中川菜々から優木せつ菜へ 〜ポケモンの世界であなたと紡ぐ奇跡〜   作:あいライス

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ただの、またパクリシーンではないぞwと言い訳しておく。ちゃんとこの先、何でしずくがこんな行動に出たのか書く。


22章「揺らぐ決意」

翌日の幼稚園を終え、私はいつもの公園の大きな木の下に腰を下ろし、賑やかに駆け回る3匹の姿を眺めていました。

 

ピチューは、イワンコやヨーテリーと楽しそうに追いかけっこをしています。

 

その無邪気な様子を視界の端で捉えながら、私の思考は昨夜、暗い部屋の中で反芻していたあの問いへと戻っていました。

 

 

転生した意味。そして、ここではないどこか、広い世界への旅路。

 

 

この世界の理を知れば知るほど、図鑑の向こう側に広がる未知の景色への憧憬は募るばかりでした。

 

いつか、このニジガサキシティの境界線を越えて、まだ見ぬポケモンたちと出会う旅に出る。

 

それが私の運命を解き明かす鍵になるのではないか。

 

そんな予感に浸っていた、その時です。

 

 

「せつ菜ちゃん、今日はどのポケモンについて教えてくれるの?」

 

 

ふいに隣に気配を感じ、柔らかな声が私の思考の糸を断ち切りました。

 

 

「せつ菜ちゃん?」

 

「あ、はい!しずくさん! なんですか?」

 

 

慌てて顔を上げると、そこには不思議そうに私を覗き込むしずくさんの顔がありました。

 

 

「どうしたの? なんだか、ずっとぼーっとして」

 

「すみません、少しばかり考え事をしていました」

 

「考え事?」

 

 

彼女の曇りのない瞳に見つめられ、私はつい、昨夜心に決めたばかりの将来を口にしてしまいました。

 

この街を出て、世界を巡ってみたいということ。

 

もっと広い空を見てみたいということ。

 

ですが、それを聞いた瞬間、しずくさんの表情から血の気が引いていくのが分かりました。

 

 

「えっ……?  それじゃ…せつ菜ちゃん、この街から、出ていっちゃうの……?」

 

「はい。それもいいかなと思ってます。 あ…、ですが、そんなにすぐという話ではありませんよ。 少なくとも10歳になって、一人前のトレーナーとして認められてからの話ですから、安心してください。 一緒にトレーナーズスクールに通うというあの約束は、何があっても絶対に守りますから」

 

 

私は彼女を安心させようと、努めて明るい声で付け加えました。

 

ですが、私のその言葉が、彼女の心に灯っていた不安の種を爆発させる最後の一押しになってしまったようです。

 

 

「っ……!!」

 

 

次の瞬間、私の視界は青い空へと反転しました。

 

しずくさんが、まるでしがみつくような勢いで私に抱きつき、そのままの勢いで芝生の上に押し倒したのです。

 

 

「え? し、しずくさん? 急にどうされたのですか?」

 

 

仰向けに倒された私の胸元に顔を埋め、彼女は細い肩を激しく震わせていました。

 

 

「や……っ!」

 

「え?」

 

「嫌……! どこにも行かないで! 置いていかないで! うぇぇぇぇん!!」

 

 

静かな公園に、彼女の切実な泣き声が響き渡りました。

 

その涙は、単なる寂しさだけではなく、私という存在が、彼女にとってどれほど大きな支えになっていたかを物語っていました。

 

思えば、彼女は内気だった自分を変えてくれた私を、誰よりも信じ、慕ってくれていたのです。

 

それなのに私は、自分の知的好奇心や前世の未練を優先して、彼女を独りにする未来を語ってしまった。

 

胸の奥が、ちくりと痛みました。

 

元生徒会長として、誰かの笑顔を守ることが私の「正義」だったはずです。

 

目の前でこんなにも泣いている友人を放り出してまで、探しに行くべき自分とは、一体何だというのでしょうか?

 

 

「ああ、すみません! 私が悪かったです、しずくさん! はい、どこにも行きませんよ。ずっと、あなたのそばにいますから」

 

 

私は彼女の背中に手を回し、優しくさすりながら言葉を重ねました。

 

……ふふっ、全く。

 

こんなに可愛らしい泣き虫さんを放っておいて、私は一体どこへ行こうとしていたのでしょう。

 

バトルの上達? 世界の真理?

 

そんな高尚なものを追い求めて、たった一人の親友を悲しませることに、何の意味があるというのですか?

 

そんなことより、しずくさんとこの街で、のんびりと穏やかに暮らす人生も、それはそれで、一つの完成された幸福ではありませんか。

 

そうです。そうしましょう。

 

そうしましょうったら、そうしましょう。

 

 

「しずくさん、もう泣き止んでください。どこへもいなくなったりしませんから」

 

「ほんと……? ずっと、一緒にいてくれる……?」

 

 

しずくさんは顔を上げ、涙で濡れた睫毛を震わせながら私を見つめました。

 

その縋るような瞳に、私はこれ以上ないほど優しい微笑みを返しました。

 

 

「はい、本当です。指切りげんまんでしょう?」

 

「……うんっ!」

 

 

ようやく彼女の顔に、いつもの柔らかな笑顔が戻りました。

 

遠くで遊んでいたイワンコ、ピチュー、ヨーテリーも、異変を察知して駆け寄ってきましたが、私たちが笑っているのを見て安心したように、またじゃれ合いを始めました。

 

世界を巡る旅も、真理の追究も、今はまだ遠い夢。

 

今はただ、この街の優しい風に吹かれながら、大切な友人と共に歩む日々を慈しんでいきたい。

 

私は芝生の上で、しずくさんの手を握り締め、心からそう思うのでした。

 




次回、いよいよ幼稚園卒園。  トレーナーズスクール入学式!
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