ポケモンロード バイオレット・レクイエム 作:とり。@pktorisky
エクシード社で働く凄腕のトレーナーのアメジオと共に秘密の地下室を調べることになった。
「では行こうか」
「秘密の地下室へ!」
ポケモンロード バイオレット・レクイエム
Chapter3 エクシード・アゲイン
ボタンがハッキングして開けた隠し扉の向こうは下り階段になっていた。薄暗い階段をアメジオのソウブレイズの炎を松明代わりにしながら一行は下っていく。
「アカデミーの時といい最近のオレたちよく地下に潜ってるような…」
「うちは地下って結構好き。暗いし」
「そういえばオマエ夜行性だったな…ところで無理やり開けようとしたら罠が発動するかもしれないって言ってたけど…」
「それもハッキングで解除したよ。ストロングスフィア爆弾が仕掛けてあった」
「ストロングスフィア爆弾!?」
「爆発すればラクリウムが広範囲に飛散するヤバイ代物。下手すりゃハッコウシティ中のポケモンが大暴れする事態になってたかも…」
「物騒すぎんだろ!?」
「安心しろ。システム解除後に解体作業が行われ爆弾は無力化してある」
「昨日ハッキングが終わって、なんですぐに地下室に行かないのか気になってたけど、そんなことがあったのかよ…って」
三人は大きな部屋へとたどり着いた。辺りは相変わらず薄暗いままだ。
「ここがスピネルの地下室…?」
「だだっ広いだけで何もなさそうだが…」
「ねえ。あっちに大きな扉がある」
「ん?どれどれ…」
ペパーが振り向こうとしたその時!
「ネローン」
「な!?」
「!!ニンフィア!ミストフィールド!!」
ペパーの目の前に突如現れた謎のポケモン。不気味な光をペパーに見せようとするが、それをニンフィアが放ったミストフィールドによる霧がさえぎる!
「なんだこいつ!?」
「ぎゃくてんポケモンのカラマネロ…催眠術で相手を意のままに操るやばいポケモンなんよ!」
「危なかったな。ボタンのとっさの判断が無ければ今頃操り人形にされてたぞ」
「マジかよ…サンキューなボタン」
「ん。それよりこいつ…」
「ああ。恐らくスピネルのポケモンだろう。ここまでたどり着いた侵入者にさいみんじゅつをかけて返り討ちにしようとしていた訳か。奴の考えそうな事だ」
「マジ性格最悪過ぎるし」
「ところでさ…」
ペパーはカラマネロの異変に気づく。
「なんか…赤いオーラみたいなのが漂ってるんだが…ヤバそうじゃねーか?」
「あれってラクリウム!?」
「いや…形状は似ているが違う…まさか…」
「まさかって…何がまさかなんだ?」
「ペパーはメガシンカを知っているか?」
「メガシンカ?」
「一部のポケモンは人と強い絆があればバトルの間だけさらに進化して強くなる。それをメガシンカって言うん」
「へー…進化を超えた進化ってことか…」
「だが時には野生ポケモンがエネルギーを過剰に浴びてメガシンカし、暴走してしまう事もあるらしい」
「…なあ、その話を今したってことは…」
「ネローン!!」
「構えろペパー!ボタン!来るぞ!!」
ー暴走メガカラマネロ LV???ー
「ネロオオオオオオオオオオオオオ!!!」
赤い光に包まれた後、カラマネロは巨大化してメガカラマネロへとメガシンカする!
「姿が変わっただけじゃなくて…」
「でかくなった!?」
「暴走メガシンカか…!気をつけろ!奴は手ごわいぞ!」
「こんな奥の手まで隠し持ってたとかスピネルなんでもあり過ぎん!?」
「だけどこれが最後の門番!コイツを倒せばゴールって訳ならやるしかねーよな!?マフィティフ!かみくだく!!」
カラマネロに喰らいつこうとするマフィティフであったが、ジャンプで攻撃を避けられてしまう!
「速い!」
「むねんのつるぎ!!」
続いてソウブレイズが炎をまとった剣で攻撃するが、カラマネロは触手を鋭く尖らせて対抗。
そのまま力でソウブレイズを押し返して吹き飛ばす!
「つじぎり…パワーもかなり上がってるな…!」
そしてカラマネロは超能力の刃を作り出しニンフィアに向けて放つ!
