君の輝きと共に   作:スイレン765

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軋み

 

 

 

 授業、研究、美鈴

 日々は大体この3つの要素で回っていた。

 

 

 くるくるくるくるめぐる日々。

 美鈴と出会ったことは間違いなく人生での奇跡だったが、巡る日々の中でどこか擦り減っていく自分もいた。

 

 いや、気づいてはいたんだ。

 押し込めていただけで。

 

 それは破裂と表現するべきなのか。

 陳腐だけれども、糸が切れたという表現が適切だろうか。

 

 きっかけはなんだったのだろう。

 就活が始まり、人生の終わりを意識したことか。

 あるいは、誘われて行った美鈴のライブで、眩しいほどの輝きを見せつけられたことか。

 

 分からない。

 ただ、結果として僕は学校に行けなくなった。

 

 思い返すと結構壊れていたような気がする。

 最初は研究室の机に座っても何にも手がつかない、といったくらいだった。ただ、結構自由ではあったので、まだ何もしないで帰ることはできた。

 やがて学校に行くと、涙が零れ落ちるようになった。

 休みを挟みつつ研究室に行き、でも何もできないまま別の場所へ逃げ込んでいた。

 それでも、美鈴と会う時は酷い姿を見せずに済んでいたと思う。

 

 でも気づいたのだ。

 自分は無理なのだと、誰かを頼るしかないと。

 

 そこで美鈴に電話をかけたのは、やっぱり救って欲しかったのかもしれない。もしくは頼り切ってしまっていたのか。

 

 両親にかけるか迷ったけれど、学校に行かせてくれていたのにこうなったのが申し訳なかった。だから、僕は両親でなく美鈴を選んだ。

 

 気づけば、涙を流しながらベンチに体を預け、美鈴に電話をかけていた。

 

 

「やぁ……美鈴かな?」

 

 

「ええ……どうしましたか?」

 

 

 僕のいつもと違った様子に少し困惑が混じる。

 

 

「申し訳ないけど、ちょっと時間あるかな……

 少し話したくて」

 

 

「……大丈夫ですよ」

 

 

 どういった風に話せばいいのか分からなかったから、いつも通りを装った。

 もちろんいつも通りでなんてなかったけれど。

 

 

「うーん……ちょっと言い辛いんだけど、学校に行けなくなっちゃって」

 

 

「ええと……それは……」

 

 

 電話越しに息を呑む音がした。

 

 

「ごめん……ただ聞いて欲しくて。困らせちゃってるのは分かってるんだけど……」

 

 

「裕人さんは……

 いえ、ひとまず家に帰りませんか?

 私もすぐに向かいます。

 

 待っていてください……」

 

 

「うん」

 

 

 そう言って電話は終わった。

 泣いていることは伝わっていただろう。

 鼻水も出っ放しで、声も鼻声になっていた。

 気を遣わせてしまった。

 ひとまず帰ろう。選択が正しかったかは分からないけれど。

 僕は家に帰って美鈴を待つことにした。

 

 家について少し待つと、インターホンが鳴った。

 美鈴が来たのだ。

 

 ドアを開けて美鈴を迎え入れる。

 急いで来てくれたのか少し息が上がっていた。

 

「ごめんね、急に……

 あと、ありがとう」

 

「いえ……」

 

 そのまま居間まで歩き、カーペットの上に座る。

 美鈴は少し緊張したような面持ちでいる。

 

 正直何を話せばいいのか、何から話せばいいのか。

 そもそも話しても良いのだろうか。

 でも、選択は終わっている。

 それに、美鈴を大事な人と思うのなら共有しても良いのかもしれない。

 

 

 僕のこれまでの日々を。

 

 積み重なった憂鬱を。

 

 

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