孤高の彼女 作:あいうえ
セイア……です。
目が覚めた時、ミカが目の前にいた。またこの光景だ。
「もー、セイアちゃんはさぁ……わかってないよね、自分の体のことを……心配したんだよ、いきなりここに運ばれた時は」
「……彼女は?」
「ん?……あぁ、あの人はセイアちゃんをここに送り届けた後、直ぐに帰っちゃったよ……なんでそんな残念そうな顔するのさ……もしかして、もしかして!」
「違うよ、ミカ。感謝を伝えなくてはと思っただけだ。ミカ、やめてくれないか、その顔を」
ニヤニヤして、こちらを見てくる彼女に腹がたった。自室に戻り、思案に耽る。いや疲れた、眠るとしよう
セイアちゃんを怒らせちゃったな……でもいいや、セイアちゃんはああ見えて結構ずぶとい子だから。多分次会った時には戻っているはず、希望的観測だけど……
「そうだ、ねぇねぇ君の名前はなんていうの?」先程まで花をつみに出かけていた彼女に名前を聞いた。偽名とわかる。なんとなくだが……セイアちゃんを揶揄うために嘘をついたが、それと同時にセイアちゃんが騙されていないか、それが心配だった。
「ところで……なんでセイアちゃんとは、どういった関係なの?」良いようにあしらわれるかもしれない、でも聞かずにはいられなかった。
「……彼女が倒れこんでしまってね。あのまま放置していたら、悪い人があの子を攫ってしまうかもしれない……初対面だけど、見捨てるわけにもいかなかったんだよ……」
あ、いい人だ
「ごめんね、ちょつと威圧的だった……かな。」
「別にいいよ、君はいい子だね。友達のために行動できるなんてね。」
「///そんなことないよぉ〜……あ、そうだ!今から、服買いに行くんだけど、一緒に行かない?」
「え、服……?嬉しいお誘いだが、私はあまりそういったものには無関心なんだけど。」
「ダメだよ!そんなのじゃダメ……ほら、一緒にいくよ!」
「ま、まってくれ。私はあまりお金を持っていない。その、トリニティは少し……高いじゃないか」
「うーん?確かに……そうなのかな……まぁ、いいからいくよ」
「え、ちょっとまっ……うわぁぁぁ!」
嫌がっていそうだったけど、本気で抵抗していなかったので、かまってちゃんなのかなと思う。途中から引きずられる自分が恥ずかしくなったのか、自分で歩くと言い始めた。
私の隣を同じペースで一緒に歩いた。たわいのない話をして、時間を潰す。私は彼女のことを知らないし、彼女も私のことを知らないはずだ。でも、彼女はあまり良い噂がたたないトリニティの生徒である私に優しい対応をしている。やっぱりいい人だと思った。
「よし、ついたー。ふぅー……ちょっと休憩しない」
「いや、別にいいんだけど……自販機で何か買ってくるよ、何がいい?」
「うーん?別に……うーん、おすすめで……?」
「……おすすめね、ちょっと遅れるけど待っててね」
渡されたジュースのペットボトルを開けようとすると、既に開けられていることに気がつく。不思議がって聞いてみると、あしらわれてしまう。怪しいが、せっかくだから飲むことにした。
「おえぇ、な、何をしたの……」お淑やかに笑っている姿が見えた
「ふふ、これはね……コーヒーとココアとコンポタだね。」
とてもいい顔で笑う彼女を咎めることは出来なかった。怒ったよと言って、謝罪の言葉を貰うことに成功した。別に怒っている訳でもない。
怒りよりも嬉しさが勝った。私にこんなことをする人はいなかった。家柄が高く、友達と言える友達がナギちゃんしかいなかった。だから、家柄に拘らず、学園に拘らない彼女と友達になりたいと思った。
買い物が終わり、彼女を着せ替え人形のように遊ぶ時間も終わってしまった。帰り道、彼女にトリニティ本校まで送ってもらう。別にそんなにしてもらわなくてもよかったのに。私から離れていく、その背中に抱きつく。驚いた表情を浮かべた彼女は、こちらに向き直る。
「あのさ、もし良かったら……連絡先、交換しない?」
いつもなら、こんなことを躊躇って言うことはなかったはずだ。でも、何故か恥ずかしいと思えた。
「……いいよ、私から言うべきだったね。今日は楽しかった。また、誘ってくれ」
「う、うん。じゃあ、またね」
「またね、ミカ」
初めて会った同年代に、こんなにも心が踊るだなんて初めてだった。次はいつ会えるかなと、彼女のことばかり……考えた。ナギちゃんに注意されてしまうぐらいには。
「ミカさん、ちゃんとしてください。私たちはもう大人なんです。高校生なんですよ。」
セイアちゃんに言ったことが自分に跳ね返ってきて、驚いた。
「う、うん。ごめんね、最近ちょっと忙しくて……」
すると、ナギちゃんは心配した声で「……何かあったら、私に言ってください。友達ですから」
でも、彼女には言えなかった。色に溺れて、勉学に力が入らなくなっていることを、こんなことを言ったら、ナギちゃんに失望されてしまう。だから、言えなかった。そして、彼女に貢いでいることも言えなかった。
1度、あの人に物をプレゼントしてみた。とても喜んでもらえた。だから、もう一度、喜んで欲しくて今度は少し高価なものをあげた。それを受け取りづらそうにしている彼女に強引に押し付けた。そこから、彼女は私があげたアクセサリーを、私があげたシャンプーを、私があげたリップを使っていた。
私色に染まっていく彼女を見て、興奮が抑えれなかった。私だけを見て欲しい。あんなにも貢いだんだから、私の支配下にいてほしかった。私だけのあなたでいて欲しい。自分でもわかるほどの醜い感情が頭の中を支配した。
だから、許せなかった。次に約束をした日、私の家で遊ぶことにした。初めて来る場所に戸惑っていたが、小一時間ぐらい談笑をして時間を潰した。楽しいなと思っていた。
だけど、彼女が、唐突にミレニアムの生徒と関係を持ったということを、そして彼女に好意を抱いているのかもしれないということを告げた。
理解が追いつかなかった。その事実を上手く飲み込めずにいた。そこから、適当に相槌を打ちながら、理解をしようとする。やっとの事で飲み込めたそれを、私は………許せなかった。
そこからの記憶は曖昧だ。ただ、彼女をめちゃくちゃに壊した記憶だけがあった。
艶めかしいを、初見で読める人は居ないと思う。
はい、1度破滅エンドを書いたので、途中まで雲行きが怪しくなっています。本当は捨てるエンドだったんですけど、それはR18だなって