デュエル・マスターズ〜カジュアル勢の俺が引きだけでカードゲーム主義の世界を破壊しても良いんすか!?〜 作:社畜ヲタク
生徒会長、聖 龍矢(ひじり りゅうや)。
そのあまりにも巨大な肩書きを持つ男は、コウの前でただの無邪気な少年のようににこやかに微笑んでいた。
しかし、その瞳の奥にある好奇心の光は、獲物を狙う猛禽類のそれと変わらない鋭さを持っている。
「あまり後輩にこちらから挑むのは良いことでは無いけれど……。今回は僕の好奇心を許してくれないかな?」
その柔らかい物腰の裏にある、圧倒的な実力者の気配。コウの直感は激しい「嫌な予感」を告げていたが、それと同時に、全身の血が沸き立つような「ワクワクする予感」が身体を支配していくの
を感じていた。底辺と蔑まれてきたこの学園で、ついに頂点と相まみえる。コウはニヤリと笑みを浮かべ、生徒会長を正面から見据えた。
生徒会長が静かに、だが洗練された動作で自身のデッキケースを持ち上げる。それに応じるように、
コウも自慢のカード達が詰まったケースを構えた。二人のデッキがデュエル台へと接続され、まばゆい青と白の光の結界が廊下に広がる。通りかかった試合を終えた一般生徒たちが、何事かと次々に足を止め、壁際に群がり始めた。
「「デュエマ、スタート!!」」
両者の咆哮がシンクロし、前哨戦最後の、そして最も苛烈なデュエルが幕を開けた。
〜1ターン目:先攻(コウ)〜
「先手は貰います! マナチャージ、1マナ使用! 《バブル・ボール》を召喚してターンエンド!」
場に現れたのは、小さな青い球体の形をした、現代環境では誰も見向きもしないクリーチャー
〜1ターン目:後攻(生徒会長)〜
「へぇ……珍しいカードだね。ドロー。マナチャージしてターンエンド」
龍矢がにこやかにマナゾーンに置いたそのカードを見た瞬間、コウの顔が引きつった。
(ゴ、ゴルギーかよ……!!)
マナに置かれたのは、《轟䡛合体ゴルギーオージャー》。1体のクリーチャーの下に大量のカードを重ねることで、前代未聞の「特殊勝利」をもぎ取る、ロマンと美学の結晶たる超弩級のデッキであり何の因果か前世での因縁のあるデッキだった。
〜2ターン目:先攻(コウ)〜
(マズい、あの化け物が完成する前に押し切らねぇと確実に負ける!)
「俺のターン、ドロー! マナチャージ。2コストを支払い、《ツイン・シックス》を召喚! ジャストダイバーを解決! そのままターンエンドだ!」
冷や汗が背中を伝うが、コウの指先は驚くほど冷静に、最速の布陣を敷いていく。
〜2ターン目:後攻(生徒会長)〜
「また面白いカードを好むんだね。ドローそしてマナチャージ。2コストを使用して《ソウルサンライト コハク》を召喚。彼女は次の僕のターンまで、あらゆる効果で場を離れなくなるよ」
淡々と、しかし確実にコンボの「核」を場に送り出す。その動きには一切の無駄がない。
〜3ターン目:先攻(コウ)〜
「そろそろこちらも動かせてもらう! ドロー&チャージ! 『ハイパーエナジー』発動! 場にいるツイン・シックスとバブル・ボールをタップすることで、召喚コストを4軽減! さらにツイン・シックスの効果で1軽減、合計5コスト軽減して2マナで《爆藍月 スケルハンター》を召喚!!」
深い青色の大型クリーチャーが低コストで飛び出す。
「登場時能力で2枚ドロー。さらにツイン・シックスの効果で1枚、バブル・ボールの効果で1枚! 合計4枚ドロー! ターンエンド!」
低コストから一瞬で莫大な手札を補充する怒涛のドローコンボに、龍矢も「素晴らしいシナジーだ」と感嘆の声を漏らした。
〜3ターン目:後攻(生徒会長)〜
「いいコンボだね。ドロー&チャージ。ならばこちらも準備を進めよう。コハクの軽減効果で1マナ、《大集合!アカネ&アサギ&コハク》をコハクの上に進化! 登場時効果で山札の上から2枚を確認し、1枚をマナへ。そして自身の効果で3コスト、コハクで1コスト軽減し、2マナで《〜西方より来る激流の龍騎公〜》を大集合の上に重ねて進化! 効果で3枚ドローし、1枚を山札の上へ戻す。ターンエンド」
コウは血の気が引くのを感じながら、相手の盤面を数えた。すでに3枚のカードが1体に重なっている。残り7枚。タイムリミットが迫っていた。
〜4ターン目:先攻(コウ)〜
