異世界猫物語   作:道草

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あ、どうも

 

 

"文明を感じる!"

 

森から抜けた先で真っ先に目に入ったのは、剥き出しになった地面だった。それだけなら何の感慨も湧かなかったに違いない。

だが、それが一直線に視認出来ないほど続いているのなら話は別だ。

何の舗装もされてないけど多分道だった。

 

"……近くで観察してみるかにゃ"

 

森から出て移動する。ある程度距離があった。

 

「……」

 

たどり着いた先で、注意深く痕跡を探す。

よく見ると剥き出しの地面には僅かで、それでも数多くの凹凸があった。

直線状な物が多かったが、よく見ると楕円形もある。

それに、森の中ではあまり感じなかった匂いが積み重なるように大量に残っていた。

 

"タイヤ……じゃにゃい。もっと細くて……硬い?ってことは馬車的な物かにゃ?こっちの丸いのは多分靴の跡かにゃ。匂いも……うん、そんな変な感じじゃないにゃ。ほんと良かったにゃ……。あとにゃーにゃーうるせえにゃ。そんな特徴いらねー……にゃ"

 

インテリジェンスな分析に余計な物が混じっていた。

 

"推定異世界人は出来れば人型がいい。エイリアンな見た目だったら怖い。初コンタクトは出来れば優しそうな奴がいい……にゃー"

 

我慢出来なかった。多分呪いの一種だと思われる。どこでお祓いできるのだろうか。

 

「!」

 

その時、遠くから微かに音が聴こえた。

何だかあまり聴き覚えのない、ゴッゴッゴッという音がリズミカルに響いている。

 

"ひょっとしてこれ馬車的なやつかにゃ!?ど、どうするにゃ自分!いっちゃう!?異世界人初コンタクトいっちゃうかにゃ!?でも心の準備出来てにゃいにゃ!"

 

アワアワしている間にも音は近づいてくる。

 

"あ、やっぱり馬車と……人間にゃ!見た目普通の人間にゃ!"

 

遠くに微かに見えたシルエット。

目に力を入れてガン見するとズームしたように姿がはっきりと視認出来た。

こちらに近づいてくる一頭立ての馬車。その御者台には人の良さそうな顔の中年のおじさんが座っていた。顔立ちはヨーロッパっぽい。

 

"馬車といい格好といい、中世ヨーロッパっぽい?……いや、今はそんなのどうでもいいにゃ"

 

問題は、自分に対して現地人っぽい彼がどんな反応をするかだった。

 

"まあ、こんな小さい猫に大した反応はにゃいかもしれにゃいけど、それならそれでいいにゃ。とりあえず存在だけアピールするにゃ"

 

道の端に陣取り、軽くぴょんぴょん跳ねて存在感を主張する。

ーーこれでおじさんがエイリアンに変身したり、舌舐めずりしながら追ってくるような事態に発展したら死に物狂いで逃走しようと思います。

 

そんな事を考えながら待つ事暫し。

 

「……!」

 

カッパカッパと音を立てながら馬車が接近してくる。

 

"き、来たにゃ!" 

 

そろそろ彼方からも此方の存在に気がついてもいい頃だ。

 

"さあ、どうにゃ!"

 

ぴょんぴょん跳ねながらおじさんの様子を観察ーー

 

ヒヒーン!

 

"……ん?"

 

なんか馬車が止まった。

馬が興奮したように嘶いて、御者のおじさんが慌てている。

 

「……!…………!?」

 

何とか宥めようとしているらしく、手綱を引っ張り必死に話しかけている。

 

"何言ってるかさっぱり分からにゃいにゃ"

 

何かトラブルっぽいけど、それはそれとしてアピールは続けさせて頂く。そんな事を考えながら一際高くジャンプする。

 

「?」

 

そこで初めてこちらの存在に気がついたらしい。

おじさんが怪訝そうな表情でこちらを見てーー

 

「!?」

 

愕然とした顔になった。

 

"……え、何この反応"

 

 

 

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