ハリー・ポッターと深紅の覇者   作:筋肉神

33 / 33
今日は二話更新かな。もしかしたら、夜遅くにもう一話できるかも?


第33話 迫る脅威

 学年末の進級試験最終日。セラフィーナは、慌てて駆け回るハリー達三人組の後ろ姿を目撃した。

 

「今ポッター達が入っていった部屋、確かマクゴナガル教授がいた部屋だな」

 

「そうですね。遂に教授に頼るということを覚えたのでしょうか」

 

 リオラの言葉にセラフィーナは小さく肩を竦めた。

 

「さてな。あの三人のことだ、ただ教授を頼るだけで終わるとも思えんが」

 

 そう言って歩き出そうとしたその時、勢い良く扉が開いた。飛び出してきたのは、先程部屋に入ったばかりのハリー達三人組だった。

 

「どうした貴様等。そんなに焦った顔をして」

 

「あ、アウレリウス……」

 

 ハリーが言い淀む。その隣ではロンが落ち着きなく周囲を見回し、ハーマイオニーは何かを考えるように唇を引き結んでいた。

 

 セラフィーナはそんな三人の様子を見比べ、小さく鼻を鳴らす。

 

「なるほど、面白そうな話らしいな」

 

「どうしてそうなるのよ」

 

「調べていた件で何か進展があったから、マクゴナガル教授に頼ったのではないのか?」

 

「……否定できないわね」

 

 ハーマイオニーは疲れたように額を押さえた。

 

「それで、何があった?」

 

 セラフィーナは腕を組む。三人は顔を見合わせ、少しの沈黙の後にハリーが口を開いた。

 

「僕達、マクゴナガル先生に話したんだ。賢者の石が危ないって」

 

「そうだろうな。貴様等が教授のいる部屋へ駆け込んでいくのが見えたから、そうではないかと思っていた」

 

「でも先生は信じてくれなかったんだ」

 

「ほう?」

 

「それだけじゃない。今夜、誰かが賢者の石を取りに行くかもしれないんだ」

 

 そこからハリー達は、セラフィーナに今までの経緯を話す。禁じられた森で見たモノ、それがヴォルデモートである可能性、ダンブルドアの不在……。

 

「……」

 

「……」

 

 事の重大さに、流石のセラフィーナも笑みを消して黙り込む。リオラは表情こそ崩さないが、動揺しているのは見開かれた目を見れば分かる。

 

「お嬢様、想像以上に規模が大きい話になりましたね」

 

「そうだな。ユニコーンの血、ヴォルデモート、賢者の石……なるほど。ピースが揃えばこんなに簡単なパズルもそうは無いな」

 

「か、簡単……?」

 

 三人は驚きで目を見開く。

 

「力を失った。倒された。ヴォルデモートに関して当時を知る大人達は口を揃えてこう言う」

 

 ロンとハーマイオニーは同意するように頷く。実際、ロンは親からそう聞かされていたし、ハーマイオニーが読んだ本にもそう書いてあった。

 

「だが不思議なことに、ヴォルデモートが死んだと言っている大人に私は会ったことがない。同様に、死んだと書いてある本も読んだことがない」

 

「……確かにそうだわ。例のあの人が死んだなんて本には書いてなかった」

 

「あれだけ強大な闇の魔法使いだ。私達の知らん闇の魔術で命からがら生き延びていたとしても、何ら不思議ではない」

 

 誰も口を挟まない。セラフィーナの言葉が的外れだとは思えないからだ。

 

「ギリギリのところで生き延びているヴォルデモートがユニコーンの血で命を繋ぎ、賢者の石で完全な復活を目論んでいる。気持ち良いぐらい筋が通るな」

 

 三人は思わず顔を見合わせた。

 

「じゃあ!」

 

 ハリーが一歩前に出る。

 

「やっぱり僕達の考えは正しかったんだ!」

 

「違う」

 

「え?」

 

「筋が通ると言っただけだ」

 

 ハリーが言葉に詰まる。

 

「だが、可能性は高いと思う」

 

 セラフィーナは肩を竦めた。

 

「ヴォルデモートかどうかはともかく、禁じられた森でユニコーンの血を啜るような存在がいるという時点で、放置して良い話ではないな」

 

「でしょ!?」

 

「だから今夜──」

 

「待て」

 

 興奮するハリーとロンを、セラフィーナが片手を上げて制した。

 

「一つ教えてくれ。貴様等は今夜何をするつもりだ?」

 

「賢者の石を守るんだ」

 

 ハリーは即答した。

 

「スネイプかもしれない、ヴォルデモートかもしれない。とにかく誰かが盗む前に守らなきゃ!」

 

「なるほど。つまり、貴様等三人でヴォルデモートかもしれない相手と戦うつもりか。碌に戦い方も知らん一年生が三人で」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 三人は揃って視線を逸らした。

 

「馬鹿だな。無謀どころか自殺に等しいぞ」

 

「分かってるよ!」

 

 ハリーが即座に言い返す。

 

「でも他に方法が無いんだ!ダンブルドア先生はいないし、マクゴナガル先生だって信じてくれなかった!」

 

「……アウレリウス、無謀だってことは分かっているわ。でも、時間が無いのよ」

 

「ふむ」

 

