中川菜々から優木せつ菜へ 〜ポケモンの世界であなたと紡ぐ奇跡〜   作:あいライス

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18章「再会の約束」

さっきまで私たちを、しびれさせた張本人であるピチューが、イワンコ、そしてヨーテリーと、まるで昔からの親友であるかのように追いかけっこを始めたのです。

 

 

「ふふっ、3匹とも、すっかり仲良しですね。 ポケモンのコミュニケーション能力にも驚かされるばかりです」

 

「うん。 ねぇ、せつ菜ちゃん。せっかくピチューが遊びに来てくれたんだから、この子のことももっと詳しく教えてよ!」

 

 

しずくさんの瞳には、恐怖よりも知的好奇心が勝っているようです。

 

私は再び膝の上で、図鑑のページを開きました。

 

 

「教えるのは構いませんが、さっきも申し上げた通り、図鑑の知識の受け売りになってしまいますよ。 私自身、本物のピチューの生態については、もっと深く知りたいと思っているところです」

 

「じゃ、2人で一緒に観察して学ぼうよ。ね?」

 

 

しずくさんの提案に、私は力強く頷きました。2人で図鑑を覗き込み、ピチューの項目を精査します。

 

 

「ピチューはでんきタイプのポケモンで、ピカチュウの進化前の姿です。 ピカチュウのあとは、かみなりの石という不思議なパワーがある石を持たせると、最後にライチュウへ進化を遂げます。  性格の多くは非常に感情豊かですが、まだ電気を溜める袋が未発達なため、感情が高ぶると無意識に放電してしまう。 さっきの電撃も、驚きという感情が本人の意思に関係なく溢れ出してしまった結果のようですね…」

 

「うぅ……本当に、さっきは凄くしびれたね……。思い出すだけで、また体がしびれてきちゃうよ。まさに『しびれびれ』だよぉ……」

 

しずくさんは自分の腕をさすりながら、困ったように笑いました。

 

「そうですね…。体の芯までビリビリとしびれました…」

 

 

……ピカチュウの10まんボルトは、これの数十倍の威力なのでしょうか?

 

やはり、しずくさんとの約束を破るわけにはいきませんね。

 

私は改めて、去年の約束の重みを、文字通り身に染みて実感するのでした。

 

 

「ごめんね、せつ菜ちゃん。私のせいで巻き込んじゃって」

 

「いえ、しずくさんのせいではありません。 止めるのが一歩遅れた私の責任でもあります」

 

 

ですが、このピチューは一体どこから来たのでしょうか?

 

野生にしては人懐っこい気もしますが、周りにトレーナーらしき姿は見当たりません。

 

私は周囲を見渡しましたが、公園には私たちの他には、散歩中のニャルマーや、グラエナを連れた老人くらいしかいません。

 

 

「しずくさん、あのピチューは野生なのでしょうか?」

 

「う~ん、どうだろう? ねぇ、もしも野生の子だったら、ここで私たちがお世話してあげるのはどうかな?」

 

「素晴らしい提案だと思いますが、私たちはモンスターボールを持ってませんからゲットすることはできません。  ですが、こんな小さな子を夜の公園に一人で居させるのも、心苦しいです…」

 

「あ、そっか……。寂しがっちゃうよね」

 

 

しずくさんは少しだけ眉を下げ、悲しそうにピチューを見つめました。

 

私は彼女を励ますように、そして自分自身の決意を固めるように言葉を続けました。

 

 

「はい。ですから…、もし明日もまたここに来て、このピチューがいてくれたなら」

 

「?」

 

「モンスターボールを持ってきて、私がこのピチューをゲットします!」

 

「えぇっ!? せつ菜ちゃん、本気!?」

 

しずくさんの驚きの声が公園に響きますが、その時、遠くの教会の鐘が夕方の時間を告げました。

 

「あ……時間。今日はここまでだね」

 

「そうですね。……イワンコ、帰りますよ」

 

「ヨーテリーも帰ろう!」

 

「キャンキャン!」

 

「ワン!」

 

遊びに夢中だった2匹が、私たちのところに戻ってきます。

 

ピチューだけが、少し寂しそうに首を傾げて私たちを見上げていました。

 

 

「ピチュー……?」

 

「ごめんね、ピチュー。私たち、もう帰らないといけないの…」

 

 

しずくさんが屈み込んで別れを告げます。

 

ピチューの耳がしゅんと垂れ下がるのを見て、私は決然と一歩踏み出し、ピチューの視線に合わせました。

 

 

「ピチュー。明日もまたここに来ます。……もしよかったら、私のパートナーになってくれませんか? 私のポケモンになってくれるなら、明日もう一度、ここに来てください」

 

私の真剣な眼差しに、ピチューは一瞬きょとんとした顔をしましたが、すぐに顔を輝かせました。

 

「ピチュ? ……ピチューッ!」

 

「待っていますね。……では、また明日」

 

「また明日ね!」

 

私としずくさんが手を振って歩き出そうとした、その直後でした。

 

 

「ピッチューーーーーー!!」

 

「「きゃああああああああ!!」

 

 

ビリビリビリビリビリビリ⚡️⚡️⚡️⚡️

 

 

ピチューは、明日も会えるという喜びと興奮が限界を突破し、再び無意識の放電を放ってしまったのです!

 

 

「キャイーン!!」

 

 

ヨーテリーも道連れになってます。

 

しかし、私の足元のイワンコだけは、やはり「ワン?」とさっきと同様涼しい顔をして首を傾げています。

 

しかし…、嬉しい時も電気を出すんですか~!? 感情の制御がこれほど難しいとは……!

 

イワンコが羨ましすぎます……!

 

私たちは……!

 

 

 

私たちは、本日二度目のしびれびれです!!

 

 

黄金の光に包まれながら、私は思いました。

 

ピチューをゲットするというその道は、想像以上に険しく、しびれるものになりそうですね~~~!!

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