ガンダムビルドファイターズ ダテ・ショウコの軌跡 作:わしのシアン
東京の外れに、妙な店がある。
表向きはガンプラ・バー。
カウンターの奥には酒瓶が並び、壁際の棚には塗料瓶が詰まっている。
壁には歴代大会のポスターと、誰が書いたのかわからない手書きのルール表が貼られている。
奥にはGBSが二台。
公式競技場ではない。
だが、公式競技場ではできないルールが、ここではできる。
店の名前は、ガンプラ・バー〈サイド7〉。
その名を聞いた時点で、わかる者にはわかる。
ここは二対二の亡霊が夜な夜な集まり、相方への文句と機体相性論と、なぜか妙に具体的なコスト計算が飛び交う店だった。
自動ドアが開く。
がら、ごろ、ごろり。
重いキャリーケースの音が、店の床を転がった。
「こんばんは」
ダテ・ショウコは、いつものように大型キャリーケースを引いて入ってきた。
その上には、タヌキのぬいぐるみのようなロボットがしがみついている。
「ぽんぽこ、入店」
「うん、入店だね」
カウンターの中にいた店員が、ショウコの顔を見るなり、少しだけ遠い目をした。
「ショウコさん。二対二の受付ですか」
「はい。今日の賞品付きフリーバトル、まだ空いてます?」
「えぇ、対戦相手待ちのチームが一組いますよ。参加費は一組二千円。店側手数料を引いて、勝ち組に三千円分の店舗ポイント。まぁ、そこはいつも通りです」
「助かります。塗料代になります」
「現金ではありませんからね」
「わかってます。実質賞金です」
「言い方」
店員は受付端末を操作しながら、ちらりとキャリーケースの上を見た。
ぽんぽこが短い前足を上げる。
「ぽんぽこ、参加希望」
「はいはい。では、ぽんぽこ号は出撃枠です」
「待ってください」
ショウコは真顔になった。
店員は、もう聞き飽きたという顔になった。
「ライトニングブリッツSの自立支援装備です」
「無理です」
「まだ最後まで言ってません」
「何回目ですか、ショウコさん」
「今回こそ通るかも」
「通りません」
ぽんぽこが首を傾げる。
「自立支援AIロボ?」
「その時点でかなりダメです」
「武装はありません」
「GNフィールド張りますよね」
「張ります」
「体当たりしますよね」
「移動です」
「喋りますよね」
「かわいく喋ります」
「かわいさはレギュレーションを突破しません」
店員はきっぱり言った。
「その子はもはや一個のファイターです。諦めてくださいよ、ショウコさん……何回目ですか……」
ショウコは無言で天井を見た。
ぽんぽこは、きゅい、と電子音を鳴らした。
「ショウコ、交渉、失敗!」
「うるさい」
ぽんぽこはキャリーケースの側面ポケットを開け、自分用のGPベースをずるずると引っ張り出した。
ぬいぐるみロボの体には明らかに大きすぎる、平たい専用プレートだった。
「ぽんぽこ号、でる!」
「出るんじゃない。出撃枠にされたの」
「ぽんぽこ、正式参戦」
店員はため息をつきながら、カウンター奥から背の高い子供用チェアを引っ張り出した。
「ぽんぽこ席、出しますね」
「ありがとうございます」
「ショウコさん用じゃありませんからね」
「わかってます」
ぽんぽこは子供用チェアによじ登り、胸を張った。
「ぽんぽこ、操縦席、確保」
その様子を、既に待機していた対戦相手の二人が見ていた。
一人は青いジャケットを着た青年だった。
前髪をわざと片目にかけ、妙に真剣な顔でガンプラケースを抱えている。
ケースの中にはガンダムエクシア。
もう一人は、黒い仮面をつけた男だった。
こちらはオーバーフラッグのケースを片手に、すでに胃のあたりを押さえている。
「……あのタヌキもファイターなのか」
青い青年が言った。
「違います。装備です」
ショウコは即答した。
店員が横から言う。
「出撃枠です」
「装備です」
「出撃枠です」
「ぽんぽこ、装備」
「君は出撃枠だよ」
青い青年は、ぽんぽこをじっと見た。
「GNフィールドを使うのか」
「使います」
