西暦2134年7月25日
7月の熱気の中日本最大の砂丘を新型PAパワードアーマーが高速で駆け抜ける。
形は人型、大きさは人より一回り大きいくらいだが、全身が鋼鉄の板に覆われているせいかもっと大きくそしてがっちりとした印象を受ける。
しかしそれでいて、高速かつ俊敏な動きをできるのは足元がエアーで浮いていたり背中の推進機がしっかり機能していることそして何より人が自らの体で制御しているからであろう。
つまり自分の"手足"として扱えるのだから。
「カメラ機能、推進機、各部以上ありません。状態は良好です」
新型PA「TYPE-0」を制御する相内大輔は機体の状況を技術士官に連絡する。
「了解。それでは最終試験段階に移る」
技術士官からの返答を受けた相内は事前に行われた打ち合わせの通りに最終試験段階の内容に頭を切り替える。
最終段階の内容は設置された障害物を高速で避け、最後に設置してある的に装備しているアサルトライフルをたたきこむという内容だ。
設計に4年テストに2年がかかったPAだ。
開発期間は短いがそれも周辺国の状況や抑止力としての期待が込められている。
「最終試験段階開始まであと3秒、2、1、開始!」開始が宣言されると相内は瞬間的に右に移動する。
新技術クイックステップは反射的に回避、接近が行えるように設計されたもので正面から見ているとまるで瞬間移動でもしたかのような動きになる。
当然、相内にはGが襲ってくるがここで悠長に休んではいられない。立て続けに前方へステップをかけ、設置してある障害物を追い越していく。
右へ、左へ、ステップでかわしきれないものは通常の推進機能を使って回避していく。
「いける」思わず思っていたことが口に出てしまいにやけてしまう。
だがそれくらい今は気持がいい。
あっというまに障害物をかわし終えた相内は装備しているアサルトライフルを構え動いたまま的に発砲した。
生身の状態では到底考えられない動きだが、今ならそれができる。伝わってくるのは程よい手ごたえと、的が砕け散る音だけだ。
「最終試験段階終了。TYPE-0は一次帰還してくれ」技術士官の興奮気味の声を発しているように、相内も興奮した声で答えたが両者の興奮の理由は少しだけ違うものだった。
「久しぶりだな、これで"あいつ"と勝負ができる」
広い砂丘の中一人鋼鉄の鎧に身を包んだ青年は空を見上げ幾多の勝負を繰り広げてきた"悪友"との思い出を回想していた。
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