篠澤広はままならない   作:メランコリン

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迷いましたが書きたいように書きます。
誤字脱字等ありましたらご指摘お願いします


裏1

第1話 裏

 

 実は最初から起きていた。背負われている時に目が覚めた。

 

(懐かしい香りがする)

 

今よりも昔、お父さんが好んで付けていたコロンの香り。若い人が好む香りではないのにこの人はしている。

 

「これも縁…縁だけどティンとしないからこの子も違うよな」

 

 首に掛かっている紐は恐らくプロデューサー科の人。私の事を知っていて能力ではなくて第一印象のインスピレーションで判断している。

 

 チャンスだと思った。

 

 貴方がダメでも私が良いならこの人は私を

プロデュースしてくれる。そんな気がした。

 

これが私達の始まり。

 

プロデューサーは運命と呼ぶけど私は違う。

 

掴み取ったモノだから必然。私は貴方に私を選ばせた。

 

私はこの日、****を捕まえた

 

 

第1話裏 オールイン

 

「篠澤くん、少しいいかな」

 

振り向いたらおじいちゃんが立っていた。

 

十王邦夫。私をアイドル候補生にしてくれたおじいちゃん。

 

「どうしたの?」

 

私がそう聞くとおじいちゃんは少し困った顔をして頬をかく。珍しい。いつも飄々としている人が困っている。

 

「彼奴は…君をプロデュースする事になったプロデューサーなのじゃが…何故君は選ばれたのか気になっての」

 

脳内で言葉を反芻する。疑問点を幾つかピックアップして言葉を選ぶ。

 

「違うよ…プロデューサーが選んだんじゃなくて、私が選んだの」

 

笑顔が上手くできない。でも私は多分嬉しい。おじいちゃんの顔がまた百面相になる。

 

「ティンときたんだよ」

 

その言葉におじいちゃんはプロデューサーと同じ顔になった。

 

「フハハハハ!!そうか、それなら仕方ないの!」

 

手を叩いて笑っているのに目は笑っていない。私はだから考える。

 

「篠澤くん。期待しておる。その手に何を掴むかはわからんがワシはお主を入学させて良かったと今思うた」

 

私の言葉を聞く前に振り返って学園長室に帰って行こうとする。

 

「…」

 

私はその背中に敢えて何も言わない。だっておじいちゃんが振り返る時に見た事ない笑みを浮かべてた。

 

第1話裏2 魅入られたのは誰?

 

「今日もお疲れ様でした、篠澤さん」

 

私を背負いながらプロデューサーは寮までの道を歩いている。夕暮れ時の帰り道。私の体力では夜になることはない。

 

それでも律儀にプロデューサーは私を毎日労ってくれている。

 

朝、ランニングは無理だからウォーキングから始めた私と並んで歩いてくれる。

昼、私の為に小さなランチボックスのお弁当を作ってくれている。ギリギリ食べられる量だから食育させられてる気もするけど愛を感じる。

放課後、私のレッスンが終わるのを待って毎日こうやって帰ってくれる。歩けなくなるまでレッスン漬けにさせられてる気もするけどプロデューサーのタクシーが好きだから悪くない。

 

 毎日が未体験で楽しい。でも楽しいのは私だけかもしれない。 

 

 誰も私には言わないけどプロデューサーがついてくれているのは本当に特別な事だった。学年でも一握り。そもそもプロデューサー科のプロデューサー候補が極端に少ない。

 

 

「プロデューサー…私が担当で嬉しい?」

 

「嬉しいですよ」

 

即答だった。胸が跳ねて、体が熱くなる。

 

「篠澤さん。何があったかはわかりませんが私は貴方が担当で嬉しいです。アイドル活動を趣味と言える貴方は得難い存在だ」

 

 一言、一言が私に響く。肩に乗せていた顔が自然と彼の首元に吸い寄せられる。

 

「どうかしました?」

 

「なんでもない」

 

 精一杯の強がりと彼の匂いと混じるコロンの香りを吸って私は目を閉じた。安心感と不安の中で微睡んでいく。

 

「好き」

 

溢れた言葉は夢現の中に溶けた

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