ハリー・ポッターと深紅の覇者   作:筋肉神

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カボチャジュースは飲んでみたいよね


第6話 異端の名家

「ねえ!ネビルのヒキガエル見なかった!?」

 

 勢い良く開かれた扉。その向こうに立っていたのは、癖のある茶色の髪をした少女だった。

 

「……」

 

 少女の動きが止まる。その視線はオーロラに釘付けになっていた。

 

「ねえ、その生物って猫じゃないわよね?」

 

「ほう?」

 

 セラフィーナが少し興味深そうに口角を上げる。

 

「見ただけで分かるか」

 

「当然よ。普通の猫はこんなに魔力を纏っていないもの」

 

 少女はそう言いながらコンパートメントに入ってくる。

 

「私はハーマイオニー・グレンジャーよ」

 

「セラフィーナ・ヴァレリア・アウレリウスだ」

 

「アウレリウスって、あのアウレリウス家!?」

 

 その名前を聞いて真っ先に反応したのはロンだった。彼は驚愕に目を見開き、顎が外れるのではないかと思うほどの大口を開けてセラフィーナから距離を取る。

 

「知ってるの?ロン」

 

「も、勿論知ってるさ!決闘貴族って呼ばれるほど戦ってばかりの貴族で、純血の名家の中で一番怒らせちゃいけない一族だって父さんが言ってた!」

 

「流石に知っているかウィーズリー。だがそんなに怯える必要は無いぞ?流石に誰彼構わず決闘を申し込んだりはしないからな」

 

「『流石に』って付く辺りが怖いんだよ!」

 

 ロンが半ば悲鳴のような声を上げる。その様子を見て、セラフィーナは愉快そうに笑った。

 

「ククッ……中々面白い奴だなウィーズリー」

 

 一方、ハーマイオニーは未だにオーロラを見つめていた。

 

「……ねえ、もしかしてこの子ってレガリア・アウルム?」

 

「知っているのか?」

 

「『幻の魔法生物大全』に少しだけ載っていたわ。確か、絶滅寸前の超危険種……」

 

「ほう?中々勉強しているな」

 

 セラフィーナは素直に感心したように言う。その言葉を聞いたハーマイオニーは少し得意げに胸を張った。

 

「入学前の教科書は全部読んだもの。それに、魔法界のことも沢山勉強したわ」

 

「ほう?グレンジャーという家名は聞いたことがないと思っていたが、貴様マグル生まれか?グレンジャー」

 

 その言葉にロンは気まずそうに視線を逸らす。だが当の本人であるハーマイオニーは逸らすことなくセラフィーナの目を見ている。

 

「そうよ?両親が歯科医なの」

 

 それがどうした?とでも言うように堂々とした態度。そんなハーマイオニーを見てセラフィーナは心底楽しそうに口角を上げる。

 

「し、しかい?」

 

「マグルの世界で歯の治療を専門とする医者のことだ」

 

「驚いた……貴女マグルに詳しいの?」

 

「そこまで驚くことか?」

 

 これにはハーマイオニーだけでなくロンとハリーも相当驚いている。

 

「驚くわよ!だって魔法族はマグルを見下しているって聞いたわ。ましてや純血貴族なんてその筆頭でしょ?」

 

「確かに僕の父さんみたいにマグルと友好的な人もいるけど……アウレリウス家みたいな古い名家の人がマグルと友好的なんて聞いたこともないよ!」

 

「ごめん……マルフォイみたいな人を想像してた」

 

「言いたい放題だな貴様等」

 

 セラフィーナは少しだけ呆れたように息を吐く。

 

「だがまあ仕方ない部分もあるな。事実アウレリウス家みたいな貴族は少数派どころか異端に近い」

 

「やっぱり……」

 

「だが我が家は違う。説明してやれリオラ」

 

「はいお嬢様。では説明させて頂きます。アウレリウス家は純血貴族の中で唯一『実力至上主義』を掲げる家系です」

 

 リオラはハーマイオニー、ハリー、ロンの順番で視線を移した後、再び口を開く。

 

「簡単に言えば血や家柄よりも才能や努力、結果を見て評価をするということです」

 

「あ、なんだ……思ったより全然まともな思想だった」

 

「つまり優秀であれば純血、半純血、マグル生まれ関係なく評価する。逆に無能であれば純血、半純血、マグル生まれ関係なくゴミということだ。だが努力ができる無能は一定の評価をするぞ」

 

「いや下手な純血主義より過激だった!?」

 

 ロンの叫び声に、コンパートメントの空気が一瞬静まり返る。

 

「ハハッ!」

 

 セラフィーナが堪え切れないとでも言うように笑い声を上げた。

 

「面白いなウィーズリー!確かに言われてみればそうかもしれん」

 

「笑い事じゃないよ!?」

 

 ロンが頭を抱え、ハリーも苦笑いをしている。その一方、ハーマイオニーは腕を組みながら考え込むようにセラフィーナを見つめている。

 

「やっぱり意外だわ。もっと古臭い考え方をしていると思っていたもの」

 

「古臭い考えをしている部分もあるがな」

 

「例えば?」

 

「誇りを重んじ、礼節を重んじる。恩には恩を返し、侮辱には報復を返す」

 

 当然のことのようにサラリと言う姿に、ロンの顔が明確に引き攣った。

 

「やっぱり怖いよアウレリウス家!」

 

「安心しろ。意味もなく暴れたりはしない」

 

「その言い方だと理由があれば暴れるんだろ!?」

 

「当然だ」

 

 即答。ロンは「うわぁ……」という顔で座席に沈み込む。

 

「でも、なんか分かる気もする」

 

「ハリー!?」

 

「いや、だって確かにセラフィーナって怖いけど嫌な感じはしないんだよね」

 

「それ私も分かるわ」

 

 セラフィーナは小さく目を細める。

 

「貴様等は変わっているな」

 

「よく言われる」

 

 遠くの車両から「トレバーが見つかった!」という少年の声が聞こえてきた。

 

 ホグワーツまではまだ遠い。




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