篠澤広はままならない   作:メランコリン

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裏の激重感情を書くために表が存在するのかもしれない


第2話

第2話 

 

 篠澤さんのプロデュースを始めてわかったことが幾つかある。まず篠澤さんは恐らくだが可愛いと思われたい。可愛いのだが本人にそれを伝えると反応が鈍い。

 

「篠澤さん、今日も可愛いですよ」

 

「…っ、ありがとう」

 

朝のウォーキングが小走りに変わりもう少しでランニングと呼べる域まで到達するかもしれない朝、私達の挨拶はいつもこれで始まる。

 

「今日の分の朝ごはんと昼ごはんになります。使い捨ての容器なので食べ終わったら捨ててください。今日も補習がありそうならまた連絡をお願いします」

 

業務連絡をしながら目の前で朝ごはんを食べ始める篠澤さん。

 

「今日も………美味しい」

 

 私はそれを見ながらコーヒーを飲む。朝の講義までは時間があるのでゆっくりする。会話はない。ただ居心地が悪いわけでもない。

 

チラチラと此方とお弁当を見比べながら食べる篠澤さんはまだまだ細い。食事量は増えているが見た目が変わらない。

 

「……?」

 

「頬についてますよ」

 

「…ん」

 

此方に顔を向ける。ティッシュを取り、優しく拭き取る。眼を細め満足そうな顔をする。

 

「篠澤さん「ありがとう、プロデューサー」

 

誤魔化されている、誤魔化されているのは分かっているのに許してしまう。

 

この硝子細工の少女を知れば知るほどに魅入られている自覚はある。それがプロデューサーとしての領域を越えかけているのも理解している。

 

だがこの悪女はアイドルに対して楽しそうにかつ止まることなく歩き続けていた。それが何より嬉しいのだ。

 

「二人きりの時だけですからね」

 

優しく微笑んで私はコーヒーを口にする。ブラックコーヒーがいつの間にか砂糖に塗れていた。

 

第2話 両方ともでした

 

「むきゅうぅぅ……今日も床が気持ち良い…」

 

ダンスレッスンが終了する時間にレッスンルームに向かうと篠澤さんが倒れ込んでいた。ダンストレーナーも居ないのを見ると終わってから少し時間が経っているのだろう。

 

「篠澤さん」

 

呼びかけると篠澤さんの顔が此方を向く。華のような笑顔には疲労が滲んでいる。

 

「プロデューサー…今日も頑張った、よ」

 

「お疲れ様です。立てそうですか?」

 

「……」

 

立とうとして身体を起こし、諦めて座り込む。その代わりに両手を広げて此方を上目遣いで見てくる。

 

「だっこ」

 

「ダメです、おんぶですね」

 

「…むぅ」

 

 慣れた動作で篠澤さんを背負う。

 

「今日も…頑張った、よ」

 

「はい、お疲れ様でした。寮まで送っていきますね」

 

「ふふ…プロデューサーは送り狼」

 

「余裕そうなので明日からもう少しだけ負荷をかけるようにトレーナーに話をしておきます」

 

「えっ……え?」

 

羽よりも軽い担当を背負って帰路に着く。この人は本当に悪女だ。




誤字脱字等ありましたらご連絡ください。

ことねや燐羽を交えた話を書こうとして脳内広に二人でイチャイチャする為の話だと言われたので基本的にサブヒロインとかも無しのメイン篠澤広のみでいきます
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