ニチアサ系世界に転生したTS魔法少女は悪の幹部をやりたくない   作:なはた

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第4話

 

金髪ロリロボットことシュタインちゃんの乱入により、無事カオスと化してしまった幹部会議はあの後もボスがシュタインちゃんを可愛がり続けた結果まともな話し合いすら行われず『行け、エリザよ。ソサソサソーサ!』とボスから告げられ俺が出陣する事が決まり終了した。いやそれ始まりの掛け声じゃないんですか……?と内心ツッコミを入れながらも仕方なく命令通りの場所へ向かった。

 

 

場所は子供達の遊び場である街の公園……今更な説明になってしまうが、『ソサエティ』が掲げるのは人が築き上げてきた文明社会を破壊し世界征服を成し遂げた後、新たな秩序や価値観によって世界を再構築する事だ。だから毎度街のどこか、大小問わず市民が利用する場所に狙いを定める……という感じらしい。厄介極まりないな。

 

 

「おまいう」とブーメランが脳天に刺さる音が聞こえるが……あくまで俺が『ソサエティ』に所属しているのは己の生存の為であり、建物や市民に危害を加えるつもりは絶対にないしそこは揺るがない部分だ。魔法少女達に対しても、最大限手加減し攻撃を放っている。ただ結局傷つけてる事実には変わりないし、申し訳ないと思ってる……

 

 

「ねー、あのお姉ちゃん恰好は変だけどすっごく可愛いね……なんだか私、胸がドキドキしてきちゃった。この気持ちって何なんだろママ……ママ?」

 

「……ごめんね春香、お母さんも同じなの。もうここ数年忘れていたはずなのに―――女、思い出しちゃった。ふしだらな母と笑いなさい」

 

「ママ!?」

 

 

俺を遠巻きに眺めていた幼女先輩とそのお母さんが頬を赤らめながら、何かをコソコソと話し合っているのが見えた。そしてお母さんがこちらに熱の籠った眼差しを向けてきていて、正直とても怖い。魔法少女早く来て……敵幹部でありながら、登場を願うという訳の分からない状況に陥っていた瞬間。まるでそれに答えるように現れたのは。

 

 

「―――見つけたよ!エリザ!」

 

「み、みんなの為にも私はこれ以上負けるわけにはいかない……勝負っ……!」

 

 

ピンクの衣装を身に纏い、力強くステッキを構えるのはマジカルリリィ。彼女は率先して市民の避難誘導を行い、今も目線で親子に逃げるよう促すと2人は走って公園から出て行った。そして恐らく内気な性格なのか、いつもどこか怯えている小動物っぽさを感じさせながらも同時に街を守りたいという魔法少女としての確かな意志を持つマジカルアメリア。魔法少女モノとしての王道を貫くような2人は、元は正義を目指していた俺にとってかなり眩しく映る。マジでよわよわじゃなければなぁ……それと最後の1人。

 

 

「―――今日も見事なドチャシコっぷりですね、まるで夜の闇を溶かしたかのような黒のゴスロリドレスが映えていて本当に言葉では言い表せないほど素晴らしいです。貴方に会いたかっ……いいえ貴方を倒しに来ました!覚悟しなさいエリザ!!」

 

「ソフィアちゃん??ごめんね前半ちょっと何言ってるか分からなかったんだけど……」

 

「この人まーた変な事言ってる……」

 

「……いつまで無駄な抵抗を続けるつもりか知らないけど、何度も言うように貴方達では一生私に勝てない」

 

「そんなのやってみなくちゃ分からないよ!」

 

「リッ、リリィの言う通り……!」

 

「私は貴方を負かして絶対に完堕ちアヘ顔Wピースさせてみせます」

 

 

青の衣装を身に纏い、3人のリーダーである魔法少女ソフィア。表向きはクール装ってる俺だが、流石にこれは言わせてほしい。彼女は…………あの変態サデイストお姉さんヘレンをも超える俺にとって最大の脅威であるという事をね!?

 

 

必死にずっとスルーしてきてるけどさ……!マジで何言ってるんだこの青って毎回思ってんだよこちとら……!初戦で顔合わせしてからというもの、毎回こんな調子だから怖いんだよ……!

