放送事故ではありません。   作:宇宙きのこ(ヴァーチャル)

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氏名:水瀬 結衣
年齢:二十代前半
職業:アルバイト
備考:動画投稿サイト等にて「水瀬ユイ」の名義で活動。

本人は自宅マンションより単独で外出した後、所在不明。
防犯カメラには、届出前日の夜明け前に建物を出る本人と思われる姿が記録されている。

財布、携帯電話、身分証明書その他の日用品の多くは自宅内に残置。
室内に第三者との争い、侵入その他、犯罪被害を直接示す痕跡は確認されていない。
関係者への聞き取りによれば、失踪以前より体調不良および精神的な不調を訴えていたという。

周辺地域、医療機関、交通機関等への照会を実施するも、有力な手掛かりは得られず。



現在も所在不明。


行方不明者届受理番号譛?セ後〒縺ッ縺ェ縺?:水瀬結衣

 

 

 

20××年。

まだVtuberという言葉も存在せず、国内でも有数の動画投稿サイトと個人配信サイトの幾つかが熱を持っていた時代があった。

その時代は荒削りだったが、最もプロとアマチュアの境目が曖昧になり始めた時代でもあった。

 

 

 

いずれ来る電子の世界、その前夜だった。

 

 

 

“歌ってみた。声真似。凸待ち”

“合唱企画。生配信。コミュニティ”

おもにこれらが全盛期だった時代だ。

 

 

 

ネットが急速に普及し、これで何ができるのだろうと多くの人々が試行錯誤していた。

そして顔も本名も知らない人間同士が、声だけで知り合い、声だけで繋がり、声だけで夢を見ていた時代だ。

 

 

そのサイトではコメントは画面の上を横へ流れた。

誰かが歌えば、赤や緑や青の文字がその声の上を走っていった。

どれも一言で、コメントというよりは呟きに近いものばかりだった。

 

 

 

上手い。

好き。

鳥肌。

もっと評価されるべき。

初見です。

これは伸びる。

 

 

 

これらの単語は今までにない一体感と連帯感で人々を繋げていた。

言葉はまるで粘土の様に形を変え、簡略化され、傍から見れば意味の判らない「w」やら「ktkr」等といった短文まで産まれた。

 

 

 

色々な言葉が画面の端から端へ流れていく。

それを見た歌っている者たちは、自分が少しだけ世界に認められたような気持ちになった。

世界が少しずつセピア色になり始める中、そこだけは熱気と生の感情に溢れていたのだ。

 

 

 

その頃のネットは、今よりずっと狭かった。

けれど、だからこそそこにいる者たちはどこか皆で同じ場所に集まっているような奇妙な連帯感を持っていた。

世界が一日ごとに広がっていく感覚に誰もが酔っていたのだ。

 

 

 

 

今までテレビやラジオだけが独占していた情報の発信。

それを自分たちでも出来るという万能感が彼らを満たしたのだ。

 

 

 

一枠30分。

その時間が終われば、延長する為には課金が必要。

しかも次の枠は順番待ちの為に中々直ぐには取れない。

後世から見れば不便極まりない黎明期の粗雑さがそこにはあった。

 

 

 

しかしそれを超える熱量と試行錯誤があったのも事実だ。

 

 

人気の歌い手、有名な生主。

声真似の上手い人、合唱企画によく呼ばれる人。

ミックスができる人や絵が描ける人。

動画を作れる人、良くも悪くも話題に事欠かない人。

 

 

 

本名も知らないし顔も知らない。

住んでいる場所も知らない。

けれど、声だけは知っている。

 

 

 

声が名刺だった。

声が顔だった。

声で誰もが夢を追いかけていた。

 

 

 

立ち絵などこの時代にはなかった。

3Dモデルなど概念さえ存在していない。

 

 

しかしそこには熱があった。

まだ何者でもない人間が、マイク一本と安いオーディオインターフェース

そして部屋の隅に置いたパソコンだけで、どこかへ行けるかもしれないと思える熱だ。

 

 

 

文化の大航海時代、または開拓時代といったところか。

 

 

もちろん、その大半はどこにも行けない。

 

 

再生数が二桁で止まる動画は山ほどあった。

コメントがひとつもつかない歌もあった。

機材のノイズに埋もれた声に音程の外れた熱唱。

 

 

 

録音環境の悪さを勢いで押し切った若さ故の黒歴史。

そういうものが毎日のように投稿され、毎日のように流れていった。

 

 

けれどその中から時々、光るモノが見つかったのも事実だ。

 

 

昨日まで誰も知らなかった歌い手が、ひとつの動画で一気に名前を知られる。

生配信の一場面が切り取られ、別の場所で話題になる。

誰かの合唱企画に参加したことで、固定ファンが増える。

 

 

有名な配信者に名前を出され、翌日にはコミュニティの人数が跳ねる。

 

 

それは……言い方を考えなければ宝くじに似ていた。

 

 

ただし、夢を見ている者たちは、それを宝くじだとは思いたくなかったのだろう。

自分の努力で届き、自分の声で叶える。

自分が歌い続ければ、いつか誰かが見つけてくれる。

 

 

 

そう信じていたかった。

水瀬ユイも、その一人だった。

 

 

 

本名は水瀬結衣。

二十代前半。

活動名は水瀬ユイ。

 

 

 

配信開始前には決まって自分で考えた定型文の挨拶をしていた人物である。

 

 

「みなさんこんにちはー! 聞く飲料水こと、水瀬ユイでーす!」

 

 

余り突っ込みは入れないでほしいと彼女は良く語る。

聞く飲料水って何だよ、耳に水を入れたら中耳炎になると後になってセルフで突っ込みを入れたこともあるのだから。

 

 

 

彼女は名前と活動名がほぼ同じの人物だった。

 

 

彼女は歌ってみたを投稿し、時々生配信をし、声真似や凸待ちにも顔を出した。

合唱企画に呼ばれることもあった。

結構な数の固定ファンもいた。

 

 

 

彼女の名前を見れば「ああ、あの子か」とわかる人間もそれなりにいた。

 

 

けれど、それだけだった。

光るものはあれど、あと一歩が足りない人物。

それが水瀬ユイだった。

 

 

有名ではあるのだが第一線ではない。

確かに幾つかの動画は伸びたが、ランキング上位には今一つ届かない。

 

 

 

配信に人だっていつも来るし、全くの0コメントでもない。

だが、大手の枠のようにはならない。

やるゲームや歌う内容による揺れ幅が良くも悪くも大きい。

 

 

 

多くの人に「上手だ」とそれなりに褒められる。

だが、決定的なものにはならない。

 

 

 

同じ時期に活動を始めた誰かが、先に大きな企画へ呼ばれていった。

自分より後から来た誰かが、一つの動画であっという間に多くの人に見つかっていった。

有名な歌い手とコラボした人間が、そのままライブへ呼ばれ、CDへ誘われ、メジャーへ行くという噂が流れた。

 

 

 

水瀬はそういう話を聞くたびに曖昧に笑った。

 