「あのタヌキ……歪みだ」
「歪みではないです。タヌキです」
「俺が断ち切る」
「断ち切らないでください」
仮面の男が青い青年の肩を掴んだ。
「待て。まず作戦を立てろ」
「俺はガンダムで行く」
「それは機体申請で知っている」
「俺がガンダムだ」
「会話しろと言っている」
ショウコは店員を見た。
「濃いですね」
「サイド7ですから」
「理由になってるようで、なってない」
仮面の男は咳払いをした。
「私はオーバーフラッグで出る。彼はエクシアだ。こちらは正規の二機編成だ」
「こっちも正規の二機編成です」
「片方がタヌキだが」
「装備です」
「出撃枠です」
店員が淡々と訂正した。
ショウコは諦めて、ライトニングブリッツSのケースを開けた。
青い機体が姿を現す。
店内の照明を受け、深い青の装甲が静かに光った。
仮面の男がわずかに目を細める。
「……良い機体だ」
「ありがとうございます」
青い青年はエクシアを取り出しながら、まだぽんぽこを見ていた。
「GNフィールドを使うタヌキ……」
「そこから離れてください」
店員が受付端末を操作する。
筐体上部のモニターに、仮登録されたファイター名と使用予定機体が並んだ。
Bチーム。
ダテ・ショウコ/ライトニングブリッツS。
ダテ・ポンポコ/ぽんぽこ号。
Aチーム。
セツナ・ラブ・エクシアマイスター/ガンダムエクシア。
苦労人ハム仮面/オーバーフラッグ。
「……名前、濃くないですか」
「サイド7ですから」
「理由になってるようで、なってない」
ぽんぽこは子供用チェアの上で、短い前足をぱたぱたさせていた。
『Please set your GP Base.』
「ぷりーせっちゃ、じーぴーべ! ぽんぽこのをおく!」
ぽんぽこは短い前足で、専用GPベースを押し出そうとした。
届かない。
「はいはい、置きました」
ショウコが、ぽんぽこ号のGPベースを読み取り台へ置いてやる。
「じーぴーべ、着座」
「GPベースは座らない」
GBSの前に四つのGPベースが設置される。
ショウコの前にはライトニングブリッツS。
ぽんぽこの前にはぽんぽこ号。
青い青年の前にはガンダムエクシア。
仮面の男の前にはオーバーフラッグ。
筐体が四機を順に読み込んでいく。
『Beginning Plavsky particle dispersal.』
「びぎに、ぷらふふきぱーちこーですぽーさ!」
ぽんぽこが得意げに復唱する。
ショウコはもう突っ込まなかった。
GBSの内部に淡い粒子が満ちていく。
『Field selected. Side 7.』
「さいどせぶん!」
ぽんぽこが短い前足を上げた。
店名と同じ、サイド7。
この店の二対二では、迷ったらここが選ばれる。
コロニーの外壁、市街ブロック、開けた射線と人工物の遮蔽が入り混じる、常連たちの定番フィールドだ。
だが二対二では、標準的な地形ほど危ない。
今日のルールは制限時間ありのポイント制。
撃破、与ダメージ、残存戦力。
最後に数字が上回っていた方が勝つ。
誰を見るか。
誰を見ないか。
相方を守るか。
相方を囮にするか。
その判断が、戦場の形を変える。
ライトニングブリッツSが降り立つ。
少し離れて、ぽんぽこ号がふわりと浮かんだ。
丸い茶色とクリーム色の装甲。
短い手足、背面推進器、腹部のGNフィールド発生機構。
見た目はタヌキ。
だが、その腹の奥にある粒子量は、見た目ほどかわいくない。
対面には、ガンダムエクシア。
右腕にGNソード。
左腕にGNシールド。
両肩にはGNビームサーベル。
腰にはGNブレイドとGNビームダガー。
刃物の塊。
その後方を、オーバーフラッグが鋭いシルエットで滑るように飛んだ。
トライデント・ストライカーを構え、いつでも横槍を入れられる位置を取る。
「ぽんぽこ、敵機、刃物多数」
「知ってる」
「ぽんぽこ、非武装」
「知ってる」
「ショウコ、救援希望」
「まだ始まったばかり」
開始シグナル。
最初に動いたのは、エクシアだった。
