仮面ライダージオウ×ディケイド in 僕のヒーローアカデミア   作:生成AIに書かせています

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第7話:炎の系譜、響き合う魂

数万人の狂熱が、巨大な雄英スタジアムのコンクリート構造を物理的に激しく震わせていた。

 

雄英高校体育祭

日本国内はおろか、今や世界中のメディアやプロヒーロー、そして一般市民の目が一斉に注がれるこの大舞台は、少し前に発生したUSJ(嘘災害や事故の訓練施設)でのヴィラン連合による襲撃事件という、社会を震撼させた陰惨な記憶を強引に塗りつぶすかのような、異常な熱狂と興奮のるつぼと化していた。

 

グラウンドを埋め尽くす観客席からの地鳴りのような声援。実況席に陣取るプロヒーロー、プレゼント・マイクの爆音ボイスが特殊スピーカーから炸裂するたびに、空気が目に見えるほどの衝撃波となって波打つ。プロヒーローたちはスカウトの目を光らせ、未来の原石たちを値踏みするように鋭い眼光をグラウンドの生徒たちへと注いでいる。

 

だが、その熱気の中心、すべての人間が緊張と闘志に身を焦がす場所の中心に立ちながら、常盤門矢だけは、相変わらず世界のすべてから切り離されたような不遜な佇まいを崩していなかった。

周囲の熱い空気など、彼にとってはただの背景、あるいは現像に失敗した写真の一コマに過ぎない。

 

「……相変わらず、写りの悪そうな場所だな。光が強すぎて、影の輪郭が安っぽく見える。

 だいたい、この世界の連中は寄ってたかって一人にカメラを向けすぎだ。だから風景が歪む」

 

門矢は黒いライダースジャケットのポケットに両手を突っ込んだまま、首から下げたマゼンタ色の二眼レフカメラのファインダーを覗くことすらせず、ただ退屈そうにつまらなそうなため息をついた。

 

彼の視線の先では、1年A組のクラスメイトたちが、それぞれの執念と闘志を滾らせてスタートの瞬間を待っている。

爆豪勝己は壇上での「宣誓。俺が1位だ」という傲岸不遜な短い言葉でスタジアム全体の敵意と殺意を一身に買い、それを受けるように周囲を威嚇し返している。緑谷出久は、自身の内にある巨大すぎる遺産『ワン・フォー・オール』の制御に苦悩しながらも、ガタガタと全身を震わせ、その瞳の奥に宿る光を必死に研ぎ澄ましていた。

 

そしてもう一人――誰とも言葉を交わさず、ただ冷徹な殺気と、触れれば指が凍りつくような拒絶のオーラを放ちながらスタートラインを見つめる男がいた。

 

轟焦凍。

 

彼の視線は、目の前のコースではなく、観客席の遥か上方に設置された特別ブースに座る一人の男へと向けられていた。炎の個性を全身から絶え間なく噴き出し、圧倒的な威圧感で周囲の観客を遠ざけている現No.2ヒーロー、エンデヴァー。

その父親という名の「呪縛」そのものを拒絶するように、轟の右半身からは、すでに周囲の地面を白く変色させるほどの冷気が、サラサラと音を立てて零れ落ちていた。

 

「第1種目! 障害物競走……スタートォォォッ!!!」

 

プレゼント・マイクの絶叫が響き渡った瞬間、何百人という生徒たちが一斉に、狭いゲートへと津波のように殺到した。

密集地帯。個性の衝突。誰もが先頭に立とうと、他人を押し除け、蹴落とそうとする。揉み合う生徒たちの熱気がゲート内に充満したその瞬間、轟焦凍の動きはあまりにも一瞬だった。

 

 

――ザザーーーンッ!!!

 

 

地を這う巨大な氷の質量が、ゲート全体を襲った。轟が右足を踏み出した瞬間、ゲートの床から壁、天井に至るまでが分厚く強固な氷層によって瞬時に覆い尽くされ、後続の生徒たちの足元を完全に凍結、あるいは転倒させて足止めした。

 

「悪いが、前提が違いすぎる」

 

轟は振り返ることもなく、冷たく言い放った。彼は誰よりも早く、自らが作り出した氷の上を滑るようにして先頭へと躍り出る。その圧倒的な実力の片鱗に、スタジアムの観客からは割れんばかりの歓声が巻き起こった。

 

だが、その轟のすぐ斜め後ろを、何食わぬ顔で歩いている男がいた。

 

常盤門矢だった。

 