 

 

「すごいね」

 

「おめでとう」

 

「やっぱりあの人上手いもんね」

 

 

 

嘘ではない。

本当にすごいと思っていた。

本当に祝う気持ちもあった。

 

 

ただ、そのたびに、胸の奥に小さなものが沈んでいった。

 

 

自分だってその歌は歌っている。

自分だって凄い努力している。

自分もいつか届きたいと思っている。

 

 

 

けれど、あと一歩、指先一つ届かない。

そんなことが何度もあった。

 

 

 

 

 

 

間違えないでほしいのは確かに水瀬ユイには才能があったという点だ。

そして彼女はしっかり努力だってしていた。

でなければこの過酷な黎明期に一定のファンを得るのは難しいだろう。

 

 

 

声は綺麗で音感も悪くない。

感情の乗せ方も自然で、台詞読みや声真似もそれなりに受けた。

凸配信では明るく喋れたし、合唱企画でも悪目立ちはしなかった。

人の話を拾うのも下手ではなく、初対面の相手ともそれなりに会話を繋げられる。

 

 

 

それでも足りなかった。

何か一つ決定的なものが足りなかった。

スターになる者とそうではない者の間にある「何か」が。

 

 

 

水瀬自身もそれはわかっていた。

万能と言えば聞こえはいいが、自分はつまるところ器用貧乏だと。

 

 

 

私の歌は上手い。

でも、忘れられないほどではない。

再生数だって10万行くか行かないかだ。

 

 

 

私の声は綺麗。

でも、唯一無二ではない。

誰かが自分の声真似をしていて、少しだけ苛ついたことがあった。

 

 

 

私はトークもできる。

でも、場を支配するほどではない。

最近活動を始めたという配信者がトークだけでコミュニティの人数を跳ね上げている。

 

 

 

 

そこそこ。

中堅。

知っている人は知っている。

 

 

 

その言葉は丁寧な言葉で包まれた優しさであり、同時に残酷だった。

全ての努力した者が報われるというのであれば、今頃芸能人の数は100倍以上に増えて居ただろう。

 

 

しかし、水瀬はそれでも歌っていた。

 

 

歌うことそのものが好きだったからだ。

録音は面倒だし、ミックスを待つ時間は落ち着かないし、投稿直後の伸びを確認する作業は胃に悪い。

それでも、自分の声が誰かに届く瞬間は嫌いではなかった。

 

 

 

コメント欄に自分の名前が流れる。

歌詞の好きな部分で誰かが反応してくれる。

配信で少し歌えば、常連が喜んでくれる。

 

 

そういう小さなものに、水瀬はまだ救われていた。

夢を捨てるほど諦めてはいない。

けれど、夢だけで胸を張れるほど若くもないしお金の問題もある。

 

 

 

バイトは苦ではないが、いつまでもこんな生活を続けるわけにはいかないと心のどこかで判っていた。

 

 

そんな時期だった。

その日、水瀬は新しい歌ってみた動画を投稿した。

 

 

 

有名な曲のカバーだった。

何度も聴いた曲で、歌ってみたの投稿も多い。

今さら自分が歌ったところで、大きく伸びるとは思っていなかった。

 

 

けれど、好きな曲だった。

 

好きな曲を歌うことは、彼女にとってまだ大事だった。

伸びるかどうかだけで選び始めたら、きっと自分は壊れる。

 

 

 

そう思っていた。

だから拘りぬくために録音には時間をかけた。

 

 

古いマイクの前に立ち、彼女は何度も何度も同じフレーズを歌った。

 

 

 

一番の入りにサビの伸ばし。

最後の息の抜き方までしっかりと。

拘りの為にほんの少しだけ音程が揺れる場所も意識する。

感情を込めすぎるとくどくなる場所はあえて抜いた。

 

 

全ての個所で自分なりに丁寧に水瀬は歌った。

 

 

 

夜中に録音していると隣室への音漏れが気になった。

壁の向こうで誰かが動いたような気配がするたび、彼女は一度歌うのを止めた。

それからマイクのゲインを少し下げ、ヘッドホンを直し、また歌った。

 

 

壁ドンは、出来ればされたくない。

若い女性が隣人トラブルに巻き込まれたら本当に危ないからだ。

 

 

そういう作業を何日か続けた。

 

 

ミックスは知り合いに頼んだ。

ネットで知り合った相手で、何度か水瀬の音源を触ってくれている。

プロではないけれど、丁寧にやってくれる人だった。

 

 

 

簡素だが綺麗なイラストもつけてもらった。

動画も派手ではないが、歌の邪魔をしない落ち着いたものになった。

 

悪くない。

 

完成した動画を確認した時、水瀬はそう思った。

 

 

 

最も最高ではない。

けれど、今の自分に出せるものとしては悪くない。

投稿ボタンを押したあと、彼女はしばらく画面の前に座っていた。

 

 

 

最初のコメントがつくまでの時間がいつも嫌だった。

どれだけ投稿しても慣れない。

再生数が一桁のまま止まっている時間。

 

 

コメント欄が空白のままの時間。

自分の声だけが、ネットの暗い場所にぽつんと置かれているような感覚はひどくストレスだった。

最初の頃はコメント0で、泣きそうになったこともあったものだ。

 

 

数分後、最初のコメントがついた。

 

 

「うぽつ」

 

 

水瀬は少し笑った。

それから、ぽつぽつとコメントが増えていった。

 

 

「待ってた」

 

 

「お疲れ様ですー」

 

 

「エンコ手間取った?」

 

 

 

「サビがいい」

 

 

 

いつも通りだった。

 

いつもの常連たちが来て、いつものように褒めてくれる。

ありがたい。

本当にありがたい。

 

 

けれど、これは本当にいつもの範囲でもあった。

水瀬は軽く息を吐き、椅子にもたれた。

 

 

 

悪くない。

けれど、やはりそれだけだ。

そう思いながら、飲みかけの水へ手を伸ばした時だった。

 

 

ひとつだけ、見慣れないコメントが流れた。

 

 

 

 

 

 

⬭ᚌᚏ̤̿⬭ⰢⰣ ⬬⬭⦿◖  ᛗ⬭⬬◉◗ᚱ̤̿ ⬬⬭⬭”

 

 

 

 

「サビの奥の声すごい。どうやってるんだろう?」

 

 

 

 

水瀬は目を止めた。

 

 

 

奥の声?