「サイコカッターか…ニンフィア!ハイパーボイス!!」
強力な音波を放つハイパーボイスとサイコカッターが激突し、相殺するが…
「ネローン!」
「はっ!?」
カラマネロはボタンに急接近し、直接攻撃しようとする!
「危ねえ!!」
とっさにペパーはボタンを抱きかかえてローリング!間一髪攻撃を回避する!
「大丈夫か!?」
「うん…ありがと…それよりアイツ…明らかにうちを狙ってたよね!?」
「カラマネロは非常に知能が高いポケモンだ。オレたちの中で奴にとって一番厄介な相手はさいみんじゅつを無力化できるミストフィールドを使えるニンフィア。つまりニンフィアかそのトレーナーさえ倒してしまえば敵が一気に有利になる…」
「だからうちを直接狙ってきたってこと!?ヤバすぎん!?」
「さいみんじゅつで操られて同士討ちでもされたら一巻の終わりだ…!」
「つまり何としてでもボタンとニンフィアを守らなきゃいけないってことだな!」
「そういうことだ!オレとペパーが前衛!ボタンは後方支援!特にミストフィールドの効果は切らさないように徹してくれ!」
「分かった。ニンフィア!ミストフィールド!」
ニンフィアがミストフィールドを発動させると消えかかっていた妖精の霧が再び足元を満たす。
「これでしばらくはさいみんじゅつは無効!」
するとカラマネロは宙に浮かびサイコカッターをボタンとニンフィアに向けて放つ!
「やっぱりボタンたちを狙ってくるか!マフィティフ!攻撃を受けろ!」
ボタンたちの元へと届く前にサイコカッターに突っ込むマフィティフ!ダメージはほとんど受けていない!
「どうだ!エスパー技はあくタイプには効果なしだぜ!」
「この隙に攻める!ソウブレイズ!むねんのつるぎ!」
ソウブレイズはジャンプしてカラマネロに炎の剣による攻撃を叩き込む!そして攻撃を受けたカラマネロは落下する!
「隙ありだぜ!くらいつく!!」
落下地点で待ち伏せしていたマフィティフはカラマネロの触手にくらいつく!
「よっしゃあ!動きを封じてやったぜ!今のうちに攻撃を!」
「…む!?ペパー!マフィティフ!奴から離れろ!!」
するとカラマネロの触手が筋肉のように膨張!マフィティフを壁に向けてぶっ飛ばす!
「マフィティフ!!」
「かくとうタイプの技、ばかぢから…効果は抜群か…!」
するとカラマネロの触手がさらに膨張する!
「…なんかさらにムキムキになってねーか!?」
「まさか…特性あまのじゃく!?」
「あらゆる能力変化が反転する…本来なら使うとパワーダウンするばかぢからのデメリットが反転してパワーアップしている訳か…!」
「なんじゃそのインチキちゃん!?ズル過ぎんだろ!?」
「ハイパーボイス!!」
遠距離からの攻撃を放つニンフィア。しかしカラマネロは攻撃に気がつき、サイコカッターを放ち相殺する!
「くっ…このタイミングでも気づかれるか…!」
一方でマフィティフはカラマネロがニンフィアに気を取られている隙に立ち上がる!
「よく耐えた!この状況を何とかするにはこれしかねえ!」
ペパーがテラスタルオーブを取り出して構える!
「マフィティフ!テラスタル!!」
光り輝くテラスタルオーブ。そしてオーブを投げようとしたその時!突如テラスタルオーブの光が消えてしまう!
「な!?」
「テラスタルの光が…」
「消えた!?」
そして呆然とするマフィティフにカラマネロのばかぢからが炸裂!ついに気絶してしまう!
「く…すまねえマフィティフ!戻って休んでくれ!」
ペパーはマフィティフをボールに戻す。
「何故テラスタルが失敗したんだ…?」
「理由は分からないけど…」
「今は戦うしかねえ!キョジオーン!!」
ペパーはがんえんポケモンのキョジオーンを繰り出した!
「同時攻撃で行くぜ!ストーンエッジ!」
「むねんのつるぎ!」
大地から尖った無数の岩を放つストーンエッジをカラマネロは回避。さらにソウブレイズの攻撃を触手にサイコカッターを宿して受け止めると…
「ネロロロロロロ!!」
「回転し始めた!?」
遠心力で吹っ飛ばされるソウブレイズ!さらに回転しながらカラマネロはサイコカッターを連発!四方八方へと放ち始める!
