仮面ライダージオウ×ディケイド in 僕のヒーローアカデミア   作:生成AIに書かせています

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第5話:平和の象徴と、魔王の眼差し

「――待って、緑谷ちゃん。足音を立てちゃダメ」

 

人工湖の水を滴らせながら、蛙吹梅雨がその短い切り揃えられた前髪の奥から、大きな瞳をさらに細めて警告した。

 水難エリアのヴィラン数十人を、常盤門矢――仮面ライダーファイズという「規格外の暴力」が一瞬にして全滅させた後。緑谷出久、梅雨、そして未だに腰が抜けて門矢を拝み続けている峰田実の4人は、水難エリアの出口にあたる岩陰に身を潜めていた。

 

そこから見下ろす中央広場は、文字通りの「地獄」と化していた。

 

「あ、あ、重……、あ、相澤、先生……!」

 

 出久が両手で自らの口を覆い、悲痛な声を漏らす。その視線の先では、彼らの担任である相澤消太が、血に染まったコンクリートの上に組み伏せられていた。

 相澤の周囲には、数十人のヴィランたちが生気を失って転がっている。単身でこれだけの数を制圧したその実力は、まさにプロフェッショナルそのものだった。しかし、今の彼の両腕は、不自然な方向に曲がり、衣服の袖はボロボロに引き裂かれて、剥き出しになった皮膚が「砂」のようにサラサラと崩れ落ちていた。

 

相澤の頭部を地面に押し付けているのは、全身に「手」を纏った男――死柄木弔だ。

 

「さすがはイレイザー・ヘッド。合理的で、無駄がない。……だけどさ、個性を消したところで、お前自身の身体はただの『人間』なんだよね。俺の『崩壊』の個性は、触れたものを文字通り塵にする。両腕の骨を粉々にされて、それでもなお生徒を守るために視線を動かさないなんて、本当にヒーローってやつは泣かせるよ」

 

死柄木はカサカサとした不快な声で笑いながら、相澤の頭髪を乱暴に掴み上げた。相澤の額から流れた血が、彼の特徴的なゴーグルを赤く染めていく。

 

「が、はっ……! 生徒、には……手を、出すな……不合理、だろうが……!」

 

 呼吸をまともにすることすらままならない状態でありながら、相澤の鋭い眼光は死柄木を睨みつけたまま、その『抹消』の個性を発動し続けようとしていた。だが、肉体の限界は疾うに超えている。瞬きを一つするたびに、死柄木の指先が相澤の皮膚を蝕んでいった。

 

「先生……! ボク、行かなきゃ……助けなきゃ……!」

 

 出久が恐怖に膝をガタガタと震わせながらも、その足にワン・フォー・オールの力を宿そうと、かすかな赤緑の電光を走らせた。その刹那、出久の肩に、ずっしりとした重みのある手が置かれた。

 

「下がってろ、緑谷」

 

 冷徹な、しかし不思議と周囲の空気を平熱へと戻すような声。常盤門矢だった。

 門矢はジャケットのポケットに片手を突っ込んだまま、濡れた髪を軽く指先で払う。その視線は、相澤を甚振る死柄木ではなく、その横で不自然に空間を歪ませている「虚無」へと向けられていた。

 

「(脳無はさっき、俺がファイズの歴史で完全に消去した。……だが、あの『手』の男の焦り方は、単に自分の玩具を壊されただけのそれじゃない。タイムジャッカーのウール……あいつ、この広場に何を置いていきやがった)」

 

 門矢の網膜の裏側で、二眼レフカメラのシャッター音がかすかに響く。写るはずのない「未来の破片」が、歪んだ現像液のように脳裏に広がっていた。

 

「弔!」

 

 中央広場の上空から、巨大な黒い霧が渦を巻いて降りてきた。転送を終えた黒霧だ。

「黒霧か。遅いよ、ゲームの進行が遅滞してる」

 死柄木は相澤の頭を地面に叩きつけ、不機嫌そうに首をバリバリと掻きむしった。

「それより、脳無はどこだ? 俺の、俺たちのオールマイト殺害用最高傑作の脳無が、どこを探してもリスポーンしないんだけど。お前、どっかのエリアに間違えて配置した?」

 

