仮面ライダージオウ×ディケイド in 僕のヒーローアカデミア 作:生成AIに書かせています
十ヶ月という月日は、人間が己を鍛え上げ、あるいは運命を変えるには十分すぎる時間だったらしい。
あの泥ヘドロヴィラン事件の夕暮れから、季節は巡り、凍てつく冬を越えて、再び桜の蕾が膨らみ始める三月。世間では無個性の少年が奇跡的な努力で海岸の粗大ゴミをすべて片付けただの、平和の象徴が後継者を見つけただのという、世界の裏側の歯車がけたたましく回っていたようだが、常盤門矢にとっての十ヶ月は、極めてシンプルで退屈なものだった。
彼がしていたことといえば、首から下げたマゼンタ色の二眼レフカメラで、相変わらずピントの合わない世界の風景を切り取ること。そして、ポケットの中で時折熱を帯びる、赤き『クウガライドウォッチ』と、クウガの姿が定着した一枚のカードの重みを確かめることだけだった。
残りの十九枚のカードと、文字盤のない時計たちは、未だ白紙のまま沈黙している。
「まあ、焦る必要はないか。通りすがりの身としては、舞台が勝手に整うのを待つのが一番だ」
門矢はそう独りごちると、手元にある雄英高校の受験票を、面倒くさそうにポケットへとねじ込んだ。
国立雄英高校。ヒーローを志す者にとっての最高峰であり、倍率数百倍を誇る、この世界の縮図のような場所。
重厚な校門をくぐる受験生たちの顔は、どれも緊張と、自らの『個性』に対する絶対的な自信に満ち溢れていた。その中にあって、黒い詰襟の学ランをラフに着崩し、首から古ぼけたトイカメラを下げた門矢の姿は、明らかに異質だった。周りの受験生たちが「おい、何だあのカメラ」「あんなもので受験するのか?」と囁き合っているが、門矢は一瞥もくれない。
「うわっとっと!」
前方で、派手な音を立てて前のめりに転倒しかけた少年がいた。緑谷出久だ。十ヶ月前よりも多少は体躯がガッシリしたようだが、その挙動不審な本質は何も変わっていない。彼が地面に顔面を打ち付ける直前、その身体がふわりと宙に浮いた。
「大丈夫?」
出久の身体を触って止めたのは、ふくよかな指先を持つ少女――麗日お茶子だった。彼女の『個性』は無重力(ゼログラビティ)。出久が顔を真っ赤にして「あ、あ、ありがとう!」と吃っている様子を、門矢は少し離れた場所から見つめていた。
門矢はカメラを構え、その二人の光景をファインダーに収める。カシャリ、と乾いたシャッター音が響き、吐き出されたチェキは、やはり色彩が奇妙に反転していた。
「システムに選ばれた奴らと、システムに焦がれる奴ら、か。どっちにしても、眩しすぎて反吐が出るな」
門矢は写真をポケットに放り込むと、出久たちの横を通り過ぎ、筆記試験の会場へと歩みを進めた。彼が通り過ぎる瞬間、出久が一瞬だけ、そのマゼンタ色のカメラに見覚えがあるような顔をして振り返ったが、門矢が足を止めることはなかった。
午前中の筆記試験が終わり、午後。受験生たちは各自に指定された『実技演習場』へと集められていた。
門矢が指定されたのは、第五演習場。目の前にそびえ立つのは、本物の街並みを完全に再現した、広大な擬似市街地だった。そびえ立つビルの群れ、舗装された道路、信号機。すべてが本物と同じスケールで作られている。
「制限時間は十分! 演習場内に配置された、三種類の『仮想ヴィラン』をそれぞれのポイントに応じて破壊しろ! プロヒーローとしての資質、すなわち『敵を無力化する力』を見せてもらう!」
演習場のスピーカーから、ラジオDJのようなハイテンションな声――プレゼント・マイクのアナウンスが響き渡る。
受験生たちは皆、それぞれの個性を発動させる準備に入っていた。身体を岩に変える者、両手から電撃を迸らせる者、脚にエンジンを宿す者。演習場の巨大な鉄門の前に、無数の『異能』が集結し、空気がピリピリと張り詰めていく。
その最前列、門矢は相変わらず両手をポケットに入れたまま、退屈そうにビルの屋上を見上げていた。
「(……ウールたちの気配はないな。だが、これだけの異能が集まる場所だ。タイムジャッカーが指をくわえて見ているはずがない)」
彼の直感が、世界の歪みを敏感に察知していた。
――スタートォォォッ!!!
