ハリー・ポッターと深紅の覇者   作:筋肉神

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明日は更新できるか微妙なのです…


第8話 魔法学校

 キィィィ……ッ!

 

 ブレーキ音と共にホグワーツ特急がゆっくりと速度を落としていく。窓の外は既に完全な夜となっており、黒い湖と巨大な城だけが無数の灯りに照らされていた。

 

「着いた……!」

 

 ロンが興奮した声を漏らす。周囲のコンパートメントからも次々と生徒達が通路へ出ていく音が聞こえてくる。梟の鳴き声、トランクを引く音、興奮した話し声。

 

「行くぞ」

 

 その声を聞きリオラが真っ先に立ち上がって扉を開ける。それを見てからセラフィーナが立ち上がり、オーロラも静かに床へ降り、その後ろへ付いた。

 

 コンパートメントを出た瞬間、通路にいた上級生達の視線が一斉に集まる。

 

「……あれか」

 

「本当にレガリア・アウルムを連れてるぞ」

 

「アウレリウス家の……」

 

 ひそひそ声が広がる。だがセラフィーナ達は特に気にした様子もなく歩き続けた。

 

「一年生!一年生はこっちだぁ!!」

 

 突然、雷鳴のような大声が夜の駅に響く。

 

 その声の主は、巨大だった。常人の倍はある巨体に、もじゃもじゃの黒髪と髭。分厚いコートを着込んだ大男がランプを掲げて立っている。

 

「おぉ……?」

 

 その大男──ルビウス・ハグリッドの視線がセラフィーナからオーロラへ向いた瞬間、その黒い瞳が大きく見開かれた。

 

「お、おおぉぉぉぉぉぉ……!」

 

 ハグリッドが感嘆の声を漏らす。

 

「な、なんて見事な子だ……!」

 

 ハグリッドの巨大な顔がぐっと近付く。普通の動物なら怯えて逃げ出し、魔法生物なら威嚇するか攻撃してもおかしくはない距離。だがオーロラは動かず、ただ静かにハグリッドを見上げている。

 

「レガリア・アウルムか……?いや、それにしちゃあ雰囲気が違ぇ……」

 

「ほう、詳しいな」

 

 セラフィーナが少し感心したような目でハグリッドを見る。

 

「へへっ、そりゃあオレぁ魔法生物が大好きだからなぁ!それでもこんな子ぁ初めて見たぞ……!綺麗だなぁ……」

 

 意外にもオーロラは嫌がる様子を見せず、寧ろ興味深そうにハグリッドを見ている。

 

「おぉ……!嫌われてねぇ!っと、いけねえ!一年生、こっちだ!ボートに乗るぞぉ!」

 

 慌てて移動を始めるハグリッドに一年生達がついていく。揺れるランプの灯りに照らされる少し濡れた石畳、そして暗闇の中広がる巨大な湖。

 

「……夢みたいだ」

 

 ハリーの声にロンも小さく頷く。

 

「うん、すっげえ……」

 

「ふむ、ボートは4人乗りか。では私、オーロラ、リオラ、グレンジャーだな」

 

「え?」

 

 セラフィーナの言葉にハーマイオニーは目を丸くする。どうやらその中に誘われるとは思っていなかったようだ。

 

「え、いいの?」

 

「構わんよ。こんな小舟にむさ苦しい男共と一緒に乗りたくはあるまい」

 

「酷くない!?」

 

 ロンの叫びを無視してセラフィーナ達はボートに乗り込む。ハリーはその様子を見て少しだけ苦笑している。

 

 暫くして一年生が全員ボートに乗り込む。

 

「全員乗ったなぁ!」

 

 ハグリッドの声と共にボートが進み始める。

 

 夜の湖。その向こうには、月明かりに照らされたホグワーツ城がそびえ立っている。まるで、魔法界そのものが新たな魔法使い、魔女の卵を歓迎しているかのように。

 

 ハーマイオニーは城を見上げながら小さく息を呑んだ。

 

「本当に凄い……」

 

 その声には、本で読んだ憧れが現実になった感動が滲んでいる。

 湖面には魔法の灯りが揺れ、無数の塔と窓が夜空に浮かび上がっていた。

 

「確かに素晴らしいな。千年の歴史は伊達ではないということか」

 

 セラフィーナの隣でリオラも静かに城を見上げている。

 

「えぇ、とても美しいです」

 

 オーロラは船首側に座り、静かに城を見つめている。その深紅の瞳に、ホグワーツの灯りが映る。

 

 そしてボートが岸に到着し、一年生達はハグリッドに連れられて巨大な門の前に整列する。

 

「よぉし、一年生。ここで待ってるんだぞぉ!」

 

 そう言ってハグリッドは門を軽くノックする。すると扉が開き、深緑色のローブを纏った痩せた魔女が現れる。眼鏡の奥の鋭い視線が、一年生達を静かに見渡し……セラフィーナとオーロラを見て一瞬だけ止まった。

 

「一年生連れてきたぞ、マクゴナガル先生」

 

 ハグリッドの言葉に、マクゴナガルはセラフィーナとオーロラから視線を外す。

 

「ご苦労様です、ハグリッド」

 

 そしてマクゴナガルは一年生の方に向き直る。

 

「ようこそホグワーツへ。間もなく諸君は組み分けを受けます」

 

 場の空気が引き締まる。

 

「ホグワーツには四つの寮があります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン。諸君が在学中、寮は諸君の家となります」

 

 一年生達の緊張が更に強くなる。

 

「優秀な成績は寮へ点をもたらし、規則違反は減点の対象となります。一年を通して最も多くの点を獲得した寮には寮杯が授与されます」

 

 それだけ言うとマクゴナガルは一年生達に背を向ける。

 

「では行きますよ」

 

 一年生達が門を潜ると、その先にある大広間への扉がゆっくりと開かれる。

 

 眩い光。

 

 無数の蝋燭。

 

 そして天井いっぱいに広がる夜空。

 

 一年生達から感嘆の声が漏れた。

 

「うわぁ……!」

 

「すげぇ……!」

 

 マクゴナガルが厳かに告げた。

 

「一年生、前へ」

 

 大広間へ足を踏み入れた瞬間、無数の視線が一年生達へ注がれる。

 

 空中に浮かぶ蝋燭、夜空を映した魔法天井。そして四つの寮の長テーブルから響くざわめき。

 

 ハリーは完全に圧倒されていた。

 

「……すごい」

 

 その声はほとんど呟きだった。

 

 ロンも口を半開きにして天井を見上げる。

 

「本当に空みたいだ……」

 

 ハーマイオニーは周囲を忙しなく見回していた。

 

 そして上級生達の方でもざわめきが広がる。最初は新入生達に対する歓迎の目線が大半だった。しかし次第に、上級生達の視線が一カ所に集中していく。

 

 腰まで届く鮮血のような深紅の髪。髪と同色の瞳は猛禽類のように鋭く、11歳の少女とは思えない威圧感。そして神が作った美術品の如く整った顔立ちの少女と、その横に付き従う金白色の美しい魔法生物。見るなと言うのは酷な話である。

 

 そして、マクゴナガルが古びた帽子を椅子に置く。

 

「これより組み分けを行います」




組み分け帽子って洗濯するのかな
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