氷の足止めなど、彼は端から受けていない。受けていないどころか、彼の周囲の時間だけが奇妙に引き延ばされているかのように、門矢はただスタスタと普通に歩いているだけに見えるのに、その前進する速度は、轟の氷の滑走スピードと完全に同調していた。

 

『(ファイズの「アクセルフォーム」の残光を、ドライバーの基礎機能でほんの少しだけ歩調に回したか……。まあ、この世界に馴染むための微調整だ。この程度なら世界のきしみも起こるまい)』

 

門矢は、必死に氷を滑る轟の横顔を、骨董品を値踏みするような目で見つめた。

 

 

「お前……いつの間にそこに。俺の氷をどうやって避けた」

 

轟の左右で色の異なるオッドアイの瞳が、驚愕に激しく揺れる。USJで脳無という化け物を一瞬で消滅させ、戦闘演習場では圧倒的な速度で飯田を救ったという、このクラスの『イレギュラー』。だが、轟はすぐに自らの思考を振り切り、視線を前方に引き戻した。

 

「誰が相手だろうと関係ない。俺は、あの男の力……親父の力なんか使わずに、この左の炎を使わずに1位になる。それがあの男への完全な否定だ」

 

「ハン。半分だけの力でトップを取る、か。随分と贅沢で、そして安っぽいレンズを使ってるな、お前」

 

門矢は歩みを止めず、鼻で笑った。

 

「だがな、片目のピントを完全に潰したままで撮った写真が、まともな作品になると思うなよ。

 お前のその『拒絶』とやらは、俺から見ればただの甘えにしか見えん。世界の形を歪めている原因はお前自身だ」

 

「貴様に……俺の何が解る……!」

 

轟の周囲の冷気が、怒りと連動してさらに鋭く、結晶となって周囲に飛び散った。

その時、第1の障害である『ロボ・インフェルノ』の巨大な金属の群れが、彼らの前に立ち塞がった。雄英高校入試用の仮想ヴィラン。ビルほどもある巨大な金属の腕が、轟を目がけて容赦なく振り下ろされる。

 

「邪魔だ」

 

轟は立ち止まることなく、一瞬でロボの巨体を足元から根元まで完全に凍らせた。バランスを崩して倒壊する瞬間を見計らい、その巨大な質量の下を紙一重で潜り抜ける。後続の生徒たちが追いつけないよう、倒壊のタイミングまで計算された完璧な一撃。

 

だが、ロボの残骸が激しい音を立てて崩れ落ちる中、第2の障害『ザ・フォール(断崖絶壁)』の綱渡りを越え、最終エリアである広大な『地雷原』へと二人が足を踏み入れた、その瞬間だった。

 

――カチリ。

 

世界のすべての音が、唐突に、そして完全に掻き消えた。

 

プレゼント・マイクの鼓膜を震わせる実況も、数万人の観客が上げる地鳴りのような歓声も、地雷を警戒して泥を這う後続の生徒たちの荒い息遣いも。スタジアム全体の空気が、まるで見えない琥珀の中に閉じめられたかのように、完全に「停止」したのだ。

 

空中に舞い上がった土砂はその場で不自然に静止し、スタジアムの上空を旋回していた報道用のドローンも、プロペラを高速で回転させたまま空間に固定されている。

 

 

「――やはり、ここか。世界の歴史の転換点、その歪みが最も濃厚に集まる場所」

 

誰も動けない、風すらも止まった静寂の世界の中で、観客席の通路から、一人の男がゆっくりとグラウンドへと降りてきた。

長いコートを不自然に靡かせ、冷酷極まりない超越者の笑みを浮かべた男――タイムジャッカーの首領、スウォルツ。

 

彼の冷徹な視線は、スタートラインの近くで完全に動きを止めている轟焦凍、そして観客席で炎を噴き出したまま固まっているエンデヴァーへと向けられていた。

 

「最強のヒーローを求める父親の狂気的な執念と、その血を引きながらも、炎に対する激しい憎悪と拒絶を燃やす息子の葛藤……。これほど純度の高い『歪んだ火炎の歴史』は他の世界を探してもそうはない。これを我が王の糧とすれば、この世界の歴史はさらに美しく、私好みに書き換わる」

 

スウォルツの手元で、紫色の不気味な光を放つ、歯車が噛み合うような形状のアナザーウォッチが起動した。

 

『HIBIKI!』

 

禍々しい和太鼓の重低音のような、腹に響く不快な音声が、停止した世界に響き渡る。スウォルツはそのウォッチを、地雷原の泥塗れの土壌へと容赦なく突き刺した。

地雷に仕込まれた軍事的な熱量と、轟親子から発せられる負の感情の残滓、そしてこの世界が持つ『火炎』の歴史の概念が、ウォッチの力によって強引に一本の「歴史の濁流」へと編み込まれていく。

 

 

――ゴオォォォォォォッ!!!