「やべ!みんなこっちだ!キョジオーン!なんとか受け止めてくれ!」
キョジオーンの影へとペパーたちは移動。その巨体と頑丈な身体でキョジオーンは激しい攻撃からみんなを守るが…岩塩でできたキョジオーンの身体が少しずつ崩れ始める!
「ネロ…!」
そしてキョジオーンが弱った隙にすぐに気づき、カラマネロは急接近し、ばかぢからを放つ!
「うわっ!!」
バランスを崩して倒れるキョジオーンから慌てて離れるペパーたち。しかしニンフィアが逃げ遅れて下敷きになってしまい…さらにミストフィールドも消えてしまう!
「しまった!」
そしてカラマネロはボタンの目の前に現れ、頭部から放たれる様々な色に点滅する不気味な光を見せつける!
「あ…あ…あああ…」
「まずい!カラマネロのさいみんじゅつだ…!」
「しっかりしろ!ボタン!!」
「………」
「ネロ…!」
勝利を確信し不敵な笑みを浮かべるカラマネロ。するとボタンはカラマネロの触手が指す方向へとゆっくりと歩き始める…
「まさかボタン…操られちまったのか…?」
「まずい...!このままでは…!」
「ふふ…やれ」
ボコッ!と強い打撃音がフィールドに鳴り響く。しかしそれはペパーたちが攻撃された音ではなく…カラマネロが自らを攻撃した音であった。
「へ?」
「ネロ???」
ペパーたちだけでなくカラマネロも何が起こったのか分からず困惑している。
「ペパー!アメジオ!!今の隙に攻撃を!!」
「え!?」
「ソウブレイズ!!インファイト!!」
ソウブレイズの強力な連続斬撃がカラマネロの懐に放たれる!
そして倒れていたキョジオーンもよろよろと起き上がる。
「まだ行けるか!?」
キョジオーンはうなずく!
「よし!キョジオーン!ボディプレスだ!!」
キョジオーンは大きくジャンプしてメガカラマネロにのしかかる!ボディプレスが炸裂し、ついにカラマネロが倒れてメガシンカも解ける!!
「やっと倒した…」
「よっしゃあ!オレたちの勝ちだ!!」
「ああ。みんなよくやってくれた!」
三人は頑張ったポケモンたちも激励した。
「ところでボタン。さっきさいみんじゅつ喰らってたけど…なんで大丈夫だったんだ?それにカラマネロが自分を攻撃したのもよく分からなかったんだが…」
「えと…それはね」
「ふぃ!」
すると一体のポケモンがボタンの肩に乗ってひょっこりと顔を見せる。
「重っ…」
「エーフィ…確かこいつもイーブイの進化系だよな?」
「うん。最近仲間にしたうちの新たなブイブイ!」
「エーフィ…そうか!エーフィの特性のマジックミラーか!」
「マジックミラー?」
「敵の変化技を反射できる特性なん」
「ボタン…お前はニンフィアがやられる寸前にひっそりとエーフィをボールから出していたんだな」
「うん。そしてこの子にはうちの背中にしがみついて隠れてもらって…さいみんじゅつをマジックミラーで跳ね返したん」
「そしてメガカラマネロは自分自身のさいみんじゅつに操られてしまったという訳か…」
「なんだよ…そんな手があるんだったらもっと早く使っても良かったんじゃねーか?」
「だがエーフィはエスパータイプであくタイプのカラマネロには相性不利。もし反射が失敗して攻撃を受けたら耐えられないだろう」
「つまりチャンスは一度だけ。この作戦が失敗したらうちが打てる手は完全に無くなる」
「だからカラマネロが油断する隙を狙わなきゃいけなかったってことか…」
「上手くいって良かった…マジひやひやしたし!」
(でもこんな奥の手があったのにどうしてスピネルはラクアでの戦いでメガカラマネロを使わなかったんだろう…?)
「これでようやく先に進めるな。恐らくあの扉の奥が秘密の地下室だろう」
「早く行こうぜ!!」
「そうはさせませんわ」
「「!?」」
コツ…コツ…と、ハイヒールの足音が地下室に鳴り響く。そして三人の前に現れたのは顔の左半分を仮面で隠した女性。
「ふふふっ…」
謎の女性は不敵な笑みを浮かべたのであった…!
Chapter3 エクシード・アゲイン ~Fin~
ーNext Chapter「第二の刺客」ー
ー次回「脅威再び」ー