井上順奈にひと目惚れした同級生の話   作:日向陰陽

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第6話 「おでかけしましょ」

―――夏休みに入っても練習は続く。俺は最近『STARDUST CRUSADERS』の楽譜を手に入れたので朝練の僅かな時間をその練習に割いている。

 

「おはよう…。」

 

鷲武弥「おはようございます。鎧塚先輩。」

 

鎧塚先輩…物静かで大人しくて俺が夢中で演奏しているといつの間にかいて驚かされる存在。だがオーボエの奏者としての実力は麗奈さんと同等かそれ以上だと思っている。

 

みぞれ「その曲…いつもと違う…。」

 

鷲武弥「ああ…いつものは極めたとはとても言い難いですけど楽譜が手に入ったので気分転換に曲を変えてみました。」

 

みぞれ「そっちも凄い上手い…。」

 

鷲武弥「恐縮です。」

 

「「おはようございます。」」

 

鷲武弥「おはよう、麗奈さん、黄前さん。」

 

麗奈「おはようございます。鎧塚先輩。どうしましたか?」

 

みぞれ「彼が吹いてる曲…いつもと違くて…上手くて…驚いた…。」

 

麗奈「そうでしたか、あ、本当ですね。いつもの曲はどうしたの?」

 

鷲武弥「極めたとはとても言えないけど同じ曲ばかりじゃ飽きるから気分転換に変えてみた。」

 

延々と『STARDUST CRUSADERS』を吹き続けた。慣れてきた影響か楽譜を見ずとも吹けるようになった。

 

みぞれ「さっきよりも上手くなってる…。凄い…。」

 

麗奈「本当に凄い成長速度よね。今日吹いたんでしょそれ?」

 

鷲武弥「うん。」

 

 

 

そうしている間も日々は過ぎていく。ある日のこと。

 

「おはよーみぞれ! げっ⁉」

 

鷲武弥「おはようございます。吉川先輩。」

 

優子「お、おはよう…。」

 

みぞれ「……優子、鷲武弥くんと仲悪いの?」

 

優子「え⁉ それは…⁉」

 

鷲武弥「普通ですよね、吉川先輩? 俺と鎧塚先輩の関係と変わりませんよ。」

 

みぞれ「……そう。」

 

吉川先輩はずっと俺を見ていた。

 

 

 

滝「では早速合奏を始めて行きますが今日はその前に紹介したい人がいます。」

 

「失礼しまーす!」

 

ラフな格好で滝先生とは違った人種に見えた。

 

滝「彼はこの学校のOBでパーカッションのプロです。夏休みの間指導してもらうことになりました。」

 

順奈「プロ⁉」

 

「マジ⁉」

 

「橋本真博といいます。どうぞよろしく。あだ名は『はしもっちゃん』こう見えても滝先生とは大学で同期です。滝クンのことで聞きたいことがあったらどんどん聞きに来てー! あれ?反応薄いなぁ。」

 

滝「余計なことは言わなくていいですよ。」

 

橋本「滝クンモテるでしょう?女子にキャーキャー言われてるんじゃないの?」

 

「はい、吹奏楽部以外の女子には。」

 

橋本「あっはっはは! 吹部女子には人気ないかー! ごめんな、滝クンが口悪いのは昔からで…痛ぇ⁉」

 

滝「余計なことは言わなくていいと言いましたよ。」

 

滝先生が橋本先生の足をグリグリと踏んでいる。正反対…とまではいかないが対称的な二人だと思った。

 

橋本「おい! パーカス! 早速ビシビシいくよー!」

 

 

鷲武弥「どう? プロのパーカッション奏者は?」

 

順奈「凄いよ! 指示が的確で…僅かなミスも聴き逃さないもん! おかげでどんどん上達してる気がする! あ、そういえばお盆休み予定ある?」

 

鷲武弥「ないよ。」

 

順奈「じゃあさカラオケ行かない! この前黄前さんたちと話してたら鷲武弥の話題になって中学の頃カラオケに行ってたって話したら加藤さんや川島さんが『見たい! 聴きたい!』って大盛り上がりになって…どう?」

 

鷲武弥「いいよ。俺もいつか行きたいって思ってたから。」

 

順奈「やった! じゃあ黄前さんたちに連絡しとくね! それから次の日はプール!」

 