「……いえ。それが、妙なことが」

 

 黒霧の黄色い眼光が、不気味に明滅する。

「ウールというあの妙な少年が脳無に『時計』を埋め込んだ直後、中央広場における『時間の流れ』が数秒間、完全に遮断されました。そして時間が動き出した瞬間には……脳無は細胞の一つすら残さず、光の紋章と共に灰となって消滅していました」

 

「は……?」

 

 死柄木弔の動きが、完全に止まった。

 

「消滅? 脳無が? オールマイトの100%の衝撃にすら耐えるように作られたあいつが、一瞬で? バグだ。そんなの完全にシステム上のバグじゃねぇか! 誰がそんなチートを使ったんだ!」

「チート、ねえ。随分と語彙の貧しい悪党だな」

 

岩陰から、門矢がゆっくりと姿を現した。彼の歩調は、まるで自分の家の庭でも散歩しているかのように穏やかで、しかし確実な威圧感を伴って中央広場のコンクリートを踏み締めていた。

 

「だめだ……、常盤くん!?」

 後ろから出久が止めようとするが、門矢は振り返りもしない。

 

「お前がその『手』の男か。写真写りが悪そうだとは思ったが、実物はそれ以上に画面が汚れるな。画面のノイズは、早めにカットするのが俺の主義だ」

 門矢の手元、腰の前にマゼンタ色の融合ドライバーが重厚な金属音と共に展開する。

 

「お前か……!」

 死柄木弔の目が、髪の隙間からギラリと輝いた。それは純粋な、狂気的なまでの児童の悪意。

 

「お前が俺のゲームを壊したバグか。データにないイレギュラー。黒霧、あいつを殺せ。パーツを一つ残さず、バラバラの塵にしてゴミ箱に捨てろ!」

「承知いたしました」

 

 黒霧の身体が爆発的に広がり、門矢の周囲を囲むようにして紫色のワープゲートがいくつも口を開けた。

 

「どんな個性の持ち主だろうと、空間を切り裂かれれば終わりです。常盤門矢、ここで退場していただきます!」

 

空間が歪み、門矢の足元が底なしの闇へと変わりかけた、その瞬間。

 

――ドガァァァァァァァンッ!!!!

 

USJドームの巨大な正面ゲートが、内側からの圧倒的な風圧によって、文字通り「粉々に粉砕」されて吹き飛んだ。

 凄まじい衝撃波が中央広場を駆け抜け、黒霧の展開しかけていたワープゲートが、その風圧だけで強引に吹き消される。岩陰にいた出久も、梅雨も、あまりの突風に両腕で顔を覆って耐えるしかなかった。

 

もうもうと立ち込める白煙の向こう側。

 そこに、一つの『巨躯』が立っていた。

 

「――もう、大丈夫だ」

 

その声が響いた瞬間、ドーム内の空気が一変した。ヴィランたちが一斉に恐怖に身を震わせ、出久の瞳には一瞬にして涙が溢れ出す。

いつもなら、トレードマークである眩しいほどの笑顔を浮かべて現れるはずの男。しかし、今の彼の顔には、一片の笑みもなかった。純粋な、悪に対する絶対的な『怒り』。

 

「私が、来た!!」

 

平和の象徴・オールマイト。

 

「あ、あぁ……オールマイト……!」

 

 出久の声が震える。

 オールマイトの視線は、瞬時に広場の惨状を捉えた。ボロボロになって倒れている相澤。恐怖に震える生徒たち。精度は極めて高いが、何食わぬ顔でドライバーを構えている門矢。

 

「遅くなってすまない、相澤くん! 生徒たちよ、よく耐えてくれた!」

 

 次の瞬間、オールマイトの姿が肉眼から「消失」した。

 ――ドゴッ! バキィィン!