プレゼント・マイクの絶叫が響き渡ると同時に、巨大な鉄門が重々しい音を立てて左右に開いた。
「おい、本番にカウントダウンはねえぞ! ヒーローは立ち上がりが命だ!」
アナウンスが終わる前に、受験生たちが一斉に演習場へと怒涛の勢いで飛び出していく。出久が「えっ、あ、待って!」と出遅れる中、門矢は走ることもせず、ポケットから手を抜いて、ゆっくりと歩き出した。
市街地のあちこちから、金属が激しくぶつかり合う音と、爆発音が響き始める。
「1ポイントゲット!」
「こっちは3ポイントだ!」
受験生たちが派手な個性で、次々と襲いかかるギミックロボット(仮想ヴィラン)を破壊していく。
門矢が交差点に差し掛かったその時、ビルの陰から、無限軌道(キャタピラ)の音を響かせながら、巨大な三つ目のロボット――3ポイントヴィランが姿を現した。巨大な鉄の腕を振り上げ、門矢目がけて突進してくる。
「ターゲット確認。排除する」
ロボットの電子音声。周囲の受験生が「危ない! どけ!」と叫ぶ。
「排除されるのは、お前たちのシステムの方だ」
門矢は不敵に笑うと、腰の前に両手を構えた。
虚空からマゼンタ色の光が溢れ出し、彼の腰に『融合ドライバー』が実体化する。その中央のスロットには、既に赤きクウガのカードが装填されていた。
門矢は流れるような動作で、ベルトの両サイドを力強く内側へと押し込んだ。
『KAMEN RIDE―― KUUGA!』
地鳴りのような太鼓の音が交差点に鳴り響く。
マゼンタ色のカードの残像が門矢の身体をすり抜けた次の瞬間、彼の全身は、赤き胸甲とクワガタの角を持つ戦士――仮面ライダークウガ(マイティフォーム)へと変身を遂げていた。
「な、なんだあの個性……!? 変身系か!?」
近くにいた受験生たちが足を止め、驚愕の声を上げる。だが、クウガは彼らの視線など意に介さず、正面から迫り来る3ポイントヴィランに向かって、静かに一歩を踏み出した。
ロボットの巨大な鉄拳が、空気を引き裂くような風圧と共にクウガの頭上へと振り下ろされる。
クウガは避けることすらしない。ただ左腕を斜め上へと突き出し、その破壊力数トンはあるはずの鉄拳を、ガシィィン!と正面から受け止めた。
激しい金属音が響き、クウガの足元のコンクリートに蜘蛛の巣状の亀裂が走る。しかし、赤き戦士の膝は、一ミリたりとも曲がっていない。
「スペックが違いすぎるんだよ、お前たちとは」
クウガは左手でロボットの腕を掴んだまま、右拳を軽く後ろへと引いた。短く、鋭い気合い。
「ハッ!」
ただの正拳突き。しかし、クウガのマイティフォームが放つパンチは、純粋な物理破壊の質量そのものだった。
ドガァァァン!!!