鷲武弥「それって順奈の水着姿が見れちゃったりする?」

 

順奈「いつも私の裸見てるでしょ。そんなに期待しても大したものは見れないよ。」

 

鷲武弥「それはそれ。これはこれって感じかな。順奈の水着姿かぁ…。きっと綺麗なんだろうなぁ…。」

 

順奈「じゃあ今日は鷲武弥の部屋に寄ってく! 私の裸とどちらが魅力的か比べてもらおうじゃない!」

 

鷲武弥「『許して⁉』とか『死んじゃう⁉』って言われても止まれないよ。覚悟しといてね。」

 

部屋に入った。例の如く順奈は許しを請うたが予告通り止まらなかった。順奈が失神するまで続けた。目を覚ました順奈を送り届けてから運動しまくって後始末をした。順奈の美しい裸体を思い浮かべた。すぐに眠りについた…気がする。

 

時は過ぎてお盆休みに入った。順奈と一緒に某カラオケ店へ行った。加藤さんや川島さんに黄前さんと麗奈さんもいた。

 

鷲武弥「おはようございます。加藤さん、川島さん、黄前さん、麗奈さん。」

 

葉月「固い! 固いよ鷲武弥くん! 井上さんに接してる時みたいに名前呼びで呼び捨てで敬語もなしで!」

 

鷲武弥「ええと…それでは…よろしく頼む。葉月、みどり、久美子、麗奈。これでいいのかな?」

 

葉月「おおー! 漢前っぷりに磨きがかかったねぇー!」

 

みどり「カッコいいですぅー!」

 

久美子「一気に仲が縮まったみたいで嬉しいよ。」

 

麗奈「私はもっと早くにこうなりたかったけどね。」

 

早速店内に入り順奈が手早く手続きを済ませてくれる。個室に入った。

 

鷲武弥「それじゃ俺が1曲目を歌うってことでいいの?」

 

「「「「「うん!」」」」」

 

B'zの『NATIVE DANCE』を入力した。これはモロに順奈を意識した曲だ。恥ずかしいかもしれないが最後まで聴き届けてほしいと思った。思いのままに熱唱した。順奈を見る。顔が赤くなっている。想いが届いたようで安心した。

 

葉月「画面に映ってないところまで歌ってけどアドリブ? 原曲?」

 

鷲武弥「原曲だよ。歌詞にも載ってないよ。」

 

みどり「凄いですぅー。」

 

鷲武弥「お次はどなた?」

 

「「「「「もっと聴かせて!」」」」」

 

鷲武弥「いいの? じゃあ遠慮なく。」

 

同じくB'zの『恋心(KOI-GOKORO)』を入力した。こうして約4時間に亘って俺の独演会は続いた。喉はすっかり掠れていた。

 

鷲武弥「ありがとうね。料金払ってもらって。でもいいの? 俺だけ歌っちゃって。」

 

葉月「鷲武弥は演奏だけじゃなく歌も情熱的だってわかって楽しかったよ!」

 

みどり「ギャップが凄くて感動しました!」

 

久美子「鷲武弥ってマイク握ると人が変わるよね。凄かったよ。」

 

麗奈「私も見習うべきところがあってありがたかったわ。」

 

順奈「聴いてるこっちは照れ臭かったけど想像以上に上手くてビックリした! でも喉ガラガラだよ。コンビニで飲み物買ってくる!」

 

順奈は行ってしまった。

 

葉月「鷲武弥と順奈ちゃんって付き合ってるんだよね? どうなの? 上手くいってるの?」

 

鷲武弥「上手くいってると思うよ。恋人らしいことも一通りしたし。満足してくれてるみたいだし。」

 

葉月「満足って…アレのこと?」

 

みどり「興味ありますぅ!」

 

鷲武弥「アレって夫婦同士がするアレのこと?とりあえず順奈が『もう許して⁉』とか『死んじゃう⁉』って言っても止めないで失神するまでしてる。」

 

久美子「そ、そうなんだ…。鷲武弥って凄そうだもんね。」

 

麗奈「井上さんも大変ね…。」

 

順奈「お待たせ! ってあれ? どうしたのこの空気?」

 

鷲武弥「俺と順奈が上手くやってるかを説明しただけだよ。」

 

