君の輝きと共に   作:スイレン765

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僕と美鈴

 

 

 

 話を終えて、顔を上げ、美鈴に対し向き直る。

 ほぼほぼ赤裸々に語ってしまった。困らせてはいるのかもしれない。いや、困らせてはいるだろう。少し不安を覚える。

 それでも、最後まで真剣に聞いてくれたことが嬉しかった。

 

 美鈴は眉を下げ、少しの間考え込んでいた。

 やがて小さく息を吐き、決意したように顔を上げる。

 膝立ちになり、僕の方へ寄ってきて、そのまま僕の頭を抱き寄せた。

 温度が伝わる。

 鼓動が近くなる。

 

 

「……話して下さり、ありがとうございます」

 

 

 静かな声だった。

 

 

「私……私は、近しい人に安らかな日々を送って欲しい。

 苦しいまま居てほしくなんかありません」

 

 

 腕に僅かに力がこもる。

 

 

「そして……私のことだけを見て欲しい。

 私なしでは生きられないようにしたいんです」

 

 

 その言葉は僕に向けられたものというより、美鈴自身から溢れ出たもののように思えた。

 

 美鈴は少し腕を緩め、僕たちは見つめ合う。

 

 そこには確かに、静かに燃える熱があった。

 

 

「私、裕人さんの太陽になってみせます」

 

 

「絶対に諦めません」

 

 

 美鈴はそう宣言した。

 

 瞳から声から腕から熱が僕の全身へと流れ込む。

 温かくも痛みを伴うような感覚だった。

 

 僕に太陽は現れるのだろうか。

 それでも……信じたいと思った。

 

 涙が零れる。美鈴も泣いていた。

 

 あぁ、どうしてこんなに美しいのだろう。

 

 

 僕も、いつか輝けるのだろうか。

 美鈴のような熱を持てるだろうか。

 

 もう、絶望なんてしたくなかった。

 

 

 

 僕らはそのまま抱きしめ合いながら、泣き続けた。

 ずっとずっと。

 想いを晴らすように。

 希望へと触れるように。

 

 泣き声だけが部屋に残り、やがて消えていく。

 

 その熱の後には、不思議なほど静かな時間があった。

 

 

 ――――――――――――――――――――――

 

 

 そうして、僕と秦谷美鈴のお話はひとまずの終わりを迎えた。

 だが、何かが劇的に変わったわけではない。

 

 

 変わったことといえば、美鈴が毎日のように家に来るようになったことくらいだ。

 食事や掃除などを行い、ただ一緒にいる。

 そうした時間が増えた。

 

 

 美鈴は変わらず進み続けている。

 美鈴自身のために、そしておそらく約束を果たすために、進み続ける。

 

 

 僕は、その歩みに何も返せない。

 何かを返そうと思っても、形は見当たらない。

 空っぽなままだ。

 

 

 どうしようもないことばかりだった。

 苦しみも消えていない。

 一度無くなった気力は、簡単には戻らない。

 

 

 それでも、美鈴が傍に居てくれる。

 諦めないでいてくれる。

 

 

 僕はもう少しだけ、生きてみようと思った。

 

 

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