殴られた3ポイントヴィランの装甲が、一瞬で内側へとへし折れ、その衝撃波がロボットの巨体を後方へと激しく吹き飛ばした。ロボットはビルの壁面に激突し、内部の電子基板をショートさせながら大爆発を起こす。
「……嘘だろ? 3ポイントのロボを、素手の一撃で……!?」
周囲の受験生たちが呆然と立ち尽くす。
クウガは彼らの方を振り返ることもせず、ただ静かに右手の親指をグッと立てる――サムズアップを掲げると、次の獲物を探して市街地の奥へと走り去った。
その頃、演習場全体を俯瞰する「監視モニター室」では、プロヒーローたちから驚きと困惑の声が上がっていた。
「おいおい、今年の受験生は随分と豊作だが……第五演習場のあの少年は何だ?」
画面を指差したのは、人気ヒーローのプレゼント・マイクだった。モニターには、クウガに変身し、驚異的な肉体スペックだけで次々と仮想ヴィランを解体していく門矢の姿が映し出されていた。
「変身系の個性、か。だが、辻褄が合わんな」
部屋の隅で、目元を白い包帯のような捕縛布で覆った男――相澤消太(イレイザー・ヘッド)が、鋭い目でモニターを睨みつけていた。
「何がですか、相澤先生?」
「彼の動きを見てみろ。ロボットを破壊する際、ただの身体強化にしては、破壊の伝播がおかしい。それに、個性が発動した瞬間の特異なエネルギーの波形……これは、我々の知る『個性因子』の働きとは明らかに異なる。まるで――世界そのもののシステムを書き換えているような、そんな不気味さだ」
相澤の言葉に、モニター室の空気が少しだけ重くなる。
その時、第五演習場のモニターの一角が、奇妙な紫色のノイズで激しくブレ始めた。
「おや? 第五演習場のB地区、カメラの調子が悪いのかい?」
プロヒーローたちが操作パネルを叩くが、ノイズは収まらない。それどころか、そのノイズの中心から、本来の入試用ギミックには存在しない『異質な影』が立ち上がろうとしていた。
第五演習場、ビルの狭間に広がるB地区。
クウガ(門矢)は、次々と襲いかかる1ポイントや2ポイントのロボットを、ドラゴンフォームの超スピードや、タイタンフォームの圧倒的な防御力で瞬く間に粉砕し、既に大量のポイントを稼ぎ出していた。
「これで四十ポイント強、か。入試としては十分すぎるな」
クウガがタイタンソードを収めようとした、その時だった。
――チク、タク、チク、タク……
再び、世界から音が消えた。
走り回る受験生たちの動きがピタリと止まり、崩落しかけていたビルの瓦礫が空中に静止する。
「やっぱり来たか」
変身を解除した門矢は、ため息をつきながら振り返った。
静止した空間の向こうから、ヒールの音を響かせながら歩いてくる一人の少女がいた。長い黒髪をなびかせ、冷徹な美貌を湛えた少女――タイムジャッカーのオーラだった。
「はじめまして、世界の破壊者さん。ウールが随分と手こずったみたいだから、私が直接、君の歴史を消しに来てあげたわ」
オーラは優雅に微笑みながら、その細い指先で、歪んだ金色の時計――『アナザーアギトウォッチ』を弄んでいた。
「お前たちタイムジャッカーは、どいつもこいつも他人の試験を邪魔するのが趣味なのか?」
門矢は首のカメラの位置を直しながら、不敵に笑う。
「試験なんてチャチな歴史、どうでもいいでしょ? 私たちが作るのは、新しい王の未来よ」
オーラがウォッチのスイッチを押す。
『AGITO……!』
不気味な重低音が響き、オーラの背後にいた一人の受験生――自分の個性の弱さに絶望し、演習場の陰でうずくまっていた少年――の胸へと、ウォッチが強制的に埋め込まれた。
「あ、あ、あああああッ!!」
少年の肉体が激しくのけ反り、その顔面が、獰猛なクワガタ、あるいは龍を模したような、しかし皮膚が生物的にひび割れた醜悪な怪人へと変貌していく。
仮面ライダーアギトの歴史を歪めた存在――『アナザーアギト』。
「グロロロロ……!」
アナザーアギトは咆哮すると、その鋭い爪を交差させ、地を割るような勢いで門矢へと突進してきた。その動きには、クウガとは異なる「生物的な滑らかさと、無限に増殖するような不気味な気配」があった。
「アギト、か。……だったら、こっちも最初から全力で行かせてもらう」
門矢は腰の融合ドライバーを叩き、クウガのカードを再び装填した。
『KAMEN RIDE―― KUUGA!』
赤き戦士へと変身した門矢は、突進してくるアナザーアギトの爪撃を、腕のガードで真っ正面から受け止める。
ガガガガガッ!