順奈からミネラルウォーターを受け取り一気に飲み干す。

 

順奈「ふーん…変な事言ってないでしょうね。」

 

鷲武弥「言ってないよ。」

 

何とか誤魔化して事なきを得た。順奈はそのまま俺と一緒に帰り部屋に寄って行った。順奈が『もう許して⁉』とか『死んじゃう⁉』って言っても止めないで失神するまで恋人同士の営みを行った。順奈が目を覚ましてはリターンマッチをせがむので付き合った。全勝だった。順奈がどうすれば気持ちよくなれるかは把握しているつもりだ。そこを刺激すれば面白いように順奈は反応する。夜になったので例の如く順奈を送り届けて運動しまくって後始末をした。布団の上で順奈の美しい裸体を思い浮かべた。すぐに眠れた。

 

翌日、順奈と待ち合わせして某プール場へと着いた。今俺は水着用のハーフパンツを着て水着姿の順奈が来るのを待っている。そこに―――

 

「うおお! 凄い! まさに筋肉の鎧!」

 

「物凄いですぅ!」

 

「ナイフや包丁で刺されても平気そうだね…。」

 

「こうして見ると首も太いわね。カッターナイフ程度じゃ致命傷にならないのもわかる…。」

 

鷲武弥「あれ? みんな…? 偶然…なのかな?」

 

葉月「あれ? 昨日言わなかったっけ? 現地集合だって。」

 

鷲武弥「カラオケの時はテンション上がりっ放しだったしその後は順奈の水着姿が見た過ぎて耳を素通りしてたかも。」

 

みどり「それじゃあしょうがないですね!」

 

久美子「でも…その…いつも井上さんの裸見てるんだよね? 水着姿なんて今更じゃない?」

 

鷲武弥「それはそれ。これはこれって感じかな。ドキドキしてるよ。」

 

やがて見知った美しい顔立ちの美女が視界に映った。だが様子がおかしい。

 

鷲武弥「どうしたの? バスタオル巻いて。 ほら、水着姿見せて。」

 

順奈「だ、だって…高坂さんスタイル良いし、何だか恥ずかしくてなってきちゃって…。」

 

鷲武弥「恥ずかしいことなんてないよ。彼氏に見せつけるつもりで…お願い!」

 

順奈「うう…そこまで言うなら…。」

 

順奈がバスタオルをとる。美しい水着姿の順奈がいた。

 

鷲武弥「やっぱり綺麗でスタイル良いよ順奈! 俺は嬉しい!」

 

麗奈「そうね。井上さんはスタイル良いわよ。恥ずかしいことなんてないよ。」

 

久美子「改めて見ると胸大きいよね…私なんか…。」

 

順奈「わー⁉ もういい⁉ わかったから⁉ 恥ずかしくてどうにかなりそう⁉」

 

もう順奈の裸は見慣れたが水着姿には妙に興奮する。体は引き締まっていて出るところは出ている。ナイスバディと言っていいだろう。この美女と毎日…とまではいかないが愛し合っていることが更に興奮を煽った。泳ぎの速さ競争したり水の掛け合いっこしたり順奈の体を触りまくった気がする。たぶん順奈の体は俺の指紋がついてない場所を探す方が困難だろうというくらいに触りまくったと思う。気づけば帰りの電車に乗っていた。

 

順奈「もう⁉ 人前であんなにベタベタ触らなくてもいいでしょ⁉ 変な気分になっちゃったじゃない⁉」

 

鷲武弥「変な気分って?」

 

順奈「それは…鷲武弥の部屋に寄って見せてあげるわよ。」

 

鷲武弥「出来れば水着姿でしたいんだけどいいかな?」

 

順奈「ええいいわよ⁉ 好きにするといいわ⁉」

 

鷲武弥「じゃあそうさせてもらう。」

 

部屋に戻って水着姿の順奈と恋人の営みをした。下着姿も裸も見慣れているはずなのに今回はテンションが爆上がりだったと思う。不思議だった。例によって順奈が失神するまでしてしまったので順奈を送り届けてから運動しまくって後始末をした。水着姿の順奈を思い浮かべた。すぐ眠れたと思う。 こうしてお盆休みは終わった。これから合宿に入る。妙な緊張感は燻ぶったままだった。

