仮面ライダージオウ×ディケイド in 僕のヒーローアカデミア 作:生成AIに書かせています
国立雄英高校ヒーロー科1年A組。
そこは、この国の未来を担うトップヒーローの卵たちが集まる、いわばエリートの梁山泊だった。初日の『個性把握テスト』で担任の相澤消太から「見込み無し」と判断された者が除籍されるという理不尽な洗礼を乗り越え、生徒たちは良くも悪くも、己の『個性』という才能をさらに誇示し合っていた。
だが、その教室の最後列、窓際の席に座る常盤門矢にとって、その空間はただの「観客席」に過ぎなかった。
「おい」
朝のホームルーム前、クラスの空気を切り裂くような低い地鳴りのような声が、門矢のデスクの前に影を落とした。
爆豪勝己。逆立った金髪に、周囲を威嚇するような三白眼。掌から絶えず硝煙の匂いを漂わせる男が、門矢の机に無造作に手を突き、骨が鳴るような音を立てて覗き込んできた。
「……なんだよ。朝から犬みたいに唸るなよ。耳に響く」
門矢は頬杖をついたまま、視線すら合わせずに教科書をめくる。その態度が、爆豪の短い導火線に容易く火をつけた。
「てめえ、入試の時にあのデクを助けた金色の姿……あれは何だ。把握テストじゃ『身体強化』だの『多重変身』だの適当なホラ吹いてやがったが、俺の『爆破』より上のスコアを叩き出しといて、すっとぼけられると思ってんじゃねえぞ、コラ」
爆豪の掌から、パチパチと小さな、しかし熱を孕んだ爆ぜる音が鳴る。
泥ヘドロヴィランの件、あるいは入試での出来事。爆豪にとって、格下であるはずの「無個性の有象無象」だった出久が自分を助けようとしたことも、そしてその出久を上空から「通りすがりのヒーロー」として救い去った正体不明の門矢の存在も、その肥大化したプライドを激しく逆撫でする要因でししか staff なかった。
「ホラ? 失礼だな。俺はいつだって、見た通りのことしか言ってないさ」
門矢はゆっくりと顔を上げ、首から下げたマゼンタ色の二眼レフカメラに指をかけた。
「俺には『個性』なんてものは無い。あるのは、通りすがりの歴史だけだ」
「あァ!? わけの分かんねえこと言ってんじゃねえぞ、底辺がッ! ぶっ殺すぞ!」
「そこまでにしなよ、爆豪くん! 朝からクラスメイトを威嚇するのは、ヒーロー志望としてあまりに不適切な行為だ!」
二人の間に割って入ったのは、生真面目な眼鏡の少年――飯田天哉だった。チョップのような大げさな身振りを交えて爆豪を注意するが、爆豪は「チッ、胸糞悪い。話しかけんな」と吐き捨てて、自分の席へと戻っていった。
門矢はその様子を見送りながら、ポケットの中で静かに佇む二枚のカード――クウガとアギトの手触りを確認していた。
「(爆豪勝己、か。確かに強い個性だが、その強さに溺れている。……歪みにつけ込まれなきゃいいがね)」
門矢の網膜の裏側で、時計の針が不穏な音を立てて回っているような予感が、静かに燻っていた。
「――というわけで! 今回の授業はこれさ! 『屋内対人戦闘訓練』!!」
午後の授業。コスチュームに身を包んだ生徒たちが集まったのは、広大な多目的演習場だった。教壇に立つのは、アメコミ風のド派手な衣装を纏った、平和の象徴――オールマイト。
「ヴィランが屋内に核兵器を隠したという設定だ! ヒーロー組は制限時間内にそれを回収するかヴィランを捕縛、ヴィラン組はそれを死守するかヒーローを捕縛すれば勝ちとなる!」
クラスメイトたちがそれぞれ、個性を活かしたサイバーな衣装や中世の甲冑のようなコスチュームを身に纏う中、門矢の服装は極めてシンプルだった。黒いライダースジャケットに、インナーは白いTシャツ。私服と大差ないその姿の腰には、相変わらずあの融合ドライバーが隠されている。
