デュエル・マスターズ〜カジュアル勢の俺が引きだけでカードゲーム主義の世界を破壊しても良いんすか!?〜   作:社畜ヲタク

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第11話︰そうか、大体わかった(わかってない)

第11話

 

生徒会長・聖龍矢との激闘を終え、前哨戦の全日程が終了した。 しかし、コウの胸の奥には、去り

際に会長が残した言葉がいつまでも重くトゲのように突き刺さっていた。

 

「君のデュエルはとても素敵なものだった。でも、この世界では異端であり・・・・・・そして許されないものだということを知るといい」

「ま、それが嫌なら、みんなに証明するんだね」

 

にこやかな笑みの最後に見せた、あの濁り切った、世界のすべてを諦めたような冷たい瞳。 それがどうしても頭から離れなかった。

 

(あんなに楽しそうにゴルギーのコンボを回していたのに、何故あんな顔を崩したんだ...?)

 

そんな疑問を頭の中でぐるぐると巡らせているうちに、気づけば足は勝手に動き、気がついた時には自宅であるボロアパートへと辿り着いていた。

 

古びた鍵を開け、狭い室内に足を踏み入れる。一先ずは今日の戦果によって明日の本戦への出場は

確実だろうが、思考はすでに「次にどんなカジュアルデッキを使うか」という悩みにシフトしていた。

 

しかし、昼間の連戦による疲労は想像以上に身体を蝕んでおり、彼は制服のまま、吸い込まれるように布団へと倒れ込み、気づけば深い眠りに落ちていた。

 

 

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ハッと目を開けると、そこは一面の銀世界――いや、何も存在しない「真っ白な空間」だった。

 

 

上下左右の概念すら曖昧な、静寂だけが支配する謎の空間。「ここはどこだ?」と周囲を見渡そうとした、その時。

 

「―――やっと会えたね」

 

後ろから、不意に穏やかな声をかけられた。

 

驚いて勢いよく振り返る。

そして、そこに立つ人物の姿を見て、さらに言葉を失った。

 

 

 

 

目の前にいたのは、自分と寸分違わぬ顔をした少年。 しかし、その身体はいまの自分よりもどこか細く、纏う雰囲気はボロボロに擦り切れているような、深い絶望を湛えていた。

 

 

 

 

ゴクリと唾を飲み込み、恐る恐るその人物に問いかけた。

 

「き、君は......誰なんだ?」

 

謎の少年は、自嘲気味に、どこか困ったように優しく微笑んだ。

 

「僕は君だよ。いや、正確に言うなら...いま君がその身体を借りている、この世界の『高咲 コウ』だった物.....かな」

 

その言葉に、心臓が大きく跳ね上がった。転生前のこの身体の本来の持ち主。 彼が、目の前に立っている。

 

少年は静かに、自らの過去を語り始めた。

 

 

 

 

この「勝利至上主義」の学園での息苦しさ。

周囲の生徒たちが、誰も彼も効率のために自分の「好き」を徹底的に押し殺し、まるでお人形のように苦しそうにデュエルをする姿が、彼は何よりも嫌いだった。

だからこそ、今のコウと同じように「みんなを驚かせたい」「カードゲームで笑顔にさせたい」と願い、環境外の様々なカードを手に取ってきたのだという。

 

「だけど...僕には、何もかもが足りなかったんだ。知識も、カードを引き寄せる右手の運も、そして何より、周囲の冷徹なプレッシャーに抗うだけのプレイングも...」

 

少年は視線を落とす。

結局、周囲からの絶え間ない蔑みと圧力に精神をへし折られ、何より「自分の理想のために強くなって、守りたかったはずの幼馴染(天音)」にすら、最後には底辺として見捨てられてしまった。

すべての希望を失った彼は、最悪の選択をしてしまったのだと、淡々と語った。

 

重い沈黙が流れる中、少年は真っ直ぐにコウの目を見つめ返した。

 

「こうして君と意識を交わせるのは、今回が最初で最後なんだ。君にどうしても一つだけ、お願い

したくてね。神様に無理を言って、この場所を最後に設けてもらったんだよ」

 

コウは少年の悲痛な過去をしっかりと受け止め、真剣な眼差しで聞き返した。

 

「お願い...? 一体、何をすればいい?」

 

少年は、胸の奥底に秘めていた唯一の、そして最大の願いを絞り出すように告げた。

 

 

 

「僕の幼馴染に...ううん、この世界に生きるすべての人達に。デュエル・マスターズは、本当はとても楽しんで、笑いながらするものなんだってことを、思い出させてほしい」

 

 

 

それは、この学園の根底のシステムを全否定する、とてつもなく困難で無謀な願いだった。

だが同時に、カードを愛する者にとっては、ありふれた、そして何よりも「一番簡単で当然の」願

いでもあった。

コウは、少年の絶望を吹き飛ばすような、いつもの不敵で頼もしい笑みを浮かべた。

 

「―――なんだよそんなこと。言われなくたって、当たり前だろ」

 

その言葉を聞いた瞬間、少年の顔に、これまでで一番晴れやかで美しい笑顔が咲いた。

 

二人は一歩歩み寄り、お互いの右手を強く、固く握りしめた。

その瞬間、周囲の白い空間が今までにないほどの眩い光を放ち始める。視界が真っ白に染まり、思わず目を逸らした。

 

 

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ハッと目を覚ますと、いつものボロアパートの布団の上にいた。

窓の外からは薄暗い朝の光が差し込んでおり、壁の時計の針は朝の6時を指している。

 

「あれは夢...。いや、違うな。あいつの温もりが、まだ残ってる」

 

フッ、と微笑むと、力強く布団を跳ね除けた。 今日から始まるリーグ戦本戦に向けて、しっかりとデッキを調整し、制服へと袖を通す。

 

玄関の扉を開け、外へ踏み出す足取りは、昨日までのどのステップよりも、軽やかで、そして確かな「覚悟」に満ちあふれていた。

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