 

―――早朝、合宿日当日。目が覚めた。バリカンで髪を刈り上げて髭と眉を剃る。鬱病と不眠症を患って初めての集団生活。妙に緊張した。荷物は詰め込めるだけ詰め込んだ。薬も紙袋ごと突っ込んだ。痛み止めも風邪薬も入れた。サプリメントも入れた。準備良し。部屋を出た。緊張を振り払うかのように走って登校した。緊張は消えなかった。

 

鷲武弥「おはよう順奈。」

 

順奈「おはよう鷲武弥。随分大荷物ね、何が入ってるの?」

 

鷲武弥「着替えとか色々必要になるだろうから詰め込んできた。」

 

順奈「……そう。鷲武弥が眠れるように出来るだけのことはするわ。」

 

鷲武弥「ありがとう、でもいつも通りに走りまくって筋トレしまくって汗を流しまくるだけだから気にしなくていいよ。」

 

順奈「前にも言ったけど無理しないでね。」

 

鷲武弥「今既に妙な緊張してるから無理しないといけないかもしれない。でも無視していいよ。いつも通りにするだけだから。」

 

順奈「……わかった。」

 

鷲武弥「わかれば良し。」

 

バスに乗った。隣には順奈。ずっと無言だった。目的地に着いた。広い施設、避暑地のような場所だった。下りて施設に入り滝先生に挨拶する。

 

鷲武弥「おはようございます滝先生。実は…いつも通りに過ごすために練習が終わったら走りまくって筋トレしまくって汗を流しまくってもよろしいでしょうか。睡眠に影響が出ますので。」

 

滝「……わかりました。無理はしないでくださいね。」

 

鷲武弥「今既に妙な緊張感がありますので無理はするかもしれません。申し訳ございません。」

 

滝「……そうですか。皆さんにもそう伝えておきます。安心して運動してください。」

 

鷲武弥「はい、ありがとうございます。」

 

男子部屋に案内され荷物を置いた。アルトサックスを持って練習室へ向かう。練習に入る前にある人物を紹介された。ひと目見てドキッとした。大人の色気と妖艶で穏やかな雰囲気を漂わせる美しい女性。胸も豊満で女性の魅力が人の形をしたような人物だった。名を『新山聡美』といい木管楽器を指導してくださるということだ。順奈も大人になったらああいう大人の女性に成長するかと思うとテンションが上がった。午前は通常の合奏練習、午後は新山先生の指導の下、徹底的に何十回と合奏練習が繰り返し行われた。

 

夕食の時間になる。トレイにカレーライス諸々が乗せられている。吐き気がこみ上げてきた。えづいた。

 

順奈「ちょっと大丈夫⁉」

 

鷲武弥「……運動してくる。置いといて。」

 

涙目でそう告げて食堂を出る。男子部屋に戻ってタンクトップとハーフパンツに着替えて愛用しているスニーカーを持って外に出た。軽く準備運動して走り込んだ。余計なことは考えるな、今は走ることに集中しろ。自分に言い聞かせた。もう走れないってくらいに息が上がり充分に走り込んだ…はずだ。筋トレに移行した。スクワット4000回、腹筋運動合計1000回、拳立て合計1000回指立伏せ合計100回やるつもりだった。汗まみれのタンクトップを脱ぎ捨てて黙々とこなした。もう限界というところまでやった…はずだ。汗まみれのハーフパンツも脱いで宿舎に戻った。

 

「お疲れ様。」

 

聞き慣れた声、顔を向ける。順奈と滝先生がいた。

 

順奈「食堂とお風呂場も開いてるよ。準備して。」

 

鷲武弥「先に…薬…飲ませて…効き目が…出るまで…時間が…かかるから…。」

 

滝「慌てないで結構ですよ。御自分のペースで構いません。」

 

鷲武弥「ありがとう…ございます…。」

 

どうにか一礼した。覚束ない足取りで男子部屋に戻り薬を取り出す。封を開けまとめて口に放り込んで水道水で流し込んだ。汗まみれの衣類をビニール袋に入れて着替える。食堂で一気に夕食を完食し台所に水で洗い流してそのまま置いた。丁寧に体を洗い入浴場にゆっくり浸かる。ずっとシャワー生活だったので久々の入浴にリラックスできた気がした。どうにかひと息ついた。脱衣所を出るとふたりが待っていた。

