ハリー・ポッターと深紅の覇者   作:筋肉神

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もう読んでくれている人がいる感激


第4話 キングズ・クロス駅

 1991年9月1日。ロンドン、キングズ・クロス駅。蒸気機関車の音や人々の話し声、トランクを引く音。マグル達が行き交う駅構内の一角だけ、妙に空気が違っていた。

 赤髪で長身の男と神々しい美貌を持つ金髪の女。そして深紅と銀灰色の2人の美少女。更にその目立つ一団は長毛の金白色が美しい大きな猫まで連れいている。これが目立たない訳がなかった。

 

「ははっ!やっぱ良いなホグワーツ入学前の空気ってのは!」

 

「貴方、まだマグルがいるのよ。大きな声でホグワーツの名を出さないで」

 

「おっとそうだったな!」

 

 周囲の魔法族はその声に露骨に肩を震わせて反応する。イゾルデはその様子を見ながら呆れたようにため息を吐いた。

 

「少しは反省しなさいよ……」

 

「ハッハッハッ!なら早いとこ行くとするか!」

 

 反省している様子は皆無である。レジナルド達は足早に9番線と10番線の間に向かう。

 

「いいか、教えた通りに壁を抜けるんだぞ。減速するな?壁をブチ破るつもりで突っ込むんだ」

 

 そう言うとレジナルドは1人でさっさと駆け出して壁を通り抜ける。

 

「全く……中身が子供の頃から変わらないんだから困るわね」

 

「しかし父上が手取り足取り丁寧に壁の抜け方を教えてくれるとなると、それはそれで不気味ですけどね」

 

「ふふっ…それもそうね。あの人はあれぐらいが丁度良いわね」

 

 先に通り抜けたレジナルドに続き、セラフィーナ、リオラ、オーロラも壁を通り抜ける。初めての経験だがそこは純血名家の者としてスムーズに通り抜けることができた。そして全員が通ったのを確認してから最後にイゾルデが壁を通り抜ける。

 

「おい、あそこの団体はウィーズリーじゃないか?」

 

「あら本当ね。相変わらず大家族で仲の良さそうなこと」

 

「アーサーはいないみてえだな。まあ仕事が忙しいんだろ」

 

 騒がしいウィーズリー家を眺めていると、その中に1人明らかにウィーズリーの子供ではない少年が混ざっているのに気付く。

 

「ん?あのガキだけ黒髪だぞ。アーサーかモリーが不倫でもしたか?」

 

「失礼な上に下品よレジナルド。どちらにも似ていないでしょう?」

 

「確かに……ん?なあ、誰かに似ていると思ったらジェームズに似てないか?あのガキ」

 

 イゾルデはその言葉を聞いて黒髪の少年に再度視線を向けて観察する。

 

「あら本当ね、目元はリリーにそっくりだわ」

 

「そうか、あのガキが例の『生き残った男の子』か。あの眼鏡、絶対にジェームズの近眼を受け継いでるぜ」

 

「そうね。それにしても本当に似ているわ」

 

 懐かしんではいるが特に干渉はせず、アウレリウス家一行は再び歩き始める。そうしてウィーズリー家の騒がしい声が聞こえなくなる頃、前方に別の一家を発見して足を止める。

 金髪で如何にも上流階級のお坊ちゃまといった少年とその両親。マルフォイ家とアウレリウス家の数年振りの対面だった。

 

「久しぶりだなアウレリウス」

 

「何が久しぶりだ白蛇野郎。貴様がまだ生きていた事が残念でならねえよ」

 

「相変わらず野蛮だな。貴様のような粗野な荒くれ者は純血貴族の恥さらしだ」

 

 空気が凍る。ルシウスの冷たい殺気とレジナルドの業火の如き殺気がぶつかり合い、周囲の人間は2人からできるだけ距離を取り、子供が連れている梟やネズミ等は殺気に当てられて騒ぎ始める。遠くからその様子を見ていたモリー・ウィーズリーなどは「ああもう最悪だわ……」と頭を抱えている。

 

「貴方達はキングズ・クロス駅を決闘場にするつもり?」

 

「流石にこんな所でやらねえよ」

 

 そう言って殺気を引っ込めるが目は笑っていない

 

「ダイアゴン横丁以来だなドラコ・マルフォイ」

 

 親同士の険悪な雰囲気を無視してセラフィーナはドラコに話し掛ける。

 

「え、あっ……」

 

「何を動揺している。親同士の因縁なんぞ私達が気にしても仕方がないだろう?」

 

 ドラコは驚きで目を丸くする。貴族社会において親の因縁は子供にも無関係ではない。だがセラフィーナはそれを真っ向から否定したのだ。

 

「……アウレリウス家らしい教育だな」

 

「当たり前だルシウス。テメエは今からでもアズカバンに叩き込んでやりたいが、お前のガキは関係無いからな。それにガキの人間関係なんざガキ同士で勝手に決めるもんだ。親が口出しする事じゃねえよ」

 

「貴方、ガキガキ言い過ぎよ口が悪いわ」

 

「そんなもん今更だろ。気にすんな」

 

 イゾルデは額を押さえてため息を吐く。その様子を見たルシウスは杖を軽く鳴らし、ドラコへ視線を向ける。

 

「付き合ってられんな。行くぞドラコ」

 

「……はい、父上」

 

 マルフォイ一家はそのまま去っていく。だがドラコは去り際、一瞬だけセラフィーナに視線を向けた。

 深紅の髪と瞳。そして圧倒的な美貌と存在感は11歳の少年に強烈な印象を焼き付けていた。

 

 そして汽笛が鳴る。ホグワーツ特急の出発時刻が迫っている事を告げていた。

 

「そろそろか。では父上、母上。行ってまいります」

 

 イゾルデは静かに微笑み、セラフィーナの髪にそっと触れた。

 

「ええ。貴女らしく在りなさい。知識を蓄え力を磨き、その素晴らしい才能を腐らせないよう常に努力しなさい」

 

 その声音は穏やかだが、娘への絶対的な信頼が滲んでいる。

 

「そして自分より優れたものを見た時は、素直に吸収しなさい。貴女は天才ではあっても完璧ではないのだから」

 

「はい、母上」

 

 レジナルドは豪快に笑いながら、セラフィーナの肩を軽く叩く。

 

「楽しんで来い!ホグワーツは面白ぇぞ!決闘も箒も授業も全部な!あと飯が美味い!」

 

「決闘を推奨しないの」

 

「えぇ?」

 

「えぇ、ではないのよレジナルド」

 

 だがその口調には僅かな笑みが混ざっていた。

 リオラが静かに一礼する。

 

「旦那様、奥様。お嬢様のお世話はお任せください」

 

 オーロラも低く喉を鳴らす。その様子を見てレジナルドは満足気に頷く。

 

「頼んだぞリオラ、オーラ。セラフィーナは俺に似て無鉄砲だからな!」

 

「本当ですよ。この子があまり無茶しないように見張っていてね?」

 

 その時。

 

「急げ!乗り遅れるぞ!」

 

 ウィーズリー家の子供達が次々と列車に飛び乗っていく。

 

「では改めて行ってまいります」

 

 ホグワーツ特急全車両の扉が閉まる。そしてホグワーツへの旅が始まった。




執筆なんて15年振りでござる。肩が凝る
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