 目にも留まらぬ超高速の移動。相澤の周囲にいた数人のヴィランたちが、自分が殴られたことすら自覚できずに一瞬で吹き飛び、ドームの壁へと叩きつけられて気絶する。

 

「なっ、速……っ!?」

 

 死柄木が目を見開いた時には、すでに相澤の身体はオールマイトの巨大な両腕の中に回収され、安全な岩陰へと転送されていた。出久や梅雨、峰田の3人も、気づけばオールマイトの背中の後ろへと移動させられていた。

 

「皆、入口へ走りなさい! 相澤くん達を連れて、一刻も早くドームの外へ!」

 

 オールマイトが背中で語る。その圧倒的な安心感。だが、その背中を見つめていた門矢だけは、彼の胸中に去来する「焦り」を正確に見抜いていた。

 

「(おいおい、平和の象徴サマ。随分と息が上がってるじゃないか。……それに、あいつの身体の周りだけ、世界の『秒針』の進み方が狂ってやがる)」

 

門矢が視線を向けたのは、オールマイトが着地した足元のコンクリートだった。そこには、ウールが残していったとおぼしき、透明な『時計の歯車』が、不気味なテンポで逆回転を繰り返していた。

 ――タイムジャッカーの時間歪曲(タイムトラップ)。

 

「アハハハハ! 来た、来たよオールマイト! ラスボスの登場だ!」

 死柄木弔が狂ったように両手を叩いて笑い出した。

 

「脳無が消えた時はどうなるかと思ったけど、やっぱりゲームはこうでなくっちゃ! なぁ、オールマイト、お前さ……さっきから、動きが変じゃねぇ? 攻撃のキレが、俺の見ていた動画のデータよりも、ほんの少しだけ『遅い』よ」

 

「……! 何を言うか、ヴィランめ!」

 

 オールマイトが拳を構え、地を蹴ろうとした。だが、彼の足が地面を離れる直前、まるで全身が目に見えない重水の中に沈められたかのように、その筋肉の動きが「スローモーション」へと減速させられた。

 

「な、何だこれは……!? 身体が、重い……! いや、私自身の『時間』が、引き延ばされているのか……!?」

 

オールマイトの驚愕。

 彼は知らない。これが個性を超えた力――時間を操るタイムジャッカーの呪縛であることを。

 ワン・フォー・オールの残り時間が少なくなっているマッスルフォームの肉体にとって、局所的な「時間の引き延ばし(遅速化)」は致命傷だった。活動限界のタイマーだけが、本来の数倍の速度でガチガチと削られていく。彼の胸元から、かすかに白い蒸気が上がり始めていた。

 

「黒霧! チャンスだ! 動けないラスボスなんて、ただのサンドバッグだ! なぶり殺せ!」

 死柄木が叫び、黒霧がその巨大な霧の刃を、オールマイトの首元目がけて一斉に突き出した。

 

「危ない、オールマイト――!!」

 出久が叫び、自らの肉体の崩壊をも厭わずに飛び出そうとした、その光景を。

 

――カシャリ、と。

 気の抜けたような、しかし確実な存在感を持ったシャッター音が、戦場を遮断した。

 

「――どいつもこいつも、他人の残したお下劣なトラップに頼りやがって。見ていて反吐が出るな」

 

黒霧の霧の刃と、オールマイトの鼻先の間に、滑り込むようにして一人の男が立ち塞がった。

 常盤門矢。

 彼の腰の融合ドライバーが、怪しいマゼンタ色の光を放ちながら回転を始める。

 

「常盤くん!? ダメだ、そこから離れて! 君の個性じゃ、あのヴィランの霧は……!」

 出久が必死に叫んで止めようとする。

 オールマイトがスローモーションの動きの中で、必死に門矢を突き飛ばそうと手を伸ばす。

 だが、門矢はそのオールマイトの大きな手を、左手の一振りで無造作に払いのけた。

 

「大人しく見てな、平和の象徴。お前のその『命を削って誰かを守る』っていう歪みのない歴史……嫌いじゃないが、写真のピントが合いすぎてて、俺の好みじゃないんだよ」

 

 門矢の右指の間に、一枚のカードが挟まれる。

 そこには、青い甲冑を纏い、胸に大きなスペードの紋章を刻んだ、運命の切り札たる戦士の姿が描かれていた。

 仮面ライダーブレイド。

 

「世界を壊すのも、再構築するのも、俺の役割だ。お前たちのような安っぽい悪党に、この世界の歴史をオモチャにさせるかよ」

 