「常盤くん……あ、あの、よろしくお願い、します……! ボ、ボク、足を引っ張らないように頑張るから……!」
隣でガチガチに緊張しながら声をかけてきたのは、同じ『ヒーロー組・Aチーム』としてペアを組むことになった緑谷出久だった。彼のコスチュームは、オールマイトを模した、どこか手作り感のある緑色のスーツだった。
「お前、その腕……まだちゃんと動くんだろうな」
門矢が入試の時の大怪我を指すと、出久はビクッと肩を揺らしながらも、ノートを握りしめて力強く頷いた。
「うん、リカバリーガールに診てもらったから大丈夫! ……ボクね、今回はかっちゃんと本気で向き合わなきゃいけないんだ。ずっと、ずっと後ろを歩いてきたから……だから、ボクは!」
「勝手にしろ。俺は俺のやり方で、あの爆弾魔の鼻をへし折るだけだ」
対する『ヴィラン組・Dチーム』は、爆豪勝己と飯田天哉。
モニター室で見守るオールマイトの合図と共に、訓練の幕が上がった。
「ヒーロー組、侵入開始ーーーッ!!」
薄暗い擬似ビルの1階。窓から静かに侵入した門矢と出久は、コンクリートの廊下を慎重に進んでいた。
「かっちゃんはきっと、ボクを真っ先に狙ってくる……! 作戦を無視してでも、入り口近くで待ち伏せしているはずなんだ。幼馴染だから、あいつの戦闘の初動はだいたい予測がつく……」
出久がぶつぶつとオタク特有の早口で分析を呟く。その言葉が終わるか終わらないかの瞬間だった。
――ドゴォォォォォンッ!!!
コーナーの奥から、目も眩むような爆炎と爆音が這うようにして押し寄せてきた。
「うわっと!」
出久が咄嗟に身を翻す。門矢は爆風の軌度を読み、一歩下がってライダースの襟で顔を覆った。
煙の向こうから、両腕に巨大な手榴弾型のガントレットを装着した爆豪が、凶悪な笑みを浮かべてゆっくりと歩み寄ってくる。
「見つけたぜ、デク。……それと、這い上がりの常盤ァ!」
爆豪は推進力を得るための爆発を後ろに放ち、凄まじい速度で出久へと突進した。
「まずはてめえからだ、デク!」
右ストレートの構え。出久は幼馴染のモーションを完全に読み切っていた。
「かっちゃんは! 怒ると必ず右の大振りから入る!」
出久は爆豪の腕を掴み、背負い投げの要領でコンクリートの床へと叩きつけた。
ズドォォン!
「ガハッ……! てめえ……!」
「ボクは……いつまでも雑魚のデクじゃないんだ、かっちゃん!」
出久が叫ぶ。その熱いドラマの横で、門矢は静かに歩みを進め、爆豪の背後へと回り込んでいた。
「おいおい、俺を無視して身内の喧嘩か? 随分と余裕じゃないか、爆弾魔」
門矢の声に、床から跳ね起きた爆豪の顔が、怒りで完全に般若のそれへと変わった。
「うるせえよ、常盤! てめえのその余裕しゃくしゃくな面が、一番ムカつくんだよッ!!」
爆豪は掌を門矢へと向け、至近距離から連続の爆破を放った。
パパパパパンッ!
激しい閃光が門矢の視界を覆う。だが、門矢の腰には、既にマゼンタ色の融合ドライバーが装着されていた。
「これでも喰らいな!」
門矢はポケットから、手に入れたばかりの『アギト』のカードを取り出し、スロットへと滑り込ませた。
『KAMEN RIDE―― AGITO!』
まばゆい金色の光が爆炎を吹き飛ばす。
現れたのは、金色の胸甲を宿した仮面ライダーアギト(グランドフォーム)。爆豪の放った爆破の熱風は、アギトの超越的な気の障壁によって、その肉体に届く前にすべて霧散していた。
「なっ……今度は金色かよ! どんだけ個性を隠し持ってやがる、てめえ!」
爆豪がさらに地を蹴り、空中からアギトの頭部を目がけて踵落としを叩き込む。
アギト(門矢)はその蹴りを最小限の動きでパリングし、爆豪の腹部へと重い掌打を叩き込んだ。
ドムッ!
