ポケモンロード バイオレット・レクイエム   作:とり。@pktorisky

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 アカデミー地下で危険な物質の根源『ラクリウム・コア』を発見したボタンとペパー。詳しく調べるため、二人はハッコウシティのとある巨大ビルへとやってきた。
「おいおい…『エクシード社』って…」
「ラクリウムの事件を巻き起こした大企業。悪い奴はもういなくなったとはいえ、やっぱりちょっと入りずらいんよね…」
「待っていたぞ」
 二人に声をかけてきたのはソウブレイズを連れた黒と銀の二色の髪が特徴的な青年であった。
「久しぶり…いや、ほぼはじめましてかな。アメジオ」

ポケモンロード バイオレット・レクイエム



Chapter3 エクシード・アゲイン
第7話 戦友との再会


「「お疲れ様です!アメジオ様!!」」

 エクシード社のビルの中に三人が入ると、二人のスーツを着た男女がアメジオへと元気に挨拶をした。アメジオよりも背は高く年上のようだ。

「お疲れ様…相変わらず堅苦しいなお前たちは」

「えと…改めて自己紹介するね。うちはボタン。アカデミーの生徒で今はポケモンリーグでエンジニアもしてる」

「オレとは初めましてだな。オレはペパー。アカデミーの生徒で…ま、ボタンのダチってところかな」

「オレはアメジオ。今はこのエクシード社で働いてる。そしてこっちは…」

「アメジオ様の部下のジルです!」

「同じくコニアです!」

 アメジオの側にいた男女はボタンたちにも大きな声で挨拶を交わす。

「…今のオレたちは同僚、対等な立場だろう?」

「いえ!アメジオ様はクレイブ社長のご子息!エクシード社を継ぐのに最もふさわしいお方!」

「何より我々はあなたの人なりを尊敬していますので!」

「はあ…この態度は一生治りそうにないな…」

 熱弁するジルとコニアにアメジオはやや飽きれているようだ。

「ところでボタン様!お伝えしたいことが」

「え?何?」

「「ラクアの時は大変お世話になりました!」」

「えと…あの時アメジオは大活躍したけどうちは大したことしてないような…?」

「そんなことはございません!」

「あなた様のお力添えがあったからこその我々の勝利ですので!」

「心から感謝しています!!」

「あ…ありがとう?」

 そんな様子を少し気まずそうに見守るペパー。

「もしかしてオレだけ蚊帳の外か?…それにしても社長の息子ですげートレーナーか…そしてボタンは天才ハッカーでスター団ってやつのリーダーらしいし…はは。オレだけ普通で霞んじまうな」

「………」

「アメジオ。そろそろ本題に入らせてもらうね」

 

 ボタンはアメジオに事情を説明する。

「アカデミー襲撃事件は知っていたが、まさかそんなことになっていたとは…」

「ラクリウムに一番詳しいのはここでしょ?だから調べてもらおうと思って来たわけ。このバッグの中にジニア先生が採取したものが色々入ってる」

「分かった。エクシード社の研究チームに分析を依頼しよう。ジル、コニア。これをフリードに持っていってくれ。それとあいつの手伝いも頼む。何かあったら連絡する」

「「了解しました!」」

 ジルとコニアの二人はボタンからバッグを受け取ると研究室のあるビルの上層階へと向かっていく。

「ボタン。お前が天才ハッカーだという話はオレの耳にも届いている。そんな腕を見込んで頼みたいことがある」

「頼みたいこと?」

 

 三人は会社ビルの地下にある廊下へとやってきた。

「何の変哲もない廊下だけど…」

「スピネルの失脚後、社内全体の捜査が行われたが…その際にこの壁の向こうに地下室があることが分かった。このエクシード社ビルが建設された当初は無かった部屋だ」

「誰かが後からこっそり増築した…その地下室を作ったのってもしかして」

「ああ。恐らくスピネルの仕業だ。奴は他人どころかポケモンすら信頼していない。だから自分だけの秘密を守るために隠し部屋を作ったんだろう」

「スピネルって確か…」

「ラクアでの事件の黒幕。この会社を乗っ取ってやりたい放題してた極悪人なん」

「そしてこの隠し部屋は強固なセキュリティプログラムで守られているらしい。わが社のエンジニアも解除を試みたがお手上げだった。そこで…」

「うちのハッキングでこじ開けて欲しいって訳ね」

「ああ」

「そんな回りくどいことするより直接ぶっ壊した方が早くねーか?」

「スピネルは恐ろしい程用心深い男だ。無理矢理開けようとした時の対策もしているだろう」

「とんでもない罠とか仕掛けてるかも…」

「マジか…」

「ちなみに今スピネルってどうなってるん?」

「国際警察によって捕えられ刑務所にいると聞いた。面会を申し込んでも奴は拒否するだろうし、できたとしても本当の事は話さないだろうな」

「だよね…アメジオ。エクシード社のメインコンピューターをいじらせてくれない?」

 