門矢はカードをドライバーへと鋭く装填し、その両端を力強く押し込んだ。

 

『KAMEN RIDE―― BLADE!』

 

ターンアップ(Turn Up)。

 門矢の目の前に、巨大な青い光の障壁『オリハルコンエレメント』が実体化した。突き出されていた黒霧の霧の刃が、その障壁に触れた瞬間、激しい火花を散らして弾き返される。

 

「な、何ですか、この壁は……! 空間の転送を拒絶している……!?」

 

 黒霧の狼狽の声を無視し、門矢は自らその青い光の障壁へと真っ直ぐに歩みを進めた。障壁を通り抜けた瞬間、彼の全身に、重厚な銀と青のナノアーマーが装着されていく。

 

頭部には鋭いスペードのエッジ。胸部には「力」の象徴たるアーマー。

 仮面ライダーブレイド。その歴史が、今、ヒロアカの世界に完全に受肉した。

 

「また姿が変わった……! 常盤くん、一体いくつ個性を、歴史を持ってるの……!?」

 後ろで見ていた出久が、ノートを取ることも忘れてその神々しい姿に見惚れていた。

 

「チッ、またのバグか! ブレイド? 剣? そんなの俺の『崩壊』で触れば一発でスクラップだ!」

 

 死柄木弔が地を傷つけるような姿勢で突進してきた。彼の五本の指が、ブレイド(門矢)の胸甲目がけて真っ直ぐに伸びる。触れれば、プロヒーローの肉体すら塵にする絶対の死の指先。

 

「触れるものかよ」

 ブレイドは腰の『ブレイラウザー(醒剣)』を流れるような動作で引き抜くと、その鋭い刃先で、死柄木の指先を正確に弾き飛ばした。

 

 ――ガキィィン!

 

「あがっ……!? 硬、い……!?」

 

 死柄木がその衝撃に顔を歪めて後退する。ブレイラウザーの刀身は、地球上の如何なる物質とも異なる超金属で作られている。個性の概念による『崩壊』のエネルギーすら、その硬度を侵すことはできない。

 

「黒霧! 何をしてる、あいつの動きを止めろ!」

「わかっています!」

 

 黒霧が再びオールマイトの周囲の時間歪曲トラップを利用し、ブレイドの背後に巨大なワープゲートを開こうとした。

 だが、ブレイド(門矢)はブレイラウザーのトレイを扇状に展開し、その中から三枚のラウズカードを流れるような速度で引き抜いた。

 

「お前たちの『時間の悪戯』など、この男の歴史の前では意味を成さないんだよ」

 

引き抜かれたのは、スペードのカテゴリー5『キック(Kick)』、カテゴリー6『サンダー(Thunder)』、そして――カテゴリー9『マッハ(Mach)』。

 

『SPADE FIVE―― KICK』

『SPADE SIX―― THUNDER』

『SPADE NINE―― MACH』

 

三つの電子音声が重なった瞬間、ブレイドの周囲の空間から、凄まじい青い電光が弾け飛んだ。特に『マッハ』のカードの力が解放された瞬間、ウールが残していった時間歪曲のトラップが、その圧倒的な「超加速の歴史」によって強引に上書きされ、ガラスのように粉々に粉砕された。

 

「……! 身体が、動く……!」

 オールマイトの肉体から呪縛が消え去る。

 

「おい、平和の象徴。お前の出番はここまでだ。あとは、俺が通りすがる」

 

 ブレイドはブレイラウザーを地面に突き立て、自らの身体を青い稲妻の塊へと変えた。『マッハ』による超加速。それは、ファイズのアクセルフォームとも異なる、空間そのものを切り裂くような一直線の突進。

 

「ひっ……!?」

 死柄木弔がその光の速度に反応できたのは、自らの鼻先に、青い電光を纏ったブレイドの右脚が迫ったその瞬間だった。

 

「――ライトニングソニック」

 

――ウェェェェェイッ!!!

 

ズドガァァァァァァンッ!!!!!