 

 

計り知れない恐怖を気だるげなため息で覆い隠し、俺は愛しのエテルネルステッキさんを威嚇する形で前に突き出した。そして魔法少女達もこちらに反応するように身構える、己の生死がかかってるのも当然あるが、青の異常な愛情をこれ以上浴びたくないの意味も籠っている。後者が前者を上回る日が来ない事を祈るしかない。

 

 

「―――行くよ、2人とも! 」

 

「うんっ……!」

 

 

リリィとアメリアが同時に地を蹴り、こちらに向かって突撃してくる。普段ならここで軽くステッキを振ってレーザーで迎撃するのだが……今回は例の青(マジカルソフィア)が予想外の動きを見せてきた。

 

 

「リリィ!アメリア!エリザの極太サイズレーザーは私がこの身を持って受け止めます!貴方達はその隙に彼女に攻撃を!」

 

「え……!?ダッ、ダメだよソフィアちゃん!?」

 

「あ、あの数のレーザーを1人で受けるのは危険……!」

 

「私を信じてくだしゃい!」

 

 

ソフィアが目にも止まらぬ凄まじいスピードで2人を追い抜き、最前線に躍り出たのだ。ちなみにその顔は真っ赤に紅潮しており、目も完全にキマっている。

 

 

「っ……」

 

 

だがしかし、意図せずともソフィアの作戦は俺にとっては効果的であった。何故ならこのエテルネルステッキが放つレーザーは一回の照射で威力を最小限に抑えても、魔法少女達を倒すには十分だからだ。しかし、3人を倒せる威力のものを1人だけが受ければその背負うダメージはいつもより遥かに大きくなる。矛盾してるのは重々承知だが、俺は彼女らを傷つけたくないのだ。

 

 

ただ、攻撃しなければ俺は一撃でお陀仏。どちらにしろ望んだ展開ではなくなってしまう……こうして躊躇っている間にも。

 

 

「わからせバンザイですー!!」

 

 

ソフィアが迫ってくる、ひええ……もう一か八かだ。俺は目をつぶって、手に持つステッキに対し必死に意志を込め……そして。

 

 

「―――カウントレス・レーザー」

 

 

周囲の空間が歪み、魔力が形成され無数の……

 

 

「なっ!?」

 

 

―――ではなくターゲットを1人に絞った、ステッキと同色である漆黒の一本のレーザーがソフィアに向けて放たれた。ドゴォォォン!と爆発音が響き渡り、周囲に土煙が舞い上がる。

 

 

「ソフィアちゃん!!」

 

「ソッ、ソフィア……!」

 

 

リリィとアメリアの悲痛な叫び声が上がり、やがて土煙が風で流されると……

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

現れたのはコスチュームに傷が付き、地面に膝をつきながらも恍惚とした表情を浮かべているソフィアの姿であった。ちなみにその目は完全にハートマークになっている、多分この情報は余計ですね忘れてください。

 

 

「普段のように無数のレーザーを想像していましたが、まさか1本だけに絞る事も出来ただなんて……つまりこれは世界中でたった一人、貴方だけを想うというエリザの心情のメタファーでしょうか!ふふふっ……!」

 

「色んな意味で、い、いつも通りのソフィア……」

 

 

ソフィアに対し、引いた目を向けるアメリア。ソフィアの発言云々はとりあえず置いといて……俺は魔法少女に転生してからというもの、エテルネルステッキをとりあえず振りカウントレス・レーザーを放つ事しかやってきていなかった。威力の加減だけはコントロール可能だったが、照射本数の変更すら出来ずだからこそ手加減するしか方法がなく……だが俺は土壇場で成し遂げたのだ。傷つけたくないという思いをステッキに込めた、この矛盾した心情をステッキさんは理解してくれたという事だろうか?

 

 

とりあえず、これ以上は戦う空気ではない。

 

「……決着はついた、帰る」

 

「ああっ!待ってくださいエリザ、先ほどの攻撃に込めた意図を是非とも教えてほしいのです……!」

 

「…………」

 

 

俺は無言で霧の中へと消えていった、この青ホント怖いんだけど……

 

 

 

 

 

「全くもう……ですが、そういうドライな所もたまりませんね」

 

「私……リーダー変更を提案する……」

 

 

 

「……レーザーを放つ前、表情こそいつもと変わらないけど明らかに動揺して躊躇っているように見えたのは私の気のせいなのかな……」

 

 

リリィの呟きはまたもや、虚空の中へと消え去ってしまった。結局謎は深まるばかりである。





マジカルソフィアさん、貴方もしかして無敵なのでは??
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