「ぐはっ……!?」
アギトの放つ一撃は、大地のエネルギーを宿した重質の質量。爆豪の身体が廊下の壁まで吹き飛び、背中のコンクリートにひびが入る。
「デク、お前は上に行って核を回収しろ。こいつは俺が遊んでやる」
アギトが静かに告げると、出久は一瞬躊躇したが、「分かった、気をつけて常盤くん!」と叫び、階段へと駆け上がっていった。
「待ちやがれ、デク――!」
爆豪が追おうとするが、その前にアギトが立ち塞がる。
「お前の相手は俺だと言ったはずだ。それとも、歴史の重みに耐えかねて逃げ出すか?」
「調子に、乗るんじゃねえぞ……常盤ァァ!!」
爆豪の全身から、これまで以上の狂暴な火花が散り始めた。
その時、ビルの屋上、あるいは鏡の中の『狭間』の空間。
すべての時間が停止したわけではない。しかし、演習場の監視カメラの映像だけが、奇妙なノイズで完全に遮断されていた。モニター室のオールマイトたちが「どうしたということだ!? 映像が映らん!」と狼狽している。
擬似ビルの3階、使われていない空き部屋の姿見(鏡)の前。
そこに、冷徹な雰囲気を纏った大柄な男――タイムジャッカーのリーダー、スウォルツが立っていた。彼は紫色のロングコートを翻し、鏡の奥の、左右が反転した世界――ミラーワールドの深淵を覗き込んでいた。
「常盤門矢。ディケイドとジオウ、二つの破壊の王の力を継ぐ者よ。お前が真の魔王へと至る前に、その歴史の芽をここで摘み取ってやる」
スウォルツの手元には、禍々しい紫色に明滅する時計――『アナザー龍騎ウォッチ』があった。
彼はそのウォッチのボタンを押す。
『RYUKI……!』
キィィィンという、鼓膜を抉るような金属質の超音波が響き渡る。
スウォルツは、演習場の警備用に配置されていた、一体のプロヒーロー型のサポートロボットの胸へと、そのウォッチを容赦なく埋め込んだ。
「オオオオオ……ルアァァァッ!!」
ロボットの金属の肉体が、ドロドロとした赤黒い粘液に覆われ、やがてドラゴンのような赤い甲冑と、スリット状の不気味な複眼を持つ怪人へと変貌していく。
仮面ライダー龍騎の歴史を歪めた存在――『アナザー龍騎』。
「さあ、鏡の裏側から、あの小生意気な魔王の首を刈ってこい」
スウォルツの命令を受け、アナザー龍騎は鏡の表面を「水面」のように歪ませながら、その巨体をミラーワールドの奥へと沈めていった。
1階の廊下。
アギト(門矢)と爆豪の死闘は激化していた。
「死ねえええ!!」
爆豪は両腕のガントレットのピンに指をかけていた。
「常盤! オールマイトから聞いてんだろ、このガントレットには俺のニトロが溜まっていくってな! これを解放したらどうなるか、そのクソ個性の盾ごと吹き飛ばしてやる!」
ガントレットから放たれる、最大出力の爆破。それはビルの一部を完全に吹き飛ばしかねない、文字通りの『暴力』だった。
だが、その引き金が引かれる直前。
――キィィィィン……
ビルの窓ガラス、あるいは壁に設置された消火栓の金属プレートから、あの不気味な金属音が鳴り響いた。
「……!?」
アギト(門矢)の直感が、背後からの『絶対的な奇襲』を察知した。
窓ガラスの「中」から、赤い異形の腕が飛び出し、アギトの背中を猛烈な勢いで引っ掻いた。
バリバリバリィンッ!!