 

 

 

何のことかわからなかった。

続けて、別のコメントが流れる。

 

 

 

「今回ハモリ入れてる?」

 

 

「サビ二重に聞こえる」

 

 

「透明感やばい」

 

 

「こういうのもっとやってほしい」

 

 

 

 

水瀬は眉を寄せた。

 

 

 

今回はハモリなんて入れていないし、重ね録りも最低限しかしていない。

そもそもそんな凝った加工を頼んだ覚えもない。

水瀬は自分の歌唱力だけで戦っているのが誇りだったからだ。

 

 

 

もしかしてミックス担当が何か足したのだろうか。

そう思い、彼女は自分の動画を再生した。

 

 

イントロ。

Aメロ。

Bメロ。

 

 

自分の声が流れる。

 

少し硬いが悪くない。

サビ前の息の吸い方が少し気になるが、許容範囲だ。

 

 

そして、サビ。

 

 

 

“⬬⬭ᚌᚏ̤̿⬭ⰢⰣ ⬬⬭⦿◖  ᛗ◉◗ᚱ̤̿ ⬬⬭⬭”

 

 

 

音が鳴った。

それを聞いた瞬間に水瀬はすぐに停止ボタンを押し、部屋が静かになる。

 

 

後に残るのは家電の発する生活音だけだ。

スピーカーからの音は止まっていて、パソコンのファンが小さく鳴っている。

外では車が通り過ぎる音がした。

 

 

息もせずに水瀬は画面を見つめた。

今のは何だったのか?

 

 

彼女はもう一度、サビの少し前から再生した。

 

 

 

自分の声と伴奏。

そしてサビ。

 

 

 

“⬬⬭ᚌᚏ̤̿⬭ミⰢⰣ ─ィ⬭⦿◖ ユ ─ᛗ⬭ィ⬬◉───◗ᚱ̤̿─⬬⬭⬭”

 

 

 

その下に音があった。

リスナーが言っている「奥の声」だろう。

確かに、何かが重なっている。

 

 

 

 

けれど、それは水瀬にはハモリには聞こえなかった。

 

 

低く湿っている。

更に言うと音程が合っていない。

歌声? これが? ノイズにさえならない不快な音なのに?

 

 

 

そして何故か毎回聞くたびに違う気がした。

録音音声が変わるハズなどないのに。

 

 

 

音楽の下に、腐った弦が一本だけ張られているようだった。

弾かれるたびに、喉の奥を擦るような嫌な振動がある。

声というよりは耳障りな……ノイズ? か。

 

 

 

 

……ミ̷̲̿…⬬⬭…z…◖⦿……⬭…イ̷̲……⦿◉

 

 

 

人の声に似ている気もする。

けれど、言葉ではなく、歌でもない。

水瀬は顔をしかめ、すぐにミックス担当へ連絡した。

 

 

 

「ごめん、サビの下に変な音入ってない?」

 

「低い音鳴ってるよね?」

 

「ちょっと気持ち悪くない?」

 

 

返事はすぐに来なかった。

水瀬はその間に、もう一度動画を再生しようとして、やめた。

あの部分を聞き返すのが嫌だった。

 

 

しばらくして返信が来た。

 

 

「え、どこ?」

 

「サビの奥のやつ?」

 

「あれハモリじゃないの?」

 

 

水瀬は即座に打った。

 

 

「入れてない」

 

 

「私、あんな音出してない」

 

 

 

少し間が空いた。

 

 

 

「そうなん?」

 

「でも綺麗だと思うけど」

 

「むしろそこ良いよ」

 

「消すのもったいないと思う」

 

 

 

水瀬は画面を見たまま、しばらく動けなかった。

 

 

 

綺麗。

 

 

 

───あれが?

 

 

彼女はもう一度だけ、恐る恐るサビを再生した。

 

 

 

“⬬⬭ᚌᚏ̤̿⬭ミⰢⰣ ィ⬭⦿◖ ユ ─ᛗ⬭ィ⬬◉◗ᚱ⬭⬭”

 

 

 

 

 

やはり、同じだった。

 

 

 

 

リスナーたちが「透明感」と呼んでいる場所で、水瀬の耳には低いうなりが鳴っている。

自分の声の下に濡れた何かが口を開けているような音だ。

 

 

すぐに停止した。

 

 

気のせいかもしれない。

自分の耳がおかしいのかもしれない。

ミックスの過程で、自分にだけ妙に聞こえる周波数が残ったのかもしれない。

 

 

水瀬はそう考えようとした。

その方が楽だったからだ。

 

 

けれど、そんな動画は予想外に伸びた。

翌朝、再生数は普段より明らかに多かった。

 

 

コメントも増えて、マイリストも伸びている。

他にも常連以外の名前もちょくちょく見えていた。

何処から湧いてきたと思うほどにバンバンと公告が流し込まれ、見る見る間にランキングに入り込んでいく。

 

 

 

「今回はすごい」

 

 

「サビで鳥肌立ちました!」

 

 

「水瀬ユイってこんなに上手かった?」

 

 

「声の奥行きが良い」

 

 

「もっと評価されるべき」

 

 

「この路線で行ってほしい」

 

 

 

 

水瀬は画面を見ながら、笑うべきなのか怖がるべきなのかわからなくなった。

自分にとっては、気味の悪い失敗作だったのに周囲にとっては違うらしい。

 

 

手ごたえという意味では過去最高である。

今まで届かなかった場所へ、ようやく指先が触れたような感覚さえ感じる。

成功の階が見えた気さえした。

 

 

 

怖いけど……嬉しい。

 

 

その二つを彼女は感じていた。

水瀬は、画面の前で小さく笑って……笑ったあと、すぐに口元を一度だけ押さえた。

 

 

 

自分が何を喜んでいるのか、わからなかったからだ。

歌手としては屈辱でさえあったのに何を自分は喜んでいるのだ?

 

 

 

 

数日後、水瀬は生配信を開いた。

いつも通りの雑談枠だった。

 

 

 

最近見た動画の話、合唱企画の告知に声真似の軽いリクエストと常連とのやり取り。

時々、少しだけ歌う、そういういつもの配信だった。

ただし来場者数は普段より多かった。

 

 

先日の動画から来たという初見もいた。

コメント欄にはあの曲を聴いたという声がいくつも流れている。

 

 

 

「動画よかった」

 

「サビすごかった」

 

「あれ生で聞きたい」

 

「ちょっとだけ歌って」

 

「新規です、声好きです」

 

 

 

水瀬はなるべく感情を見せずに笑って誤魔化した。

 

 

「いやいや、今日は雑談だから! 喉も万全じゃないし。また、今度ね」

 

 

そう言いながら、内心では迷っていた。

 

 

ハッキリ言うと歌いたくない。

だけどここが盛り上がり所だ。

 

 

あの音がまた聞こえたら嫌だが、けれどここで歌えばきっと盛り上がる。

せっかく来てくれた初見も残るかもしれない。

動画が伸びた今、この良い流れを切りたくなかった。

 

 

こういう流れは長く続かないからだ。

 

 

水瀬はそれを知っていた。

ネットの話題の足は速いのだと。

 

 

昨日まで褒められていたものが、翌週には忘れられる。

ひとつの動画で来た人が次の動画まで残ってくれるとは限らない。

配信に来てくれた初見がそのまま常連になる保証もない。

 

 

だから、来た時に掴まなければならない。

そんなことは誰に教えられなくても知っていた。

 

 

そんな考えの中でもコメントはさらに増える。

 

 

「一番だけ」

 

「サビだけでいい」

 

「お願い」

 

「生ハモリ聞きたい」

 