激しい火花が二人の間で散り、周囲の静止した空間が、その衝撃の余波でビリビリと震える。
「こいつ、クウガより攻撃の重さが……!」
アナザーアギトの爪は、殴るたびにその威力を増していくようだった。さらに、怪人の影から、もう一体の同じ姿をしたアナザーアギトの幻影が分離し、クウガの死角から襲いかかってくる。アナザーアギトの固有能力――『増殖・感染』。
「ハッ!」
クウガは瞬時にドラゴンフォームへと超変身し、ドラゴンロッドを展開。二体のアナザーアギトの猛攻を、紙一重のスピードでかわしながらロッドの連撃で押し戻す。しかし、一体を叩いても、すぐに別の影から新しい個体が現れる。
「無駄よ。アギトの力は、無限に目覚め、増殖する歴史。お前一人の力で、その無限を止められるかしら?」
遠くからオーラが冷ややかに見守る。
「無限、ね。……生憎だけど、俺の相棒(ディケイド)は、その無限の世界をすべて通りすがってきた男だ」
クウガ(門矢)は、戦いながら頭上のビルの構造を確認していた。これだけの数が一度に増えるなら、一箇所に集めて一網打尽にするしかない。
クウガは再びマイティフォームへと戻ると、わざと防御を崩し、ビルの中央のロビーへと飛び込んだ。
「逃がすかァァ!」
四体にまで増殖したアナザーアギトが、一斉に門矢を追ってビル内へと突入してくる。
「ここだ」
クウガは腰のドライバーのスロットから、クウガのカードを一瞬だけ抜き、逆方向に差し替えた。融合ドライバーのジオウ側のシステムが作動する。
ポケットの中で、クウガライドウォッチが激しく回転し、クウガの肉体に「さらなる歴史の重み」が上書きされていく。
『FINISH TIME―― KUUGA!』
クウガの右足の裏に、通常よりも遥かに巨大な、黄金色に輝くリント文字の刻印が実体化した。
「これで、まとめて終わりだ!」
クウガは大きく跳躍し、ビルの天井を蹴ると、押し寄せる四体のアナザーアギトの中心目がけて、強烈な急降下キック――『マイティキック(必殺技形態)』を叩き込んだ。
――タァァァッ!!!
ズドォォォォォンッ!!!
ビルのロビー全体が、黄金色の光の爆発によって完全に吹き飛んだ。四体のアナザーアギトの胸部に、同時に巨大なリント文字の封印エネルギーが刻まれ、それらは互いに連鎖するようにして、一際大きな大爆発を起こして消滅した。
ビルの瓦礫が降り注ぐ中、アナザーアギトウォッチは完全に粉砕され、元の受験生の少年は、気絶した状態で床へと転がった。
門矢の手元。白紙だった二枚目のカードの表面に、静かに、しかし力強く、金色の超越戦士――『仮面ライダーアギト』の姿が浮かび上がってきた。
「……やるじゃない。でも、これで歴史はまだ二つよ。私たちの王が目覚めるまでに、君がどこまで耐えられるかしら?」
オーラはチッと舌打ちをすると、不快そうに髪を払い、時間の隙間へと消え去った。
変身を解除した門矢は、新たに手に入れたアギトのカードをポケットに収めると、気絶している少年の襟元を掴み、演習場の道路へと引きずり出した。
その瞬間、――*チク、タク……*の音が消え、世界に時間が戻る。
――ドゴォォォォォンッ!!!