「ぐおっ!?」
アギトの強固な装甲が火花を散らし、門矢の肉体が前方へと大きくののしる。
「あァ!? 何だてめえは! どこから湧いた!」
爆豪が目を見開く。ガラスの向こうから現れたのは、赤い龍の甲冑を纏った怪人――アナザー龍騎だった。しかし、その姿は現実世界に完全に実体化しているわけではなく、まるでホログラムのように、鏡やガラスの表面を起点にして攻撃を仕掛けてきている。
「タイムジャッカー……。今度はスウォルツの差し金か」
アギトは変身を解除し、常盤門矢の姿へと戻る。彼の視線は、廊下の端にある大きな姿見の鏡へと向けられていた。
アナザー龍騎は、その鏡の中から門矢を嘲笑うように、赤い火炎弾を放ってきた。
ズドォォン!
現実世界の床が爆発し、炎が上がる。
「おい、常盤! その化け物は俺の獲物だ! 邪魔する奴はどいつもこいつもブッ殺す!」
爆豪がアナザー龍騎のいる鏡に向かって爆破を放つが、爆風は鏡の表面を破壊するだけで、中にいる怪人には一切のダメージを与えられない。
「無駄だ、爆豪。そいつは『鏡の中』にいる。現実世界の攻撃は、コンセプトそのものが届かない」
門矢は冷ややかに言い放つと、ポケットから、未だ真っ白なブランク状態のカードの一枚を取り出した。そのカードが、鏡の中のアナザー龍騎の放つ「龍の力」に呼応するように、微かに赤く発光し始めている。
「鏡の中だと……? わけの分かんねえこと言ってんじゃねえよ! 届かねえなら、届くまで爆破するだけだ!」
爆豪がさらに荒れ狂う。
「やれやれ。本当に話の通じない爆弾魔だな。……だったら、俺がその世界に入って、直接片付けてくる」
門矢は融合ドライバーの前に、その白紙のカードを掲げた。
次の瞬間、カードの表面に、黒い格子状のバイザーを持つ、鏡の戦士の姿が劇的な速度で定着していく。
仮面ライダー龍騎。
「お前たちの個性の世界には、鏡の裏側なんて概念は無いだろ。――これが、世界を越えるということだ」
門矢は新しく目覚めた龍騎のカードを、ドライバーのスロットへとリバースさせて装填した。
ベルトの回転機構が、かつてない重厚な駆動音を立てて360度回転する。その中央には、確かに『ジオウ』の紋章が刻まれている。
『KAMEN RIDE―― RYUKI!』
*キィィィィン……*という鏡の世界の音が、今度は門矢の側から鳴り響いた。
彼の周囲に、赤いドラゴンの意仗を持つ数十枚のカードの残像が展開し、門矢の肉体を包み込む。
変身を完了したのは、銀色のソリッドフェイスシールドに、赤い強固な甲冑を纏った戦士――仮面ライダー龍騎。
「な、何なんだよてめえは……! 姿が変わるだけじゃねえのかよ!」
爆豪が驚愕する中、龍騎(門矢)は目の前の大きな鏡に向かって、真っ直ぐに歩みを進めた。
普通なら激突するはずのガラスの表面。しかし、龍騎の身体が鏡に触れた瞬間、その表面が水面のように美しく波紋を広げ、龍騎の肉体を「内側」へと吸い込んでいった。
「――じゃあな、爆弾魔。現実の核のお守りでもしてな」
その声を最後に、龍騎の姿は現実世界から完全に消失した。
「待てやコラァァッ!! 常盤ァァ!!」
残された爆豪の絶叫が、無人の廊下に虚しく響き渡る。
――ミラーワールド。
そこは、すべてが現実世界と左右反転した、静寂と不気味さに満ちた灰色の世界だった。空はどんよりと曇り、建物や文字のすべてが逆さに映っている。この世界には、一般の人間は1秒たりとも存在することはできない。生命の存在を許さない、鏡の裏側の戦場。
「ルアァァァッ!!」
ミラーワールドの廊下で待ち構えていたアナザー龍騎が、侵入してきた龍騎(門矢)に向けて、再び激しい火炎弾を連射してきた。
ドガガガガァンッ!