「ユイちゃんならいける」

 

「今の流れで歌わないのはもったいない」

 

 

 

水瀬は断れなかった。

元よりこんな風に歌を求められると嬉しいというのもあった。

 

 

 

「じゃあ、ちょっとだけね」

 

 

マイクの位置を直して伴奏を用意する。

音量を確認しつつコメント欄を見る。

 

 

 

全てはいつもの手順だった。

いつも通りのはずだった。

 

 

 

彼女は息を吸い歌い始めた。

 

 

Aメロは普通だった。

少し緊張していたが、声は出ている。

コメント欄にも「いいね」「声綺麗」と流れる。

 

 

 

Bメロを超えてサビへ向かうその瞬間、耳の横で音が鳴った。

 

 

⬭⦿◖ ユ ─ᛗ⬭ィ

 

 

筮ュ筥ソ笳役錐繧

 

 

こんにちはーこんにちはーこんにちはー 聞くいんりょうすいすいすいすいすいssssっすすすすすすすすすすすす

 

 

 

水瀬は思わず歌詞を一瞬飛ばした。

 

 

低い音だった。

けれど、ただ低いだけではなく耳元で誰かがぼそぼそ言っているような湿った気配である。

 

 

 

意味はわからない。

言葉になりかけて、崩れて、濡れた息のように残るそれは聴いていて気分が悪くなりそうだ。

いや、もしかして自分の名前を呼んでいるのか?

 

 

 

自分の耳のすぐ横に、口があるような近さだった。

水瀬は歌いながら、肩を強張らせた。

けれどコメント欄は盛り上がっていく。

 

 

 

「きた」

 

 

「そう、これこれ」

 

 

「生でもできるんだ」

 

 

「鳥肌たった」

 

 

「綺麗」

 

 

「ユイちゃんすごい」

 

 

「音源よりいいかも」

 

 

 

リスナーには綺麗に聞こえているらしい。

水瀬は吐き気を堪えながら歌い切った。

 

 

歌っている間、あの音はずっとあった。

自分の声のすぐ下に、濡れた低音が貼りついている。

歌詞とは別の何かが、意味にならないまま蠢いている。

 

 

音程は外れているはずなのに、不思議と伴奏からはみ出さない。

自分には気持ち悪いのに、外の人間には美しく聞こえている。

 

 

それがわかった。

終わった瞬間、爆発的にコメント欄が流れた。

 

 

 

「最高」

 

「やばい」

 

「生でこれは強い」

 

「やっぱり才能ある」

 

「もっと歌って」

 

「今の保存したい」

 

 

水瀬は笑った。

何とかだが、笑えた。

 

 

「ありがと。ちょっと喉やばいから、歌はここまでね」

 

 

声が震えないように気をつけた。

 

配信はその後も続いた。

雑談に戻り、声真似を少しやり、常連のコメントを拾う。

表面上は何もおかしくなく、過去最高の盛り上がりだ。

 

 

 

初見が残ってくれて、常連も機嫌がいい。

歌の話題が何度も出て喝采される。

誰かが「さっきのサビすごかった」と言うたび、水瀬は「ありがとう」と返した。

 

 

そのたびに、喉の奥が痛んだ。

 

 

配信中はそれ以上あの音は聞こえなかった。

それでも音が消えた気がしなかった。

どこか近くに、まだ残っている気がした。

 

 

配信を終えたあと、彼女はマイクを切り、ヘッドホンを外すと部屋は静かだった。

 

 

静かなはずだった。

水瀬は喉に手を当てる。

 

 

痛い。

 

 

普通に歌った時の疲れとは違う。

喉の内側を細い爪でひっかかれたような痛みだった。

 

 

 

彼女は水を飲んだ。

それでも痛みは消えなかった。

 

 

そして次に配信の録画を確認するべきか迷った。

 

 

配信者としては、確認した方がいいと彼女は思っていた。

どこで歌詞を飛ばしたのか、そもそも音量バランスは崩れていなかったか。

変な間はなかったか、コメント欄がどう反応していたか。

 

 

そういう確認は確実に次に繋がるものだ。

故に水瀬はしばらく迷い、結局確認した。

 

 

 

 

サビに入り、自分の声が流れ

 

 

 

 

 

 

 

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!」

 

 

すぐに停止した。

これ以上は無理だった。

 

 

その夜、水瀬はあまり眠れなかった。

耳の奥に、あの音が残っていて脳髄の奥で木魂しているからだ。

 

 

 

再生していないのに、聞こえる気がした。

スピーカーは切っている、ヘッドホンも机に置いている。

パソコンもスリープにした。

 

 

それでも、耳の内側に音の形だけが残っている。

だがそれが実際に聞こえているのか、記憶が再生されているだけなのかは自分でもわからなかった。

 

 

 

翌日、今回も配信の反応は良かった。

 

 

録画を見た人がコメントを残している。

短い感想を投稿している人もいる。

あのサビ部分だけを話題にしている者もいた。

 

 

「生歌すごかった」

 

「ハモリどうやってるんだろ」

 

「ユイちゃん覚醒してる」

 

「最近の声ほんと好き」

 

 

 

水瀬はスマートフォンを見つめたまま、動けなかった。

褒められているし望まれている。

自分の名前が呼ばれて、誰もが凄いと言っている。

 

 

過去最高の盛り上がりだ。

コミュニティの人数は右肩上がりで、もしかしたらトップ層にこのまま駆け上れるかもしれない勢いがある。

 

 

 

嬉しいはずだった。

ずっと求めていた領域に手が届きそうで嬉しい筈なのだ。

けれど、その嬉しさの中心で称えられるのは自分ではない。

 

 

 

今までの努力、思考錯誤、積み重ね。

それらすべてを横から奪われたとさえ思った。

 

 

自分が褒められているのか、それともあの「音が」褒められているのか、何が正しいのか全く判らなかった。

 

 

 

数日後、配信仲間から通話が来た。

 

以前から何度か凸待ちや合唱企画で一緒になった相手だった。

明るくて、空気を読むのが上手い男性配信者だ。

彼はいつもの軽い調子で言った。

 

 

「最近、ユイちゃん来てるじゃん。動画見たよ! あの声の重なり、本当に驚いちゃった!!」

 

 

「遂に皆がユイちゃんの魅力に気づいちゃったかぁ~~って感じ。

 気分としては後方腕組みってところかな」

 

 

水瀬は曖昧に笑った。

 

 

「そうかな」

 

「そうそう。いや、前から上手いとは思ってたけど、最近なんか雰囲気変わったよね。深みとかも出たっていうか」

 

 

 

深み。深み? 

これが? こんなものが?