時間が戻った瞬間、第五演習場の遙か中央地区から、地響きのような大爆発の音が轟いてきた。
「な、何だあのアナウンスになかった巨大ヴィランは!?」
「0ポイントヴィランだ! 逃げろ!」
市街地の中心に現れたのは、ビルを見下ろすほどの超巨大なギミックロボット――『0ポイントヴィラン(ただの障害物)』だった。あまりの質量と破壊力に、これまで自信満々だった受験生たちが、悲鳴を上げて一斉に逃げ出してくる。
門矢がその大混乱の現場へと歩みを進めると、そこには、瓦礫に足を挟まれて動けなくなっている麗日お茶子の姿があった。
「痛い……! 誰か……!」
逃げる受験生たちは、誰も彼女を振り返らない。0ポイントを倒しても点数にはならないからだ。
だが、その恐怖の嵐の中を、ただ一人、前を向いて突き進む少年がいた。
緑谷出久だ。
出久の顔は、やはり恐怖でガチガチに強張っていた。しかし彼の目は、瓦礫の下のお茶子だけを真っ直ぐに捉えていた。
「(……またあいつか。本当に、バカな男だ)」
門矢は足を止め、その少年の背中を見つめる。
出久は地面を強く蹴り上げた。その瞬間、彼の全身に、赤いひび割れのような強大なエネルギーの奔流――『ワン・フォー・オール』が駆け巡る。
出久は一瞬にして、ビルの高さまで大跳躍した。巨大ロボットの鉄の顔面が、彼の目の前に迫る。
「助けるんだァァァ!!! ――スマッシュッ!!!」
出久の放った右拳が、0ポイントヴィランの分厚い装甲を、文字通り『一撃』で粉砕した。衝撃波によって演習場全体の雲が吹き飛び、巨大ロボットは轟音を立てて崩れ落ちていく。
しかし、その代償として、出久の右腕と両脚は、強すぎる力に耐え切れず、バキバキに折れて紫色の内出血を起こしていた。空中から真っ逆さまに落下してくる出久の身体。
「おっと。そこまで派手にやられたら、通りすがりの立場が無いな」
門矢はポケットから、手に入れたばかりの『アギト』のカードを取り出し、融合ドライバーへと滑り込ませた。
『KAMEN RIDE―― AGITO!』
眩い金色の光と共に、門矢は仮面ライダーアギト(グランドフォーム)へと変身を遂げる。
クウガが『純粋な力』の戦士なら、アギトは『大地の不屈』と『超越的な気』を操る戦士。アギトは頭部の角(クロスホーン)を4本へと展開し、足元に黄金色の紋章を浮かび上がらせた。
アギトは地面を強く蹴り、落下してくる出久の身体を、空中で優しく受け止めた。アギトの持つ超越的な気が、出久の落下の衝撃を完全に吸収する。
「え……? き、君は……」
激痛の中で、出久が微かに目を開け、金色の戦士の顔を見上げる。
「気にするな。ただの、通りすがりのヒーロー(仮)だ」
アギト(門矢)は出久を地面へと静かに横たわらせると、そのまま瓦礫の下で怯えていたお茶子の元へと歩み寄り、巨大なコンクリートの塊を、アギトの膂力で軽々と持ち上げて放り投げた。
「あ……ありがとうございます……!」
お茶子が呆然とお礼を言う中、演習場に終了のブザーが鳴り響いた。
――タイムアップォォォッ!!!
プレゼント・マイクの叫び声と共に、激動の実技入試が幕を閉じた。
アギトは二人が見守る中、静かに変身を解除し、元の常盤門矢の姿へと戻る。彼の首には、相変わらずマゼンタ色のカメラが下がっていた。
「常盤……門矢、くん……?」
出久が薄れる意識の中で、その名前を呟く。門矢は彼を一瞥すると、首のカメラをカシャリと弄り、現れた写真をポケットに収めた。
「緑谷出久。お前のそのバカさ加減……嫌いじゃない。最高最善の未来で、また会おう」
門矢はそう言い残すと、救護に駆けつけてくるリカバリーガールらの制止を振り切るようにして、一人、演習場の出口へと歩き出した。
彼の手元には、クウガとアギト、二つの平成の歴史が確かに刻まれていた。残るは十八枚。
個性の世界の中心地――雄英高校で、通りすがりの魔王の進撃が、本格的に始まろうとしていた。
「無事に合格通知が届いて、今日から雄英高校の1年A組。周りは派手な個性持ちばかりだけど、俺のカードはまだ2枚。そんな中、戦闘訓練で例の『爆破』の男とマッチングした。……おい爆豪、お前一人の力に、受け継がれてきた歴史が負けると思うなよ」
門矢:
「次回、第3話『目覚めよ、その魂』。……鏡の向こうの世界で、ちょっと話そうか」