 セラフィーナは顎に手を当てる。その横でリオラが小さく呟いた。

 

「お嬢様、まさか協力する気ではありませんよね?」

 

「さてな」

 

 セラフィーナの紅い瞳が僅かに細められる。

 

「確かにこいつ等は無謀だ。だが頼れる者がいないなら自分達がやるしかないというのは、間違ってはいないと私は思う」

 

「お嬢様……」

 

「それに、仮に本当にヴォルデモートだとして賢者の石を手に入れてみろ。必ず後悔するぞ」

 

「それは、そうですが……」

 

 リオラは返答に困る。そこで横から口を挟んだのはハリーだった。

 

「そう言ってくれるってことは、今の僕達の視野は狭くないの?」

 

「話を聞く限りではな。それに、緊急事態において情報の精度は二の次だ。そこで無駄に時間を浪費して手遅れになりましたでは、笑い話にもならん」

 

「じゃあ!」

 

 ハリーの表情が明るくなる。

 

「手伝ってくれるの!?」

 

 セラフィーナは即座に首を横に振った。

 

「それとこれとは話が別だ」

 

「えぇ!?」

 

 ロンが素っ頓狂な声を上げる。

 

「貴様等が正しい可能性は高い。だが、私はまだ確信していない」

 

「でも例のあの人が復活するかもしれないのよ!?」

 

 ハーマイオニーが思わず声を荒げる。

 

「分かっている。今夜までに独自に調べ、確信を持てたら手伝ってやる」

 

「分かった!」

 

 ハリーは力強く頷いた。

 

「僕達は僕達で動く」

 

「好きにしろ」

 

 セラフィーナは肩を竦める。

 

「ただし死ぬなよ」

 

「え?」

 

「せっかく面白くなってきたところだからな」

 

 呆れたような視線を向けるハーマイオニーとロンを余所に、セラフィーナは踵を返した。

 

「行くぞリオラ」

 

「はい」

 

 その背中を見送りながら、ハリーは小さく息を吐く。不安が消えた訳ではない。だが、少なくとも自分達の考えが完全な的外れではなかったことだけは分かった。

 

 そしてその夜、ホグワーツで最も長い夜が始まろうとしていた。




長かった賢者の石編も、やっと終わりが見えてきましたね。

もうちょっとテンポよく書いた方がいいのかな……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

銀髪美少女お嬢様(ワケあり)のホグワーツ生活実践編(作者:トリスメギストス3世)(原作:ハリー・ポッター)

激重過去持ち半吸血鬼美少女▼カティア・アシュリーが、元気にホグワーツ生活を送るだけの話▼主人公はハリーと同学年です


総合評価:3812/評価:8.84/連載:26話/更新日時:2026年06月11日(木) 16:41 小説情報

ドラゴン娘とハリー・ポッター(作者:ゴールドルナ)(原作:ハリー・ポッター)

コミュニケーションに難を抱えたドラゴンのアニメーガスな少女がホグワーツでいろいろやっちゃう話▼果たしてハリーはまともなホグワーツ生活を送れるのか!?そして、ホグワーツ城は耐えきれるのか!?▼


総合評価:3649/評価:8.72/連載:53話/更新日時:2026年06月12日(金) 18:02 小説情報

ハリー・ポッターと上位者の娘(作者:アーマウニー)(原作:ハリー・ポッター)

ヤーナムにて果てしない狩りの果てに上位者となったクリスティーナ・ブラウン。▼ある日彼女のもとに届いたのは聞いたこともない学校からの入学許可証だった。▼ホグワーツ魔法魔術学校。▼より良い存在となるため、赤子を抱くため、何よりも好奇心を満たすため。彼女は''神秘''ではない新たな世界へ身を投じる。▼(初めての投稿となる為、非常に粗…


総合評価:1767/評価:8.47/連載:11話/更新日時:2026年06月07日(日) 23:36 小説情報

第四魔法科高校の優等生(作者:悪事)(原作:魔法科高校の劣等生)

 四葉という魔法師の名家に生まれ、隔絶した美貌と天賦の才覚を持ち、畏怖と憧憬を一身に受けてきた少女、四葉百合香。▼ 四葉において最高位の精神干渉系魔法を操る彼女が第四魔法科高校に入学した時、暗躍と策謀、諜報と騙し合い、嘘と欺瞞に満ちた波乱の舞台が幕を開けた。▼ これは陰謀と暗躍に特化した現代の異能、最強にして災厄の魔法師が織りなす愛と狂気の物語である。


総合評価:1892/評価:8.47/連載:18話/更新日時:2026年06月07日(日) 20:01 小説情報

ようこそ根源があふれた魔法の学校へ(作者:shinkyu10)(原作:ハリー・ポッター)

――これは、型月世界の魔術師の歪んだ思考OSを持った凡人が、ハリポタ世界のブラックボックスを解体し、あがき続ける物語。▼1981年11月1日未明、ロンドンで起きた爆発テロ。▼奇跡的に生き残った赤ん坊、エリアス・レンには、前世の記憶があった。▼彼は魔術協会『時計塔』の末端魔術師であり、生まれ持った血統と魔術回路の限界に絶望した末、幼児期から全てをやり直すために…


総合評価:3473/評価:8.66/連載:27話/更新日時:2026年06月08日(月) 17:45 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>