 

その表現はどうにも嫌だった。

 

 

水瀬にはその「深み」が濁った穴のように思えた。

自分の声の下に開いた湿った暗がり。

そこから、意味のない音が漏れている。

 

 

 

皆その「音」を素晴らしいと言っている。

歌声ではなく、あんな濁った音を。

ザリザリとプライドに鑢をかけられた気分だった。

 

 

 

「狙ってやってるわけじゃないんだけどね」

 

 

 

水瀬はそう言えば相手は笑った。

 

 

「またまた~。いや、でも自然に意識せずに出せてるならもっとすごいよ」

 

 

「所でさ、次の合唱企画あるんだけど……ユイちゃんも参加しない?」

 

 

水瀬はすぐに答えられなかった。

とりあえず興味のあるふりをして質問だけしておく。

 

 

「曲は?」

 

 

「今話題の××××だよー」

 

 

 

相手が曲名を言う。

 

知っている曲で、彼女も好きな曲でもあった。

音程が目まぐるしく変わる難しい曲だ。

だが、しっかりと歌えたら映えるだろう。

 

 

「ユイちゃんの声なら絶対合うと思う。

 今の感じなら間違いなくユイちゃんがセンター間違いなし!」

 

 

「他のメンバーも結構いい人集めてるよ? 皆ユイちゃんが来れば喜ぶはずだって!」

 

 

 

水瀬は黙った。

歌いたくないし録音もしたくない。

何よりあの音を聞きたくない。

 

 

けれど、それでも、断りたくもなかった。

チャンスがやっと来たのだ。

そろそろ本気で将来を考えないといけない今になって、ようやくだ。

 

 

ここで止まればきっと終わる。

せっかく掴みかけた流れが終わり、次があるかなんてわからない。

 

 

自分より後から来た誰かが、また前に出ていく。

自分はまた、そこそこ有名な中堅に戻る。

そしてそこらに数多くいる雑多な放送者のようにいつの間にか放送しなくなり、引退していくのだ。

 

 

このままでは何も世の中に残せず、夢を諦めたという鬱屈した感情のまま人生を生きていくことになる。

 

 

 

「考えとく」

 

 

 

だからそう言った。

通話の後、水瀬はしばらくマイクを見つめていた。

 

 

 

そこそこに拘っていいものを買ったマイクは……やはりこうしてみればただの機械だった。

だがこれには思い出が宿っていた。

少しだけ無理して奮発し購入したマイクはいつだって水瀬の隣にいた。

 

 

 

最初の今から見れば見るに堪えないたどたどしい放送の時も。

何回も歌ってみた動画を作るために使った時も、ずっとこのマイクは近くにあった。

いわば彼女にとっての相棒だ。

 

 

 

だから、これは決して怖い存在ではない。

そう思いたかった。

故に水瀬は小さく呟いた。

 

 

 

 

「大丈 ̷̲⬭⬬ 夫  」

 

 

その瞬間、耳の横で音が鳴った。

低く近く、喉の水気を感じられるほどに湿っている。

水瀬は反射的に口を塞いだ。

 

 

 

 

部屋には誰もいない。

パソコンの画面には通話終了の表示だけが残っている。

スピーカーも鳴っていない。

 

だが、はっきりと聞こえた。

その時から、水瀬は独り言を減らした。

 

 

 

それまでは彼女はよく喋る方だった。

部屋で作業しながら「よし」とか「無理」とか「喉死んだ」とか、どうでもいいことを口にしていたものだ。

歌詞を確認する時も、自然と声に出していた。

メッセージの返信を考える時も、小さく呟く癖があった。

 

 

 

それらを彼女はやめた。

声を出すのが怖くなったからだけれど、それでも急には完全にはやめられない。

 

 

 

活動をしている限り、声は出すし、今まで染み付いた癖を完全に消すことは出来ないのだ。

そして喉は使わないと鈍っていく。使われない筋肉が減っていくようにだ。

だから彼女は今まで出来るだけ喋る様にしていたのだ。

 

 

 

歌う。喋る。挨拶や返事をする。

それによって水瀬ユイは、声で知られ、声でリスナーと繋がっている。

何より己の声で夢を見て追いかけているのだ。

 

 

その声を出せないなら、彼女には何も残らない。

水瀬は、合唱企画に参加すると返事をした。

 

 

 

「~~~ⰢⰣ̤̿ ̷̲⦿♪ ⰢⰣ̿ ̷̲⦿ⰢⰣ̤̿ ̷̲⦿ⰢⰣ ⦿♪」

 

 

録音は苦行でしかなかった。

 

 

歌い始めるたびに耳元で音が鳴る。

サビに近づくほどそれは濃くなり、まるで自分が主役のようにふるまっている。

ただ、湿った不協和音が自分の声の下へ潜り込んできて、彼女の舞台を奪おうとしてくるのだ。

 

 

 

 

何度も録り直す羽目になった。

この呟きのせいで音程を外したり声が裏返ったこともある。

恐ろしさのせいで途中で息が詰まった。

 

 

おぞましい音声だが、それ以外は何もしてこない。

少なくともよくそういう話で見られるポルターガイストやら変なモノを見たといったことはない。

それでも余りの不気味さに泣きそうになって、何度か休憩した。

 

 

 

しかし何としても今回の企画の為にも提出しなければならなかった。

 

 

 

締切はもちろんだが他の参加者がいる。

だから自分だけが止めるわけにはいかない。

 

 

水瀬は、どうにか録音データを送った。

送ったあと、しばらく椅子から立てなかった。

 

 

 

喉が痛く耳の奥が熱い。

ドく、ドク、と心臓の鼓動を感じてしまう。

自分の部屋なのに、部屋の空気が湿っているように感じた。

 

 

 

 

たまらず窓を開ける。

夜風が入ってきて、少しだけ部屋の空気が変わった気がした。

 

 

 

外の車の音に誰かの笑い声。

遠くの自転車のブレーキ音。

なんの変哲もない日常がそこにはあり、微かに水瀬は安心した。

 

 

 

だが、その中にまだあの音が潜んでいる様な気がして水瀬は窓を閉めた。

 

 

 

 

数日後に仮ミックスが送られてきた。

正直に言うと聞く前から嫌だった。

第六感とでもいうべきものが警鐘を鳴らし続けている。

 

 

けれど確認しないわけにはいかない。

 

 

合唱企画に参加した以上、自分のパートだけ聞かずに済ませるわけにはいかない。

 

 

 

音量の問題があるかもしれなし、もしかしたら歌詞の間違いがあるかもしれない。

更には他の参加者とのバランスもあるのだ。

万が一にもこの企画は失敗するわけにはいかないから、水瀬は嫌でもやるしかなかった。

 

 

 

彼女はヘッドホンをつけ、再生する。

 

 

 

まずはイントロと他の参加者の声。

歌の合間に軽快な掛け合いがそれに続く。

そして自分のパートが近づく。

 

 

水瀬は息を止め、流れる自分の声に耳を澄ます。

 

 

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ミナ荳区焔ミナ荳区焔ミナ荳区焔ミナ荳区焔荳ン区焔荳ン区焔荳ン区焔サ荳区焔サ荳区焔サ荳区焔荳区焔荳区焔荳区焔荳区焔オネ荳区焔オネ荳区

 

 

 

やはり聞こえてしまった。

水瀬にはわかる。

誰よりも自分の声を聴いていたからこそ、自分ではない声を聴き分けてしまう。

 