「俺が断ち切る」
一直線。
狙いはライトニングブリッツSではない。
ぽんぽこ号だった。
「やっぱりこっち来た!」
「ぽんぽこ、人気」
「人気じゃない!」
ぽんぽこ号が後退しながらGNフィールドを展開する。
丸い機体の周囲に、薄い光の膜が広がった。
エクシアのGNソードが、その膜へ食い込む。
粒子同士が擦れ、火花のような光が散った。
「GNフィールドを使うなら、切れる」
「タヌキに七本の剣を向ける気!?」
「歪みならば」
「タヌキ!」
ショウコはライトニングブリッツSのビームライフルを構える。
緑のビームが走った。
だが、その射線にオーバーフラッグが割り込む。
ディフェンスロッドが回転し、ビームを弾く。
完全な盾ではない。だが軌道を逸らすには十分だった。
「彼だけを見ていてもらっては困る」
「苦労人のくせに仕事が丁寧!」
「それが私の仕事だからな!」
オーバーフラッグのトライデント・ストライカーが火を吹く。
下部二連銃身の六十ミリ弾が連続で市街ブロックの舗装を削り、ライトニングブリッツSの足元を縫う。
ショウコは機体を横へ滑らせ、頭部バルカンで牽制を返した。
その間にも、エクシアはぽんぽこ号を追う。
GNビームサーベルが抜かれる。
ぽんぽこ号はGNフィールドで受け、短い手足をばたつかせながら後退した。
「ぽんぽこ、刃物、苦手」
「得意なタヌキはいない!」
ショウコは舌打ちした。
このままでは、ぽんぽこ号が削られる。
ぽんぽこ号が落ちると、ライトニングブリッツSは換装も再充電もできない。
戦える。
だが、ショウコの戦場ではなくなる。
「ぽんぽこ、ドレスルーム展開。フォルテストラ」
「了解。お着替え、開始」
「その言い方やめて」
ぽんぽこ号が市街ブロックのビル陰へ滑り込む。
腹部に抱えられた換装用ドレスルームが展開された。
白い円筒形のプラットフォーム。
保持アームが伸び、ライトニングブリッツSを受け入れる姿勢を取る。
オーバーフラッグがそれを見逃さない。
「換装する気か。させん!」
中央の二百ミリ砲身が、ライトニングブリッツSの進路へ向いた。
「そこ!」
高初速弾。
ライトニングブリッツSは寸前で跳び、腰部スラスターを吹かせた。
だが姿勢が崩れる。
その崩れへ、エクシアが横から迫った。
「タヌキの前に、お前を断つ」
「やっと私を見た!」
ライトニングブリッツSのブレストバルカンが火を吹く。
近距離での大口径バルカンが、エクシアの踏み込みを一瞬だけ鈍らせた。
その隙にショウコはドレスルームへ機体を滑り込ませる。
「ぽんぽこ、GNフィールド出力強化」
「ありがとう、助かる!」
保持アームが閉じる。
追加外装が噛み合う。
左右に張り出した大型ユニットが、背部へ噛み合う。
ミサイルポッドを兼ねた増設スラスターが二基。
その中央には、フォルテストラの主推進器が一基。
もともと腰に備えた二基のスラスターと合わせ、推力は五つに増える。
ライトニングブリッツSフォルテストラ。
青い機体が、さらに鋭いシルエットへ変わる。
「フォルテストラ、接続完了」
五基のスラスターが一斉に光を吐いた。
フォルテストラを纏ったライトニングブリッツSが、サイド7の空を裂く。
オーバーフラッグが反応するより早く、ライトニングブリッツSがその横を取った。
「速い!」
「空戦なら、このパッケージで!」
照射型高出力ビームライフルが展開する。
緑の濁流が、ビルの谷間を塗りつぶした。
オーバーフラッグは変形機の機動で逃げる。
だがショウコの照射は、直撃を狙わない。
逃げ道を焼く。
横に逃げればバルカン、下へ潜れば照射の残り火。
「フォルテストラ、最大出力、残り短い」
「わかってる。だから今止める!」
上に逃げようとするオーバーフラッグを追うため、左右の増設スラスターに仕込まれたミサイルポッドを開く。
「くっ、厄介な!」
小型ミサイルが連なって飛び、オーバーフラッグの進路を塞いだ。
