中川菜々から優木せつ菜 〜ポケモンの世界であなたと紡ぐ奇跡〜   作:あいライス

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25章「平穏な学び舎」

入学式のあの日、講堂に響き渡った倉田校長先生の力強い宣言。

 

『この学校のルールは一つ。それは、正義』

 

その言葉は、私の胸の奥底にある、前世から抱え続けてきた熱い火種を心地よく刺激しました。

 

今の私は、この学校の理念が自分自身の掲げる正義と寸分違わぬものであると信じ、一片の疑いも持っていませんでした。

 

正義とは、弱き者の手を引き、理不尽な悪や暴力を退け、誰もが自分だけの「大好き」を胸に笑顔でいられる優しい場所を守ること。その尊い理想のために、命を預け合うパートナーであるポケモンと共にどこまでも歩む。

 

素晴らしいです。なんて素晴らしい教育方針なのでしょうか。

 

そんな私が夢にまで見た理想的な教訓が、これからの6年間、この学び舎で繰り広げられるのだと思うと、期待が高まります。

 

 

スクールでの生活は、思いのほか穏やかに始まりました。

 

クラスメイトの子供たちは皆、純粋で、教室はいつも和気あいあいとした空気に包まれていました。

 

何より、内気だったしずくさんが、少しずつですが、確実に外の世界へと心を開いていく姿を見られることが、私にとって最大の喜びでした。

 

休み時間、しずくさんが他の友達と笑顔で言葉を交わし、ヨーテリーを囲んで賑やかに談笑している姿を、私は少し離れた席から見守ります。

 

 

……ふふっ、しずくさん。あんなに楽しそうに笑って……。本当に、立派になられましたね。

 

どこか保護者のような、あるいは姉のような、誇らしく、温かい感情が込み上げてきます。

 

かつて幼稚園の隅で震えていた彼女の姿はもうありません。

 

彼女の成長こそが、私の正義が守りたかった光そのものです!

 

「ポケモンバトル」の授業も、微笑ましい簡単な遊びの延長のようなものです。

 

フィールドに出れば、クラスメイトたちは、ポケモンの技の威力よりも、ポケモンの姿に「かっこいい!」「可愛い!」と歓声を上げ、私たちのパートナーであるイワンコやヨーテリーも、クラスのアイドル的な存在として皆に可愛がられてきました。

 

イワンコが砂を跳ね上げて元気に駆け回り、ヨーテリーがそれに応えて愛らしく吠える。

 

そんな光景を見ていると、この平和こそが守るべきものなのだと、改めて実感させられます。

 

 

そして、何より私を夢中にさせたのは、スクールの座学でした。

 

勉強そのものは、私にとって決して苦ではありません。

 

むしろ、今まで図鑑の文字を追うだけでは決して得られなかった、ポケモンの生態、歴史、そしてトレーナーとしての倫理観。

 

専門的な講師から語られる知識の数々は、私の知的好奇心をこれ以上ないほどに満たしてくれました。

 

 

やはり、この世界は奥が深いです。

図鑑を暗記しただけでは、私はまだ入り口に立っていたに過ぎなかったのですね。

 

 

未知の真理に触れるたびに、世界が鮮やかに塗り替えられていくような高揚感。

良き友、良きライバル、そして「正義」を校訓とする素晴らしい学び舎。

 

この時の私は、これから始まるスクール生活に一筋の暗雲も感じてはいませんでした。この先、掲げられた「正義」の言葉が、私の知るものとは別の色を帯び始めることなど、露ほども思わずに。

 

私はノートを閉じ、隣で楽しそうに笑うしずくさんに微笑みかけました。

 

この穏やかで輝かしい日々が、ずっと、どこまでも続いていくのだと、そう信じて疑わなかったのです。




1年生として、せつ菜も楽しくポケモンの知識が順調につけられた。

早くも次回、2年生。
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