 

いや、声というよりは……自分に混ざろうとしてくるノイズか。

それが前よりもずっと濃くなっている。

何らかの単語をずっとずっと繰り返し続けて水瀬の歌を邪魔していた。

 

 

何かを言っている。

けれど、言葉にならず、意味になりかけてドロドロに崩れるナニカだ。

 

 

それもひとつではなく、複数聞こえるのだ。

それでも合唱とはいえない位に……揃っていない。

 

 

 

人の声に似ているのに人の声のように並んでいない。

湿った音の層が自分の声の下にあり、それが自分の歌に合わせて蠢いている。

自分の声を大きな石とするならば、さしづめこれらはそれをひっくり返した時にうじゃうじゃ湧いてくる昆虫だ。

 

 

 

 

水瀬は途中で再生を止めると、すぐにあちらからメッセージが来た。

 

 

「ユイちゃんのパートめっちゃ良い!」

 

 

「あの声の重なり、自然に入っててすごい。本当にどうやってるの?」

 

 

「これ、ユイちゃんの個性になってきたね」

 

 

 

水瀬は返事を書けなかった。

指先が微かに震えるが、それは絶対に喜びではない。

むしろその逆の屈辱と恐怖と苛立ちによって。

 

 

個性だと?

あの音が、自分の個性?

 

 

あんな、私のものじゃないナニカが?

彼女はパソコンの前でしばらくじっとしてから、やがて短く返した。

 

 

 

「ありがとう」

 

ようやく絞り出したようにキーボードをたたくが、やはりというべきかそれしか書けなかった。

 

 

 

合唱動画は投稿されると、想像以上によく伸びた。

 

参加者がそれぞれ告知したこともあり、普段の水瀬の個人動画よりも見られた。

コメント欄には、参加者ごとの感想が流れる。

その中に水瀬の名前も何度も出た。

 

 

「ユイちゃんのところ好き」

 

「声の重なりがすごい」

 

「この人誰?」

 

「最近伸びてる人だ」

 

「もっと聞きたい」

 

「ソロ動画見てくる」

 

 

 

そこにはあれだけ欲しがっていた大衆の認知と肯定があった。

ようやく自分は売れ出したのだと……思えない。

 

 

 

痛い、苦しいし悔しい。

水瀬はコメント欄を途中で閉じた。

その夜、彼女は自分の部屋で声を出せなかった。

 

 

 

喉が痛かったが、それ以上に怖かった。

けれど、朝になってスマートフォンを見ると、無情にも複数の通知が来ている。

 

 

「最高でした」

 

「泣きました」

 

「もっと歌ってください」

 

「ユイちゃんの声が一番好きです」

 

 

 

水瀬はスマートフォンを布団の上へ投げた。

リスナーのあるコメントがグルグルと頭の中を回っていた。

 

 

 

“ユイちゃんの声”

 

 

 

あれは本当に自分の声なのか?

何度考えてもわからなかった。

 

 

 

だから水瀬は何人かに相談した。

 

 

 

最初はミックス担当、その次に仲の良い配信仲間。

それから、古くからのリスナーで、比較的冷静な人を水瀬は頼った。

 

 

彼女は素直に全てを打ち明けていた。

 

 

「歌ってる時だけ、誰かが耳元で何か言ってて……変な声みたいな感じ」

 

「それと録音に入ってる声が、自分にはすごく気持ち悪く聞こえる」

 

「みんなが綺麗って言ってるところ、私には全然綺麗に聞こえない」

 

 

 

そんなことを言われた相手は困った。

彼や彼女たちは水瀬に才能を感じており、謙遜しているのだと最初は思った。

 

 

皆はとりあえず音源を聞き、水瀬の言うままに該当箇所を確認する。

そして揃って同じことを優しく言うのだ。

 

 

 

 

 

「疲れてるんじゃない?」

 

「自分の声って本人には変に聞こえるものだよ」

 

「伸びたことでプレッシャーになってるんじゃない?」

 

「少し休んだ方がいいよ。最近無理してるんでしょ?」

 

 

 

どれも悪意はなく、むしろ優しかった。

だからこそ、水瀬は追い詰められた。

 

 

 

誰にも伝わらない。

いま自分がどれだけ苦しく怖い思いをしているのか、誰も判ってくれない。

 

 

誰にも、あの音が聞こえていない。

誰にも、あれが気持ち悪いものだと伝わらない。

周囲に聞こえているのは、綺麗な水瀬ユイの声だけ。

 

 

 

水瀬本人に聞こえているのは耳元のぼそぼそとした不協和音だけ。

そのうち、水瀬は相談するのをやめた。

 

 

 

 

相談すればするほど、自分がおかしいように見える。

相手は心配してくれる。

休んだ方がいいと言ってくれる。

無理しなくていいと言ってくれる。

 

 

 

けれど、休んだところであの音が消える保証はない。

それに休めば忘れられる。

 

 

水瀬はそのことをよく知っていた。

 

 

ネットの流れは速い。

一週間いなければ、別の誰かが話題になる。

一か月いなければ、戻ってきた時にはもう席がないかもしれない。

たとえ待っていると言ってくれる人がいても、その人たちが本当にずっと待っているとは限らない。

 

 

 

しかしこれは誰も悪くない。

後の時代で“バズる”と呼ばれる現象はその少し前の時代でも既に存在し、その原理は同じだ。

 

 

まるで人々の関心は波の様に押し寄せて、そして瞬く間に引いていくという原理だ。

 

 

人は新しいものを求め続けている生物だ。特にこんな情報社会ではなおさらである。

新しい声を聞いて、新しい才能を好きになる。

そして多くの人は同じ場所にはずっといない。

 

 

ほんの数週間前では何千人も常駐し跳ね上がっていた動作の再生数も落ち着いてしまえばまるで枯れたように動かなくなる。

 

 

それが普通だ。

ほんの数週間前ではそこらかしこで見るほどに溢れかえった存在が少し目を離せば消えてしまうなどよくあることだ。

 

 

 

かくいう水瀬も誰かが消えた時に同じことをしてきた。

好きだった歌い手が更新を止めても、最初の数日は心配した。

一週間後には別の動画を見ていた。

一か月後には、たまに思い出す程度になっていた。

 

 

一年後? 

それを言う必要はあるだろうか?

