ある蜘蛛男の憂鬱   作:Lemony226

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他に書いてる作品がムズいので妄想膨らましていきたい


第一章

 

 嵐の前の静けさ、という言葉がある。今の教室の雰囲気を言うならそれが最も適切だろう。この前の自己紹介で強烈なインパクトを残した女生徒こと涼宮ハルヒだったが、以外にもここのところ数日間は大人しくしているのである。切り取り次第では人畜無害で品行方正な一生徒に見えるだろう。しかし僕は違う。なんの因果か僕の感覚が全力で警鐘を鳴らしているのである。しかも登校中だろうが授業中だろうがお構いなしに鳴るもんだから参っちまうねこれは。

 

 と、ビクビクしながらだが今のところは平和な学校生活を送っている僕だったが...おっと、無謀にも少女ハルヒに声をかけようとする男子生徒がいるではないか。うっかり火花が僕に降り掛かったりしたら一大事なので腕を伏せてネタフリをしよう。

 

 まぁ聞き耳は立てるんだけどね。

 

 うーむ。どうやら結果はわかっていたが玉砕に終わったようだ。聞いてるこっちまでうっかり誤ってしまいそうなほどの冷徹な声を聞いたところで、ここでクラスの端っこの男子集団...違うそっちじゃない。その右だ。そうそれ。彼らの話に耳を傾けてみよう。

 

「なぁ、見たか?昨日のアレ」

「ドラマの話か?それともソシャゲ?」

「ちげーよスパイディだスパイディ」

「あーあの赤いパーカーの変人のことか。お前あいつ好きだよなぁ~」

「当たり前だろ!スーツはちょっとアレだが...ほら、人は外見じゃなくて中身だろ?」

「あれが人かもわからないけどな」

 

 とまぁここまで読んでる読者にはわかるだろう。もちろん、今話題に上がってた妖怪レッドパーカーことスパイダーマンが僕だ。ただ男子生徒B君。スーツの見た目はアレだが機能性と経済性を考慮した結果があれなんだ許してくれ。

 

 

 

 ボッチ飯が嫌なわけじゃない。ただやはりというか何と言うか、周りがワイワイガヤガヤしながら食ってるときに自分だけ一人ってのはなんとも息苦しさ、孤独感を覚えてしまう。良いもん。ヒーローはいつだって孤独なものだもん。

 

 「校内探索でもするか」

 

 思い立ったが吉日だ。中学時代の友人が高校に一人もいない僕からすれば自ずとフットワークは軽くなるものであり、それはまた一つの部室を見つけることを意味していた。

 

 文芸部室

 

 と題打たれたその部屋にはその名前からは想像もつかないほどの感覚を僕に与えている。二度あることはなんとやらという言葉がある以上、一度あることは二度もあるのだろう。涼宮ハルヒと同じレベルの強烈なインパクトを発している部屋を僕が見逃すわけには行かない。嫌な予感はするしできることなら受動的に厄介事に突っ込みたくはないが、僕は糸紡であると同時にスパイダーマンなのだ。

 

 「あーっと...初めまして?」

 

 意を決して入室した僕を待ち構えていたのは、まさに文学少女の権化であった。具体的に言うと、メガネを掛けた短髪の少女だ。僕の入室を気にしちゃいないのか、彼女はこちらを一瞥もせずにページを繰り続けている。肌は真っ白でまさに神秘的をAIに入力して生成でもしたかのようだった。彼女の背後の窓は半開きで、そこからやってくる風により髪とカーテンがたなびく。絵になるなぁ。などと考えていると。

 

「長門有希」

 と彼女は言った。蜘蛛の糸もびっくりなほどのか細い声を掴み、なんとか咀嚼する。恐らく、いや間違いなくそれが彼女の名前なのだろう。瞬き二回分ほどの思考を終え、

 

「糸紡..糸紡繋だ」

 

「そう」

 

 彼女...長門有希はほんの僅かな間こちらを見ると、また直ぐに読書へ移行した。なにぶん表情が掴めないもので、僕がここにいることがどうでも良いのか、はたまた迷惑なのかもわからない。

 

「えっとぉ、ずっとお邪魔してちゃ迷惑ですよね。直ぐに戻ります」

 

 こう見えて僕は気遣いのできる男なのだ。きっと彼女は一人でいる時間が好きなのだろう。そうでもなくちゃ、ここまでの美貌を持った女性がわざわざ一人でいる意味がない。

 

「いい」

 

「え?」

 

 やってきたのは肯定とも否定ともとれない一言だった。いや否定なのか?ここに居ても良いってことなのか?あーでも待て待て僕。もしかしたら彼女は僕に気を使っているのかもしれない。いやきっとそうだ。この時期に弁当持ったボッチ生徒がいれば思わず気を使いたくなってしまうのが人情なのだろう。だがそれではいけない。

 

「いや、やっぱり出ますよ。あなたに申し訳ない。迷惑をかけちゃうかもしれませんし」

 

「別に」

 

「大して本が好きってわけでも...」

 

「構わない」

 

 会話のキャッチボールができているのは嬉しいが、客観的に見てこれは会話と言えるのだろうか。まるで無機質な応答だ。心底興味ないとすら思ってそうな、機微が乏しいにもほどがあるクールさだ。

 

 ただ滞在許可こそ出されたが、このままでは貰ってばっかりだ。

 

「えっと、長門さんは文芸部なんですよね?」

 

「そう」

 

「他の部員っていたり?」

 

「いない」

 

「じゃ、じゃあ僕が入るってのは...」

 

「どうぞ」

 

「ど、どうも」

 

 あれ?これはお返しになってるのか?そう思ったところでふと時計を見ると、長針はすでに昼休憩の半分を示していることに気がついた。

 

 そろそろ昼ご飯を食べなくちゃいけないが、二人だけってのはどうにも居心地が悪い。足早に退出しようとドアノブに手をかけたと同時に

 

「最後に、」

 

「え?」

 

「敬語は不要。貴方と同じ同級生」

 

 それを最初に言ってくれれば...

 

 

 

 

 





はい、この世界のスパイダーマンこと糸紡クンには技術力も何もないので例えるならサム・ライミ版の初期のプロレス(ボクシングだったかも)の時の服とホームカミングで登場したホームメイドスーツを足して2で割ったようなスーツ(?)になっております。勿論ウェブシューターなんて作れないので生体ウェブですぞ
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