だが、その間にエクシアがぽんぽこ号へ肉薄していた。
「GNフィールド……世界の歪みを切り裂く!」
GNロングブレイドとGNショートブレイド。
二本の実体剣が、ぽんぽこ号のGNフィールドに食い込む。
光の膜が軋む。
「ぽんぽこ、危険」
「わかってる!」
ショウコはフォルテストラの推力を反転させ、機体をぽんぽこ号の方へ向けた。
だが、オーバーフラッグがその前に飛び込む。
ソニックブレードを抜き、プラズマを纏わせる。
「行かせん!」
「相方管理が上手い!」
「彼を管理できたことは一度もない!」
「今さら悲しい本音!」
ソニックブレードと高出力ビームサーベルがぶつかる。
フォルテストラのスラスターが唸る。
強引に押し切ろうとするショウコに対し、オーバーフラッグはディフェンスロッドでビームを逸らし、機体を軽くして逃げる。
止めるのではない。
遅らせる。
その数秒が、エクシアには十分だった。
GNソードが大きく振りかぶられる。
「ぽんぽこ号は装備です!」
ショウコが叫ぶ。
「ならば、装備を破壊する!」
「嫌だけど正解すぎる!」
ぽんぽこ号はGNフィールドを最大展開した。
そして、前へ出た。
「ぽんぽこ、突撃」
「あなた換装母艦でしょ!」
「体当たり、唯一攻撃」
丸い機体が、光の膜を纏ったままエクシアへぶつかった。
どん、と鈍い音が響く。
エクシアの姿勢が崩れる。
威力は高くない。
だが、タイミングだけは完璧だった。
ショウコはその瞬間を逃さない。
「サーベリング!」
フォルテストラの外装が切り離される。
青い機体がぽんぽこ号の展開したドレスルームへ再び飛び込み、今度は前方装甲の厚い近接用外装を纏う。
湾曲実体剣。
ブリッツショーテル二刀。
ライトニングブリッツSサーベリングが、サイド7の市街ブロックへ降り立った。
エクシアが笑ったように見えた。
「剣か」
「そっちが刃物で来るなら、こっちも刃物」
エクシアのGNソードが振るわれる。
ブリッツショーテルが受ける。
火花。
粒子。
青白い電流。
エクシアは速い。
GNソードからビームサーベル、ビームダガー、GNブレイドへと繋げる。
武装の数で押し込み、手数で守りを崩そうとする。
だがサーベリングは、真正面から踏み込むための外装だった。
厚い前方装甲で受け、短距離高推力で詰め、ショーテルの曲がった刃でエクシアのシールドの縁を引っかける。
「そこ!」
もう一振りのブリッツショーテルが、GNソードを持つ右腕の内側へ滑り込んだ。
斬るのではない。
曲がった刃で、腕の動きを絡め取る。
青白い電流が、ショーテルの刃からエクシアの前腕へ走った。
「ぐっ、電気ショック!?」
一瞬だけ、GNソードの振りが止まる。
ライトニングブリッツSは、その硬直へ機体ごと踏み込んだ。前方装甲がエクシアの胸部を押し、二本のショーテルが両腕の自由を奪う。
「切断まではしない。壊れるから」
「ガンプラバトルは壊れるものだ!」
「相手の修理費用も考えようね!」
エクシアのGNビームダガーが投げられる。
ライトニングブリッツSは肩をひねって避けるが、装甲の端が削れた。
その隙を狙って、オーバーフラッグが射線を取る。
トライデント・ストライカー中央砲身。
「今だ!」
ぽんぽこ号が横から飛び出した。
「ぽんぽこ、妨害」
「おのれ!ならば射線を変える!」
仮面の男が叫び、照準をずらす。
そのわずかな変更で、ライトニングブリッツSの間合いが完成した。
ショウコはエクシアを押し込みながら、低く言った。
「エクシアはぽんぽこしか見てない。フラッグはエクシアしか見てない」
片方のブリッツショーテルがGNソードを巻き込む。
もう片方の刃が、エクシアのシールドの縁を噛んだ。
青白い電流が走り、エクシアの両腕がわずかに硬直する。
ライトニングブリッツSが、前方装甲ごと踏み込んだ。
押し倒す。
警告表示。
エクシアの機体が、サイド7の市街ブロックへ叩きつけられた。
同時に、ぽんぽこ号のGNフィールド体当たりを受けたオーバーフラッグが大きく姿勢を崩す。