 

 

 

 

だから、自分がそうなることもわかっていた。

 

 

 

忘れられたくない。

その気持ちが、彼女をさらに縛った。

 

 

そんな彼女の想いと比例するように「音」は日常へ入り込んでいった。

 

 

 

最初は歌っている時だけだった。

次に録音している時に聞こえるようになった。

次に配信前のマイクチェックでも鳴るようになった。

そして、何でもない独り言の後ろにも混ざるようになった。

 

 

 

 

水瀬が「おはよう」と言う。

耳の横で、低く何かが鳴る。

 

 

水瀬が鼻歌を歌う。

すぐ後ろから、不協和音がついてくる。

 

 

水瀬が咳払いをする。

その奥で、誰かが息を吸う。

 

 

振り返っても何もいないし、もちろん部屋には誰もいない。

スピーカーも鳴っておらず録音ソフトも起動していない。

 

 

だがどんどんはっきりと聞こえるようになる。

まるで距離を詰めてこられているように、音波の波長が近づけられているように。

一種の無線通信の電波のチャンネルを合わせるようだった。

 

 

 

イヤホンを外そうと聞こえる。

スピーカーの電源を落としても聞こえる。

 

 

窓を開ける。

外の車の音や人の声に混じって、まだ聞こえる。

 

 

しかし決してそれは姿を見せない。

よくあるホラー番組の幽霊のように影も出さないし鏡にも映らない。

寝ている時にじっと部屋の隅にも立たない。

 

 

ただ、声だけが存在し、息遣いを感じる。

水瀬は何度かそれを誰かに説明しようとして、やがて諦めた。

 

 

 

見えないし録れない。

自分以外には綺麗に聞こえる。

そんなものをどうやって説明すればいいのか。

 

 

 

 

 

ある日、彼女は配信前の準備をしていた。

 

 

 

 

軽い雑談枠の予定で、歌うつもりはなかった。

近況報告をして、最近見た動画の話をして、少しだけ声真似をして終わる。

それなら何とかなると思った。

 

マイクチェックのため録音ソフトを起動する。

 

 

 

 

   ̤̿ⰢⰣⰤⰥ̴̳̈      ̷̲⫘⫘(水瀬ユイです テスト )

 

 

 

 

 

案の定、音が鳴る。

水瀬は止まった。

再び耳元で何かがぼそぼそ言っている。

 

 

 

意味はわからないが、ただひどく近くにいる。

熱やハッキリした気配は判らないが、ハアァァァという息遣いだけはあった。

 

 

水瀬は録音を止めれば、当たり前の話だが部屋は静かになる。

もう一度、声を出す。

 

 

 

 

 ̴̳̈ ̤̿ ̷̲⬭⬬◖◗ ࿓࿔ ̿̈ (テスト)

 

 

また鳴る。

 

今度は少し長い。

自分の声が終わったあとも、ほんの一瞬だけ残る。

湿った息が耳の横で遅れて閉じるような音だった。

 

 

水瀬はマイクの電源を切った。

 

 

 

 

 

 ̴̳̈ ̤̿ ̷̲⬭⬬◖◗ ࿓࿔ ̿̈ (テスト放送です )

 

これでも鳴る。

 

 

彼女は椅子から立ち上がった。

マイクかとパソコンから離れる。

部屋の隅へ行き、周囲を見渡すがもちろん誰もいない。

 

 

 

「■■■」(死ね)

 

 

 

 

水瀬は両手で口を押さえた。

 

 

なんの意味がないこともそうだが、それよりも恐ろしい事実を知ってしまったからだ。

心のどこかにあった機材の不調やエラーだという考えが完全に消えさった。

 

 

マイクのせいでも録音ソフトの不具合ではない。

ましてやスピーカー、イヤホンに由来する問題でもない。

 

 

 

自分の声に、ついてきている。

声を出すたびに、近くなる。

つまり、すぐ近くにずっといるのだ。

 

 

 

 

彼女はその日の配信を休んだ。

理由は喉の不調だったがこれは嘘ではない。

 

 

 

喉は本当に痛かった。

けれど、休むと告知したあと、コメントが届いた。

 

 

 

「無理しないで」

 

「喉大事にして」

 

「最近すごかったから疲れたんだよ」

 

「待ってる」

 

「また歌ってね」

 

 

 

また歌ってね。

 

 

 

 

その言葉を見た瞬間、水瀬の耳の奥で音が鳴った気がした。

もちろん、彼女は声を出していなかった。

 

 

 

それでも再び鳴った気がした。

彼女はその日から、通知を見るのが怖くなった。

 

 

けれど、見ずにはいられなかった。

 

 

数字は過去最高のペースで伸びているし、みんなが水瀬という名前を呼んでくれている。

あの音が混ざった動画だけがよく再生されている。

その事実が水瀬の中で少しずつ積もっていく。

 

 

最初はただの異常だった。

次に、気味の悪い偶然になった。

その次に、自分を押し上げる何かになった。

そして今は、自分を飲み込んで伸びていく別の声になっていた。

 

 

水瀬は、自分が何に怯えているのかわからなくなった。

幽霊という言葉を彼女は絶対に使わないと決めていた。

彼女には芸能を志すだけあってドライな一面がある。

 

 

 

心霊配信や怪談話を見ることはあっても、それは娯楽だったからだ。

怖がるための遊びで、ひとしきり怖がってはいおしまいという類の存在だ。

 

 

 

間違っても自分の部屋で、自分の声に混ざるものを説明する概念ではなかった。

だから、彼女は別の要因を探していく

 

 

 

音声トラブルにミックスの癖に耳の不調。

疲労にプレッシャー、もしくは単なる自分の思い込み。

もしくはさらに曖昧な精神的なものか、単に調子が悪い?

 

 

 

どれも少しずつ当てはまる気がした。

そして、どれも決定的に違う気がした。

 

 

続けて水瀬は耳鼻科を検索した。

心療内科も検索した。

喉の炎症、耳鳴り、幻聴、ストレス、歌い手、声が変に聞こえる。

メニエール病、せん妄、適応障害、鬱。

 

 

そんな言葉を夜中に何度も検索した。

検索結果はどれもこれも現実的だった。

 

 

 

疲労。

睡眠不足。

ストレス。

自律神経。

声帯の酷使。

一度活動を休むべき。

 

 

 

どれも正しいし普通ならばそういうものだと頷くだろう。

だが水瀬が聞いているものは、そういう説明だけでは片づかない。

少なくとも、彼女にはそう思えた。

 

 

けれど、周囲から見れば違う。

 

 

若い歌い手が急に伸びたというわかりやすいストーリーがあったからだ。

その売れ出したプレッシャーで少し不安定になっている。

自分の声に自信が持てなくなっている。

そんな状態で喉を酷使しているのは良くないから休んだ方がいい。

 

 

 

その程度の話だった。

よくある話だった。

当時そういうことは珍しくなかった。

 

 

 

歌い手や生主が急に病むことはあったし、いきなり更新が止まることもあった。

配信で泣く人間もいて、人間関係で揉める者などうじゃうじゃだ。

アンチに疲れる者や就職や進学や家庭の事情でいなくなる者もいた。

何なら配信トラブルが現実に波及し刑事事件が起きたことも多々あった。

 

 

 

だから、水瀬が少し不安定になってもそれは外から見れば大きな事件には見えなかった。

もちろん周囲は心配した。

だが、止めるほどではなかった。

 

 

 

良くも悪くも彼女のファンは民度が高かったのだ。

 

 

本人が歌うと言えば応援する。

本人が休むと言えば待っていると言う。

本人が不安を漏らせば無理しないでと言う。

 

 