 

 

地中から、赤黒い漆黒の炎が噴き出した。

現れたのは、全身が赤紫色のゴツゴツとした岩のような外殻に覆われ、頭部には歪んだ非対称の鬼の角を一対掲げ、胸部には破れた和太鼓の皮のような、血の滲む紋章を刻んだ、圧倒的な巨躯を持つ怪人。

 

――アナザー響鬼

 

その背中からは、地雷の爆発エネルギーをそのまま推進力に変えたような、禍々しい炎の翼が何枚も生え出しており、周囲の空間を熱で歪ませていた。

 

「さあ、目覚めよ。お前の清めの音を歪ませ、この安っぽいヒーロー社会の歴史を、その土台ごと叩き潰してやれ」

 

スウォルツが満足げに手を翻した。その瞬間、世界の時間が再び、何事もなかったかのように動き出す。

 

 

「――え? ――な、何だあいつはァァァッ!? ヴィランか!? 演出かァァァッ!?」

 

時間が動き出した瞬間、プレゼント・マイクの困惑と驚愕の絶叫がスタジアムに響き渡った。地雷原の中央に、黒煙を上げて突如として現れた巨大な「鬼」の怪人に、避難を促す警報と観客席からの悲鳴が交差する。

 

「ヴィランの残党か!? 体育祭を狙うとは……ヒーロー、直ちに制圧を!」

 

観客席のエンデヴァーが、自身の息子の危機を察知してグラウンドへと飛び降りようとする。だが、アナザー響鬼がその醜悪な口を開き、放った紫色の「怪音波」がスタジアム全体を激しく襲った。

 

 

――ドオォォォォンッ!!!

 

 

脳を直接金属の棒で殴りつけるような、激しい頭痛を伴う不快な重低音。その音波に触れた瞬間、エンデヴァーの全身を覆っていた圧倒的な炎が不自然に掻き消え、周囲のプロヒーローたちも激しい眩暈に襲われてその場に膝をついた。個性の発動そのものが、その「音」によって阻害されているのだ。

 

「なっ……俺の氷が、触れる前に一瞬で消えた……!?」

 

轟焦凍が咄嗟にアナザー響鬼に向けて放った、スタジアムを埋め尽くすほどの最大出力の氷結。しかし、それは怪人が身に纏う「漆黒の熱量」に触れた瞬間、水蒸気に昇華することすら許されず、概念ごと一瞬で虚空へと消滅した。

 

「グルルルル……オォォォォッ!!!」

 

アナザー響鬼が、本能的な嫌悪感を露わにしながら、その巨大な、黒い炎を纏った拳を轟に向けて振り下ろす。防ぐ術を持たない轟の前に迫る、絶対的な死の質量。

 

「下がってろ、半分男。お前のその狭いファインダーじゃ、あの化け物の正体は見えやしない」

 

その轟の前に、信じられない速度で滑り込むようにして立ち塞がった影があった。

 

常盤門矢。

彼は周囲で連鎖的に爆発する地雷の爆風すら、自身の周囲に自動展開された透明な次元の障壁で完全に無効化しながら、腰の前にマゼンタ色のネオディケイドライバーを出現させた。

 

ガシャコン! という、この世界のあらゆるテクノロジーとも異なる重厚な金属音が、怪音波の響くグラウンドを強引に切り裂く。

 

「スウォルツの野郎、今度は『響鬼』の歴史を引っ張り出してきやがったか。あいつは本当に、他人の鍛え上げた歴史を泥足で踏みにじるのが好きな男だ。

 ……おい、半分男。よく見ておけ。これが、魂を燃やす本当の『炎』の叩き方だ」

 

門矢の右指の間に、いつの間にか一枚のカードが挟まれていた。

そこには、燃え盛る純粋な烈火の中で、一本の音撃棒を掲げて優雅に、しかし力強く佇む、和のテイストを纏った紫色の鬼の戦士の姿が描かれていた。

 

仮面ライダー響鬼

 

「世界を壊すのも、再生するのも、俺の役割だ。お前たちの歪んだ身内の喧嘩に、この男が命を懸けて守り抜いた清らかな歴史を混ぜるな」

 

門矢は一切の躊躇なく、カードをドライバーへと鋭く装填し、その両端を力強く押し込んだ。

 

『KAMEN RIDE―― HIBIKI!』

 

 

――ドコドコドコドコッ! カッ!!!