 

中央広場全体が、目も開けられないほどの青白い雷光によって埋め尽くされた。

 ブレイドの放った最強の稲妻キックが、死柄木を庇うようにして立ち塞がった黒霧の本体(首輪の金属パーツ)へと直撃した。凄まじい電撃の過負荷により、黒霧のワープエネルギーが完全に暴走を始める。

 

「が、はっ……あああああぁぁぁっ!!! 何という、何という個性の力ですか……!!」

 黒霧の金属音が悲鳴を上げ、その霧の身体が四散していく。

 

「死柄木、弔……! これ以上の戦闘は不可能です! 脳無を失い、私体も限界を越えてしまいました……一度、撤退を……!」

 黒霧が最後の力を振り絞り、死柄木の身体を自らの暴走する霧の中に強制的に吸い込んだ。

 

「クソっ……! クソがっ……! 待ってろよバグ、常盤門矢……! 次のアップデートで、必ずお前を、お前たちを絶対にブッ殺してやるからな……!!」

 

 死柄木の呪詛のような叫び声を最後に、二人のヴィランは、中央広場から完全に掻き消えるようにして退場していった。

 

あとに残されたのは、青い電光の名残がバチバチと跳ねる、半壊したコンクリートの地面だけだった。

 

ブレイド(門矢)は、ゆっくりと右脚を下ろすと、ブレイラウザーを鞘へと収め、融合ドライバーのロックを解除した。

 ザーーー、という静かな音と共にナノアーマーが消滅し、元の黒いライダースジャケット姿の門矢へと戻る。その手元、真っ白だった5枚目のカードには、今や完全に『仮面ライダーブレイド』の雄姿が定着していた。

 

「これで、五つ、か。……まあ、及第点だな」

 門矢がカメラのレンズを弄っていると、後ろからズシン、と重い足音が近づいてきた。

 

「常盤、少年……」

 オールマイトだった。彼の胸元からは、未だに激しい蒸気が上がっており、そのマッスルフォームの維持が本当に限界寸前であることを示していた。しかし、その鋭い眼光は、救世主であるはずの門矢へと、強い警戒と深い疑問を投げかけていた。

 

「君のあの力……。あれは『個性』という枠組みでは説明がつかない。時間を操るあのヴィラン(ウール)の干渉すら強引にねじ伏せるなんて、君は一体……何者なんだ?」

 その問いに、出久や梅雨もゴクリと唾を飲み込んで門矢の背中を見つめた。

 

門矢はゆっくりと振り返ると、オールマイトの目を真っ直ぐに見返し、いつもの不敵な笑みを浮かべた。

 

「何度も言わせるな、平和の象徴。俺はただの――通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」

 

門矢は首から下げた二眼レフカメラを構え、満身創痍のオールマイトと、その横で呆然としている出久たちの姿を、カシャリと一枚の「記録」に収めた。

 

「さて、悪党どもも片付いた。俺は先に帰らせてもらう。……これ以上ここにいると、写りの悪い写真が増えそうだからな」

 

門矢はそのまま、ゲートの壊れたドームの出口へと向かって、スタスタと歩き去っていった。その背中を見つめながら、出久はただ、自分の右手の拳を強く握り締めることしかできなかった。

 

「常盤門矢……。ボクたちのクラスには、とんでもない『魔王』が紛れ込んでしまったのかもしれない……」

 

USJ襲撃事件は、一人の「通りすがり」の圧倒的な暴力によって、原作とは全く異なる形で幕を閉じた。しかし、それは同時に、雄英高校、ひいてはヒーロー社会全体が、常盤門矢という「世界の破壊者」の存在を本格的に警戒し始める、激動のプロローグに過ぎなかったのである。




「USJの事件の後、雄英の周りがやけに騒がしくなった。警察の塚内って奴が、俺の『前歴』を必死に調べてるらしいが、あるわけないだろ、俺はこの世界の人間じゃないんだからな。そんな中、学校じゃ『雄英体育祭』とかいうお祭り騒ぎが始まるらしい。クラスの連中がトップを目指して熱くなってる横で、またあのタイムジャッカーの女(オーラ)が、くだらん歴史の時計を動かそうとしてる。……障害物競走だか何だか知らないが、俺の走る歴史のピントを、外してみせろ」

門矢:
「次回、第6話『歪んだ日常、委員長の器』。……歴史の幕引きは、俺が決める」
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