この対応はむしろこの時期のネットにおいては希少なほどに素晴らしい節度あるものだったのだ。

だが誰も悪くないまま「音」は水瀬に近づいていた。

 

 

 

ある夜、水瀬は配信仲間からの通話を受けた。

相手はいつものように明るかった。

 

 

「最近どう? 無理してない?」

 

「まあ、いきなり伸びる時ってメンタル来るよね」

 

「でも本当に今いい感じだからさ。焦らず、でも止まりすぎず行こう」

 

 

 

水瀬は黙って聞いていた。

 

相手は善意で言っているし、心から励ましてくれている。

本当に損得なしで心配もしてくれている。

 

 

けれど、言葉の中に少しだけ「続けた方がいい」という期待が混じっていた。

 

 

それは当然だった。

向こうも配信者だ、流れの大切さを知っている。

今止まることの怖さを知っている。

 

 

だから、悪気なくそう言う。

 

 

「ユイちゃんのあの声、ほんと武器だよ」

 

 

 

その瞬間、水瀬は通話を切りたくなった。

 

 

あの声。

 

違う。

 

■の声ではない。

 

あれは私の声ではない。

 

 

 

「……そうかな」

 

 

 ̷̲⦿◉̴̳◖ ̿̈᚛ᚌᚏ᚜̷̲⬭̳̤ ̴̿⦿ ⬬

 

 

水瀬はなんとか返した。

その声に、音が重なった。

通話越しの相手は気づかなかった。

 

 

 

「そうだよ。もっと自信持ちなって」

 

 

 

水瀬は笑った。

自分の笑い声の後ろで、また何かが鳴った。

相変わらず何を言っているかは判らないが、笑っているのかもしれないという所までは読み取れた。

 

 

 

水瀬は通話を終えたあと、部屋の真ん中でしばらく立っていた。

 

何も見えない。

だが見えないのにこの部屋の中にいる。

 

 

いや、いるという表現が正しいのかもわからない。

水瀬は鏡の前に立った。

 

 

 

口を開くが何も言わない。

 

鏡の中の自分も、どこか間抜けに口を開けている。

ずっとそうすれば喉が少し動き、唇が乾いていく。

 

 

 

声を出せば、また来る。

そう思ったから水瀬は口を閉じた。

それから、声を出さずに泣いた。

 

 

 

涙は出たが、声は出さなかった。

泣き声を上げるのが怖かったからだ。

彼女はいつしか泣くことさえ奪われていた。

 

 

 

その日から、水瀬の日常は少しずつ静かになっていった。

 

声を出さない。

歌わない。

電話に出ない。

通話を避ける。

配信予定を先延ばしにする。

コメントへの返信も短くする。

 

 

 

だが、完全には徹しきれない。

通知や誘いは次々と来るからだ。

そして有名になったことで無数のユーザーからの期待が押し掛けてきた。

 

 

「待ってる」

 

「また歌って」

 

「次の投稿いつ?」

 

「ユイちゃんの声が好き」

 

「最近知りました」

 

「昔の動画も巡回してます」

 

 

 

水瀬はそれらを見て胸の奥が冷えるのを感じた。

好きだと言われている声が、自分のものではなくなっていく。

少なくとも、水瀬本人にはそう感じられていた。

 

 

あれだけ頑張って磨いた歌手としての人生を横から何か奪い取りに来て、自分はそれを奪い返せない現実に壊れていく。

 

 

 

それでも、第三者から見れば彼女は成功の階段を上る若き歌手の卵だ。

 

 

少し不安定だが、最近一気に伸び始めた歌い手。

喉を壊しかけているが才能が見つかり始めた子。

メンタルに波はあるが今後に期待できる人。

 

 

 

それが外側の評価だった。

誰も彼女の部屋にいる“声”を知らない。

誰も耳元の不協和音を聞くことは出来ず、共有も無理だ。

 

 

水瀬自身もそれを誰かに伝える言葉を持っていなかった。

深夜、彼女はパソコンの電源を落とせば黒くなったモニターに、自分の顔が映る。

 

 

 

酷く疲れた顔だった。

目の下に隈があり、唇は乾いている。

髪も適当に結んだだけで、ひどく生活感がある。

 

 

水瀬ユイという活動名の向こうにいる、水瀬結衣の今の顔だった。

画面の中では、その顔が少し歪んで見えた。

 

 

 

これはただの反射。

モニターの黒い面は歪むし部屋の明かりも入るからだ。

疲れているから、変に見えるだけだ。

 

 

 

水瀬はそう思った。

 

 

何もいない。

そう思おうとした。

だがその時、喉の奥に小さな違和感があり、咳が出そうになり、水瀬は慌てて口を押さえた。

 

 

 

咳をすれば、声が出て、声が出ればあの音が鳴ると思っての反射的な行動だった。

暫く必死にこらえて震える。まるで罪人の様に。

やがて水瀬は両手で口を塞いだまま、その場に座り込み震える事しか出来なくなっている自分に気づき項垂れた。

 

 

 

 

 

 

 




お盆は過ぎましたが何とか形に出来たので投稿します。
主人公不在の番外編といったノリでお楽しみください。
当時の空気を再現できていれば幸いです。
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総合評価:4706/評価:8.41/連載:30話/更新日時:2026年09月02日(水) 18:30 小説情報

ホラー系の世界に転生したのにあまりにも怪異がカラっとしている(作者:ない因習村:ニコニコ動画が主流)(オリジナル現代/コメディ)

 ホラー系の世界に転生しました。夜道を歩くと大概出会いますが、妙に冷めていたり、カラっとしています。どうすればいいでしょう?


総合評価:7571/評価:8.7/連載:31話/更新日時:2026年09月08日(火) 00:27 小説情報

家出人、別名「歴史の観測者」(作者:未来で勘違い)(オリジナル歴史/冒険・バトル)

ただ自由を求めた旅人が無自覚に歴史の転換点を踏み抜き黒幕扱いされてしまう勘違いもの▼未来で評価考察され、過去と落差があるやつが好きです。


総合評価:8848/評価:8.76/完結:9話/更新日時:2026年06月21日(日) 09:02 小説情報

胡散臭いTS美少女占い師は今日も路地裏で笑う(作者:高丸)(オリジナル現代/日常)

転生したら怪異が存在する世界にいた主人公が趣味で占い師をする話▼【挿絵表示】▼


総合評価:5707/評価:8.16/連載:9話/更新日時:2026年07月01日(水) 22:07 小説情報

魔法少女専用掲示板「魔チャンネル」 運営:掲示板の魔法少女(作者:名無しのユーザー)(オリジナル現代/コメディ)

1:名無しの魔法少女▼ ここは「名無しの魔法少女」専用のネット掲示板です▼ いっぱい魔獣を倒してポイントを貯めて願いを叶えましょう▼スレ民全員魔法少女()な掲示板ものです▼こんなんでもわりと平和(?)です


総合評価:9610/評価:8.86/短編:5話/更新日時:2026年09月08日(火) 00:00 小説情報


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