 

 

ドライバーから、スタジアム中を覆い尽くしていた不快な怪音波を完全に圧殺する、純粋で重厚な和太鼓のビートが鳴り響いた。

次の瞬間、門矢の全身が、一瞬にして激しく燃え盛る「紫色の炎(清めの火炎)」に包まれる。

 

その炎を、自身の両手で力強く引き裂くようにして現れたのは、光の当たり方によって色を変えるマジョーラカラーに輝く漆黒と紫の肉体。頭部には一本の美しい角と、顔面を覆う銀色の縁取り――仮面ライダー響鬼の姿そのものだった。

 

「響鬼……? 鬼の、個性……?! 門矢くんが、また別の姿に……!」

 

地雷の爆発から避難しようとしていた緑谷出久が、その神聖さすら覚える圧倒的な佇まいに、恐怖を忘れて思わず足を止めて呟いた。そのノートに書き留められたどのヒーローとも違う、精神そのものを叩きつけるような戦士の姿。

 

 

「オォォォォッ!!!」

 

 

アナザー響鬼が、本物の『清めの音』の出現に対し、激しい拒絶と恐怖の咆哮を上げながら地雷原を爆走して突進してきた。その両手には、地雷の熱量を凝縮して生み出した、禍々しい棘付きの炎の棍棒が握られている。

 

「ハッ!」

 

響鬼の姿となった門矢は、腰のホルダーから流れるような動作で二本の『音撃棒・烈火』を引き抜いた。その先端に彫り込まれた鬼の顔の造形が、門矢の静かな闘志に呼応するようにして、真っ赤に燃え盛る炎の玉へと変化する。

 

 

――ガキィィン! ガシィィン!

 

 

泥と炎が舞い散る地雷原の中央で、真っ向からの激しい打撃戦が始まった。

アナザー響鬼が狂暴に振り下ろす、邪悪で重い一撃の数々。それを響鬼(門矢)は、まるで太鼓の練習でもしているかのような、流れるように美しいバチさばきですべて正確に受け流していく。

ただ防御するだけではない。受け流した瞬間のわずかな隙を突き、アナザー響鬼の強固な肉体へと、正確に「音」を叩き込んでいく。

 

一撃叩き込むたびに、ドン! ドン! と、スタジアムの汚れた空気を芯から清めるような、腹に響く和太鼓の音が響き渡る。その音が響くたび、アナザー響鬼の身体を覆っていた漆黒の炎が、徐々にその勢いを失い、不快な煤煙へと変わって霧散し始めていく。

 

「何だ……あの戦い方は……。個性の力なんかじゃない……。奴は、自分の身体の芯にある『魂』を、そのまま武器にぶつけてやがる……!」

 

轟焦凍は、地面にへたり込んだまま、目の前で繰り広げられる次元の違う「炎の応酬」から、一瞬たりとも目を離すことができなかった。

自分が幼い頃から頑なに拒絶し、激しく憎んできた「炎」という力。だが、目の前の紫の戦士が操る炎は、エンデヴァーのそれのように他者を威圧し、焼き尽くし、従わせるための暴力では断じてなかった。

周囲の邪悪を祓い、傷ついた世界をあるべき姿へと戻すための、どこまでも純粋で、そして不思議と温かい「清めの炎」だった。

 

「おい、半分男。お前が真に憎んでいるのは、父親の個性か? それとも、その個性に振り回されて、自分の本当の音を見失っている『お前自身』の弱さか?」

 

激しい打撃の合間に、響鬼(門矢)の低く落ち着いた声が、轟の脳裏に直接響き渡った。

 

「自分の歩むべき歴史を自分で決められない奴に、この男の炎を、歴史を否定する資格などない!」

 

響鬼(門矢)はアナザー響鬼の猛攻を紙一重でかわすと、その巨大な懐に深く踏み込み、持っていた『音撃鼓』の紋章を怪人の胸部に向けて強引に叩きつけた。

 

――ガチリ

 

アナザー響鬼の胸に、巨大な響鬼のマークが実体化し、強力な音のエネルギーによって相手の動きを完全に金縛りのように封じ込める。

 

「――これで、幕引きだ。お前の不快な音を、本物の音で上書きしてやる」

 

響鬼(門矢)は両手の音撃棒・烈火を天に掲げ、独自の、そして厳かなビートを刻み始めた。腰のネオディケイドライバーのトレイが回転し、アタックライドのカードの力が音撃棒へと上書きされる。

 

『ATTACK RIDE―― ONGEKI DA!』

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁッ!!! ――いやぁぁぁッ!!!」

 

 

――ドコドコドコドコドコドコドコドコッ!!!!!