オーバーフラッグは立て直した。
だが、立て直した時にはもう遅かった。
『Enemy unit down.』
エクシアの撃破判定。
続いて、試合終了を告げる電子音が鳴る。
『Time up.』
残存戦力、与ダメージ、撃破ポイント。
表示されたスコアは、エクシアが撃破されたことで大きくBチームへ傾いていた。
『Battle ended. Winner, Team B.』
GBSの光が薄れていく。
店内が一瞬だけ静かになった。
そして、観客席から笑い混じりの歓声が起きた。
「タヌキが突っ込んだぞ!」
「あれ装備なのか!?」
「出撃枠だろ!」
「かわいいからセーフ!」
店員が冷静に端末を操作する。
「はい、勝ち組に三千円分の店舗ポイントです」
「ありがとうございます。塗料代になります」
「あと、ぽんぽこ号は次回も出撃枠です」
「そこをなんとか」
「無理です」
ぽんぽこは子供用チェアの上で、胸を張った。
「ぽんぽこ、勝利装備」
「出撃枠です」
「ぽんぽこ号は装備です」
ショウコは言い切った。
店員は疲れた顔で言った。
「その装備、今日も敵を怯ませましたよ」
「体当たりは移動です」
「移動で戦果を取らないでください」
青い青年はエクシアを回収しながら、ぽんぽこを見た。
「……あのタヌキ、ガンダムではない」
「やっとわかってくれました?」
「だが、歪みではある」
「そこは撤回しないんだ」
仮面の男はオーバーフラッグの傷を確認し、深くため息をついた。
「次は作戦を立てるぞ」
「俺がガンダムだ」
「だから会話しろ」
ショウコはキャリーケースにライトニングブリッツSを戻した。
フォルテストラ。サーベリング。ドレスルーム。ぽんぽこ号。
どれも傷がついている。
戦えば壊れる。
勝っても直す。
だから稼ぐ。
「ぽんぽこ、次も勝利」
「まず修理」
「塗装、必要」
「ポイント、足りるかな」
「ショウコ、労働、継続」
「ぬいぐるみに言われたくない」
店の奥で、また別のGBSが起動する音がした。
誰かが叫ぶ。
「次、二対二空いてる!?」
誰かが答える。
「相方いるなら入れ!」
ショウコはキャリーケースのハンドルを伸ばす。
ぽんぽこがその上へよじ登り、短い前足でベルトを掴んだ。
「帰るよ、ぽんぽこ」
「ぽんぽこ、撤収」
がら、ごろ、ごろり。
重いキャリーケースの音が、ガンプラ・バー〈サイド7〉の床を転がる。
公式競技場ではない。
だが、公式競技場ではできない戦いが、ここではできる。
そして今日もまた、店員の記録にはこう残る。
ライトニングブリッツS。
ぽんぽこ号。
二機編成。
備考。
本人申告では、装備。
第2話 登場ガンプラ簡易カタログ
ショウコのオリジナルガンプラ紹介と、対戦相手チームの元ネタ・武装補足です。
本文中で使用された武装と、その役割をまとめています。
ライトニングブリッツSフォルテストラ/ダテ・ショウコ
ライトニングブリッツSの高機動・高火力空戦パッケージ。照射型ビームライフルとミサイルで相手の逃げ道を潰し、戦場の位置取りを支配する。第2話ではオーバーフラッグを追い込み、ぽんぽこ号への救援ルートを作るために使用された。
照射型高出力ビームライフル
フォルテストラ側の出力供給を前提とした高火力ビームライフル。広い射線を焼き、相手の退路を潰すための武装。第2話ではオーバーフラッグの逃げ道を制限するために使用された。
バックパックミサイルポッド
フォルテストラの左右増設スラスターに内蔵されたミサイルポッド。照射ライフルと合わせて逃げ道を塞ぐために使われる。第2話では上方へ逃げるオーバーフラッグの進路を塞いだ。
バックパック高出力ビームサーベル×2
フォルテストラ装備時に使用可能な高出力近接武装。第2話ではオーバーフラッグのソニックブレードと切り結ぶために使用された。
頭部バルカン×2
近距離牽制用の標準火器。第2話ではオーバーフラッグへの牽制に使用された。