「完成する前に終わらせる! ドロー&チャージ! バブルボールとツインシックスをタップし『ムゲンクライム』を発動!ツインシックス効果で軽減され、 1コストで《罪無ドロキオ垓》を召喚! 効果により、クリーチャー1体の動きを1ターン止める!ビスマルクを選択! さらにバブルボールとツインシックスの効果で2枚ドロー! 更に残りの2コストで《メトロ=トロノーム》を追加してターンエンド!」
展開&妨害、そしてドローとコンボを繋げていくコウ
〜4ターン目:後攻(生徒会長)〜
「かなり展開するんだね。いいよ、楽しくなってきた。ドロー&チャージ。コハクの軽減により3コストで《花謡の精霊カンツォーネ》を上へ進化。そして『超魂レイド』によりアオフェシーを下に敷く。カンツォーネの効果で君のスケルハンターをシールドへ送らせてもらうよ。さらに2コストで《ジャスミンの地版》を出し、マナチャージ。ターンエンドだ」
これで構成枚数は5枚。カウントダウンが1つ1つ進んでいく。
〜5ターン目:先攻(コウ)〜
「本当はギュウジンが欲しいが仕方ない。これで、その動きを完全に止めてみせる! ドロー&チャージ! 『ムゲンクライム』により俺の場のクリーチャー4体をタップ、ツイン・シックスで1コスト軽減! 3コストで降臨せよ、《∞龍ゲンムエンペラー》!!」
虚無の龍が場を支配すしコスト5以下の効果はすべて無視される。これで数ターンは凌げると考えターンを渡す。
〜5ターン目:後攻(生徒会長)〜
「確かに僕のデッキはコストが低いカードが多い。けれど、それだけじゃないよ? ドロー&チャージ。3コスト軽減を利用し、3コストで《〜西方より来る激流の龍騎公〜》を上へ進化。3ドローして1枚を山札へ。そしてコスト軽減を重ねて3コストを使用、《轟䡛合体ゴルギーオージャー》をさらにその上に進化!!」
ゲンムエンペラーのコスト無視をすり抜ける重量級。ゴルギーオージャーの効果により、現在の構成枚数である『7マナ』を一気に加速されそこから大集合と一音を回収する無駄のない動き。
「コハクの軽減で1コスト、《一音の妖精》を上へ進化。さらに2コストで《大集合!アカネ&アサギ&コハク》を上に進化」
カードが、幾重にも、幾重にも重なっていく。その美しくも圧倒的な光景を前に、コウの脳裏に一つの答えが浮かんだ。
(あ……これ、終わったわ……)
あまりの見事な動きに、冷や汗を流しながらも苦笑いが漏れる。
龍矢はどこまでもにこやかに、最後の宣告を告げた。
「待たせてしまって悪いね。3コストを支払い、《轟䡛合体ゴルギーオージャー》をさらに大集合の上に進化。——効果は使わないよ。そのままゴルギーオージャーでアタックする時、その下に重なったカードの力が解き放たれる。……特殊勝利(エクストラウィン)だ」
黄金に輝く巨大な合体ロボが、廊下全体を覆い尽くすほどの強烈な閃光を放つ。デュエル台の画面には、誇らしげにその文字が刻まれた。
『EXTRA WIN』
『WINNER:聖』
「対戦、ありがとう」
龍矢が静かに右手を差し出す。コウはその圧倒的な敗北に対して、不思議なほど清々しい気分だっ
た。
相手の顔には自分に対する悪感情は見られず、己の美学を極限まで突き詰めた者への純粋な敬意。コウはその手をしっかりと握り返した。
「ありがとうございました! 最高に楽しいでした!」
「ふふ、楽しかったよ。またいつでも相手になろう。」
生徒会長は満足そうに微笑むとその場を去る...のを止め振り返る。
「デュエルが楽しくて君に伝えることを忘れていたよ。君のデュエルはとても素敵なものだ、でもこの世界では異端でありそして許されないものだと言うことを...」
その瞳には先程の様な少年のような光はなく
濁り切った黒色をしていた
「ま、それが嫌ならみんなに証明するんだね」
最後はニッコリと笑みを浮かべ今度こそ優雅な足取りで去っていった。
それと同時に試合終了のチャイムが鳴り響く
コウは残された右手の熱を感じながら、明日からはじまるリーグ戦本戦への闘志を、さらに激しく燃え上がらせるのだった。
正直ゴルギーは使ってて楽しいデッキのひとつではあります
ゴルギーオージャー起動せずともシャコで勝ちをもぎ取れたりできるので
(でもメタに弱いのがなぁ...)