龍騎は左腕の召喚機――『ドラグバイザー』を構え、その火炎弾を前方へとダッシュしながら腕のガードで弾き飛ばした。
「鏡の中なら、お前のその増殖も、現実世界のジャミングも関係ないな」
龍騎は懐から一枚のカード(アドベントカード)を抜き取り、ドラグバイザーのスロットへと滑り込ませた。
『SWORD VENT!』
上空の灰色の雲を裂いて、無双龍『ドラグレッダー』の咆哮が響く。ドラグレッダーの尾を模した巨大な赤き大剣――『ドラグセイバー』が虚空から飛来し、龍騎の右手にガシィンと収まった。
「ハッ!」
龍騎は鋭い一歩を踏み込み、ドラグセイバーを斜め上へと振り抜いた。
ギィィィン!
アナザー龍騎の胸甲に剣撃が炸裂し、激しい火花がミラーワールドの静寂を切り裂く。アナザー怪人は苦悶の声を上げながら後退するが、すぐにその影から、二体目のアナザー龍騎を分離させ、左右からの挟み撃を仕掛けてきた。
「二体になろうが、やることは変わらない」
龍騎(門矢)は冷静だった。彼はディケイドの戦いの記憶から、龍騎の能力の真髄を完全に引き出していた。
再び、カードを入れ替える。
『GUARD VENT!』
ドラグレッダーの腹部を模した二枚の巨大なシールド――『ドラグシールド』が両肩に装着される。左右からのアナザー龍騎の鋭い爪撃を、龍騎は構えを崩すことなく両肩のシールドで完全に防御した。
ガガガシィン!
「終わりか? だったら、こっちの番だ」
龍騎はシールドの隙間から、至近距離でドラグセイバーを横一線にナビ払った。二体のアナザー怪人の胴体を深い一撃が捉え、彼らは同時に後方へと吹き飛んだ。
仕上げだ、と門矢は心の中で呟いた。
彼は融合ドライバーのサイドを叩き、ジオウの『タイムブレイク』のシステムを龍騎の歴史とシンクロさせた。
ドラグバイザーに、最後のカードが装填される。
『FINAL VENT!』
ミラーワールドの天空から、全長数十メートルに及ぶ巨大な赤い龍――ドラグレッダーが、激しい炎を撒き散らしながら降臨してきた。ドラグレッダーは龍騎の背後でとぐろを巻き、その口から最大の火炎を放つ準備に入る。
龍騎(門矢)の身体が、超越的なエネルギーによって宙へとふわりと浮き上がった。
「ハァァァァッ!!」
空中を激しく反転しながら、ドラグレッダーの放つ激しい炎をその右足に纏い、急降下の必殺キック――『ドラゴンライダーキック』が、二体のアナザー龍騎の中心へと突き刺さった。
*――ドゴォォォォォォォンッ!!!