 

 

音撃打・業火連打。

 

スタジアム全体が、かつてないほど激しく、そして誠に美しい和太鼓の猛烈な連打の音によって埋め尽くされた。響鬼(門矢)の両手から放たれる、目にも留まらぬ超高速の連続打撃が、アナザー響鬼の胸の音撃鼓へと猛烈な勢いで叩き込まれていく。

 

一発叩くたびに、清めの音波がアナザー響鬼の体内へと深く注入され、蓄積された熱量が限界を迎えていく。スタジアムの観客たちも、気づけばその圧倒的な、魂を揺さぶるビートに身を委ね、先ほどまでの恐怖を忘れてその神聖な光景に見入っていた。実況のマイクすらも、その音を邪魔しないように言葉を失っている。

 

「オォォォ……ア、ガ、ガハァァァァァッッ!!!!」

 

アナザー響鬼の巨体が、内側から噴き出す純粋な紫の炎によって完全に包まれ、その歴史の歪みが正されていく。

 

 

「――おぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁッ!!! フィニッシュだ!」

 

 

最後の、渾身の力を込めた一撃が叩き込まれた瞬間、胸の音撃鼓が爆発的な光を放って大炸裂した。

 

 

――チュドオォォォォォォンッ!!!!!

 

 

凄まじい紫の爆炎が地雷原の泥と煙をすべて彼方へと吹き飛ばし、その中心から、真っ二つに割れたアナザーウォッチが地面を転がって、空中できれいに塵へと変わった。

あとに残されたのは、邪悪なヴィランの気配が完全に浄化され、ただ心地よい夏の日のような熱気だけが漂う、広大なグラウンドの跡地だけだった。

 

ザーーーという静かな消滅音と共に光の装甲が消滅し、元の黒いライダースジャケット姿の門矢へと戻る。彼の手元、先ほどまで真っ白だった6枚目のカードには、今や完全に『仮面ライダー響鬼』の勇姿が定着していた。

 

 

「これで、六つ、か。……悪くないペースだ。この世界の歪みも、少しは片付いたか」

 

門矢がカメラのレンズを弄り、ホコリを払っていると、隣で呆然と立ち尽くしていた轟焦凍が、自身の左手――決して使うまいと誓っていた炎の側をじっと見つめながら、震える声で呟いた。

 

「常盤、門矢……。お前は、俺に……何を、見せようとしたんだ。あの炎は、何なんだ……」

 

門矢はゆっくりと振り返ると、轟の葛藤に満ちた目を真っ直ぐに見返し、いつもの不敵で、どこか楽しげな笑みを浮かべた。

 

「何も見せちゃいないさ。お前が勝手に見ただけだ。俺はただの――通りすがりだ。覚えておけ」

 

門矢は首から下げた二眼レフカメラを構え、自身の左手を見つめて激しく葛藤している轟の姿と、それを見つめる観客席のエンデヴァーの歪んだ悔しげな顔を、カシャリと一枚の「記録」に収めた。

 

「さて、ノイズも消えた。競技の途中だったな。俺は先にゴールさせてもらう。……あまりダラダラしていると、写真の現像液が腐るからな」

 

門矢はそのまま、地雷原の跡地を悠然と歩き、第1種目のゴールゲートへと向かって進んでいった。その圧倒的な背中を見つめながら、轟焦凍の心の中にあった「炎への拒絶」という頑なな氷の壁に、今、明確な一つの『亀裂』が入り始めていた。

 

雄英体育祭は、一人の「通りすがり」の叩き込んだ清めの音によって、原作の歪みをさらに広げながら、次なる激動のステージへと向かって、その歴史を加速させていくのである。




「障害物競走の後は、騎馬戦だか何だか知らないが、また騒がしい競技が始まるらしいな。クラスの連中が俺の『ポイント』を狙って群がってくるが、お前たちのその安っぽいチームワークで、この俺の歴史を止められると思っているのか?
  そんな中、あの緑谷と半分男が、ついにガチンコでぶつかり合うらしい。親父への憎しみだけで凍りついたその心を、緑谷のあの泥臭いお節介がどう打ち破るか……まあ、せいぜい俺の退屈を紛らわせるくらいの『いい写真』を撮らせてみせろ」

門矢:
「次回、第8話『響け、魂の叫び!』。……お前たちの本当の歴史を、俺に見せてみろ」
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