ」
Chapter2 友のために ~Fin~
ーNext Chapter「エクシード・アゲイン」ー
ー次回「戦友との再会」ー