激しい赤と黒の爆炎が、ミラーワールドのビルを内側から木っ端微塵に粉砕した。
二体のアナザー龍騎は、その必殺の威力に耐え切れず、体内のアナザーウォッチごと、光の粒子となって完全に霧散していった。
あとに残されたのは、粉々に砕け散った紫色のウォッチの破片。
龍騎は静かに着地し、ドラグセイバーを消滅させると、手元のアドベントカードホルダーを確認した。
白紙だったカードには、いまや完全な『仮面ライダー龍騎』の紋章が刻まれ、その隣で、重厚な赤と銀の『龍騎ライドウォッチ』が静かに時を刻み始めていた。
「これで三つ、か」
変身を解除した門矢は、再び鏡の表面をくぐり、現実世界の擬似ビルへと戻っていった。
現実世界、ビルの5階。
そこでは、飯田天哉が守る『核兵器の模型』の前で、緑谷出久が満身創痍になりながらも、最後の勝負を仕掛けようとしていた。
「かっちゃん……! ボクは、君を超えていくんだ!」
1階から狂ったように追いかけてきた爆豪の、最大出力の爆破が5階の床を突き破る。
「デクゥゥゥ!!! お前がァ!!」
出久は爆豪の爆破の直撃をその身に受けながらも、右腕を上空へと突き出した。ワン・フォー・オールの力を上半身に集中させる。
「これが……ボクの、作戦だあぁぁ!!」
出久の放ったアッパーカットの風圧が、5階の天井と4階の床を垂直に撃ち抜き、凄まじい瓦礫の雨を降らせした。その隙を突いて、お茶子の代わりに上層へ到達していた出久の指示の元、あるいは門矢の残した『隙』を突いて、ヒーロー組の勝利条件が満たされようとしていた。
だが、出久の肉体もまた限界を迎え、意識を失って床へと倒れ込む。
爆豪は、天井に開いた巨大な穴を見上げながら、己の『完全な敗北』を悟り、小刻みに震えていた。
「俺が……負けた……? デクに……あいつに……」
その崩落したロビーの入り口から、黒いライダースジャケットのポケットに両手を突っ込んだ門矢が、何事もなかったかのようにふらりと姿を現した。
「随分と派手にやったな、お前ら」
門矢の声に、爆豪がハッと振り返る。その目は、悔しさと、門矢に対する言い知れぬ恐怖に染まっていた。
「常盤……てめえ、どこへ行ってやがった……!」
「さあな。ちょっと、鏡の裏側を通りすがってきただけさ」
門矢は倒れている出久の元へと歩み寄り、その襟元を軽く掴んで引き起こした。
演習場のスピーカーから、オールマイトの、どこか複雑な心境の混じったアナウンスが響き渡る。
「そこまでーーーッ!! ――ヒーロー組の、勝ちあがりだあぁぁ!!」
クラスメイトたちが集まるモニター室では、誰もが言葉を失っていた。出久の執念の作戦にも驚いたが、それ以上に、戦闘の途中で「カメラのノイズと共に完全に姿を消し、再び何事もなかったかのように現れた」常盤門矢の存在が、彼らにとって最大の謎であり、脅威として映っていたからだ。
「常盤門矢、か」
相澤消太は、手元の端末に表示された門矢のブランク状態のデータを睨みつけながら、深くため息をついた。
「やはり、あの男の力は個性の枠に収まらん。……敵(ヴィラン)でなければいいが、合理的ではないな」
放課後。
夕日が校舎を真っ赤に染める中、門矢は一人、雄英高校の長い坂道を下っていた。
首から下げたマゼンタ色のカメラを取り上げ、沈みゆく夕日に向けてシャッターを切る。
駆動音がして吐き出されたチェキの写真。そこには、赤く燃える夕日の中心に、微かに三つの時計の歯車が噛み合っているような、そんな不気味な像が浮かび上がっていた。
「クウガ、アギト、そして龍騎。歴史は着実に集まっている」
門矢は写真をポケットに滑り込ませ、自嘲気味に笑った。
「最高最善の魔王への道、か。……世界が俺をどう呼ぼうが、俺は俺の歴史を進むだけだ」
背後から、保健室での治療を終えて包帯だらけになった出久が、「常盤くん! 待ってよ!」と走って追いかけてくるのが見えた。門矢は足を止めることなく、ただ少しだけ歩調を緩め、夕闇の迫る街へと進路を取った。彼の戦いはまだ、始まったばかりだった。
「雄英の生活にも慣れてきたと思ったら、今度は『救助訓練』だってさ。向かったのはUSJとかいう巨大な演習場。だけど、そこに現れたのは、偽物のヴィランじゃなくて、本物の悪意の塊だった。……黒い霧の向こうから、無数の敵が押し寄せてくる。おい緑谷、泣いてる暇があったら、あの歪んだ正義をぶっ壊しに行くぞ」
門矢:
「次回、第4話『激突、USJの悪夢』。……通りすがりの力を、その目に焼き付けな」