 三人はサーバールームへ移動。ボタンがメインコンピューターを操作すると巨大なモニターに文字がびっしりと表示される。

「なんじゃこりゃ?何が何だかちんぷんかんぷんちゃんだぜ」

「えと…あった。一般的なプログラムに偽装されてるけど…これが地下室のセキュリティプログラムね。その中身を解析してと…うわあ…完全にハッキングされること前提で滅茶苦茶複雑な構造にしてる…コードの書き方から性格の悪さがにじみ出てるし…」

「解除できそうか?」

「うーん、流石に一人じゃきついかも。援軍呼んでいい?」

「援軍…?…ドットのことか!ああ。構わない」

 するとボタンはスマホロトムで誰かに電話をかける。

「あー、もしもし?久しぶりー。頼みたい事があるんだけどいい?うん。実はかくかくシキジカで…うん。ありがと。じゃあコード送るね。よろしくー」

「今は取り込み中でこっちには来れないけど…リモートで手伝ってくれるって」

 ボタンは通話を終えた後アメジオに伝えた。

「そうか。あいつの手も借りられるなら頼もしいな」

「なあボタン。今電話してた…ドット?って誰なんだ?」

「うちの『ダチ』ってところかな。うちが認める腕前のプログラマーで頼りになる子なんよ」

「ふーん…前から思ってたけどさ。オマエ喋るの苦手って言ってるわりにダチ多いよな」

「そうかな…?そうかも…?」

「………」

「んだよ急に黙って見つめて…」

「むふー。もっと褒めてくれてもええんよ?」

「うぜーなそのドヤ顔」

「………」

 誇らしげな表情のボタンに飽きれてツッコミを入れるペパー。一方でアメジオは何とも言えない表情で二人を見ている。

「冗談はさておき…ドットの手を借りてもこのセキュリティを打ち破るのに数日はかかりそうかな…それまで待っててもらっていい?」

「構わない。よろしく頼む」

 

 こうしてボタンたちにセキュリティプログラムの解除を任せ、ペパーとアメジオはエクシード社一階のロビーへと戻ってきた。

「………」

「………」

(…気まずい!!)

 しばらく二人の間に沈黙が流れ、心の中で困惑するペパー。

(オレはコイツと接点ねーんだよな…しかもコイツ、あまり喋るタイプじゃなさそうだし…こういう時って何話しゃいいんだ?)

(はあ…ハルトやネモだったらこういう奴が相手でもグイグイ話しかけるんだろうけど…そっか!ハルトやネモを真似りゃいいのか!こういう時アイツらだったら…)

 

 ペパーはハルトやネモを思い浮かべる。

「相手の事を知るにはポケモン勝負するのが一番手っ取り早いよね!」

「ってことで早く戦ろう!!」

 

(ダメだ…勝負吹っ掛けるビジョンしか浮かばねえ…)

(…でもポケモン勝負か…)

 するとペパーのボールからマフィティフが飛び出す!

「バウ!」

「マフィティフ…?」

「バウ!バウバウ!」

「…ソウ!」

 アメジオの連れているソウブレイズに吠えるマフィティフ。対するソウブレイズは腕の剣を構えるようなポーズをする。

「お前のマフィティフ…どうやらオレのソウブレイズと腕試ししてみたいらしいな。時間もあるしバトルしてみないか?」

(タイミングばっちり過ぎんだろ!?)

 するとペパーはしゃがんで目線を合わせてマフィティフに小声で話す。

「まさかオマエ…オレの心を読んでた?実はエスパーちゃんだったりするのか?」

「バウ?」

「…な訳ないか」

 ペパーは立ち上がり、今度はアメジオに返事をする。

「言っておくけど…オレはボタンやネモより弱いからな?あんま期待しないでくれよ?それでも良ければ…相手になるぜ!」

「決まりだな」

 

 そして二人はエクシード社の中庭にあるバトルコートへと移動しポケモン勝負の準備を始める。

「ルールは一対一の一本勝負!構わないな?」

「おう!行くぜ!!」

 ペパーVSアメジオのポケモン勝負が幕を開ける!

 

To be continued…

 

ー次回「ペパーとアメジオ」ー

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