 

鷲武弥「お手数をお掛けして申し訳ございません。ありがとうございました。」

 

滝「謝る必要も礼にも及びません。」

 

改めて一礼して男子部屋に戻ろうとする。

 

順奈「本当に大丈夫?」

 

鷲武弥「やれることはやったはずだから後は運に任せるしかない。」

 

順奈「……じゃあまた明日。」

 

鷲武弥「うん、ありがとう。また明日。」

さっさと部屋に戻り布団に入った。寝静まった男子部屋。やはり緊張する。余計なことは考えるな。順奈のことだけ考えろ。ひたすら順奈の姿を想い続けた。その内意識が遠くなっていく…気がした。

 

目が覚める。外は明るい。いつも通りに朝を迎えられたことにホッとした。起き上がってそっと布団を畳んでサプリメントや痛み止めを放り込んで水道水で流し込んだ。その後廊下で柔軟体操を黙々とやった。

 

「「鷲武弥くん⁉」」

 

鷲武弥「おはようございます。秀一くん、ちかおくん。」

 

秀一「良かった…ちゃんと眠れた?」

 

鷲武弥「眠れるか不安でしたが薬がきちんと効いたみたいでいつも通りに朝を迎えられました。お気遣いいただきありがとうございます。」

 

ちかお「部屋から見てたよ…。あんなに走りまくった上に筋トレもやりまくって…数えきれないくらいやってたけど、どのくらいやってたの?」

 

鷲武弥「数えてた数字が合っていればスクワット4000回、腹筋運動合計1000回、拳立て合計1000回、指立伏せ合計100回はやったと思います。」

 

秀一「……拳見せてもらっていい?」

 

握り拳を見せた。

 

ちかお「うおっ⁉ ゴッツイ⁉ これで中3の時とか入学前に井上さんを助けたんでしょ⁉ こんなの食らったらそりゃああっさりやっつけちゃうよ⁉」

 

鷲武弥「恐縮です。」

 

秀一「あはは! 鷲武弥くんって謙虚だよね! オーディションの時にいつもの曲吹いてたじゃん。あれトロンボーンパートの待機室にも聴こえてて鷲武弥くんって相変わらずだなってみんな大笑いしちゃって緊張なんか吹っ飛んじゃったよ! あの時はありがとう!」

 

鷲武弥「……お恥ずかしいです……。」

 

ちかお「そういえばあの時もサックスパートはみんな感謝してたのに鷲武弥くんは『恐縮です。』って言ってたよね。もっと自信を持っていいと思うよ!」

 

秀一「井上さん助けた時はどうだったの?」

 

鷲武弥「『それでは失礼します。』と言って立ち去ろうとしましたけど袖を掴まれて『助けていただいたお礼をさせてください⁉』って言われてこのままではお礼目当てで良からぬことを要求する変態野郎だと思われるかもしれないと誤解されるかもと思って『人として当然のことをしただけです。お気になさらないでください。』と伝えて振り払って、去ろうとしましたけそれでも袖を掴まれて『せめてお名前と連絡先でもどうか⁉ お願いします⁉』って頼まれて『……二度と会うことはないでしょうが、もし次に会うことがあったら貴女のお好きになさってください。』って振り払って北宇治行きの電車に乗りました。でも入学式の日に再会しちゃいました。」

 

ちかお「颯爽と立ち去ろうとしたところまではカッコいいけど最後にオチが付いちゃったね。」

 

秀一「ぷっ!くくく! まあでも鷲武弥くんらしくてカッコいいと思うよ! 井上さんもひと目惚れしちゃうよ!」

 

鷲武弥「俺もひと目惚れでしたけどね。こんな俺に親切にしてくれて吹部にも誘ってくれて今では感謝していますよ。」

 

ちかお「運命の出会いってあるかもね!」

 

秀一「俺もそう思う。」

 

先輩方がゾロゾロと出てくる。朝食の時間らしい。

 

鷲武弥「俺は食欲がないのでどうぞ朝食に行ってください。」

 

秀一「……そっか。じゃあ行ってくる! また後で!」

 

ちかお「また後でね!」

 

こうして俺の合宿1日目は無事に終わった。

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