ブレストバルカン×2
胸部に内蔵された大口径バルカン。第2話では接近してきたエクシアの踏み込みを鈍らせ、ドレスルームへ滑り込む隙を作った。
ライトニングブリッツSサーベリング/ダテ・ショウコ
ライトニングブリッツSの近接戦用パッケージ。前方装甲で受けながら踏み込み、湾曲剣で敵機の武装や腕を絡め取る。第2話ではエクシアの手数を真正面から受け止め、GNソードとシールドを封じて押し倒した。
ブリッツショーテル×2
サーベリング装備時に使用する湾曲実体剣。曲がった刃で敵機の武装や腕を絡め取り、青白い電流で動きを止める。第2話ではガンダムエクシアのGNソードとシールドを封じ、押し倒しへ繋げた。
前方装甲
真正面から踏み込むための追加装甲。第2話ではエクシアの攻撃を受けながら距離を詰め、機体ごと押し込むために使われた。
短距離高推力スラスター
サーベリングの近接戦用推進器。巡航性能ではフォルテストラに劣るが、短距離での踏み込みに優れる。
ぽんぽこ号/ダテ・ポンポコ
防御、換装、粒子供給を担当するタヌキ型支援MA。ショウコ本人は装備だと主張しているが、サイド7では完全に出撃枠扱い。第2話ではGNフィールドでエクシアの攻撃を受け、ドレスルームを展開し、最後は体当たりで敵機の姿勢を崩した。
GNフィールド発生機構
腹部に搭載された防御用フィールド発生機構。第2話ではガンダムエクシアのGNソードやGNロングブレイド、GNショートブレイドを受け止め、ライトニングブリッツSの換装時間を稼いだ。
換装用ドレスルーム
ライトニングブリッツSの追加外装を接続するための円筒型プラットフォーム。ぽんぽこ号が展開・管理する。第2話ではフォルテストラ、サーベリングへの換装に使用された。
GNフィールド体当たり
ぽんぽこ号の実質的な唯一の攻撃手段。武装ではなく移動と言い張っているが、第2話ではGNフィールドを展開したまま突撃し、ガンダムエクシアとオーバーフラッグの姿勢を崩した。
※ショウコ本人は支援装備だと主張しているが、サイド7では出撃枠として扱われている。
ガンダムエクシア/セツナ・ラブ・エクシアマイスター
多数の剣を備えた近接特化ガンプラ。高い突撃力と手数で相手を切り崩す機体だが、第2話ではぽんぽこ号を狙いすぎたことで視野が狭まり、サーベリングに捕まる形になった。
GNソード
右腕に装備されたエクシアの主武装。第2話ではぽんぽこ号のGNフィールドを切り裂くために使用された。
GNシールド
左腕に装備された防御装備。第2話ではサーベリングのブリッツショーテルに縁を噛まれ、動きを封じられた。
GNビームサーベル×2
両肩に装備された近接用ビーム兵器。第2話ではエクシアの手数を増やす武装として使用された。
GNビームダガー×2
腰部に装備された投擲可能なビーム短剣。第2話ではライトニングブリッツSサーベリングへ投げつけ、装甲の端を削った。
GNロングブレイド/GNショートブレイド
腰部に装備された実体剣。第2話では二本の実体剣でぽんぽこ号のGNフィールドへ食い込み、フィールドを削った。
オーバーフラッグ/苦労人ハム仮面
射撃、空戦、援護、横槍に優れた可変ガンプラ。エクシアの突撃を支える相方役としては非常に優秀で、第2話ではショウコの射線を妨害し、換装阻止にも動いた。ただし相方がタヌキに吸われすぎた。
トライデント・ストライカー
オーバーフラッグの携行射撃武装。中央の200mmリニアキャノンと下部の60mmリニアライフルで構成される。第2話ではライトニングブリッツSの進路を塞ぎ、換装を妨害するために使用された。
ソニックブレイド
オーバーフラッグの近接戦用実体剣。第2話ではプラズマを纏わせ、ライトニングブリッツSフォルテストラの高出力ビームサーベルと切り結んだ。
ディフェンスロッド
腕部に装備された防御装備。第2話ではライトニングブリッツSのビーム射撃を逸らし、エクシアへの援護を通すために使用された。